106話
ダリアと分かれたあと、ぼくは里香と一緒に教室へ入った。
みんなの視線がぼく……というか、里香に集まる。
「あれ……?」「松本さん……?」
「なんで上田と一緒に……?」
松本とは里香のことだ。
まあどうでもいい。
ぼくらは後ろの方の席に座る。
なんと里香とは席が隣同士なのだ。
神の采配である。
「しんちゃーん♡」
「なぁに?」
ぼくを呼ぶ里香可愛すぎる。
声もそうだし、椅子を一度持ち上げて、ぴったりくっついてくる姿もまたグッド。
「教科書忘れてしまいました!」
「なんと、じゃあ一緒に見ようね。何の教科書忘れたの?」
「全部ー!」
「おいおい全部って。しょうがないなぁ」
まあ全部忘れちゃったらしょうがないよね!
ぴったりと密着状態、からの……。
チュッ♡
「「「!?」」」
「えへへへ……♡」
里香がぼくの唇に、キスをしてきたのだ。
なんてこった! 教室でキスなんて……。
チュッ♡
「きゃっ♡ しんちゃんいきなりチュー♡」
「ちゅーのお返しだよ~」
「じゃあアタシも、ちゅー♡」
ぼくらがチュッチュしてると……。
クラスメイト達は、なんだか困惑してるようす。
「あれ……松本さんって……偽カノやってんだよね……?」「でも上田とラブラブじゃね……?」「いやあれ演技……?」「にはみえないんだけど……」
なんか知らないけど、みんな困惑してる。まあどうでもいいや。




