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ゴブリン、頑張って生きる。  作者: はちみやなつき
Ⅱ 快適な生活を求めて
66/222

66.俺達の今の状況を聞いてみました。

 俺は緑のリザードマンから話を聞くことにした。

 ちょっと怖いけど。



『聞いた話によれば、お前がいなければ俺達が殺されていたというのだが、それは本当か?』

『そのウルフ殿から聞いたのだな?』

『あ、ああ……そうたが。それがどうした?』



 俺の言葉を聞いたリザードマンは表情を曇らせている。

 何か聞かれて不都合なことでもあるんだろうか。


 

『聞いたらまずいことだったのか?』

『いや、別に構わない。むしろいずれは話さないといけないことだからな……』



 明らかに話したくなさそうな感じだな。

 まあいい話でないことは確かだもんな。

 むしろ殺されるという言葉が出ているあたり、物騒な話なのは分かりきっているし。

 話したくないのも何となく分かる。



『では話そうと思うが……覚悟はいいか?』



 リザードマンは神妙な面持ちでそう語りかけてくる。

 別にいつか聞くことになる訳だし、それなら早く聞いておいた方がいいだろう。

 俺は迷わずうなづいた。



『では話を始めるぞ―――まず、ゴブリン殿とウルフ殿は現在、軟禁状態になっている』



 え、軟禁状態だって?

 それってどういうことだ?

 ここから出られないっていうことか?



『リザードマンの町から出られないっていうことか?』

『ああ、そういう事だ』

『もし出ようとしたら、どうなる?』

『その時は……命がないだろうな』



 つまり、リザードマンの町から出たら殺されるという訳か。


 って、なんでそんなことになるんだ?

 別に俺達、リザードマンに危害加えていないよな?

 むしろやられたのはこちら側なんだけど。

 意味が分からない。



『どうしてそんなことになっているんだ?』

『……すまない。それは拙者がゴブリン殿やウルフ殿を助ける条件としてつけられてしまったのだ』



 助ける条件?

 この緑のリザードマンが俺達を助けてくれたらしいけど、そのときに条件をつけられたということか。



『その条件を飲まなければ、すぐに俺達は殺されていた、そういうことか?』

『ああ、そうだ。ただ、ずっと軟禁状態で閉じ込めておく訳ではない。ある出来事が終わるまで待機してもらえばいいのだ』

『ある出来事というのは何だ?』

『ああ。ある出来事とは―――病魔をもたらす魔物、スラッジソールの討伐が終わるまでということだ』



 スラッジソールの討伐?

 ソールといえば、さっきのヒラメもスワンプソールだし、同じ系統の魔物なんだろうか?



『俺を襲ってきたヒラメと同じ系統の魔物なのか?』

『ああ、そうだ。我々はスラッジソール戦の予行演習としてスワンプソールを狩ることがある』

『もしかして……俺達を攻撃したのもその予行演習の一環だったということか?』

『……そういうことになるな。その件は本当にすまなかった』



 予行演習であの威力の魔法を使うかよ、普通?

 おかしいだろ。

 というか、スラッジソールという奴はあの魔法でもやられないのか?

 どんだけ強いんだよ。



『スラッジソールはあの魔法でもやられないほど強いのか?』

『ああ、ビクともしないほどにな。だがそれでも倒さなければならぬ。このままではこの町は―――滅びる』



 町が滅びる?

 大げさな言い方だな。

 でもそれだけ強大な魔物ということか。

 何て恐ろしい。

 戦わなくてもいいなら戦わなければいいと思うんだけどな。



『戦わないという選択肢はないのか?』

『それはないな。そんな感じで逃げていたら、いずれはこの町全体に魔物がもたらす病魔がふりかかってしまう』

『病魔……そんなにひどい症状なのか?』

『ああ。徐々に体力を奪っていき、発症してから30日ほど経つと全身動かせなくなり、死亡すると言われている』



 うわっ、えげつないな。

 そんな病が町を襲い掛かるなんて想像もしたくないな。

 でもそんな病魔の発生源の奴と戦おうとしたら、戦った奴らはもっと強力な病にかかってしまうんじゃないか?



『その病魔って、スラッジソールから発生しているんだよな?』

『ああ、そうだ』

『スラッジソールに挑んだリザードマンはどうなっている?』

『……みんな寝込んでいる。もう命は長くないだろう』



 うわ……

 聞かなければ良かったかも。


 戦おうとしたらみんな死んでしまうなんて恐ろしすぎるだろ。

 絶対に関わりたくないわ。

 でも俺達、軟禁状態にあるんだよな。

 もしかしてこの町と道連れになれっていうことか!?



