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リワールド・フロンティア-最弱にして最強の支援術式使い〈エンハンサー〉-  作者: 国広 仙戯
第二章 格闘技が得意という歪なハンドラーですが、どうかあなた達の仲間に入れて下さい

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●7 その手に欲するは英雄の魂




 驚きで頭の中が真っ白になった。


「――なっ……あっ……!? えっ……へっ……!?」


 未曾有の衝撃だった。頭の中を直接ハンマーで殴られたような気分だった。


 愛人契約。


 なんという言葉の破壊力。どうしてその単語がここで出てきたのか、さっぱりわからない。


 あいじんけいやく。


 何だっけ、どうしてそんな話になったんだっけ。ダメだ、頭が混乱して上手く思考が回らない。


 アイジンケイヤク。


 なんかこう、アイシング的な。冷やしてどうこうみたいな。いや違う。そうじゃない、そうじゃないだろ僕。何考えてるんだ。


 落ち着け。そうだ。愛人の契約だ。それで愛人って何だ。ええと、辞書アプリによると『愛する人。恋愛関係にある人。恋人。人を愛すること』って出てくるけど、つまりロゼさんは僕と交際がしたいと? でも契約ってことは何か条件があって金銭の受け渡しが発生したりするのだろうか。


 え? いやいや待って待って。違う違う。そんな生易しいものじゃない。知っている。僕はちゃんと知っているはずだ。愛人契約っていうのは、つまりメシベとオシベがくっついて受粉するかしないかみたいな話で。そこにお金を払うことで刹那的な快楽を得る爛れた関係のことで。つまりロゼさんは僕と肉体かんけ――


 ハヌがこっち見てる。


「――。」


 鳩が豆鉄砲を食ったような顔で、キョトンと小首を傾げて僕を見ている。


 ぶわ、と汗が噴き出た。嫌な感じに粘りのある冷や汗だ。ハヌの金目銀目から放たれる無邪気な視線が、今の僕にとってはレーザービームよりも鋭い。あれは一体どういう目なんだろうか。意味が分かってないのか、それとも嵐の前の静けさなのか。


 すい、とハヌの視線がロゼさんの方へ向いた。


「…………」


 少しの間、僕にしたのと同じようにロゼさんの顔を見つめた後、ハヌはちょいちょいと手招きをした。


 こくり、とロゼさんが頷くと、ハヌに歩み寄って膝を突き、耳元に唇を寄せる。


 ごにょごにょごにょ、と何事かを囁いた。


「……?」


 ハヌの眉根が寄せられ、怪訝な表情になる。どうやらロゼさんの言うことが上手く理解できなかったらしい。


 その様子を見て取ったロゼさんが一度身を離し、何か考え込むように天井を仰ぐ。それから再びハヌの耳に口を寄せ、何事かをささめく。


「――!?」


 途端、ハヌの目が皿のように見開かれた。今度は理解できたらしい。ばっと身を離し、ハヌはロゼさんの仮面をかぶったような顔を注視する。中途半端に開いた唇がわなわなと震え、何かを言うより早く、またロゼさんがハヌの耳朶に唇を近付けた。


 ごにょごにょごにょ。


「ッッ!!!」


 ビリッ、と電気がハヌの全身を駆け巡ったようだった。


 驚かされた猫みたいな動きで体を震わせたハヌは、頬を真っ赤に染めて、飛び退くようにロゼさんから離れた。


 動揺で揺らめくヘテロクロミアが、ものすごい勢いで僕とロゼさんと交互に見る。


 そして、小さな唇から泣きそうな声が飛び出した。


「――ダ、ダメじゃ! ゆ、許さぬ……! 許さぬぞ! ラトは……ラトの一番はこの妾じゃ! 妾こそが、ラトの一番の親友なのじゃ……っ! お、おぬし達がイチャイチャチュッチュッするなど、絶対に! 絶対に認めぬ! 認めぬぞぉ――――――――ッッ!!」


 喋っている途中でハヌの両眼からぼろぼろぼろぼろと大粒の涙が零れ始めて、終いには彼女は天井に向かって絶叫した。


 って、


「――えええええええええええっっ!?」


 イチャイチャて!? チュッチュッて!? ロゼさん何をどういう風に説明したの!?


 ロゼさんは冷静にかぶりを振る。


「いいえ、小竜姫。大丈夫です。ラグさんの本命はあなたで間違いないのですから。正妻の座は安泰と相場が決まっております」


「ちょ――あのっ!?」


 ねえもう何言ってるのこの人!? ねえ!? 誰か教えて!?


