140話
対じーさん用の最終兵器を呼び出したあと……。
開田のメンツは、帰って行った。
「あのじーさん、流子ちゃんに弱いのね」
里香の家にて。
ダリアがさっきの一幕を思い出しながら、ため息交じりに言う。
うんざりしたんだろう。ぼくもかなりうんざりしている。
いつもイカレタやばいじーさんだから、まあいつものかとは思えたけど……さすがにね。
「「「はぁ……」」」
ぼく、里香、ダリアの三人は今日の疲れがどっときて、深くため息をついた。
そんなぼくらを見て、里香ママの山雅さんが明るい調子で言う。
「夕ご飯にしましょっ。ふたりともたべてって、ママンが腕によりをかけて、ご飯作っちゃうんだから!」
里香のお母さんはホテルのシェフをしている。
だから、凄い楽しみだ!
あ、でも……。
「ごちそうになっていいんですか? 迷惑じゃ……」
「めいわくなもんですか!」
山雅さんはぼくらをぎゅーっと抱きしめる。
甘い、大人の女の香りがした。
「しんちゃんもダリアちゃんも、いずれママンの息子娘になるんだからっ。遠慮せず食べていくのじゃ!」
山雅さんがいつも以上にテンション高く言う。
ぼくら……というか、里香を元気づけるために、あえてそんなふうに明るく振る舞っているんだろう。
そう思うと、やっぱり良いお母さんだなぁって思って、そんなお母さんが将来的に家族になることが……ぼくにとってはうれしかった。
「じゃ、ご相伴にあずかりますっ」
せっかく作ってくれるんだし、なにより楽しみだしっ。




