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ゴブリン、頑張って生きる。  作者: はちみやなつき
Ⅰ この世界で生き残るために
35/222

35.虫を観察してみました。

 俺は巨大虫【観察】を始めた。



 ウィルダーネスバグズlv59

 HP1127/1127

 MP 121/ 121



 まあ、変化ないわな。

 そりゃそうか。

 戦いにならなきゃ減りようがないもんな。

 十分後位にまた【観察】しようか。








 ウィルダーネスバグズlv59

 HP1127/1127

 MP 121/ 121



 うん、変化なし。

 ちなみに今俺は【観察】さんを簡略化して使っている。

 ステータスとスキル部分を表示しても意味ないしな。

 不明だって言われても何の役にも立たないしさ。

 それに表示を省いた方が若干ではあるが、【観察】の発動が楽になるのだ。

 今まで気づかなかったけどな。

 今後、【観察】の簡略化は活用していくことにしよう。

 ではまた十分後に。








 ウィルダーネスバグズlv59

 HP1127/1127

 MP 121/ 121



 変化なし。

 さすがに飽きてきた。

 というかコイツまだいるのかよ?

 いい加減諦めてくんないかな?

 どんだけ執念深いんだよ。

 俺達何もしてないだろ?








 ウィルダーネスバグズlv59

 HP1127/1127

 MP 121/ 121



 まだいるよ、コイツ。

 もう変化もないし、立ち去ってくれているかどうかの確認になりつつある。

 【観察】で確認できなくなったらそれだけ遠くに行ってくれたということだからな。

 早くどっかに行ってくれ。








 ウィルダーネスバグズlv59

 HP1127/1127

 MP 101/ 121



 また変化なし。

 って、あれ?

 MPが減っているな。

 戦いでも始まったか?

 なんか地上から何かの音が聞こえるけど、戦いの音だろうか?

 まあ、コイツは強いし、すぐに終わるだろうけどな。

 一応一分後にまた見てみよう。









 ウィルダーネスバグズlv59

 HP  68/1127

 MP  16/ 121



 ほらもう終わって……ない!?

 つーか、コイツやられそうなんですけど!?

 一体どうなってるっていうんだよ?


 あ、もう一つ別の気配を感じるな。

 ソイツが原因なのか?

 ちょっと調べてみよう。




 ドラゴンlv???

 HP???

 MP???



 うわっ、でたよ。

 強い巨大虫をあっという間に弱らせるヤツなんてコイツ位しかいないよな。

 全ステータス不明って時点で相当強いことは分かっていたし。

 でもドラゴンってここまで強いのか。

 俺より全然強いヤツでもわずか1分で瀕死状態になるとか。

 本当に訳わからない。

 強すぎるだろ。


 あ。

 気配が一つ消えた。

 多分虫さんご臨終だろうな。

 ご愁傷さま。



 って、これ、他人事じゃねーよな!?

 どうするんだよ、俺達?

 もしドラゴンに気付かれたら一瞬で殺されるぞ。

 まあ、このまま隠れてやり過ごすしかない訳なんだけどさ。

 気付かれた時点で即死亡な訳だしな。


 はあ。

 なんかやりきれないわ。






 それから俺達はその場で物音一つ立てず、じっとして待つ。

 そして三十分程経った辺りで【観察】を発動させても反応がなくなった。

 何とか見逃してもらえたようだ。



{ 【観察 lv8】を獲得しました。 }

{ 【隠密 lv9】を獲得しました。 }



 おっ、スキルレベルアップ。

 これはいいな。

 両方ともよく使うスキルだしな。

 これからも頼りにさせてもらおう。



『はあ。何とかなったみたいだな』

『ああ、そうだな』

『というか、あの強い虫を瞬殺するドラゴンってどんな化物だよ? 強すぎるだろ』

『まあそりゃドラゴンは最強の種族だし、当然だろ。戦いを挑むヤツが悪い』


 

 ドラゴンは強い。

 まあ、それはそうだろうな。

 前世でやっていたゲームでも、ドラゴンはとても強い描写されてたから理解できる。

 でも大体主人公達が成長すると、ゲーム後半には打ち倒される存在なんだよな、ドラゴンって。

 それは主人公達のレベルが上がったり、装備が良くなったりで実現している。


 だが俺の場合どうだ?

 もう既に最強クラスの武器や防具を身につけている。

 つまりもう装備が良くなることは望めない。

 そして年齢制限のせいで進化できず、レベルはもう上がらない。

 その今の状態で全くドラゴン相手に歯が立たないことが容易に想像がつく。



 詰んでる。

 間違いなく詰んでるわ、俺。

 だってもう強くなる余地ないじゃん。

 この状態で勝てないなら一生勝てないだろ。


 まあ、一応一年以上生きて進化できればステータスは上がるだろう。

 だけどゴブリンの進化先がドラゴン並に強くなるとはどうしても思えないんだよな。

 一体のゴブリンが一体のドラゴンを倒しているゲームなんてどこにあるよ?