「〝本命〟!? なんじゃそれは! それで妾の何が救われる!?」


 えらく哲学的な問いが飛び出した。べそ泣き顔でロゼさんに噛み付いたハヌは、今度は僕の方へ顔を向け、


「――ラトはどうなんじゃ! 結ぶつもりかアイジンケイヤク! この妾を差し置いて!」


 怒気を孕んだ色違いの視線が僕に突き刺さる。


「えっ!? えっ、僕!?」


 え、あれ? こ、これ僕が怒られる流れなの? というか、こういう時って何を言えばいいんだ? 何を言っても失敗する気しかしないのだけど――


「…………!」


 僕は言うべき言葉も取るべき行動もわからず、だらだらと脂汗を垂れ流すだけの彫像と化した。


 こういう時、タイミング良くSBがポップしないものだろうか。そうすれば、このものすごい重圧から逃れられるのに。もしこの場に居続けることと、あのヘラクレスと再戦することのどちらかを選ばなければならないとしたら、今の僕なら躊躇いなく後者を選ぶだろう。それぐらい精神的に追い詰められていた。


 しかし世の中はままならない。


 ハヌの人差し指が、ずびし、と僕を指差す。


「どうした、答えられぬか! はよう答えよ! 先日『僕とこれからずっと一緒にいてください』と言ったのは嘘だったと申すかぁ――――――――!!」


 涙ながらハヌから鋭い言及の剣を突きつけられて、僕はいきなり崖っぷちまで追い詰められてしまった。


 流石に、あの時の言葉まで嘘だったことにされるのは嫌すぎる。こうなったらはっきりと否定しなければならない。


「――ち、違うよ! 誤解だよハヌ!」


「黙れラトの言うことなどもう聞く耳もたんわっ!」


「えええええええええええっ!?」


 早く答えろって言っておきながら!?


 あまりにも理不尽な展開に、しかし僕は気付く。今のハヌは感情的になって暴走している。つまり、理屈は通じない。ということは、こちらも力押しで否定し続けるしかないのだ。


 声を張り上げ、全身を使ってジェスチャーする。


「だ、だから誤解なんだって! 結ばないよ! その、あ、あ、あ――じん契約とか! っていうか僕まだ結婚してないし! それなのに浮気も何もないんじゃないかな!? そもそも僕とロゼさんはイチャイチャとかチュッチュッとかしないし! してないし! ちゃ、ちゃんとハヌが一番の親友だし! これからもずっと一緒にいて欲しいし! 嘘じゃ無いし! っていうかもう僕何言ってるのかわからなくなってきたよ!? なんかすごく恥ずかしくなってきたよ!? どうしてこんな話になってるのかな!?」


 大声を出しすぎて酸欠になったのか、頭がクラクラしてきた。


「そこです、ラグさん。正妻としてちゃんと愛していると言ってあげてください」


「あのすみませんけどロゼさんは黙っててくれませんか!? あとこの状況誰のせいですか――!?」


 しれっと口を挟んでくるロゼさんにぴしゃりと言い放って、僕はハヌに向き直る。深呼吸をして、


「――と、とにかく誤解だから、ねっ?」


「……本当か?」


 じとっとした目で僕を見上げてくるハヌに、うんうんと力強く頷く。


「……返事が遅かったのは何故じゃ……?」


「うっ……そ、それは、その……い、いきなりでビックリして……」


「……アイジンケイヤクの件については、昨日話したとあやつは言っておったぞ……?」


「い、いや、それはまさか、ロゼさんが本気だなんて僕も思ってなくて……えっと……その……ちゃんと話してなくて、ごめんなさい……」


「……では、本当にそのような契約は結ばぬのじゃな……?」


 これには首が引っこ抜けそうなほど激しく首を縦に振った。


「もちろんだよ! 絶対! 約束する!」


「…………」


 しばし僕の心の奥底まで覗くように疑いの眼差しを向けていたハヌだったけど、やがて、すん、と鼻を鳴らすと、


「……よかろう、その言葉、信じるぞ……?」


 と言ってくれた。僕は猛烈に安堵して、大きく息を吐く。


「よ、よかった……」


 腰が抜けそうなぐらい安心して、思わずその場にしゃがみこんでしまった。それから不意に思い至り、ストレージからハンカチを取り出してハヌに差し出す。


「あ、はい、ハヌ。これで顔を拭いて」


「……うむ。苦しゅうない……」


 ぐしぐし、とハンカチで目元を覆うハヌ。ずびび、と大きく鼻を啜ると、


「――しかしの、そうなると疑問が一つあるんじゃが」


 片手で涙を拭いながら、急にはっきりした声でそう言った。さらにもう一方の手を僕の顔に伸ばし、むにゅう、と頬の肉を摘む。


「ほ、ほひ?」


 あれ? なんで僕のほっぺたを?


