133話 悪意の妹子
《妹子Side》
真司と里香の動向が気になっていた、中津川 妹子。
彼女は真司の後を付けていた。
「早く出てきなさいよね……寒いじゃ無いのよ……」
彼女がいるのは、里香のマンションの近くのコンビニ。
真司が入っていったのは確認できた。
確かここは真司の住居じゃ無かったはず……。
「興信所にでも頼もうかしらね、次からは。パパお抱えの」
中津川父は、タカナワという大手出版社の社長をやっている(2022年2月現在)。
タカナワは、あの大ヒットラノベ作品デジマスを出版してる、超大手だ。
そんな大きな出版社の社長なので、中津川家はかなり裕福である。
興信所にたのんで、真司を調べさせるくらいたやすい。
「あーやめやめ。あとはパパに頼んで……っと! 出てきた!」
マンションから真司、里香、そしてダリアの三人が出てきた。
建物の前にはリムジンが乗り付けてある。
「里香、ゆっくりでいいよ」
「うん、ありがと……」
……どこにいくのだろうか、あの三人。
リムジンは三人を乗せて出発する。
妹子はタクシーを使って彼らを追跡。
すると、【諏訪大学病院】という、ものすごく大きな病院の前までやってきた。
「諏訪大学病院……病院?」
三人はそのまま出て行く……。
どこへ向かうのだろうと思いながら後を付けていると……。
「お嬢さん」
「ひゃああ!」
後ろから誰かに声をかけられた。
振り返ると……。
「ひぎぃ! あんときのターミネーター!!!!」
今日学校の校門で出会った、黒服のごつい男だ。
じろりとこちらをにらみつけている。
「いえ、あっしは……」
「ごめんなさいなんでもないのぉおおお!」
妹子は黒服男から逃げる。
ややあって、諏訪大学病院から離れた場所の、カフェにて。
「なんだったのよ……あれ……」
真司たち三人は大学病院を受診していた。
何か病気? 怪我……?
しかし三人とも無事のようだった。
「もうちょっと……ちゃんと調べないとね」
妹子はスマホを開いて、父に電話する。
「あ、パパ? ごめん、ちょっと探偵やとってくんない? 調べてほしいことあんだけどー」