『もしかすると俺達も病魔に侵されてしまう可能性もあるということか?』

『その可能性はある。スラッジソールがこの町に接近するときもあるからな』



 マジですか……

 別に、俺、死ぬためにここまで来たんじゃないんだけどな。

 勘弁してほしいわ。



『そんなに心配しなくてもよい。そもそも、もう二度と町に接近なんてさせないし、そんなことにはならないだろう。それだけ色々と作戦を練ってきた。お主達はここで観光でも満喫すると良いだろう』



 自信満々にそう言ってのけるリザードマン。

 事情をきく限り、そんなに余裕があるようには思えないんだが。

 まあ俺が心配しても仕方がないか。


 それより、肝心の俺達が軟禁されている理由をまだ聞けていないからそれを聞かないとな。



『事情は分かった。だが結局、俺達を軟禁している理由って何なんだ?』

『それは単純に、拙者達の脅威にならないようにするためだ。だから町の外に出るなど、拙者達の管理外の場所に移動されると困る』

『まあ確かに目が届かない所にいたら何するか分からないもんな』

『そうなのだ。そしてだからといって行動を厳しく制限する必要もない。故に今の軟禁という形式をとっておる』

『ふーん、そうなのか』

『そしてお主達が外を出歩くときはいつも誰かの監視下におく必要がある。その役割が拙者という訳だな』



 緑のリザードマンが監視役ということか。



『ちなみに監視とはいっても、ただ一緒に行動するだけと思ってもらえればよい。聞きたい話があるのならもちろん答える。まあ、しばらくの間よろしくということだ』



 ガハハと笑うリザードマン。


 うん。

 俺にとっては良くない情報だったな。

 コイツがずっと出歩いているときについてくるのか。

 何か嫌だな。

 近くにいるだけで威圧感があって、落ち着かないし。

 話してみると意外と気さくな奴だったけどさ。


 ……まあ、疲れたら宿屋に戻ればいいか。

 宿屋まではさすがについてこないだろ、きっと。




 そういえば、こういう事情なら、盗られている武器を取り返すのはしばらく無理そうか。

 いくら武器を使わないから返してほしいと言っても俺が使わない保証はないしな。

 まあ一応聞くだけ聞いてみるか。

 聞きたい話があるなら答えるって言っていたもんな。



『なあ、早速ちょっと聞きたいんだが、俺の短剣ってどうなっているんだ?』

『ああ、短剣はお主達を軟禁している間は預かることになっておる。為すべきことが終わったら返却するので安心して構わない』



 あれ、返してくれるんだ?

 てっきり宿屋代の代わりみたいな扱いだから返してくれないものだと思っていたけど。

 もしくは質屋みたいに相応の料金を渡さないとダメだとか。

 保管方法もしっかりとしていて、誰に使われることもないんだったら何の問題もないんじゃないだろうか。



『宿屋代の代わりに短剣を取っていったんじゃなかったのか?』

『建前上はそうなっているな。実際はこれ以上脅威となる相手を増やしたくないという面が強い』

『まあ俺達はお前達にとっては未知の相手になるもんな』

『信用していないようで申し訳ない。それに拙者達はお主達を傷つけてしまった。その詫びも兼ねて、戦いが終わったら必ず短剣はゴブリン殿やウルフ殿に返却しよう』

『その確約はとれているのか?』

『とれてはいない。だが必ずとる。金が必要ならば拙者が代わりに出すので心配は無用だ』

 


 代わりに金を出すだって?

 そういえばこのリザードマン、何でここまで俺達に肩入れしているんだ?

 いくら傷つけてしまった相手とはいえ、親切すぎないだろうか。

 何か怪しいな……



『金を代わりに出すって、何でお前はそこまでしてくれるんだ?』 

『む……理由か。改めて問われると難しいな』

『特に理由はないのか?』

『はっきりした理由はない。ただ、拙者は何となくお主達を助けたくなるのだ。なぜだろうな……なぜか親近感が湧くのだ』



 親近感だって?

 別に俺はこのリザードマンに親近感なんて湧かないんだけど……

 親しみを持ってもらうこと自体は嬉しいんだが、その相手がこのリザードマンだからな。

 リザードマンには悪いけど、正直怖いし、あまり近くにいたくはない。



『とにかくしばらくお主達と行動を共にさせてもらう。よろしく頼むぞ』

『あ、ああ……よろしく、な』



 なんだか楽しげなリザードマン。

 怖面な顔がにやけるとまた別の恐ろしさを感じるな……


 そんな感じで俺はしばらくの間、ウルフとリザードマンの奇妙な三人組で行動することになった。

分かりにくそうなので補足です。

リザードマンの種族としてはカンガ達を殺す方向性でした。

そこを緑のリザードマンが交渉して、しばらくの間危害が一切ないことを条件にカンガ達を宿屋に泊めてよいことになりました。

その交渉内容を種族が受け入れる条件としてさらに、短剣を預かること、誰か監視役をおくことをつけられたのです。

緑のリザードマンはこの後、短剣の返却を交渉しようとしているようです。

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