「ラトとロルトリンゼはアイジンケイヤクを結ばぬ。となれば、ロルトリンゼ、おぬしの目的は達成されぬ。この場合、おぬしはどうするつもりじゃ?」


 ハヌの顔も声もロゼさんに向けられていた。ただ、その左手だけが僕の頬肉をぐにぐにと抓っている。……これって、もしかしなくても八つ当たりという奴だろうか。とはいえ理由がどうあれ、僕が原因でハヌを泣かせてしまったのは事実なので、されるがままにされないといけないのだけど。うう、地味にちょっと痛い……


「困ります」


 ロゼさんの返答は至極簡潔だった。冷静沈着に、まるでロボットのように、ロゼさんは言う。


「私はそのためにここまで来ました。愛人契約がだめでしたら、他の契約を結んでいただきたいと思います。昨日も申し上げましたが、私と【契約】を結んでいただけるのであれば、この命以外のものなら何でも差し出すつもりです。ですからどうか――」


 どう考えても尋常ではないことを言い出したロゼさんに、僕は思わず質問を口にしていた。


「はほ、ほほひへほふはふへふは?」


 が、ハヌにほっぺたを抓られているせいでまともな言葉にならなかった。


「「……?」」


 屈んでいる僕に視線を集中させて、同じタイミングで首を傾げるハヌとロゼさん。ぱっ、とハヌが手を離してくれたので、僕はロゼさんを見上げ、改めて言い直す。


「――あの、どうして僕なんですか?」


 自分では素朴な疑問のつもりだった――のだけれど、僕とロゼさんとの間にあった空気が、ピキン、と凍りついたような手応えがあった。


 でも、気になってしまったのだから仕方ない。だって、


「あの……自分でも言うのも何ですが、僕は別に顔がいいわけでも、お金持ちでも、すごく強いわけでもありません。【そういうこと】でしたら、僕よりもっといい条件の人がいますし……」


 ふと脳裏によぎったのは『NPK』のカレルさんだった。そう、例えばあの人だったら、美男子だし、トップクラスタのナンバー2だけにお金もたくさん持っているだろうし、強さには太鼓判がついている。


 愛人契約なるものを提案するなら、僕なんかよりもカレルさんの方がよっぽど適切な相手ではないだろうか。もちろん、年齢的な意味でも。


「で、ですから、いくら何でも、その……僕達の仲間になる理由が、僕の愛人になるためっていうのは、あの、なんか変といいますか、正直、どうも腑に落ちないん、です、け、ど……」


 語尾が尻窄みになっていったのは、自虐の言葉で本当に傷付いてしまったわけではなく、石膏のように固まってしまったロゼさんの顔に臆してしまったからである。


 僕は僕で、どうやら踏んではいけない場所を踏んでしまったらしい。ふわふわと柔らかそうなアッシュグレイの髪も、夕焼けに照らされた湖面のような瞳も、まるで時が止まったかのように静止している。


 しかし、確かめなければならないことは他にもあった。


「そ、それに、愛人契約でなくても、命以外なら何でもって……あの、【契約】ってことはつまり、僕に何かしらの対価を求めている、ってことですよね……? そこまでして僕に求めることって、いったい何なんですか? さっきも言いましたけど、僕はそんなに大した価値のある人間じゃないと思うんですけど……」


 昨日、『カモシカの美脚亭』でロゼさんは僕にこう言った。


『私を、買って下さい』


 つまり、命以外のものなら何でも売る、と。


 それは即ち、そうまでして手に入れたいものがある、ということだ。だけど、それが『僕自身』であるとは、到底思えないのだ。


 ここでハヌが、右拳で左手をポンと叩いた。


「――おお、なるほど。確かにそうじゃ」


 得心がいったぞ、と彼女は言う。


「ロルトリンゼ、おぬしが自分自身を強く売り込んでくるから気付かなんだが、考えてみればラトの言う通りじゃ。契約ならば等価交換が原則。おぬし、それだけのものを差し出して、一体ラトから何を受け取るつもりじゃ?」


 よもや『僕の愛』などと答えるつもりもなかろう。


「――――」


 ハヌの質問にもロゼさんは沈黙を守っていた。だけど、じっと見つめる僕とハヌの視線に根負けしてか、やがてそっと息を吐いた。人形のような顔に、一瞬、自嘲の陰が斜めに滑り落ちたようにも見えた。


