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158話 追い詰められて暴走(失敗)


 ぼくは妹子に呼び出された。

 どうにも会話が成立しないので、確かめてみた。


 すると彼女は、ぼくがまだ、この女のこと好きだと思ってるらしい。

 呆れた……


「きみ、何バカなこと言ってるの?」

「ば、バカなこと?」


 涙でぐしゃぐしゃになった、しかし間抜けた顔を向けてくる。

 里香が泣いてたら、なんとしても、彼女の涙を止めなくちゃってなるんだけど。


 妹子が泣いてるところで、ぼくの心は微塵も動かない。

 多分付き合ってるころは違ったんだろうけど。


「きみがクリスマスにしたこと、ぼく、忘れてないよ」


 デートに待ち合わせして、寒い中ずっと待たされて、すっぽかされた。

 しかもその段階で泡切れてたんだよ?


 里香がいなかったら、ぼく、心を病んでたかもしれない。


「きみはあんな酷いことしたあいてが、本気で、好きでいてくれると? どうかしてんじゃないのきみ?」


 こんなに人の心理解してないひとが、この世には存在するんだ。

 ぼくのまわりには、里香、ダリアと優しいひとばっかりだから、忘れてたけど。


 なんだが、不憫だな。

 でも同情はしない。


「ぼくはきみが嫌いだよ。二度と顔も見たくない」

「なん、で?」

「なんでって……もうさ、ほんと、頭大丈夫? ぼく言ったよね。大事なものを傷つけたって」

「真司くんの自尊心……ひっ!」

「ちがうよ」


 なんか、妹子が怯えていた。

 なんでだろう、わからないけど、もうさっさと終わらせたい。


「きみは、ぼくの大事な、里香を傷つけた。それが許せない。絶対の、絶対に」


 里香はぼくの一部だ。

 そう思うくらいに大切な存在。


 だから、彼女がいじめられて、キレたんだ。

 でも妹子の態度でわかった。


 彼女は、ぼくの心が里香のものだと、知らなかった。

 だから里香にひどいことが平然とできたんだ。


 まあ、そこがなかったとしても、人をいじめてくるやつは、最低だと思うけど。

 いじめって何で起きるんだろうね。


 というか、どうやったら起きなくなるんだろ。

 どうやったら、学内のひとたちが、楽しく学園生活送れるんだろう。


「ああ、そっか」


 いま、イメージがふと湧いてきた。


「学内の治安を,守ればいいんだ」


 うん、来年になったら、やってみよう。


「……ねえ、ねぇ、話聞いてよお」


 バカがなんか泣いてる。


「まだいたの、きみ」

「そんなぁ、ひどいよぉ。ねえ……なんでそんな、雑に扱うのぉ」

「きみだってぼくのこと、まるでものみたいに使い捨てたじゃん」

「ふぐぅうう……」


 もういいや。

 呼び出したのも、じーさんへの口添えだった。


 過ちを反省してる様子もなし。


「話はもういいのよね。もう、ぼくに関わらないで。どこぞなりとも行ってよ」


 ぼくは立ち去ろうとする。

 妹子が、にちゃあと笑った。


「ふ、ふはは! みんなぁ! やっちゃってえ!」


 妹子がさけぶと、屋上のかげから、何かが現れる。


「まちわびたぜぇ、妹子ぉ」


 ガラの悪い連中が、ずらずらとでてくる。


「なに、この不良たち」

「あはは! あたしの友達よぉ!」


 こんなのが友達、ね。

 友達は選んだ方がいいよ。


 態度が知れる。


「おい妹子ぉ、まじでこいつボコったら、100万くれんの?」


 そんな金、あるの?


「ええ! こいつを痛めつけたら、100万でもいくらでもぉ、あげちゃうわ!」


 ……バカなの?

 そんなことしたら、じーさんめちゃくちゃキレるよ?


 今も多分めちゃくちゃ怒ってると思うよ。

 でも、ああそうか。


 ぼくを痛めつけて、おどして、じーさんにお願いさせようとしてるのか。

 全部無かったことにしろ、さもなくば、痛めつけるとか?


 それか、ぼくをぼこってはだかにでもして、写真をばらされたくなければ、みたいな。


「はぁ〜……」

「な、なによ?」

「なんというか、救えないね、きみ」


 かんがえがほんとバカで浅はかだよ。


「そんな素人まるだしの、不良どもなんか、怖くないよ」

「ふ、ふん! バカはそっち。こっちは15! あんたはひとり、しかもひ弱な陰キャぼっち!」


 彼女の目は血走っていた。

 多分相当追い詰められてたんだろう。


 ……てゆーか15って。

 どこにそんないたんだろ?


 ああ、教室に隠れてたのかな。

 ぼくが入ったあとに、階段とこまできて待機してたとか。


「さぁ! 真司くぅん! 痛い間に合いたくなかったらぁ! アタシの言うこと聞いてヨォ!」


 はぁ……


「それはこっちのセリフだよ。まあ、もっとも」


 ぼくは1番近くの不良を見て言う。


「もう遅いけどね」


 パァン! という、何か乾いた音がした。

 ぐしゃ!


「……え? ひっ!」


 不良の一人が、その場に崩れ落ちる。

 白目をむいており、顔は真っ赤に染まっていた。


「え? え? な、なに!? なんなの! まさか、ひ、ひ、ち、血ぃ!?」


 妹子が怯えてる。

 まあ、たしかに、不良の頭からすごい真っ赤な【それ】が垂れてる。


 周りも暗いし、血に【見えてしまう】のだろう。


 パァッン! ぐしゃ!


 またしても乾いた音ともに、不良が倒れる。

 不良の顔は真っ赤にそまっていた。


「け、拳銃か!? 狙撃されたのか!?」


 あ、やっぱりそう見えるか。

 まあ、そうだよね。


「ひぃいいいい! いやぁ! た、助けてよぉ!」


 拳銃をぼくが持ってる(ないし、スナイパーに狙撃されてる)と勘違いした妹子が、不良たちにすがりつく。


「ば、馬鹿か! 拳銃相手にかなうわけねえだろ!」「くそ! 逃げるぞ!」「ひぃい!」

 

 不良たちがまとまって逃げていく。

 だが……


 がちゃん。


「じじゃーん、ターミネーターでぇす」

「三郎さん!」


 ゴリマッチョ黒服男、贄川にえかわ三郎さんがやってきた。


「真司くんがやっぱり心配だから! 助けに来たぜ!」


 三郎さん! 


「おいおいひよっこども! 真司くんを傷つけようったってそうはいかねえぜ! おれがお前らに、お仕置きだべ〜」


 不良たちが、絶望の表示を浮かべる。

 妹子も顔が真っ白になって、その場に崩れ落ちて震えてる。


 ま、同情はしないよ。


「三郎さん、それと、一花いちかさん。やっちやって」

「あいあいさー!」


 パァッン! ぐしゃ!

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― 新着の感想 ―
[一言] はぁ… 想定通りに動くのは三下の見本やな 不良共も、追加で家潰れるの確実だな GGニコニコしてそう
[一言] うん……。 謝罪という名の呼び出し。 向かう途中に感じた嫌な予感。 そして、妹子の性格。 この展開はなんとなく予想はしていたが、 妹子のやつマジでやりやがったか…。 バカは死ななきゃ治らな…
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