143話
《ダリアSide》
「このままじゃいけないって……?」
里香が学校を休んだ日、ダリアと真司は松本家に泊まることになった。
不安を吐露する里香に対して、ダリアは厳しいことを言う。
「りかたん。お兄ちゃんにいつまでも、そんな風に迷惑かけちゃいけないさ」
「迷惑って……」
なに? とは聞いてこなかった。
里香も薄々感じていたことだろう。
本人がわかっているなら、それを口にする必要は無いかも知れない。
でも、兄のために、そして何より親友である里香のために、釘を刺しておかないとと思った。
「お兄ちゃんを、不安にさせるようなことばっか、しちゃだめよ」
「うん……そうだよね……」
真司は優しい。
里香が不安な表情を見せたら、絶対にどうしたのって聞いてくる。励ましてくれる。
「別に不安をため込めって意味じゃ無くてさ、お兄ちゃんにばっかり、負担をかけるようなことしちゃいけないよ。二人は……」
ダリアは、胸をぎゅっと締め付けられる思いがした。
でもいいんだ。
二人が幸せに成って欲しいのは、誠の思いだから。
「二人はいつか、夫婦になるんだ。そのときに、片一方だけが、ぶら下がるようなことしちゃだめよ。お互い、愛し合い支え合わないとね」
……ここで、里香に真司はふさわしくないとかいえば、彼女は彼から身を引くかも知れない。
そうすれば、残った兄を一人占めできるかもしれない……とはみじんも思わなかった。
ダリアはただ、里香と真司、二人に幸せに成って欲しい。
これから先ずっと続くだろう、ふたりの行く末を、盤石なものにするため、ダリアはあえて、厳しい言い方をする。
「どうしよう……って不安をそのままお兄ちゃんに一方的になすりつけるんじゃ無くてさ」
「わかってる……あたしも、強くならないとってことでしょ?」
そうだよね、わかってるよね。
さっきまでの、里香の不安な表情は消えていた。
「あたし、強くなるよ。今回は誤解だったけど、いずれ子供作るってなったとき、同じ轍は踏まないように、する!」
そうだ、それでいい。
また同じことが起きて、その都度不安になって、真司も不安にさせるようなことになってはいけない。
ふたりで、前に進んでいって欲しい。それができると、ダリアは思ってる。
……さみしい思いを、ぐっと押し殺して、ダリアはにこやかに笑う。
親友の頭をなでながら……
「うん、よくできました」
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