「……出来れば事後承諾の形を取りたかったのですが、こうなっては致し方ありません。正直に話します」


 ロゼさんの右手が上がり、しゃらりと腕に巻き付いた鎖が音を立てた。ピンと伸びた人差し指が、真っ直ぐ僕の顔を指す。


「私が欲しいのは、ラグさんの持つコンポーネント、ただ一つです」


 その声音は鋼のように硬く、その瞳はガラスのごとくに無機質だった。


「ルナティック・バベル第二〇〇層のゲートキーパー・ヘラクレス――その魂こそが、この身を引き替えにしてでも手に入れたい、私の悲願です」






 ルナティック・バベル第二〇一層。


 クラスタ『ドラゴンヘッズ・ジョーンズ』は今日も最前線におけるトレジャーハントに精を出していた。


「――SBポップ確認!」


「よおし探索中止! 総員、戦闘態勢に移れ!」


 陣形の前後に配置した斥候隊が見敵を報告、リーダーのライオウが直ちに指令を発し、メンバー全員が各々の得物を構える。


『ドラゴンヘッズ・ジョーンズ』はゲートキーパー戦などを行わないため目立たないが、それでもトップ集団の片隅に位置している。それだけに、実に統制のとれた動きであった。


 彼らの前に顕現したのは、二色に別れた魔犬の群れ。漆黒のケルベロスと白銀のオルトロスが、それぞれ二〇体ずつの計四〇体。


『PPPPPPRRRRRRRRRRYYYYYYYYYYYYY!!』


 一〇〇個の口から、一斉に電子音による集団咆吼ウォークライが上がった。


 対する『ドラゴンヘッズ・ジョーンズ』は六人パーティ×3の十八名。ヒーラーやタンカーもいるが、基本的には近接戦闘を得意とする前衛型が多い集団である。


「はぁあああああっ……!」


 斥候と一番槍を務める一人が迅速に飛び出した。両手に鋭い短刀を二本携えた彼は、放たれた矢のごとく一直線に魔犬の群れへ突っ込んでいく。鋭く光る刃に、黄土色の剣術式アイコンが灯った。


「――〈ツインサーキュレーション〉!」


 フォトン・ブラッドの輝きを纏った短刀が、流麗な軌跡を描く。直進連続攻撃術式〈ツインサーキュレーション〉は円を描く運動によって剣閃を循環させながら前進する、ただそれだけの剣術式だ。しかし術式だけに当然、威力には五倍以上、速度には十倍以上の補正がかかっている。


 駆け抜ける刃の嵐。


 疾風迅雷の速度で狂ったように乱舞する黄土色の輝きが、魔犬の群れを文字通り真っ二つに切り裂いた。


『PPPPPPPYYYYYYY――!?』


 いくつもの断末魔が響き、その数倍の本数の首が飛ぶ。ケルベロスもオルトロスも、首を全て失った個体はすぐさま活動停止シーケンスへと移行していく。


「前衛隊はリヒトに続け! 立て直させる暇を与えんな!」


『おおおおおおおおおっ!』


 リーダーのライオウの号令が飛び、メンバーの雄々しい叫びがそれに応える。一人、また一人と得物を手に敵陣へ飛び込んでいく。


「〈雷獣連牙〉!」


「〈クレセントスプラッシュ〉!」


「〈ライオットシューティングスター〉!」


 稲妻をまとった戦斧の連打が、三日月形の曲刀が放つ水飛沫のごとき無数の斬撃が、流星雨のような槍の連続突きが、次々と魔犬を襲う。突進系の大技が群れを寸断していく。


『PPPPPRRRRRRRRRRRRRRRYYYYYYYYYYYYYYYYY!?』


「今だ! 一気に畳みかけろ!」


『おおおおおおおおお――――――――っ!』


 ズタズタに引き裂かれたSBの陣形に、さらに後続のメンバー達が追撃をかけ、戦局が各個撃破へと移った。


「〈ヴァーミリオンスフィア〉!」


「〈エアリアルドライバー〉!」


「〈ソイルランサー〉!」


 さらに後衛型メンバーから一斉に攻撃術式が放たれ、小さな隙すらその援護によって消失する。


 こうして『ドラゴンヘッズ・ジョーンズ』は、四〇体もの魔獣に何もさせることなく、迅速に殲滅していった。


 戦闘時間は一ミニトにも満たないだろう。全てのSBがコンポーネントへ変化し、メンバーそれぞれの〝SEAL〟に吸収されていくのを見届けると、一同はそれぞれに緊張を解いた。


