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ゴブリン、頑張って生きる。  作者: はちみやなつき
Ⅲ 引越し、そして進化
100/222

100.油断するとロクな事にならないと思いました。

 カオス回後編。

 魅了は状態異常の一種だ。

 それはつまり黄金の葉で治ることを意味する。


 現在俺のバッグには―――あった。

 黄金の葉。

 なら、これを使えばすぐに治すことはできそうだな。


 ケロマは俺に黄金の葉を使われることを想定しなかったんだろうか?

 俺が川の龍に依頼されて、土地を浄化しているときに黄金の葉の効果は確認できたはずなんだが……


 もし、それに気付けていないのならバカだよな。

 そんなんで上手くいくと思っているなんて無計画すぎる。



 ……せっかくケロマなりにたてた計画みたいだし、もう少し付き合ってやるとするか。

 どうせすぐに治せるしな。

 俺が現在魅了状態にかかっていることに注意さえしておければ何とかなるあろう。

 こんな機会なんて滅多にないし、経験しておくのも面白そうだ。



「ぽてち、おかわり」

「分かりました。ブルールさんは本当によくお召し上がりになりますよね」

「おれ、いぶくろおおきい」

「そうですよね。是非気が済むまで召し上がって下さい。たくさんご用意しておきましたので」

「さんきゅう」



 これ、本当にしている会話なのか?

 内容にかなり補正がかかっている気がするんだが……

 まあ聞いていて面白いからいいんだけど。



「カンガさんももう一袋どうですか? 美味しいですよ?」



 ドキッ!?


 うっ、胸が痛い……

 ケロマがこちらを振り向いた瞬間、胸が締め付けられるような、そんな感じがする。

 これ、どう考えても魅了のせいだよな。

 魅了、何て恐ろしいものなんだ……

 程良い所で早めに魅了を解除しないといけないな。



『だ、大丈夫だ。もう腹いっぱいだから』

「そうですか。私のポテチ、お口に合いませんでしたか……?」

『そ、そんなことはないぞ。とても美味くてやみつきになる味だった』

「そうですか! それは良かったです!」



 それはもう憎らしいほどやみつきになってしまったよ。

 悔しいけど。


 俺の返事を聞いて笑顔になる美女。

 いや、美女に化けたケロマ。


 コイツがケロマって分かっているのにこの気持ちはなんだ?

 イライラする気持ちもあるんだが、トキメキみたいな感情も確かにあるんだよな。

 ケロマが笑顔になって幸せに感じたりとか。



 ……そろそろ潮時だな。

 流石にもう危ない気がする。

 取り返しがつかなくなる前に直さないと大変なことになりそうだ。


 そう思った俺はバッグを漁ろうとする。

 だが、先程まであったはずの場所にバッグが消えていた……

 一体何が起こっているっていうんだ!?



「カンガさん、もう疲れたでしょう? もう、お休みになられたらどうですか? バッグは部屋まで持って行っておきますので……」



 そう言っているケロマの手には俺のバッグが持たれていた。


 くそっ、ケロマの奴……俺のバッグを奪ったな!?

 何てことをしやがる。

 ここはガツンと言ってやらねえと。


 そう思った俺は言葉を話そうとした。

 だが、俺の口から出た言葉は予想だにしないものだった。



「ああ、分かった。ありがとな、ケロマ」

「いえ、良いんです。ではどうぞこちらへ」



 な、なんでそんな言葉話しているんだ?

 ケロマに一言言いたかったというのに……


 言葉の自由が効かない。

 それってまさか……!?


 俺は恐る恐る自分のステータスの簡易版を確認することにした。



 カンガ【ゴブリンライダー】lv21

 HP 136/136

 MP  55/ 55

 状態異常 魅了(中)



 やっぱり、魅了の進行具合が(中)に上がってやがる!


 マジかよ……

 これって不味くねえか?

 取り返しつくのか、これ? 


 黄金の葉は今手元にない。

 それはすぐに魅了の解除ができないことを意味する。


 魅了の解除をするにはケロマからバッグを奪い返して、黄金の葉を使う必要がある。

 だが現状、俺は言葉の自由が既に効かない。

 いや、それどころか、体の感覚がほぼないので、体の自由が効かなくなっていると言ってもいいだろう。

 そんな状態でどうやって魅了状態を解除すればいいというのか?


