147話 悪意の種
《妹子Side》
真司の元カノ妹子は、彼らが病院に行く姿を見ていた。
その後、興信所を使って、彼らを調査したのだが……。
「は? どういうこと? 調査続行不可能って?」
妹子は自宅にいる。
興信所と電話で連絡を取っていた。
『いえ、ですから、中津川様。これ以上彼らを調べることはできないと言ったのです』
「なにそれ? こっちは高い金だしてるのに、仕事を放棄するっていうわけ?」
さも自分の金みたいな言い方になってるが、結局は大企業に勤めている父の金なのだが……。
しかし調査ができないとはどういうことなのだろうか。
『中津川様、悪いことは言いません。開田の人間にちょっかいを出すのは、控えた方が良い』
「かいだ……? なにそれ」
『これ以上はわたくしの口からは申せません。とにかく、もう彼らに何かしようとするのはやめたほうがいい。我らも自分の身が可愛いので』
ぶつん! と興信所の所長との通話が切れた。
職務放棄された上、説教までされた。
プライドを痛く傷つけられて、妹子は舌打ちする。
「なんなのよ……ったく……」
すると……。
ぴこん♪
「なに……メール?」
スパムメールだろうか。
だがタイトルが【忠告】とあった。
不振に思ってメールを開くと……。
『元とはいえ、カノジョだったからな。一度は赦す。だが、二度があると思うなよ GG』
メールには真司の後を付ける、妹子の写真が添付されていた。
「ひっ……! な、なによこれ……!」
気色悪くてしかなかった。
GG……とは誰なんだ?
しかも二度……?
「なによほんと……なんなのよこれ……」
一瞬、怖くて妹子はもうこの件から、手を引こうと思った。
しかし真司に、袖にされたのがむかつく。
「…………」
少し考えて、妹子はクラスラインを送る。
にやり……と邪悪な笑みを浮かべていた。
「ふん。このわたしをないがしろにした、罰よ……ふふ……アハハハ!」
……だがこれが最大の間違いだった。
GGがせっかく、忠告してくれたというのに。
それを無視したのだから、まあ、ひどい目にあってもしょうがないのである。




