107話
休み明け、ぼくらは学校へとやってきた。
並んで座って、授業を受けている。
「………」
ちょんちょん、と里香がぼくの太ももをつついてきた。
なんだろう、と思ってみると……。
シャーペンを持つぼくの手に、里香が左手を重ねてきた。
たぶん手をつなぎたいんだろう。なんて、可愛いんだ。
ぼくはシャーペンを置いて、里香と手をつなぐ。
里香のぬくもりが伝わってきて、たいくつな授業も、楽しい時間になる。
おっと、板書しないとね。
ペンを左手に持ち替えて、ぼくはノートにメモを取る。
すると里香が、自分のノートに文字を書く。
『しんちゃん、左手で文字かけるの?』
『うん、両利きなんだ』
『すごい! 素敵!』
両利きのなにが素敵なのかわからないが……里香が言うならそうなんだろう!
『素敵?』
『すてきー!』
『ほんとうに?』
『ほんとー!』
里香と目が合う。
ふにゃっと笑って、うんうんうなずいてきた。
なんてかわいいんだ。授業中だろうと、ぼくのカノジョは最高にかわいい。
『おっと、授業に集中しないとね』
『そうだったわ。期末テストがあるもの』
『そうだよ里香。黒板みないと』
『じー』
里香がぼくばっかりみる。
もー、しょうがないなぁ。
あとで里香に勉強を教えるため、ぼくがしっかり授業を聞いておかないとね!