 俺は絶望を感じていた。



 そう色々と考えているうちに、俺の体は勝手に動き、そしてケロマが誘導する方へと向かっていく。


 やっぱり

 完全に自分の意思で体を動かせなくなってしまっている。

 しかも意識がさらに朦朧としてきた。

 頭の中が清楚な美女化したケロマで埋め尽くされていく……



 自分ではどうにも出来なくなった俺は必死の思いで【念話】を使ってブルールとグリザーに助けを求めた。

 だが、その声も果たして届いたのか、正直自信がない。




 しばらくして、俺の部屋であろう場所に入った俺とケロマ。

 俺はベッドに寝かされる。



「ねえ、カンガさん」

『どうしたんだ、ケロマ?』

「私、疲れちゃったの。今日一日頑張り過ぎちゃったのかな……?」

『そうなのか。みんな頑張ったもんな』

「ちょっとあなたの隣で寝てもいい? その方が落ち着くと思うの」

『ああ、構わないぞ』



 『構わないぞ』じゃねーよ!

 何言ってんだよ、俺。

 何かこの流れ、嫌な予感がするんだが……


 ケロマはベッドの中に入ってくる。

 そして魅了化された俺とケロマがなにやら色々と言葉を交わし続ける。

 次第にイチャイチャし始め、何やら危ないことが今にも行われようとしていて、俺が絶望に打ちひしがれていた、その時!



 ビシャー!!!



 強力な水が俺とケロマを引き離す!

 その水の衝撃を受けた俺は少し正気に戻ることができた!


 その隙に俺は近くに置かれていた俺のバッグまでたどり着き、中に入っていた黄金の葉を自らの体に押し付ける。

 するとみるみるうちにボヤッとしていた奇妙な感覚が晴れていく。

 こして俺は自我を完全に取り戻すことができたのだった。



{ 【魅了耐性lv3】を入手しました。 }



 ああ、そういえば状態異常を克服できたら耐性が手に入るんだったな。

 すっかり忘れてたわ。


 ……今回も例によって俺のミスで招いたスキル取得だ。

 俺が手に入れた状態異常の耐性って、全部俺がかつてしたミスが原因で取得したものだから、何か嫌になるんだよな……

 スキル自体は役に立つんだけどさ。

 何か精神的にくるよな。



『グリザーのおかげだよな。ありがとう、助かった』



 俺は部屋の入口付近でたたずむグリザーにお礼を言った。



『カンガ殿がいつもと違う様子だったのでな。これで良かったのであろうか?』

『ああ、本当に助かった。危ない所だったよ。そういえばブルールはどうした?』

『ブルール殿はケロマ殿が作ったポテチに夢中みたいだ。よほど気に入ったと見える』

『ああ、そうなのか……』



 ブルールはやっぱり食べ物優先か。

 グリザーにいざという時のことを頼んでいて良かったわ。

 本当に危ない所だった。



「ううー!? もう少しの所だったのに! グリザーさん、何で邪魔をするの!?」



 ケロマはプンプン怒っている。

 よほど邪魔されたことが気に食わないようだ。



『……ケロマ、それより何でこんなことをしたのか、説明してくれるよな?』



 俺はケロマに冷たくそう言い放つ。

 するとケロマは急にシュンと縮こまって、大人しくなった。



「カンガの気をひこうと思って、つい……」

『つい……じゃねえだろ! 何やってくれてるんだよ!? とりあえずお前、三日間食事抜きな!』

「……ええっ!? 三日間も!? そんなことになったら私、死んじゃうよ!?」

『そんな事知るか! お前はそれだけの事をしたっていうことだ。よーく反省して、二度とこんなことをしないように! もし同じ事をもう一度するもんなら、もう二度とお前と顔を合わせることもないだろう』

「カンガと会えない!? そんなのは嫌!」

『………………』

「……分かった。カンガの気持ちを考えられていなかったみたい。自分勝手で、本当にごめん。だから絶交だけは勘弁して……」



 ……本当は顔も見たくないほどなんだが、今回はこちらにも落ち度がある。

 魅了に気付いた段階で黄金の葉を使っておけば、こんな危うい場面にならずに済んだからな。

 ケロマがいないと困ることも多々あるし、どちらにしろ、すぐに絶交するのは得策ではないだろう。

 本当に反省して、もう二度とこんなことをしないのであれば、今回の事は水に流してもいい。


 流石に同じような事をまたされるのであれば許すことはできないだろうがな。



 こうして危険な夕食を俺達は終えることになったのだった。

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