「……よし、被害状況を調べろ! 傷を負った奴はケインから治療を受けろよ!」


『ドラゴンヘッズ・ジョーンズ』では原則、一つの戦闘ごとに足を止め、徹底的に態勢を整えることを習慣づけている。それは彼らがコンポーネント収集を目的とする戦闘集団ではなく、遺跡内に眠っているアーティファクトを探索することを主とする、純粋な意味での『探索者エクスプローラー』に近いクラスタだからだ。


 安全第一。それが彼らのモットーだった。


「――リーダー、ちょっと……」


「お? なんだ、どうした?」


 後方の斥候役を与えていたはずのメンバーが、何故か陣形の中央にいるライオウの元までやってきた。大した理由も無く持ち場を離れるような甘い統制は取っていない。つまり、ここにくるだけの何かがあったのだ。


 元々厳めしい面をさらに険しくするライオウに、しかし斥候役は歯切れの悪い調子でこう告げた。


「その……リーダーと話がしたいというエクスプローラーが……」


「あぁん?」


 ライオウは露骨に顔を顰めて聞き返した。別段、遺跡内で複数のエクスプローラー、クラスタが鉢合わせになることは珍しくも何ともない。が、ちょっかいをかけてくるとなれば話は別だ。


「何だ? 助けてもらいてぇってか? それとも、何か分けてもらいてぇってか?」


 フォトン・ブラッドが枯渇寸前で怪我も負っている、故に助力や回復に使えそうな物資を求めている――そういうことならままある。当然そんな極限状態を助けるのだから、いただく対価もそれなりに、というのが定番だが。


 しかし、そんな不用心な馬鹿がこの最前線まで来るとは考えにくい。となると、答えは二択だ。余程の不測の事態が起きたか、それとも――本物の馬鹿か。


「いや、それがその……どうもそういう感じではなくて。ただ単に、リーダーと話をしたいみたいなんですが……」


「何だそりゃ」


 ますます意味が分からない。話がしたいのなら『下』でゆっくりするのが普通だ。鉄火場のど真ん中で話しかけてくるなど、空気が読めない馬鹿のすることだ。例え急ぎの用事だったとしても、あまりに無節操な振る舞いでは無いか。


「……人数は?」


「それがどうやら一人みたいで」


 ソロ。こんな場所に。怪しいにも程がある。しかし、


「……まあいい。話だけなら聞いてやる。連れて来い」


「はい」


 一人だというなら、何を企んでいようがこの人数相手に滅多なことはするまい。ライオウはそう判断した。


 果たして、斥候役が連れてきたのは線の細い優男だった。


「ああ、どうもどうも。いきなり話しかけてすまないねぇ」


 軽い口調で話しかけてくる男を、ライオウはじろりと睨む。


 どこぞの制服だろうか。オリーブグリーンの軍服らしきシルエットの戦闘服に、黒衣を羽織っている。灰色の髪の上には服と同じデザインラインの帽子。武器らしきものは携行していない。出で立ちから察するに、ウィザードのような後衛型か。しかし、そんな奴がソロでこの最前線に? 見立て違いか、はたまた、見かけによらず相当な実力者なのか。外見からではまるで類推出来ない。