 そんなのやったことないぞ、俺。

 探せばあるのかもしれないけどさ。

 でも相当少数派だろ。

 そもそもゴブリンが主役のゲーム自体見かけないけどな。



 はあ。

 この世界にはドラゴンという敵わない魔物がいる。

 つまり、どんなに俺が頑張っても、常に命の危険が付きまとうという訳か。

 嫌だな、そういうの。

 こういう世界に生まれちまった以上、これはどうにもならないんだけどよ。


 でもさ、そんな絶対的強者がいるこの環境でブルールはどうやって生き延びてきたんだ?

 いくら強いブルールでも、あの虫の五分の一程しか体力がないのは分かってる。

 つまり、ドラゴンの攻撃を一,二発受けるだけで死んでしまうだろう。

 まあ、ドラゴンの一発の攻撃の威力ははっきりとは分からないから予想にはなるが。

 でも強力なのには間違いないからな。


 どうやって生き残ってきたか、ブルールに聞いてみるか。



『なあ、ブルールってずっと一人で生き残ってきただろ? ドラゴン対策はどうしていたんだ?』

『対策? そうだな。気配を感じたらすぐに逃げて近寄らないことだな』

『逃げる? ブルールがか?』

『当たり前だろ。逃げないと死ぬぞ。ドラゴンの近くにいるだけで、攻撃の巻き添えを食らって死ぬ可能性があるんだからな』



 そっか。

 【隠密】でドラゴンに気付かれなかったとしても、流れ弾が来るかもしれないもんな。

 敵わないヤツには決して近寄らない。

 それは大事だな。



『それにもしドラゴンを倒せる力があってもあのドラゴンは倒さない方がいいぞ』

『倒さない方がいい? それってどういうことだ?』

『あのドラゴンは恐らく水龍。この地に恵みの雨をもたらす存在だ。雨季という季節もソイツが引き起こしていると言われている』



 雨季を引き起こすだって?

 それって天候を変えるって事か?

 ったく、どんだけ強大な力を持ってんだよ。

 この世界のドラゴンって。

 チートすぎだろ。


 ていうか、この不快な雨季って水龍が引き起こしているのか?

 なら、ソイツを倒せば不快な季節がなくなるってことじゃん。

 じゃあ倒した方が良くね?

 こんな嫌な季節なんてない方がマシだろ。

 まあ、倒しようがないけどさ。



『こんな雨季なんてない方がいいから、水龍倒した方がみんな幸せなんじゃないか?』

『カンガ、まさか水龍を倒そうとしているのか? 無謀にも程っていうものがあるぞ』

『まさか。そんなこと俺がする訳ないだろ』

『そうか。それならいいんだが。ちなみに水龍を倒してはいけない理由はただ単に水龍が強いからという訳ではないぞ』

『なら、どうして倒しちゃいけないんだ?』



 俺はブルールから水龍を倒してはいけない理由を聞いた。


 結論から言えば、水龍がいないとここが不毛の地になってしまうかららしい。


 水龍がここに来る以前は、俺の住処周辺も荒野地帯で、植物もほとんど生えていなかったそうだ。

 だが、そこに水龍が訪れるようになり、この地に豊富な水がもたらされるようになった。

 そして水龍が過ぎ去った後、地龍が訪れ、ぬかるんだ土地が耕される。

 そうしてこの地に豊かな土壌が生まれ、植物が生い茂るようになったとのことだった。



 ふーん。

 天候だけでなく、土地にも影響を与えるのか、ドラゴンって。

 影響力でかすぎだろ。

 俺なんて自分の身を守るだけで精一杯だっていうのによ。

 なんか格の違いを感じさせられるよな。


 というか、さっきチラッと土地を耕す地龍という奴が話に出てきたよな?

 もしかしてソイツって、俺がゴブリンになった最初の夜に近くを通った奴か?


 あれって土地を耕していたのか。

 めっちゃ激しく揺れるからいい迷惑と思っていたけどさ。

 地龍がいないとここって今みたいなぬかるんだ土地になっているのか。

 なら地龍に感謝しないといけないな。

 ずっとこんなぬかるんだ土地なんて嫌だからな。


 それに水龍もやはり必要な存在なんだろう。

 水龍がいないと俺の住処周辺が不毛の地になってしまうようだしな。

 フワンタクサ草とかがあまり生えなくなってしまうと俺の生活も危うくなる。

 それはそれで嫌だしな。

 雨季なんていらないと思っていたけど、必要な季節なんだろう。

 でも辛いことには変わりないからさっさと終わってほしい季節ではあるが。



 

 さて。

 水龍もどこかに言ったようだし、虫もご臨終されたからそろそろ出るか。

 早く住処の修復をしないとな。

 あまり被害が大きくなければいいんだが。


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