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素晴らしき日常

「へぇ?」


 扉を開けて現れたバスタオルを巻いた三人の美少女。


「ご指名ありがとうございまーす。美鈴でーす」

「ご、ご指名ありがとうございます。れ、レイナです」

「レイナさん真似しなくていいから。あ! お兄ちゃんこっちあんま見ないでよ! ってか隠せ!」


 美鈴がセクシーポーズで挨拶をする。

バスタオルだから見えそうだ、もう少し、あと少し下からなら! くそ! 邪魔だぞこの水! 見えないじゃないか。


 レイナも合わせてポーズをとる。

さすがはモデル、なんてしなやかで綺麗なボディライン。ってか胸おっきい。た、谷間が! これがハーフの血。

明らかに発育が違いすぎる、なんであんなに細いのに…。


「って! な、なにしてるんだ!?」


「剣也君がみんなで入りたいと言っていたので…」


「み、みんなで今日露天風呂を交代で使おうという意味で! 一緒に入ろうという意味じゃないんだけど!」


「「「……」」」


 三人は目を合わせる。


「だそうです、皆さん。すみません」

「ははは、レイナさんの勘違いか。先輩がそんなこと言うわけないもんね。まぁもう髪洗っちゃったし、入っちゃえ」

「なんか変だと思ったよ。ここまで来ちゃったし、お兄ちゃんいいよね? 入るよ? まぁ裸の付き合いも大事だし」


 次々とお風呂に入ってくる。

大きいとはいえ、さすがに家庭用。

広さは5畳ほどなので普通に近い、足を延ばせば、誰かの足に触れる。


(わーすべすべだー。あ、これ奈々の足か。残念)


「なんで、残念そうな顔したのよ」


 嬉しそうな顔から一転残念そうな顔をした兄を奈々が睨む。


「先輩足ばっかり見て、足好きなんですか? 足フェチ? 私結構自身あるんです」


 美鈴が、生足をお風呂から出す。

細くて綺麗な足が湯船から顔を出す。


「どうですか? 結構細くて綺麗でしょ? ちょっとなら触ってもいいですよ?」


 いつの間にか僕はその足の前にいた。

何が起こった? わからない…。

でもありのまま今あったことを話すぜ、風呂の壁際にいたはずの俺は気が付くとその足の前にいたんだ。


「剣也君、足が好きなんですか? 私のでもよければ…」


 レイナも負けじと足を出す。


「だ、だめ! レイナさんの足は反則! 種族が違いすぎる!」


 美鈴が慌てて足を隠す。

美鈴も綺麗だが、レイナと比べると可哀そうだ。

日本人では抗えない、その美脚は思わずかぶりつきたくなる。


 あ、やべ。


 剣也は身体を曲げる。

腰に巻いたタオルでばれないように身(息子)を隠す。

危ない危ない。18禁タグをつけなければいけないところだった。


「でも裸の付き合いもいいね。私まだレイナさんとそんなに話せてないし」


「そうですね、奈々さんと美鈴さんとはこれから一緒に住むのですから」


「奈々でいいんですよ! 先輩ですし! 抵抗ありますか?」

「あ! 私も美鈴でいいですよ! レイナ先輩!」


 レイナはきょとんとする。

誰かを呼び捨てにするなんて今更恥ずかしい。

それにこのしゃべり方が定着してしまっていた。


(まだ無意識で壁を作ってしまっているのでしょうか、なら)


 レイナは笑顔で、二人を呼び捨てにする。


「わかりました。奈々、美鈴」


 今まで感じていた壁は木端みじんに壊された。

 

「うわ、その笑顔反則…」「お兄ちゃんもノックアウトだわ…」


(僕はノックアウトというか、股間がアウトなんですが…)


 必死に心を落ち着かせる剣也。

巨大な塔を見ながら、自らのバベルの塔を静めようと心を無にする。

塔それは、試練の象徴。


 それでも少女達のキャッキャうふふの声で荒ぶるシシガミが今にも、唸りだしそうだ。


 今ならアシタカの気持ちもわかる。

静まりたまえ! シシガミよぉ!!


