138話
昼間、ぼくらは贄川兄妹に車を出してもらい、諏訪医大へと向かった。
贄川兄弟は外で待機していた。
検査の結果は聞いてこなかった。
多分、次郎太さんはデリケートな問題だろうからと、あえて聞いてこなかったのだろう。
問題は一緒に居た三郎さん。
彼はどうやら里香が妊娠したと思ってしまったようで……。
「で、じーさんが先走ったと……」
「「はい……」」
里香の家の廊下。
じーさんと三郎さんは正座してうなだれている。
事情はわかった。それに……。
「ぼくらも、ちゃんと検査結果伝えなかったのがわるかったからね」
「そ、そーそー! そーだよ真司君! おれは悪くない……!」
「うん、でも不確かな情報を拡散したのは三郎さんだからね。きちんと反省してね」
「ひゃい……」
じーさんはフッ、と笑う。
「さすが真司じゃ。開田の一族が持つ、王者の威厳を身に纏っておるわい……」
「意味不明なんだけど」
やれやれ。
しかしほんと、この二人には参ったもんだ。
「とにかく、今回の件は他言無用で。いい、余計なこと他の人に言っちゃだめだよ?」
「「…………」」
……黙りこくってしまった。
あれこれもしかして……。
「言ったの?」
「「ちょびっと……」」
こいつらのちょびっとは、結構な人に吹聴しているに違いない。
「もうちょっと……お説教が必要かな」
「「ひぃい……!」」




