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ゴブリン、頑張って生きる。  作者: はちみやなつき
Ⅱ 快適な生活を求めて
43/222

43.魔法使いになりました。

 極上綿花のバスタオルにくるまりながら俺は浴槽を覗く。


 浴槽のお湯の中には俺の体に付着していた多くの泥や汚れが浮かんでいた。

 本当、俺の体って汚れていたんだな。

 この様子をみてそうしみじみと感じる。



 それにしても失敗した。

 まさかのぼせてしまうとは。

 気付いたときにはもう体を動かせなくなっていたからな。


 なので俺はなんとか【念力】を使って無理やり浴槽から脱出した。

 もしあのまま浴槽から出られなかったらと思うとゾッとする。


 みんな、気持ちいいからといっても、お風呂の入り過ぎには注意しような。

 俺はもう絶対長風呂はしないことに決めた。

 だって危な過ぎるもん。

 もう二度とあんな思いをするのはごめんだ。



 さて、気持ちいい時間を過ごせたのは良いのだが、この後始末をどうするか。

 本当は防具も洗いたい所だが、こんな汚れた水で洗いたくないもんな。

 なんとかしてキレイにできないだろうか。


 もしかしたら【水操作】でキレイにできたりしないだろうか?

 やってみる価値はあるよな。

 やってみるか。



 俺は浴槽のお湯に手を突っ込む。

 そしてお湯を手でぐるぐる回してみた。

 キレイになれーキレイになれーってな。



 ………………



 それからどれ位経っただろうか。

 俺はひたすらお湯をぐるぐる回し続けている。

 だが一向にお湯に変化は訪れない。


 もう駄目か。

 そう諦めかけたその時!



{ 【浄化魔法lv1】を獲得しました。 }



 お!

 なんかスキル取得したぞ。

 なに、魔法だと!?

 ついに俺もこれで正真正銘マジシャンデビューか!?



 俺ははやる気持ちを抑えつつ、いつも通りお湯をぐるぐる回し続ける。

 そして念じた。

 キレイになれー、と。


 すると突然、頭の中に大量の情報が流れてきた!



 な、なんだこれは?

 術式か?

 術式というものなのか!?

 魔法を使うってこんなに大変なのか!


 こんな大量の情報を全部理解してようやく魔法が発動するって訳か。

 いいだろう。

 やってやろうじゃないか。

 俺には【考察】さんがいる。

 【考察】さんのサポートがあれば何とかできそうな気がするんだよな。



 俺はいつも通り、【考察】さんのサポートを受けながら、大量の情報を整理し、さばいていく。

 すると一つのエネルギーの塊となる文章が頭の中に浮かんでくる。

 文章は日本語ではなかったので、内容自体は読めなかったが。


 とりあえず俺は頭の中に思い浮かんだエネルギーを外へと具現化させる!


 すると俺の手から白く輝く大量の光が現れ、浴槽全体を包み込んでいく。

 しばらくすると光は消えて無くなった。

 そしてそこに現れたのは、全く汚れのない、キレイな水だった。



 うわ。

 【浄化魔法】ってスゲーな。

 マジで水がキレイになっちまったよ。

 めっちゃ便利じゃん。


 これならキレイな水使いたい放題じゃね?

 ヤバいな。

 俺の今までの悩みが一気に解消しちまいそうだ。



 【浄化魔法】を使って水をキレイにする。

 その後、【水操作】を使って水を温める。

 そうすればいつでもキレイなお風呂に入りたい放題じゃないか。

 本当、マジ最高。


 いや、正確に言えば入りたい放題ではないか。

 【浄化魔法】は魔法だもんな。

 MPを消費すると思うんだ。


 でもどれ位MPを消費するんだ?

 【浄化魔法】ってさ。

 俺が使えた位だから消費MPは15以下であることは間違いないはずだが。

 果たして。


 自分のステータスを見てみよう。

 簡略版でいいな。



 カンガ【ベビーゴブリン】 LVMAX

 HP 50/50

 MP 14/15



 お、消費MPは1だけか。

 そう考えると【浄化魔法】ってかなり便利な魔法だな!

 この世界の人間達もきっとこの魔法は愛用しているんだろうな、きっと。

 だってこんな便利な魔法がたったMP消費1だぞ?