「ぼ、僕はもう出るから!」


「先輩顔真っ赤。のぼせた?」


「誰のせいだと…」


 そして剣也はいそいそと前かがみになりながら露天風呂を後にする。


◇女子会(お風呂会)


「あら、お兄ちゃんいっちゃった…」


「十分美味しい思いしたからいいんじゃない? 多分エレクトしてたと思う。前かがみになってたし」


「あんたやっぱり中身おっさんじゃないの? 転生した?」


 美鈴が、露天風呂を堪能しだす、鼻歌交じりに泳ぎだす。

剣也がいるのはいるで楽しいが、いないならいないで女だけも楽しい。


「美鈴は、剣也君が好きなのですか?」


「なぁ!?」


 レイナがオブラートという言葉をどこかに忘れてストレートに美鈴に問う。

驚いた美鈴は体勢を崩し、湯舟に沈む。


「どうなのよ~美鈴~」


 奈々がにやにやと美鈴に肘をつついて白状しろと追及する。

もちろん奈々は知っているが、レイナには伝えてはいないから。


ぶくぶくぶく…


 美鈴は攻めるのは得意でも受けるのは苦手なようで、お風呂のせいではなく、確実に真っ赤になる。


「…き」


「き?」


「すき…多分」


「そうですか、私と一緒ですね。私も多分好きだと思います」


「なんで二人とも多分なの?」


「人を好きになったことがないので、よくわからないです。ただ剣也君と過ごすのは楽しいと思う」


「私も同じ。かっこいいとかアイドルに思ったりするけどそれとはまた違う感じ。もちろんかっこいいとは思うけど…私も本気で好きになったことってないんだよね」


「中学の時サッカー部のキャプテンと付き合ってたじゃん」


「しつこかったし、恋人ってどんな感じなのかなーって。無理やりキスしてきたからひっぱたいて別れてやったわ。猿よ、猿」


「お兄ちゃんも変わらないと思うけどねー彼女できたことないし」


「ないの!?」「ないんですか!?」


「そんな驚く? ないと思うよ?」


 なぜかうれしそうなレイナと美鈴。

確かに剣也は彼女いない歴=年齢だ。

妄想の彼女しかいないヘタレ童貞だ。


「美鈴は、どこが好きなの?」「レイナさんは、どこが好きなんですか?」


 同じ質問をほぼ同時にする美鈴とレイナ。

驚き、目が合い、笑みがこぼれる。


「ふふ、じゃあせーので、いいます? 多分一緒かな」

「そうですね。じゃあ、せーの」


「「優しいところ!」」


 やはりかみ合う二人の気持ち。

優しい人がタイプなんて、ありきたりな言葉を言うつもりはない。


 それでもあそこまでのお人よしはなかなかいない。

きっと彼は自分がどんなピンチの時でも助けようとしてくれる。


「ふふ、ライバルですね」

「負けませんよ、レイナ先輩! とはいえ愛人としてなら認めてあげます!」

「そうですか、ふふ。ありがとうございます」

「そ、そのかわりレイナ先輩が勝っても愛人枠を用意していただきたく…」

「もう負けた時の保険かけにいってんじゃん、美鈴」


 美鈴とレイナ、奈々は笑う。

これが裸の付き合い、歯に衣着せぬ場所。

それがお風呂。


「まぁあんなにお人よしもなかなかいないからねー。正義のヒーローってのかな。困っている人を見捨てないんだよねー昔っから」


 奈々が昔の剣也の話をする。


「確かあれは、まだ小学生のころかな…」


 奈々と剣也が小学生でまだ幼い頃。

記憶も曖昧な中で出来事としてだけは記憶している話。


 近所を二人が歩いていると小学生の女の子が虐められている。


「やーい、親なし!!」


 少女は懸命に耐えているが目には涙を浮かべている。


「お前ら! やめろー!」


 そこへ走っていく剣也。

取っ組み合いのけんかになるが、案の定ぼこぼこにされる剣也。


「い、いこうぜ! こいつ気持ち悪いよ!」


 いじめっ子たちは殴られても何度でも立ち上がり真っすぐこちらを見る剣也を気味悪がり退散する。