「――こっちは忙しい。用件は手短にな。何の用だ」


 さっさと話してとっとと消えろ。そんな意思を言外に籠めてライオウは言い放つ。


「人を探してるんだ」


 男は飄々と、奇妙なことを言った。


「――こんな場所でか?」


 訝しげな目と声を隠しもせず、ライオウは聞き返した。


「ああ」


 男は自信満々に頷き、にっこりと微笑んだ。


 ライオウは鼻白む。仲間とはぐれたというなら、スイッチなりルーターなりがあれば、互いのおおよその位置はわかるはずだ。


 しかしそうではなく、純粋に人探しだというなら、なおさらおかしい。宝探しならともかく、遺跡で人探しなど前代未聞だ。


「……こんな場所まで探しに来るたぁ、そいつはよほどの美人なんだろうな。まぁどっちにせよ、うちは迷子センターじゃないんでな。期待に沿えるかはわからねぇが」


「こういう女なんだが、見覚えはない?」


 男はひらりと手を翻し、ライオウの眼前に差し出した。ARフォトグラフ。件の人物の姿が、男の掌に浮かび上がっている。


 ライオウは巨体をやや屈めて、その姿に見入った。


「――こいつか?」


「ああ。名前はロルトリンゼ・ヴォルクリング。最近このあたりに来たはずなんだ。タイプはハンドラーで、相当強い。きっとこの最前線にいると思うんだけど」


「…………」


 美人云々は皮肉のつもりだったが、根もない嘘から芽が生えるとはこの事だ。男の手に浮かぶ緑灰色の髪の女は、紛うことなき傾城だった。


 たっぷり見つめた後、ライオウは太い首を横に振った。


「いや、見覚えねぇな。こんな上玉、一目見たら絶対に忘れねぇよ」


「なら、話だけでも聞いたことはないかな? こいつ、〝神器〟持ちなんだ」


「ジンギ……?」


 聞き慣れない単語に、思わず男の顔を見返した。瀟洒なライトブルーの瞳が、悪戯っぽくライオウを見つめている。


〝神器〟。話に聞いたことはある。御伽噺のような眉唾物の噂だが――


 この世界には、〝神器〟と呼び称されるものが十二個あるという。その秘めた力は、まさに神から授かったかのごとく絶大で、全て揃えた者は世界を支配することも不可能ではないという。しかしそれがどこにあり、どのような形状をしているのか。それらは記録に残っておらず、誰も知らない――云々かんぬん。


 馬鹿馬鹿しい。


「最近、妙にすごい奴を見かけたとか、噂が流れてないかな?」


 どこぞの馬鹿のくだらない妄想だ。少なくとも、ライオウはそう思っている。故に、男を見る目が自然と狂人に向けるそれになるのは仕方のないことだった。


「……いいや、聞いたことねぇな。というか、実際にあるものなのかい、その〝神器〟ってのは」


「さあて、どうかな」


 男は明言を避けるように肩を竦めて見せた。そういえば、最近ここいらに出て来た『蒼き紅炎の騎士団』の剣嬢ヴィリーとやらが、その〝神器〟の一つを持っているという話を耳にしたことがある。当然、根も葉もない噂に過ぎず、信じる方がどうかしているのだが。


 それに剣嬢は金髪碧眼だという。この女とは似ても似つかない。


 ふと思い出した。


「――そういや、その女じゃないが、最近すごい奴が出て来たってぇ話なら聞いたな」


「へえ? どんな?」


「確か〝勇者ベオウルフ〟と〝小竜姫〟って奴らだ。このすぐ下の階層のゲートキーパーを撃破したっていう――」


 ライオウがそこまで説明すると、男はつまらなさそうに溜息を吐いた。


「ああ、なんだ、そのことか……それなら知っているよ。『下』で耳にタコができるぐらい聞かされたからね」


「……ああ、そうかい」


 せっかくの情報も無駄だったと見え、ライオウはいたずらに舌を動かしたことを後悔した。こちらがいくら囀ったところで、一銭の得にもならないのだ。だというのに、勝手に落胆されてはこちらも気分が悪い。となれば不愉快になるだけ損というものだ。


 男が視線をあらぬ方向へ逸らし、小声で呟く。


「……ってことは、ふうん……アイツもそこそこ考えて動いてるってことかぁ……」


「……おい、もういいか。俺達はそろそろ行かせてもらうぞ」


 男と話している内に、クラスタメンバーの準備は整っていた。もはやライオウと男の会話が終わるのを待っている段階である。


 言い捨てた言葉を皮切りに、ライオウはメンバーに片手を振って移動を促した。仲間達は思い思いに頷き、行動を開始する。


 ライオウ自身も背を向けて、男を捨て置こうとした時だった。


 明るい声が、軽く言った。


「ああ、待ってくれ。あんたら、この辺でSB狩りしてたんだろ? じゃあ、そのコンポーネント全部置いてってくれよ」


「……なんだと?」


 いとも容易く吐かれた言葉に、ライオウ他『ドラゴンヘッズ・ジョーンズ』の面々は足を止め、振り返った。


 この時、既に全員が殺気立っている。


 苦労して集めたコンポーネントを無償で置いていけ――そんなことを言われて激さないエクスプローラーなどいない。それは、言ってはならない禁忌の言葉だった。


 ライオウは火を噴くような目付きで男を睨め付け、低く押し殺した声で問う。


「……テメェ、正気か? 自分が何言ってんのかわかってんだろうな?」


 既に視線に籠められた殺意は飽和して、ライオウの全身から大気へ滲み出していた。理屈では無く、本能的に感じられる威圧感。まともな生物であれば即座に逃走体勢に入るだろう迫力だった。


