表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴブリン、頑張って生きる。  作者: はちみやなつき
Ⅲ 引越し、そして進化
77/222

77.住処に異変が起きていました。

 住処周辺の地面は乾燥していた。

 どうやら雨季は終わり、乾季に入っているらしい。

 結構長い間、寝込んでいたから無理もないか。


 なので特に地面に足をとられず、快適に移動する俺達。

 そうして、ようやく戻ってきた愛しの住処。

 だが、その住処に異変が起きているのだった……




 俺が住処の入口の蓋をとる。

 すると、床にレッドカーペットが住処の奥に向かって敷かれていた。

 そしてそのカーペットの左右には等間隔で陶器に入った花が飾られている。


 は?

 何でこんなことになってんの?

 明らかに誰かが侵入してきているってことだよな、これ。


 中の様子も変だが、住処内部の広さも変わっている。

 俺がギリギリ通れる位に狭くしておいた部分も広くなっている。

 そして高さもグリザーがかがまなくてもいい位には高く作られていた。

 もはや前の住処の面影は見当たらない。



 何でこんなことになっているのか?

 俺達は探索を開始した。

 こんなに色々と住処を変えてしまうほどの奴だ。

 危険な人物には間違いないだろう。


 だが、今の俺達はインビジブルブレスレットの効果で相手からは見えない。

 だから探索したからといって、すぐに相手に見つかる危険性は低いだろう。

 それでも見つかる可能性はゼロではないが、そんなこと気にしていたら何もできないしな。



 俺はレッドカーペットに沿って奥まで歩いていく。

 すると、教会にありそうな棺が一つ置かれていた。

 棺の蓋は開いており、中をのぞくと、そこには一人の人間の女が入っていた。



 へ!?

 なんでこんな所に人間が?

 というか、コイツ、死んでいるのか……?

 【観察】で様子を見てみるか。



 ヒューマン lv2

 HP 17/17

 MP 25/25

 状態異常 昏睡(特大)

 攻撃力     6

 防御力     9(+2)

 魔法攻撃力  12(+10)

 魔法防御力  16(+11)

 素早さ     7(+6)

 スキル

 炎魔法lv1、氷魔法lv1



 なんだ、寝ているだけか。

 びっくりさせやがって。

 自分の住処に死体があったらたまったもんじゃないからな。


 それにしてもなぜこの人間は昏睡状態なんだ?

 訳が分からない。


 でもとにかく周りを調べないことには先に進まないよな。

 とりあえずはこの人間のことを放置しておいて、周りを調べるとするか。

 幸か不幸か、人間は昏睡状態だからそうそう目を覚ますことはないだろう。

 触らぬ神に祟りなしだ。



 人間が寝ている場所の周辺を調べていると、何だか懐かしい匂いを感じた。


 この匂い……スナック菓子の匂いだな。

 この辺りから匂いがするな。

 どれどれ?


 この袋から匂いがする。

 袋を漁ってみるとしよう。



 ごそごそ……



 すると一切れの薄黄色の破片が中から出てきた。

 これは……ポテトチップスか?

 この匂いといい、この形といい、間違いないだろう。


 こんな懐かしい物が目の前にあったら是非食べてみたいよな。

 もし毒が入っていても、俺には【猛毒耐性】がある。

 即死はしないだろうし、ちょっと食べてみるとするか。



 パリパリパリ……



 おっ、美味い。

 本当に懐かしいな、この味。

 よく暇な時につまみ食いしてたっけ、こういうポテチをさ。

 というかなんでこんな所にポテチがあるんだろうな?

 この世界にはポテチみたいな食べ物が元々存在するんだろうか?

