119話
里香が嫉妬してしまった。
どうやらるーちゃんとの関係性に嫉妬してしまったらしい。
「ふんだっ」
「まあまあ里香さん。落ち着いてくれ。ワタシと真くんはただの親戚だ」
るーちゃんが苦笑しながら、里香をなだめる。
「どーですかねっ! 好きに思ってるんじゃないのっ?」
なかなか信じてくれないなぁ。
あ、そうだ。
「るーちゃん今好きな人、別にいるもんね」
「へ……? そ、そうなの?」
流子さんは頬を赤らめながら、うなずく。
「そうじゃぞ。仕事のパートナーなのじゃがな、流子は大層気に入っててなぁ」
「「あんたがいうんかい」」
ぼくとるーちゃんが思わずツッコむ。
いやこれ、本人が言うならわかるけど、なんで本家のじーさんがどや顔で語ってるんだろう……意味不明……。
「ほ、ほんとに好きな人他にいるの?」
まだ疑ってるのか、里香がるーちゃんに尋ねている。
「ああ、写真あるぞ。見るか?」
「見るっ!」
るーちゃんがガラケーを取り出す。
里香が隣に移動し、携帯を見る。
「へえ……! 大人! だれだれっ?」
「ワタシの仕事のパートナーで、編集者をしてるんだ」
「仕事! なにしてるのっ?」
「ラノベ作家を少々」
「へー!」
ふふふ。
ふたりが仲良くなってるなぁ。
「お兄ちゃん、嫉妬?」
ダリアがにまり笑いながら聞いてくる。
いやいや。
「違うって。誤解が解けてよかったなぁって」
きゃっきゃしてるるーちゃんと里香を見ながら、ぼくはそう思ったのだった。