 しかし、男は悪びれることもなく、くは、と笑う。


「正気さぁ。なぁに、命まで取るつもりはないさ。ただ個人的な都合でコンポーネントがたくさん必要でね。今持っている分だけでいいから、【置いていけよ】」


 最後の命令形で、全てが決定づけられた。


 緊張感が一気に臨界を突破し、敵意が電流のごとく『ドラゴンヘッズ・ジョーンズ』全体に伝播した。


「殺せ」


 ライオウの指示は一言だった。


 ここは遺跡。力が全ての無法地帯。エクスプローラーの掟を破った者は殺されても文句は言えない。それがルールだ。


 男はそこを無造作に踏み荒らしたのだ。


 武器を構えるライオウ以下十八人に対し、男はなおも、くひ、と笑った。


「あーあ、素直に置いていけばいいのに。馬鹿だなぁ」


 多勢に無勢。そんな絶望的な状況にあってなお、落ち着き払った男の態度にライオウは疑念を抱いたが、敢えてそれを無視した。


 どうせやることは変わらない。この頭のイカれた無礼者を解体して、トレジャーハントの続きに戻る。それだけだった。


「精々あの世で、探している女が寿命でくたばるのを待ってな」


 そう吐き捨て、ライオウは腕を振って攻撃指示を出した。


『ドラゴンヘッズ・ジョーンズ』の精鋭達が一斉に、男を葬るためだけに動き出す。


「やれやれ」


 そう囁く男の掌に、いつの間にやらARフォトの代わりに一個のコンポーネントが現れていた。


 大きい。ゲートキーパークラスほどではないが、それでも並のコンポーネントの数倍はある。色合いもルナティック・バベル特有の青白いものと違って、深い緑色の輝きを放っていた。


「〈リサイクル〉」


 男の肌にクロムグリーンの幾何学模様が走り、フォトン・ブラッドが活性化。直径一メルトル程のアイコンが生まれ、弾け飛ぶ。


「――させるかよっ!」


 先程の戦闘で一番槍を務めた短刀使いのリヒトが、術式を発動させようとする男にそうはさせじと斬りかかる。どんな術式を使うつもりか知らないが、完全に発動する前に殺してしまえば意味をなさない。


 しかし、彼の刃が男に届く寸前。


「――〈ミングルフュージョン〉」


 新たにクロムグリーンのアイコンが現れ、消失した。直後、爆発的に男のフォトン・ブラッドの輝きが膨れ上がり――


 その瞬間、勝敗は決してしまった。




 男が『ドラゴンヘッズ・ジョーンズ』全員を戦闘不能に陥らせるまで、一ミニトもかからなかった。


 誰もが【死なない程度】に傷を負わされ、もしくは体の一部を抉り取られ、大量のフォトン・ブラッドを撒き散らして床に転がっている。色取り取りの血が、床に極彩色の絵を描いていた。


 コマンダー兼ウォリアーのライオウも例外ではなかった。両腕を千切り取られ、両足の骨を折られ、仰向けに転がされている。分厚い胸板を優男のブーツが踏みつけていた。


 自らを見下ろす異常な男を、激痛に苛まれながらも細めた目で見上げ、ライオウは降伏を口にした。


「……俺達の負けだ。好きなだけ持っていけ……」


 力こそが全て。その理屈で以って十八人で戦いを仕掛け、敗北したのだ。文句など吐けるわけもなかった。それより、まだ生きている仲間達の為にも早く戦いを終わらせ、治療を急ぐことこそがプライド以上に優先された。


 ライオウの台詞に、くは、と男は笑った。


「ほらみろ。だから言ったのに」


 男の手がライオウの肌に触れ、〝SEAL〟のストレージからロックが解除されたコンポーネントを抜き取っていく。


「……全員、持っているコンポーネントを全て出しておけ……」


 苦々しい口調でライオウは仲間達にそう指示した。『ドラゴンヘッズ・ジョーンズ』のメンバーは悔しさに顔を歪ませながらも、リーダーの言葉に粛々と従った。この場にいる全員が、正しくライオウの意図を汲んでいた。


 男は他のメンバーの間を周り、所有権が破棄されたコンポーネントを次々と回収していく。


 十八名のエクスプローラーからありったけのコンポーネントを奪い取った男は、再びライオウの元に戻ってくると、実に軽薄な声でこんな事を言った。


「すまないねぇ、余計な抵抗をしなかったら穏便に済ませられたんだけど。ああ、さっきも言った通り、命まで取る気はないから安心してくれよ。今はまだ、だけど」


 背筋が凍るような事を平然と言ってのけると、男は屈み込み、仰臥しているライオウの耳に唇を近付ける。


「なぁあんた、見逃してやるかわりにちょっとお願い聞いてくれよ。なに、大した事じゃないんだ。さっき見せた奴――ロルトリンゼ・ヴォルクリングって女を見かけたらすぐに教えて欲しいってのと、もし接触が可能ならこう言付けて欲しいんだ」