 まあ、実際にここにあるんだし、存在するんだろうけど。


 俺がポテチを食っていると、ブルールとグリザーが近くに寄ってきた。



『カンガ、何食っているんだ? オレにも食わせてくれよ』

『この食べ物、何だ? 拙者も気になるな』



 ブルールとグリザーは不思議そうな顔をしている。

 恐らく二人とも初めてポテチを見るんだろうな。

 明らかに人間の食べ物って感じだし、無理もないだろう。

 手を加えないとこういう形にはならないもんな。



『ああ、この食べ物な、俺の前世にあった食べ物にそっくりなんだ』

『カンガの前世の食べ物か。美味いのか?』

『ああ、美味いぞ。とても懐かしい気分に浸れるしさ』

『そうか、美味いのか。オレも食ってみてもいいか?』

『いいんじゃないか? まあこれ俺の物じゃないから何とも言えないんだけど』



 食べ物を盗み食いなんて人間がやったら確実に罪になるよな。

 でも俺達は魔物だし、そんなの関係ない。

 そもそも人の住処に勝手に入り込んで、こんな所にポテチを置く奴の方が悪い。

 不法侵入してきてるんだから、お互い様だよな。



 こうして俺達はポテチを無心で食う事にした。



 パリパリパリ……

 パリパリパリ……

 パリパリパリ……



 部屋に響き渡るポテチを食う音。

 そしてその音に反応する者が一人。



「パリパリパリってあなた達……何やってくれてんのよ!?」



 びっくりした俺達は声がする方に振り向く。


 すると昏睡状態のはずだった人間の女がそこに立っていた。



 は!?

 なんでコイツ起きているんだよ!?

 昏睡状態ってそんな簡単に解けるものじゃないはずだろ!?


 改めて俺は人間のステータスを確かめてみる。



 ヒューマン lv2

 HP 17/17

 MP 25/25

 状態異常 昏睡(特大)

 攻撃力     6

 防御力     9(+2)

 魔法攻撃力  12(+10)

 魔法防御力  16(+11)

 素早さ     7(+6)

 スキル

 炎魔法lv1、氷魔法lv1



 へ?

 コイツまだ昏睡状態のままなんだけど。

 でも明らかに起きているよな。

 目を開いている上に話しかけてきているしさ。

 一体どうなっているんだ!?



「せっかくこんなロマンあふれる場を用意して待っていたのに……本当あなた達ってサイテーね! 一体何を考えているのかしら? そもそもこんな可愛い美少女が寝ているというのに無視するというのはどうなの? あり得ないでしょ!?」



 ひたすら一人で話しまくる人間。

 住処の改造はコイツの仕業だったのか。

 全く迷惑極まりない話だ。


 というか、コイツ、俺達のことを見えているのか?

 インビジブルブレスレットをつけているというのにさ。

 って、あっ……

 ポテチの破片がインビジブルブレスレットにくっついて透明化の効果が切れている。

 やっちまったな……



「ちょっと何とか答えたらどうなの!? そこの魔物達! 消し飛ばすわよ!?」



 うっ……

 コイツ、攻撃しようとしてきているな。

 まずい。

 何とかしなければ。



「わ、悪かったって! 俺達、ここに置いてあるポテチにちょっと目がくらんだだけなんだ。許してくれないか……?」



 俺の言葉を聞いた人間はキョトンとしている。

 流石に無茶な要求だったか?

 人の食べ物を勝手に食べちまったしな。

 食べ物の恨みは怖いってよく聞くしさ。

 うわぁ、どうなってしまうんだ、これ!?


 不安に襲われる俺に対し、人間が口を開いた。



「あなた……日本語、話せるの?」



 え?

 何言ってんだ、コイツ?

 何で日本語なんて出てくるんだよ。


 って、あ。

 俺が【念話】を使わずに話せる言葉は日本語しかない。

 そして俺は口から言葉を発した。

 それはつまり、俺が日本語を話したということだ。


 よくよく考えれば、この人間も日本語を話していたのか。

 日本語で話しかけられたから、俺はつい反射的に日本語で返してしまった訳だ。

 そして当然の事ながら俺が話す日本語を理解してきているこの人間。

 まさか、こいつ、日本人なのか!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