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ゴブリン、頑張って生きる。  作者: はちみやなつき
Ⅱ 快適な生活を求めて
69/222

69.リザードマンに料理を食べてもらいました。

 リザードマンについていくと、とある建物までたどり着いた。

 この建物にも看板がぶら下がっているが、何やら果物っぽい絵がかかれている。

 でも何の果物なのかはよく分からないな。


 ここは異世界だし、知らない食べ物があっても不思議じゃないか。

 というよりも、元の世界と同じような食べ物がある方が不思議か。

 サンドイッチとかどうして作れたんだろうな?

 そう考えると謎だ。

 まあそんなことはどうでもいいか。



『さあ、着いたぞ。中に入ってくれ』



 リザードマンが建物の中へと入っていくので、俺達もその後をついていった。



 建物の中に入ると、専門店みたいなものがいくつか並んでいた。

 肉屋、魚屋、野菜屋、果物屋などに分かれていそうだ。

 その店に肉屋なら肉マーク、魚屋なら魚マークがついているので分かりやすい。

 前世ではコンビニとかスーパーとかで物を買っていたから、こういう専門店で買うのは新鮮だな。



『ゴブリン殿、何を買えば良いのか分かるか?』



 うーん。

 スーパーと違って、何か良さそうなものを適当に買って決めるとかできないもんな。

 あらかじめ何が必要なのか決めておかなければいけないのか。

 どうしようかな。


 正直、俺が行う【料理】の場合、全ての食材が必要な訳じゃないんだよな。

 肉さえあれば、【料理】のスキルの謎パワーで、肉以外のものを使った料理ができてしまうからな。

 まあ、でも普通はそんなことはありえないだろうし、食材を用意してもらえるなら全部用意してもらおう。

 肉があれば野菜も手に入るなんておかしいからな。

 そんなの誰だって不審に思うわ。


 でも何を作ればいいんだろうか?

 ブルールなら何でも食べてくれるから悩む必要はないんだけどな。

 リザードマンって何食べるんだ?

 やっぱり水の中に住む位だから魚を食べるんだろうか。

 だとしたら魚料理の方がいいかな。


 とにかく魚を買ってもらって、後は野菜や穀物があれば完璧だな。

 魚の種類はまあそこまで気にしなくても何とかなるだろう。

 では、そうしようか。



『魚料理を作ろうと思う。魚を買ってもらってもいいか?』

『ああ、分かった。何の魚を買えばいい?』

『できれば癖のない魚の方がいいかな。魚の種類は特に指定はしなくてもいい』

『分かった。では買ってくるからここで待っていてくれ』

 


 そう言ったリザードマンは魚屋へと向かった。


 その他にも必要となりそうなもの、この世界の穀物、野菜を買ってもらった。

 買ってもらったものを見せてもらったのだが、やはりどれも見慣れないものばかりだった。

 世界が違うから仕方ないんだけどさ。

 とにかく、買ってもらったものを使って【料理】をしてみるか。


 ただ、【料理】をするのはいいが、どこで【料理】をすればいいんだろうか。

 フライパンとか火がないと調理できないぞ。



『なあ、料理をする施設みたいな所ってあるのか?』

『そうだな……宿屋の主人に頼んで調理の施設を貸してもらうのがいいだろう。交渉は拙者が行う故、案ずることはない』

『分かった。交渉は任せたぞ』



 調理する施設は宿屋のものを使えないかということになった。

 とりあえず俺達は宿屋へ向かうことにした。





 宿屋に入ると、カウンターにいるリザードマンの所へ緑のリザードマンが近づき、何やら話している。

 早速交渉してくれているんだろうか?


 しばらくすると緑のリザードマンが戻ってきた。



『交渉は何とかなった。ただ昼食の準備があるから、借りられるのは今から一時間だけだそうだ。それで間に合いそうか?』



 一時間。

 ええ、十分ですとも。

 正直、数分位で全部出来上がっちゃう気がするほどだしな。


 何て言ったって俺には【料理】と【考察】さんがついているからさ。

 前世の俺だったら一時間で作るなんて絶対無理だっただろうけどな。

 本当、スキルの力ってスゲーよな。



『それだけあれば十分だ。ありがとう』

『分かった。ではこのスタッフが調理室まで案内してくれるそうだからついていこう』



 こうして俺達は調理室まで移動することにした。





 調理室まで到着する俺達。

 調理室まで到着すると、案内係のリザードマンはそそくさとどこかへ去っていった。


 調理室は二十畳ほどあって結構広い。

 この宿屋、意外と広いし、結構な人数が泊れそうだもんな。

 同時に多くの人達に料理を出せるよう、それなりの施設を整えているという訳か。



『ここが調理室だな。では料理はゴブリン殿に任せよう。ここは十分広いし、ここで食べてしまって大丈夫そうだな』

『ああ、そうだな』

『それはいいとして、ゴブリン殿が料理を作っている間は適当に出ていればいいか?』

『ああ。でも出来上がったら呼びにいくが、どこにいるか見当がつかないと大変そうだな』

『分かった。では拙者は宿屋のエントランスにいるとしよう。ウルフ殿はどうする?』

『オレもそこで待っていよう。その方が早く料理を食えるだろ?』



 さすがはブルール。

 何事も早く料理を食うこと優先だな。

 まあ呼びに行く手間が減る分、助かるんだけどさ。



『では拙者達はここから退出させてもらおう。ゴブリン殿の料理、期待しているぞ』

『あ、ああ。まああまり期待し過ぎないで待っていてくれ』

『謙遜するなよ、カンガ。楽しみに待っているからな。最高の料理、期待しているからな』



 そう言ったブルールとリザードマンは調理室から出て行った。



 さて、調理室には俺一人になった訳だが、何から作ろうか?

