120話
その後、ご飯を食べて今日は泊っていくことになった。
なったんだけど……。
「なぜ三人で同じ部屋……?」
ぼく、里香、そしてダリアの三人で同じ部屋で泊ることになったのである。
ほわい?
「家族だからいいじゃ?」
にゅっ、と部屋に顔を出してきたじーさんが、そんなことを言う。
「か、家族なんてそんなっ!」
里香が照れ照れしていた。
やばい、かわいい、だきしめたい。抱きしめた(完了形)
「きゃー♡ しんちゃんだめよ~♡ ダリアが見てるわ~♡」
「まあいいや。おやすみじーさん」
うむ、といってじーさんが帰って行く。
泊めてくれるこのお部屋も、すごいまあ広いし、それにまあパジャマとか一式用意してくれてる。
一応感謝はしておかないとね。
ダリアは肩をほぐしながら言う。
「しかし……改めて思ったけど、お兄ちゃんちって金持ちなんだね」
「そうかな?」
「うんまあ、本当の金持ちは、気づかないと思うけど」
そういうものだろうか。
「あーしびっくりしたよ……」
「どれに?」
「全部に……」
はえー、そうなんだ。
ぼくにとっては、全部当たり前だからなぁ。
「ほんとよ、アタシもびっくりしちゃったわ。許嫁とか許嫁とか!」
「そこだけ?」
「そこ重要でしょ! もうもう、しんちゃんのいじわるっ。許嫁なんて用意して!」
いや用意したのぼくじゃないんだけどなぁ。
すると里香がチラチラと期待のまなざしを向けてくる。
「これは……嫉妬してます!」
「自分でいうんかい、りかたん」
ダリアが呆れている……。
「大変だ、じゃあもっとぎゅっとしないと!」
ぎゅ!
「もっとー♡」
「えい!」
「やー♡ もっとぉ♡」
ぼくらがいちゃつく横で、ダリアがげんなりした表情になる。
「これで一晩とか……だるいわー……」




