104話
ぼくたちはアルピコ学園の校門をくぐり抜けて、校舎へと向かう。
その間ずっと、里香と手をつないでいた。
玄関までやってきて……ぼくらは絶望の表情になる。
「「なんてこった……」」
「どったんふたりとも?」
ダリアが不思議そうにしている。
この一大事に気づいていないなんて……!
「下駄箱……里香と離れてる」
「うん、それで?」
「里香と……手を離さないと、いけないんだよ!?」
ここまでずっと手をつないできたのに……!
なんてことだ!
「しんちゃん……あたし……我慢するわ。耐えられる……」
涙目になっている里香。
駄目だ……!
「耐えられないんでしょ? 本当は?」
「うん! しんちゃんと手を離したら、さみしくて死んじゃうわ!」
「ぼくもだよ! ああ、里香……どうすれば……」
そんなやりとりを見ていたダリアが、あきれたようにため息をついて言う。
「手をつないだまま、お兄ちゃんが靴を履き替えて、次にりかたんの靴を履き替えれば?」
「「それだぁ……!」」
なんだダリアは、天才なのか!
「ダリア凄いわ、頭良い!」
「ぼくも思った! ダリアは本当に賢い妹だ!」
そんな様子を見て……ダリアが言う。
「もしもし? 付き合ってからIQ低下してませんか、バカップルさん?」
「「いやぁ……それほどでもぉ~」」
「ほめてねー……」




