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ゴブリン、頑張って生きる。  作者: はちみやなつき
Ⅲ 引越し、そして進化
99/222

99.ポテチって危ないなと思いました。

 カオス回前編。

 101話から通常の話&Ⅳ章突入予定。

 今日の料理は野菜の肉巻きと野菜サンドと青魚の塩焼きにした。

 フワンタクサ草から料理を作れるとはいっても、作れる料理が限られているのが難点だよな。

 ちなみに青魚はケロマが持っていた魚の缶詰に入っていた中身を【料理】したものだ。

 加工食品を新鮮な焼き魚にできるとか、やっぱりこの【料理】のスキルは不思議すぎる。

 色々な原理を覆しそうだよな。

 まあ、どうしてそうなっているのかとか気にしても分かる訳ないし、役立っているんだから別にいいんだけど。



『待たせたな、できたぞ』

『おお~! 待っていたぞ! 今日はいつもよりも量が多くて良いな!』



 ブルールが大喜び。

 そうは言っても、どうせ数秒で全部食べ切ってしまうんだろうが。

 よくそんなあっという間に食べられる量で生きていけるよな。

 まあ、何かしら他で栄養を摂取しているのかもしれないけどさ。



『腹が減ったし、早速いただくとしますか』



 こうして俺達は夕食をとることにした。

 例の如く、ブルールはそれぞれの料理を一飲み。

 十秒程で全ての料理を食べ終えてしまう。


 うん、ブルールにとってはちょっと量が多い程度じゃ誤差の範囲だよな。

 分かってた。

 じゃあ後は朝食まで我慢―――



「ブルールちゃん、まだ足りないでしょ? ポテチ作ったから食べる?」



 ケロマが珍しくポテチをブルールにすすめている。

 そういえばポテチ、ケロマに初めて会ったときから食ってないな。



『おっ、いいのか? いいならもらっちゃうぞ?』

「ええ、いいわよ。今回はスパイスオニオン味。ピリッとする感覚が癖になる味よ。ゆっくり食べてね」

『分かった、ありがとな、ケロマ』



 こうしてブルールはケロマからもらったポテチをちょっとずつ取り出しては食べるようにしていた。

 その様子を見ていると、俺の料理もそうやって食べればいいのにと思ってしまう。

 まあポテチみたいに小分けになっていないからそれも難しいのかもしれないが。


 ちょっとするとグリザーも俺の料理を完食したようで、ケロマからもらったポテチを食べている。



『この刺激的な味、癖になるな。初めて食べた味だぞ』

「でしょ? この味、私が前世を思い出して再現した味だもの。この世界でない味なのも無理ないわ」

『ほう……ケロマ殿の世界の味か。なかなか興味深いな』



 グリザーもケロマのポテチを気に入ったらしい。

 どうやらなかなか美味いみたいだな。


 ケロマも料理を完食して、ポテチを食っている。


 そして俺が最後に料理を完食した。

 みんな料理食うの早すぎだろ。

 別に俺、そんなに食うの遅い訳じゃないと思うんだけどな。

 まだ胃袋に余裕もあるから、食べ過ぎで食べるペースが落ちた訳でもないし。



「カンガ、あなたにもあげる」



 そう言ってケロマからみんなと同じポテチの袋が手渡された。


 スパイスオニオン味か……

 懐かしい味なんだろうな。

 どういう味だったかはあんまり覚えてないんだけど。


 みんな気に入っている味らしいし、ちょっと食べてみるとするか。



 俺は袋を開いて、そしてポテチを一切れ食べてみた。


 パリッ!


 もぐもぐ……うん。

 ピリッとしてなかなか美味い味だな。

 癖になりそうだ。


 俺は無意識につぎのポテチへと手が伸びていた。


 ポテチって一回食べると何故か止まらないものだよな。

 全部食べるつもりがなくても、気が付いたら全部食べてしまっている。

 確か前世でもそうだった気がする。

 それで食べ過ぎてちゃんとした料理を食えなくなるんだよな。

 まあ、今回は料理を食べた後だからその心配はいらないんだけど。


 ということで、俺は次から次へとポテチを食っていき、いつの間にかポテチ一袋完食してしまっていた。


 うん、なかなかやみつきになる味だったな。

 だけど、さすがにもう一袋とまではいかないようにしておこう。

 食べ過ぎになってしまうからな。


 それになんだか頭がボーっとするんだよな。

 なんでだ?

 疲れが回っているんだろうか?


 それにしても何か奇妙な気分なんだよな。

 みんなも大丈夫だろうか?



『おーい、ブルール、大丈夫か?』



 俺はブルールがいたはずの所に振り向く。

 するとそこには巨大なナスが横たわっていた。



 ……へ?

 意味が分からない。

 なんで巨大なナスがこんな所に置かれているんだ?


 混乱する俺に、更なる奇妙な出来事が押し寄せる。



「だいじょぶだ。うまい、このぽてち。もっと、たべる」



 な、ナスがしゃべった……!?

 なんか片言だけど、でもしゃべった!

 

 な、何が起きているのか分からない。

 ぐ、グリザーはどうなんだ?



『ぐ、グリザー、お前は大丈夫なのか?』



 俺はグリザーがいたはずの所に振り向く。

 するとそこには巨大なキュウリが横たわっていた。



「ダイジョブ。ポテチ、オイシイネ」



 ……やっぱりおかしい。

 これ、どう考えても、ブルールがナスに、グリザーがキュウリになっているよな。

 また、そうだとしてもなんか口調もおかしなことになっている。

 一体何が起こっているんだ?


 ちなみにケロマはというと……



「みんな美味しくお召し上がりになられていて何よりでございます。頑張って作らせて頂いた甲斐がありました」



 清楚系美人に変貌していた。



 ……何だ、この格差。

 やっぱりおかしい。


 なんでブルールやグリザーが食べ物なのに、ケロマだけ人間でしかもこんなに美化されているんだよ。

 口調も見た目通りに穏やかで丁寧なものになっているし……


 これ、もしかして俺、何かの状態異常にかかっているんじゃないだろうか?

 自分に【観察】をかけてみよう。



 カンガ【ゴブリンライダー】lv21

 HP 136/136

 MP  55/ 55

 状態異常 魅了(小)

 攻撃力   119(+530)

 防御力   115(+720)

 魔法攻撃力  60

 魔法防御力  57(+720)

 素早さ   112(+530)

 スキル

 観察、考察、隠密、猛毒耐性、暗視、耐震、恐怖耐性、採掘、器用、根性、調合、加工、高速加工、細工、束縛耐性、合成、料理、念力、水操作、浄化魔法、念話、水魔法、水流操作、連携、援護

 特殊スキル

 採掘の極地、調合の極地、加工の極地、細工の極地、料理の境地、合成の極意、職人の神、超能力者、神速職人、命名者、水を統べる者



 やっぱり。

 どうやら俺、魅了状態になってしまっているようだ。

 多分ケロマの仕業だろうな……

 絶対振り向かせてやるとか言っていたし、間違いないだろう。

 俺が食べてしまったポテチに惚れ薬的な何かが入っていた可能性が高いな。

 以前からケロマが変な笑みを浮かべていたり、何か怪しいとは思ってはいたんだが。



 すっかり油断しちまったな。

 せめて一口食べた段階で気付くべきだった。

 一口食べたら止まらない。

 ポテチという食べ物は恐ろしい物だ。

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