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そういえば

お待たせ致しました。

 そういえば、と思う。


 前世のガートルードが死んでからどれくらい経っているのだろうか、と。


 生活環境から推し量ろうにも前世は庶民の中の庶民、今世は館の中が生活のすべての伯爵令嬢。


 比べる土台が違い過ぎる。


 さすがお貴族様とあって五歳であってもすでに家庭教師がついて勉強は始まっているが、読み書きやマナー、ダンスや絵画、音楽などの教養に留まり未だ歴史の授業はない。


 だから、あれから何年が経過しているかさっぱりわからない。


 少なくとも今私がこうして生まれ変わっているのだから最低でも五年は経過しているはず。


 ふと、思う。


 あれは、事故とされたのか。


 それとも事件とされたのか。


 まあしょせんその辺の一庶民である女子が死んだところで、記録などは残ってはいないだろう。


 貴族の位にある人が事件・事故に巻き込まれたのであればともかく。


 貴族であっても爵位を持たない女子供だとわからなそうではあるけど。


 庶民であればなおさら。


 別にそこまでは確認できると期待はしてない。


 あの周辺の住人に聞き込みでもしてみればわかるかもしれないが、今のこの私の立場でそれはまず不可能。


 前世の姉のその後も気にはなるが、今更でもある。


 事故扱いになっていて自由の身であっても、殺人の罪で捕まって牢獄入りになっていようとも。


 正直そこはどちらでもよい。


 不思議と復讐心などはない。


 あそこまで姉を追い込んだのが何なのか、という疑問はあるが、どうしても調べ上げたいというほどの欲求はない。


 前世の姉は粘着執着タイプだったが、前世の私は薄情と言われるほど人にあまり関心持たないタイプだった。前世の姉とどうしてあそこまで確執が深まったのか謎なほどに。


 過ぎてしまったことにも同じく拘りはない。


 これからの利には非常に拘りを持つけれど。


 それが余計前世の姉の気に障ったのかもしれない。


 本当、今更ね。


 まあそれはそれとして。


 今は、今がいつなのかが気になる。


 誰かに聞いてみようか。


 でも姉のエヴァンジェリンでは駄目だろう。


 一歳しか年が離れてないのだから、聞いたところで状況は私とそうは変わらない。


 かと言って、使用人に聞くのもなんだか。


 そこまでフレンドリーに会話をする仲には至っていない。


 というより以前のガートルードの態度がアレ過ぎて、顔を極力合わさないようにフェードアウトされている気さえするし。


 まあ実を言うと今がいつかだけなら聞くのも簡単だが、ついでに世間の状況ももろもろ確認してみたい。


 出来れば不審がられないよう、ひっそりと。


 そして思いついた。


 ああ、図書室があった、と。


 さすが伯爵家。


 本は貴重で高価なものなのに、それ専用の部屋まであるとは。


 前世では精々貸本屋で借りてくるくらいしかなかったのに。

 

 やはり持つべきものは身分と財産というところか。


 でもこれで問題は解決しそうだわ。


 よし、図書室へ行こう。


次回は図書室にて、になります。

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