「困ったら呼んでくれ、いつでも助けるから」


 その少年は、涙をいっぱいに貯め、それでも優しく少女に笑いかける。



「全く知らない子のために真っすぐ走っていって、ほんと優しいというか、お人よしというか…」


「剣也君らしいですね、本当に……。美鈴はどんなことがあったんですか?」


「……」


「美鈴?」


「あ、あぁごめん! ちょっと考え事してた。私はねー」


 奈々の話を聞いて放心していた美鈴は思い出したかのように過去を話す。

別に助けてもらったから好きというわけでもないのだがきっかけは間違いなくあれだった。


「ふふ、やっぱり助けてもらったんですね」


「レイナさんは?」


「そうですね、少し暗い過去ですが、もう乗り越えたので二人には話します」


 そしてレイナは過去を話した。

両親を失ったこともすべて、そして剣也が支えてくれたことも。



「うわぁぁぁあ!!」「かなしすぎるよぉぉぉ!!」


 奈々と美鈴はレイナに抱き着く。

涙なしでは聞くことができないレイナの過去。 


「大丈夫です、もう乗り越えたので。彼と。確かに悲しかったですが、今はもう大丈夫です」


「そうですか、よかったです。本当に」

「何かあったら言ってくださいね、私支えます! 御剣一家として!」


 奈々と美鈴は抱き着きながらもレイナを支えると心に誓う。


「ありがとう、奈々、美鈴」


 レイナはついうれしくなって笑顔になる、

もし妹がいたらこんな感じなのだろうかと。


「うわ…めっちゃその顔綺麗…」

「しかもなによ、この胸。反則じゃん。D?E?」


 美鈴が抱き着いたときに感じた胸のふくらみから推測する。

確かめるようにレイナの胸を揉みしだく。


「あっ♥…一応Eです…あっ♥…けど…」


「感度もいいとか、男の夢かよ…なんでこんなに細いのに胸でけぇんだ。血か? これがハーフの力なのか!? ああん!?」


 はっきり言って美鈴に胸はない。

その病弱なメイク通りに細くスタイルはいいのだが、肉は薄い。

悔しさを表に出して、レイナの胸を揉みしだく。


 先輩だということも忘れてひたすらに。

レイナも変な声を上げ、奈々は呆れる。


「やっぱ美鈴あんたおっさんだよ。中身」


◇剣也視点


「あーひどい目にあった、いや…………正直に言おう最高だったと」


 奈々は、まぁいいとして美鈴の足は綺麗だった。

それ以上にレイナの胸はおっきかったし、濡れたブロンドの髪がエロかった。

今日は久しぶりの一人部屋だ、これはアレがはかどりますね!


 剣也は脱衣所で体をふきながらも妄想を続ける。

下着を履こうとしたときに、ふと気づく。


「はは、奈々はまだこんな下着つけてんのか…」


 イチゴパンツの幼い下着。

下着を買うお金もなかった奈々は仕方ないとはいえ子供のような下着をつけている。

同じ脱衣所に無造作に置かれた奈々の服を見て昔を思い出し笑いだす。

 

 しかし剣也は気づく。

明らかに奈々の服以外も山積みにおいてある。

そして理解した、中にいるのは奈々と美鈴と、そしてレイナ。


 ならばここは…。

 

「…ここは宝の山か」

 

いいね 機能が実装されましたね。

読者の方がどんな話が好きなのか知りたいので面白かったらいいね、この話は他に比べてそれほどというときは、何もせずにいてくれると分析がはかどります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] あー!!ダメです!ダメダメ!えっちすぎます!読者のバベルの塔も増設してどうするんですか!!ありがとうございます!(錯乱) [気になる点] 親無しっていじめられてた女の子、美鈴だよね?絶対そ…
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