111話
ある日のこと。
夜ご飯を食べて、ダリアとまったりしてると……。
「うげ」
「ん~? どったんお兄ちゃん?」
ソファの座るぼくたち。
ダリアはぼくの膝の上に、頭を乗っけて、猫みたいに目を細めていた。
「いや……本家のじーさんから」
「ほんけ……?」
「うん。ほら、開田のじーさん」
ぼくんちは、ちょっと特殊な家柄である。
開田って大きなグループの、総帥的な人が、ぼくんちのじーさんなのだ。
「じーさんが、ダリアと里香に会わせてくれって」
「へー。なんでやなの?」
「だって……あの人すぐ暴走するんだもん」
本家のじーさん、嫌いじゃないよ?
うん、嫌いじゃ無いんだ。
ただ、愛情が重いというか、行き過ぎるっていうか……。
「行きたい行きたくないでいえば?」
「あんまり会いたくないなぁ」
「そっか。でも、あーしはちょっと会いたいかも」
「なにゆえ?」
ダリアが真面目な顔で言う。
「ほら、あーしを義妹にするときに、色々手回してくれたんでしょ? 資金援助とか、色々」
「う。たしかに」
ダリアとは元々他人だった。
けど事件があって、ダリアを助けて、その後うちの養子として引き取ることになった。
そのときに色々世話になったからなぁ……
あれ以来あってないし。
「しゃーない。お礼しにいきますか」
ピンポーン……。
「あれ?」
「誰だろ」
ダリアがころん、とぼくの膝上からどいてくる。
インターホンをのぞき見ると……。
『ちょりーっす! 三郎君でーす!』
「三郎さん……」
贄川家(親戚のひとり)の、三郎さんがそこにいたのだ。
「どうしたの?」
『お迎えにあがりましたー! 高原さまんとこいくんしょー?』
なぜ知ってるんだろう……?
え、こわ……。
『それはもちろんとー……けふんけふん』
とー?
ま、まあいいか……ちょうど行こうと思ってたところだし。
ということで、ぼくは本家のじーさんのところへ、行くことになったのだった。