 使わない手はないだろ。

 ステータス貧弱な俺でも使えるんだから、きっとみんな使えるだろう。

 覚えるのが大変かもしれないけどな。


 でもそんな魔法でさえ、俺は十五回しか使えないのか。

 俺ってマジで貧弱だよな。

 まあ、使えるだけありがたいんだけどさ。

 それに十五回も使えれば十分だし。

 さすがに十五回も連続して水をキレイにしないといけないことなんて起きないだろ。



 さて、せっかく水がキレイになったんだ。

 後は【水操作】でお湯に戻して、汚れた防具を洗おうか。

 これでまたキレイな防具をつけられるようになると思うと嬉しいな。


 俺はそうしてキレイなお湯を作り、防具の汚れを洗い流し始めた。






 うん、上出来だ。

 俺は浴室にフワンジョウ草から作った物干し竿みたいなものを設置する。

 そしてそれを使って洗った防具を干しておいた。


 なんだかこういう生活感のある光景を見るとホッとするよな。

 何故か知らないが。

 もしかすると前世の俺の部屋もこうなっていたのかもしれないな。

 全然覚えていないけどさ。



 洗い終わったものは干して乾くのを待つだけ。

 普通はそれでいい。

 だが、今回は問題がある。


 まず干している場所。

 この部屋、異様に湿度が高いんだよな。

 こんなジメジメした所に干しても正直一生乾く気がしない。

 まあ、湿度が高いのは当たり前なんだけどな。

 ここ、浴室だし。

 しかも俺がお風呂に入った直後だし。

 部屋中湯気ですごいことになってるからな。


 でもだからといって他の部屋に干すのは避けたいんだよな。

 洗ったばかりで防具が濡れているしさ。

 せっかく水たまりをなくした他の部屋をまた濡らしたくないんだ。

 だからできればこの浴室で事を済ませたい。


 それに他の部屋も結構湿度高めなんだよな。

 浴室ほどじゃないけどよ。

 やっぱり外が大雨でジメジメしているからだろうな。

 だから乾燥している場所が俺の住処に存在しない。


 うーん、詰んでるな、俺。

 このままだとどんなに待っても防具が乾かないよな。

 そうなると俺、ずっと綿花の服一着で過ごすことになるのか?

 いや、また防具は作ればいい話だよな。

 新しい防具に着替えれば大丈夫だ。


 だけどなんかそれだと気に入らないんだよな。

 このシルク防具は俺がずっと身につけていたものだし、愛着がある。

 予備を作ってもいいけど、そうするとまた防具の管理が大変になるしな。

 また地中深くに埋めるのかって話になる。

 そんなことはあんまりしたくない。


 じゃあどうしたらいいんだろうか?

 この服が乾けば問題ない訳なんだが。

 乾燥機とかある訳ないしな。

 うーん。



 あ、そうだ。

 乾かすためには熱を当てたり、乾燥した所におかないといけない訳じゃないよな。

 あくまでそれは手段であって目的じゃない。

 要は服に残った水分を取り出せればいいのだ。


 そして今の俺には【水操作】がある。 

 つまり、濡れた服にある水に干渉して、服から水を抜けばいいんじゃないか?

 服から水分がぬければ、濡れた状態じゃなくなる。

 つまり乾くと言ってもいい気がするんだ。



 よく思いついた!

 ナイスだ、俺!


 え?

 気付くのが遅いって?

 いや、そんなことないって!

 それに気づく時間が遅くても、今の俺には時間があるから関係ないもん。

 気付けただけ良いと思うんだ。



 さて、そんな訳だから早速服の水分を抜きますか。


 俺は濡れた服を手に持つ。

 そしてその服の水分を意識する。



 ビチャッバチャッ



 すると服についた水分が外へと出てきて、地面に滴り落ちた!


 きた!

 まあ予想通りだけどな。

 でも本当にできるとは。

 【水操作】さん、あなたすごすぎッスよ!



 やはり【水操作】は自分が認識した範囲の水の状態を操るスキルで間違いなさそうだ。

 それは性質を変えることもできるし、移動させることもできる。

 なので服についた水分も外に出すことができたということだろうな。

 本当便利だな、このスキル。

 これからもお世話になりそうだ。

 これからもよろしくな、【水操作】さん。 


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