 メインの魚料理はすぐできるし、出来立ての温かい方が良さそうだから後回しでいいだろう。

 穀物や野菜から調理しようかな。


 ちなみにリザードマンが買ってくれた穀物と野菜は次の通りだ。



 フワンコク米

 フワン大陸に生息するフワンコク草の実を採取したもの。

 味に癖がなく、エネルギーになるので、エリュミュスの幅広い種族がこれを摂取している。



 フワンリョク草

 フワン大陸に生息する植物。

 味に癖がなく、栄養に優れていることから、エリュミュスの幅広い種族がこれを摂取している。



 うん。

 米とサラダに使えそうな野菜だな。

 というか、ずっと米を探していたけど、この世界に米があったんだな。

 まあ前世の米とは厳密には違うんだろうけど。

 これはなかなかの朗報だな。



 さてこれを調理リストで確認して……

 よし、これを作れば良さそうか。


 では早速【料理】開始!



{ 極上白米を入手しました。 }

{ 採れたて野菜のサラダを入手しました。 }

 


 なかなか良さそうなものができたな。

 これを後二つと、後は魚料理だな。

 さっさと作っちまおう。

 食べる時間も含めて一時間だからな。

 あまりもたもたはしていられないだろう。



{ 白身魚のムニエルを入手しました。 }



 オッケー。

 ちなみにもちろん魚料理や他の料理も三人分を用意しておいた。

 これで大丈夫だな。

 早速ブルール達を呼んでくるとするか。




 こうして俺はエントランスにいたブルールとリザードマンを連れて調理室に戻ってきた。



『おお、良い香りがするな。これは―――魚料理か。この料理、初めて見るな。何という料理なのか?』

『ムニエルという、穀物をまぶして旨みを閉じ込めた魚料理だ』

『おお、そんな料理があるのか。早速食べてみたいな』

『オレも早く食べたいぞ』



 そんなに焦るなって。

 焦らなくても料理は逃げないからさ。

 でももう準備はできていることだし、いただきますか。


 ちなみに皿や食器は宿屋のものを拝借しました。

 後でちゃんと洗わないとな。


 ではいただきますか。


 俺達は魚料理を一斉に食い始めた。

 ブルールは相変わらず三秒で魚料理を食い終わってしまった。

 だからもう少しゆっくり食べろって。

 まあ今回は白米と野菜もあるからそれもちゃんと食ってくれな。

 ちなみにブルールのその様子を見たリザードマンはあっけにとられていた。



 リザードマンは俺と同じようなペースで食べ進めていた。

 まあ口が赤ん坊の俺よりも大きいから若干は早いけどな。

 でも普通はこういうペースだよな?

 ブルールが早すぎるだけだろ。


  

『ゴブリン殿の料理、なかなか美味いな。かつて食べたことのある王宮の最上級の料理を上回る美味さかもしれん』

『だろ? カンガの料理は本当、最高の料理なんだ。オレはこの料理の虜になっちまったんだ』

『なるほど。確かにこれほどの料理ならそれも無理ないな。あと、カンガとはゴブリン殿の名前なのか? とても珍しい』



 あっ、そうか。

 魔物には名前がないのが普通ってブルールが言っていたっけ。

 リザードマンも魔物の一種だから名前がないんだろうか。



『そうだ。俺はカンガという。ちなみにこのウルフの名前はブルールという』

『なるほど。名前のある魔物……常識外れな所がなんともお主達らしいな。せっかくなので拙者も名前で呼ばせていただくことにしよう』



 フフッと微笑むリザードマン。

 微笑む表情って普通は和むんだけど、このリザードマンの場合は逆効果みたいだ。

 何か企んでいるような顔になって逆に怖さが一層増すんだよな。

 まあもうこの顔にも慣れてきたけどさ。


 ゆったりとした時間を過ごす俺達。

 だが、その時間は長くは続かなかった。



 ブーッ! ブーッ!



 突如鳴り響く音。

 これは警報の音だろうか?

 聞いていて何だか不安になる音だ。



『この音は……!? すまない、カンガ殿、ブルール殿。拙者が戻るまでこの宿屋から出ないでくれ。頼んだぞ』



 そう言ったリザードマンはどこかへ走り去ってしまった。



『この音。何かの警報音か?』

『さあ、分からないな。どちらにしろオレ達ができることは何もないし、おとなしく宿屋で待っていた方がいいだろう』

『そうだな。何が起きているか分からない以上、不用意に出歩かない方がいいな』



 警報音が鳴り響く中、俺は冷静に食事の後始末をすることにした。

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