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ゴブリン、頑張って生きる。  作者: はちみやなつき
Ⅱ 快適な生活を求めて
38/222

38.アクアペンダントを壊してみました。

 俺は何とかして雨漏りの問題を解決することができた。

 後はこの床に散らばったアクアペンダントをどうするかだな。

 もちろんこれをここに置いておく訳にはいかない。

 ちょっとした衝撃で溜め込んだ水が放出されてしまうからな。

 そうしたらせっかくの苦労が水の泡だ。


 どうするかっていっても外に持ち出すしかないんだけどな。

 でもどこでそのペンダントを壊せばいいのやら。

 できるだけ水を放出しても困らない場所がいいな。


 少なくともこの周辺はやめた方がいいな。

 この周辺に水が溜まると、俺の住処にも影響がでる可能性もある。

 ただでさえこの周辺は水浸しなんだ。

 余計に環境を悪化させてどうするって話だよな。


 なら、やはりこの森林地帯ではない場所がいいだろう。

 つまり、荒野地帯が有力候補にはなりそうだ。

 荒野地帯なら土壌も乾燥しているし、水も余裕を持って吸収してくれるだろう。

 もう例の虫は水龍に殺されたことだし、荒野地帯に行っても大丈夫だろうしな。


 では、そうと決まったらブルールの所に行くか。

 

 俺は水を溜め込んだアクアペンダントを持ってブルールの所へ向かった。




 ブルールは自分の部屋で休んでいた。

 そんなブルールに俺は声をかける。



『おーい、ブルール。ちょっと相談があるんだが、いいか?』

『ん? どうしたんだ? 言ってみろ』

『溜まった水を処理したいから荒野地帯まで向かってくれないか?』



 ブルールは首をかしげている。

 そっか。

 ブルールはここまでの経緯を知らないもんな。

 一から説明する必要があるか。


 俺は自分の居住スペースの状況、対処法、これからすべき事を全て話した。

 するとブルールは快く荒野地帯への移動を手伝ってくれることになった。



『そういうことなら協力するぞ。部屋をつくってもらったお礼もあるしな』

『それは助かる。だが、ゆっくりと進んでくれよ? あまり振動が激しいとペンダントから水があふれでるからな』

『分かった、気を付ける。もう出発するか?』

『ああ、頼んだ』



 俺はブルールと一緒に外に出ることにした。





 外に出て入口に蓋をした後、俺はブルールに乗って荒野地帯へ向かう。

 ブルールは俺が揺れないように気を付けてくれているみたいで、ゆっくりと進んでくれている。

 地面がぬかるんでいて歩きにくいというのに、気を遣ってくれて助かるな。


 ブルールが気遣ってくれながら進んでくれたおかげで何事もなく荒野地帯にたどり着くことができた。

 ちなみに荒野地帯には雨が降っていない。

 恐らく水龍が引き起こす雨の影響範囲は一定の距離に限られるんだろうな。

 それでもすごすぎる力だとは思うけど。


 水龍がいなければ俺の住処の周辺もこの荒野地帯と同じ状況になっているんだもんな。

 それがあの変わりよう。

 本当にすごいよな。

 俺の住処に小さな穴しか開いてなかったのに池ができちまったし。

 どんだけの雨量を引き起こしてるんだって話だよな。



 まあ、その話はおいておこう。

 俺達が荒野地帯に来た目的、アクアペンダントの破壊をしなくては。


 一つ一つのアクアペンダントには大量の水が収納されている。

 だから破壊は一つ一つ、慎重に行わないとな。


 俺はとりあえずアクアペンダントの一つを遠くへ放り投げる。

 そして尖った壁で突き刺して破壊した。

 するとアクアペンダントから大量の水が噴き出した! 

