67話 里花の逆襲
熱海に来ているぼくら。
海を見たあと、カフェへ移動。
義妹のダリアに散々ぼくらはからかわれた。
「ダリアのいじわるっ」
里花はいじられすぎて、すねてしまったようだ。
ぷくっと頬をふくらませてそっぽ向いてしまう。
「ごめーんて」
「許さないわっ。あんなにいじくり倒す必要ないじゃないのっ」
まあそれは里花に完全同意だ。
うちの彼女すんごい顔赤い。
「あらら、まじ怒り?」
「まじ怒りです! ということで、ダリアにやり返しします! しんちゃん!」
急に里花が僕に話題を振ってくる。
「暴力反対」
「わかってるわよ」
まあぼくもわかっていた。単に、やられっぱなしは嫌なだけだろう。ようするに友だち同士でじゃれてるのだ。
「やり返しか~。こまったなー。ダリアさんはどんな酷い目にあうのかな~?」
ダリアも里花の心情を汲んでるのか、余裕の態度を崩さない。
にやりと笑って、里花が言う。
「しんちゃん、ダリアをお膝に乗せる、の刑に処す!」
「なあっっっっっっっっっっっ!?」
ダリアが目を引ん剥いて、顔を真っ赤にする。
「り、りかたん!?」
「しかも向かい合ってすわってくださーい」
「なー!? なにそれなにそれ!」
ダリアが珍しく動揺してる。
「そ、それって……でも……それは……」
「あらぁ? 百戦錬磨のダリアさんは、こういうプレイもしたことないのかしら?」
「あ、あるけど」
あるんかい。
「で、でも……お、お兄ちゃんとは……その……て、照れるよ……」
もじもじしちゃっているダリア。
そりゃ、まあそんな子供みたいな体勢は嫌だろう。
「嫌ならやめとく?」
「嫌じゃない! ぜんぜん嫌じゃない! むしろラッキーというか……」
え、い、嫌じゃないんだ。
恥ずかしいだけかな?
「さぁさぁ乗りなさいダリア。ほらほら」
里花がぐいぐいとダリアの背中を押す。
彼女は恥ずかしがりながらも、ぼくの前にやってきた。
「……いい?」
「うん、どーぞ」
「……失礼します」
おずおずとダリアがぼくの膝の乗ってくる。や、柔らかいな……太ももが。
しかもダリアが、すごい近くにいる。
顔が、唇がくっついてしまいそうな距離にいる……。
「り、りかたん! もう限界! 無理無理!」
「まだいけるでしょ~? えいえい」
里花がダリアの背中を押して、ぼくたちは正面から密着する。
お、おおきい……で、でかい……(溶ける語彙)。
髪から香ってくる、シャンプーとか香水のかおりに、頭がくらくらする。
「お、おにいちゃん……」
はあはあ、とダリアが荒い呼吸を繰り返す。据わりが悪いのか、もじもじと彼女がおしりをうごかす。
うう……なんて柔らかいんだ。おしり。めっちゃ柔らかい……なんか、妙な気分に……。
「「「だ、だめだー!」」」
ぼく、ダリア、そして里花の三人の声が重なる。
ダリアがぼくから離れる。
「あ、ぶね……あやうくお兄ちゃんと、そのままやっちゃうとこだった」
「もう! だめ! 禁止! アタシよりさきには駄目! ……あう」
みんなそれぞれ恥をかいた一幕だった。
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