42.水風呂に入ってみました。
さて、そういう訳で水風呂に入ろうと思う。
だけどまずは準備しないとな。
極上綿花なしで水風呂に入るのはさすがに無謀すぎる。
絶対風邪ひくだろ。
なので俺はブルールと一緒にフワンポイズ草をササッと取ってきて、また作業部屋に戻ってきた。
ブルールに取ってきてもらえたら良かったのだが、フワンポイズ草には強力な毒がある。
防具のないブルールが触ることはできないからな。
ちなみにそのとき、俺一人でフワンポイズ草採取に向かおうとしていた。
だけどブルールがどうしても一緒に行きたいというので連れて行く形になった。
別に休んでいてもいいのにな。
変な奴だ。
それから俺がフワンポイズ草を採取しているとき、その草の使い道についてブルールに聞かれた。
使い道なんて隠す必要もなかったので、俺は正直に答えた。
フワンポイズ草で服を作るってな。
でも俺の回答を聞いたブルールが何か変な目で見てきた。
え?
別におかしくないだろ?
だってあんなにモフモフな極上綿花になるんだよ、この草。
なんでそんな目で見られるのか理解に苦しむわー。
ブルールくん、どうしたっていうんだろうなー?
さて、材料も揃ったことだし、早速極上綿花を作りますか。
チギチギチョキチョキ……
{ 極上綿花を入手しました。 }
そしてそれをさらに【細工】してと。
{ 極上綿花のバスタオルを入手しました。 }
{ 極上コットンローブを入手しました。 }
はい、できた。
本当、こんな良い物が数分で手に入るなんて便利だよな。
ショッピングモールみたいな所で買ったらいくらになるんだろうな?
多分俺には払えそうにない額にはなりそうだ。
まあ、今の俺は無一文だけど。
お金なんて必要ないしさ。
さあ、一応できたローブの詳細を調べておくか。
防具の一種にはなりそうだが、果たして。
極上コットンローブ+30
防御力 500+30
最上級の綿花をふんだんに使ったローブ。
身につけるとモフモフしてとても暖かい。
弾力性があるので身につけると物理攻撃にかなり強くなる。
すごい防御力があがるな、この服。
これならもし風呂上がりに不意打ちをうけてもそれなりに凌げそうで安心だな。
もちろん敵に襲われるような危ない所なんかで風呂に入る気はないけどさ。
万が一のときも安心ってことだ。
さて、風呂上がり後の防寒対策もバッチリだ。
あとは入るだけだな。
水風呂ってなんだかんだ言っても、これが初めての体験になるんだよな。
テレビで見た事しかないわ。
まあ、好き好んで水風呂に入るヤツなんてあまりいないだろ。
健康にはいいらしいから、一部の人は入るらしいが。
俺はそんなこと気にしなかったしな。
水風呂入っても本当に大丈夫か?
なんかいざ入ろうとすると、とても不安に襲われるんだけど。
まあ、なんとかなると思うしかないよな。
ぐずぐず悩んでいても仕方ないよな。
ここは覚悟を決めて飛び込むしかねぇ。
まずは防具を脱いでと。
そして飛び込む。
とりゃっ!
バシャーン!
ひっ、冷てー!?
分かっていたが、想像以上に冷えるぞ、これ。
さっさと体の汚れを落としてここから上がらないと風邪ひくわ!
俺は急いで自分の体についた泥を水で洗い落とそうとした。
ビチャビチャバシャバシャ……
{ 【水操作 lv1】を獲得しました。 }
へ?
なんかスキルが手に入ったんだけど?
いや、今はそれどころじゃない。
早く汚れを落とさなくては。
ついでに体温で水が温まるといいんだけどな。
ビチャビチャバシャバシャ……
ビチャビチャバシャバシャ……
ビチャビチャバシャバシャ……
{ 【水操作 lv7】を獲得しました。 }
なんかどんどんスキルレベルが上がってんだけど。
でもそれももう終わりだな。
もうすぐ体を洗い終わりそうだ。
こんな冷水地獄なんてさっさとおさらば―――
あれ?
そういえば今そんなに寒くない気がする。
何が起こっているんだ?
俺は改めて自分が入っている水の様子を確かめることにした。
冷たく……ない。
むしろ温かい。
なんでこんなに温かいんだ?
体温で温まったのか?
いや、それはないだろ。
いくら体温で水の温度が上がるとはいえ、限度というものがある。
ということは、他に考えられるのはアレか。
新しく取得したスキル【水操作】。
このスキルって水を操作するもんだよな、多分。
もしかしてこのスキルは水のあらゆる部分を操作できたりするのか?
例えば水の温度とかさ。
って、もしそんなことができたらヤバすぎるだろ!?
そうだったら火を使わなくてもお湯沸かせちゃうぞ!?
流石にそんな便利なスキルな訳ないよな。
一応試してみるけどさ。
俺は周りのぬるま湯に対してもう5度温度が上がるように念じた。
しかし、何も起こらなかった。
あれ?
おかしいな。
やっぱり気のせいだったのか。
残念だな。
予想が外れた俺は気を紛らわすために湯船の水の中を移動してみた。
するとみるみるうちにぬるま湯の温度が上がっていく!
そしてついには程よい温度のお風呂が出来上がっていた。
あれ?
なんで温度が上がってるんだ?
さっきは上手くいかなかったのにな。
そういえば水の温度が上がっているときってどういうときだ?
確か俺が水の中を移動したりバシャバシャしているときだったっけ。
となると、もしかして【水操作】ってある程度水に触れてその水を変化させてないと使えないのか?
もしそうなら、ただ念じるだけじゃ確かにダメだよな。
俺が今まで行っていた【念力】はある小さな一点に力を加えるもの。
それなら、もっと大量の水を意識して【念力】で変化を起こそうとすればいけるんじゃないか?
早速やってみよう。
俺は大量の水を動かすように【念力】を作動させた。
そしてその水を1度上げることを念じる。
ふんっ!
ビチャビチャバシャバシャ……
おっ!
お湯の温度が上がったぞ。
やっぱり対象の水を意識した上で変化を起こしてからでないといけないんだな。
まあそりゃそうか。
意識もしていない水に対していきなり変化を起こすことはできないよな。
俺が変化を起こせるのは意識した対象のものだけだ。
それは今まで使っていた【加工】や【調合】も同じ。
変化させようと意識した鉄鉱石は変化するが、その周囲にある鉄鉱石は変化しない。
そのことが水にも言えるという訳だな。
液体を意識するのは正直難しいが、この【水操作】、使いこなせればめっちゃ便利なスキルだよな。
このスキルのおかげで今のお風呂は最高な気分で入れているもんな。
めっちゃ温まっていいわー。
ずっとこうやってじっとしていようかな?
時間もたっぷりとあるしな。
うん、そうしよう。
俺はこうして時間の許す限り、浴槽で温まり続けた。
いや、今の俺には時間の縛りがないから気が済むまでずっと浴槽にいた。
それが何を意味するのか?
そう。
温まり過ぎて、のぼせてしまったのだった。
またやっちまったよ、俺。