 

 まるで噴水のように高く吹き上がる水。

 だがそこはさすが、水に飢えた荒野地帯の土というべきか。

 その水をことごとく吸収していく。

 そしてアクアペンダントが放出した水をあっという間に吸収しつくしてしまった。


 うわぁ。

 ハンパねえな、この吸収力。

 全然土壌に変化がないんですけど。

 しいて言うなら、ほんの少しだけ土がぬれて削れた位か?

 でもそれもほんのちょっとだ。

 ほとんど変化はない。


 これだったら全部同時にアクアペンダントを破壊しても大丈夫なんじゃないか?

 その方が時間短縮にもなるし、面倒じゃないしな。

 よし、やってみよう。

 もしダメそうならここから逃げればいいだろ。

 それに単純に同時に破壊したときにどうなるか興味があるんだよな。



 そう思った俺は残ったアクアペンダントを一気に遠くへ放り投げた。



『お、おい……カンガ、一体何を……』



 不安がるブルールをよそに俺は容赦なく決めたことを実行する。

 放り投げたアクアペンダントに向かって、次々と壁で突き刺して破壊した。

 すると一つ一つのアクアペンダントから大量の水があふれでる!


 その大量の水が高く噴き上げられて合わさることで、まるで滝のように上空から大量の水が降り注ぐ。

 あまりの勢いに俺達もその水を被ることになってしまった……


 だが、その他は特に問題なく、全て荒野地帯の土壌が水を吸収してくれた。

 さすがは荒野地帯。

 こういうときはこの環境が頼りになるわ。



『お……おい。なんで急にそんな無茶な真似をした?』



 ブルールが不満そうな顔をして俺の方を見てくる。

 まあ、全身びしょぬれになっちまったし、無理もないんだが。


 でもさ、体に付いた泥が多少は落ちて綺麗になっただろ?

 だから許してくれないかな?

 ダメ?



『………………』



 ブルールが不機嫌そうな顔をしている。

 はい。

 俺が悪かったです。

 ごめんなさい。


 仕方ないから、帰ったら料理を作ってやることを約束した。

 するとブルールは案の定大喜び。

 本当にコイツ、料理大好きだよな……


 まあ、外敵から逃げたり住処を作ったりで疲れただろうし、タイミング的にも丁度いいよな。

 俺も少し腹が減ったし。

 じゃあ住処に戻って料理の支度でもしようかな。


 そう思って俺はブルールに乗って帰ろうとしたのだが、ブルールが見当たらない。

 一体どこにいるんだろう?



 そういえばアクアペンダントの同時破壊によって荒野地帯の土が大きくえぐれてしまった所がある。

 ちょっとこのままじゃ目立つから、少し整えないとダメだとは思っていたんだが。

 ブルールはそこにいるんだろうか?


 俺は大きく空いた穴をのぞき込む。

 するとそこには何かを掘り出しているブルールの姿があった。

 これってここ掘れワンワン! ってやつか?

 ということは何か金銀財宝を持ってきて来るのか!?

 まあもしそうだとしても、今の俺には全く意味ないんだけどさ。

 何か期待してしまうよな、こういうのって。



 しばらくその場で待っていると、ブルールが何かをくわえて穴の外まで登ってきた。

 何をくわえているんだろう?

 そう思ってのぞきこむと、どうやら中に紙らしきものが入っているガラス瓶をくわえているみたいだ。

 財宝ではなさそうだな。



『ブルール、その瓶どうしたんだ?』

『いや、なんか気になるにおいがしてな。その跡をたどったら、この瓶に行きついたって訳だ』



 気になるにおい?

 なんだそりゃ。

 別に瓶から何のにおいも感じないんだけど?

 まあ、俺はそんなに鼻が利く訳じゃないから、感じないだけなのかもしれないけどさ。



『カンガ、ちょっと中身を見てみてもいいか?』

『別に構わないぞ』



 ブルールは中に入っている紙が気になるようだ。

 別にガラス瓶を割ったからといって爆発する訳でもあるまいし、問題ないだろう。


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