「…………」


 出来れば願い下げにしたいところだったが、今のライオウに拒否権などあるはずもなかった。せめてもの抵抗に冷たい視線を送るが、男は一顧だにしなかった。好き勝手に『伝言』の内容を喋り出す。


「――〝逃げても無駄だ。お前の持っている『ソレ』は絶対に俺の物にする。素直に渡すなら命だけは助けてやる。そうでなきゃ力尽くで奪って殺す。よく考えろ〟――ってね。どう、憶えられたかな?」


「……ああ」


「本当に? じゃあ一回言ってみてくれるかな?」


 ライオウは怪我の痛みのため途切れ途切れながら、男の伝言を暗唱してみせた。すると男は子供のように無邪気な笑顔を見せる。


「いいね、バッチリだよ。よろしく頼むよ、【ライオウ】さん」


 やはり先程の接触でネイバー情報を読み取られたらしい。仲間達にあらかじめコンポーネントを出しておくよう指示したのは間違っていなかった、とライオウは確信する。


 この男は危険だ。これ以上関わっていはいけない。


 これで用事は済んだとばかりに男は立ち上がり、歩き出そうとして、おっと、と動きを止める。


 思い出したように、ああ、と笑った。


「そういえば名乗っていなかったねぇ。俺はシグロス。シグロス・シュバインベルグ。以後、お見知り置きを、ってね。吉報を待っているよ。よろしく」


 言いたいことだけ言い置いて、シグロスと名乗った男は今度こそ立ち去っていった。


 ひらひらと手を振って黒衣の裾をはためかせる背中が見えなくなると、ライオウの傍に近付いてくる気配が一つ。


「リーダー……」


「――リヒトか。無事……なわけねぇよな。すまねぇな、ちょいと俺の体を起こしてくれねぇか」


「はい……」


 利き腕の肘から先を喪っている茶髪の青年が、膝をついてライオウの背中に手を入れ、どうにか巨躯の上体を起き上がらせる。


「――動ける奴は傷の深い奴から治療してやってくれ。もちろん、やばそうな奴が最優先だ。誰も死なせるんじゃねぇぞ」


 何とか指示を飛ばすと、半ば茫然自失状態にあったメンバー達が我に返ったように動き出した。どうやら全員戦闘不能ではあるが、瀕死の者はいなさそうだった。


 背中に重みを感じた。肩越しに見ると、リヒトがライオウの背中に自身の背をもたれさせ、ずるずると座り込んでいた。


「リーダー……あいつ、何なんですか……」


 消沈して今にも掻き消えそうな声を出すリヒトに、ライオウは〝SEAL〟に常駐させてある自動治癒術式がもたらす遅々とした回復に舌打ちをしてから、こう返した。


「わからん」


 それ以外に言葉が無かった。たった一人の男に、末席とはいえトップ集団に数えられる自分達が手も足も出せずに敗北した。あのシグロスという男が一体何者で、如何なる手段によってあれだけの強さを発揮したのか。ライオウにはまるでわからなかった。


 ただ一つだけ言えるのは、


「……奴は化け物だ。もう二度と関わるべきじゃねぇ。『下』に戻って他の奴らに情報バラまいたら、早めに河岸を変えるぞ。しばらくすれば、あのシグロスって奴も【何かしらおっぱじめて】どこかに消えるだろ。そん時になってから、またここに戻ってくればいい」


 自分達は決して戦うことが目的のクラスタではなく、あくまでトレジャーハントが主の集団なのだ。触らぬ神に祟りなし。危険な存在から遠ざかるのが、一番の安全策だ。


「……しかし、可哀想にな」


「……? 何がです、リーダー?」


 ぼそりと呟いたライオウに、リヒトが背中越しに問う。ライオウは治療に介抱にせわしなく動き回る仲間を見つめながら、こう答えた。


「あの男の探してる女だ。あんな化け物に付け狙われちゃ長くは生きられねぇだろ。せっかくの上玉だってのに、もったいねぇ話だ」


 不意に戦闘時の記憶がフラッシュバックして、ライオウはぶるりと身震いした。背中合わせのリヒトがその振動に「うわっ」と驚いた声を漏らす。


 今思い出しても怖気が走る。


 戦いが始まると同時に、奴が【変化】した異形の姿。変身する人間なんて初めて見た、と言えば嘘になるが、それでも希少なのは確かだ。しかし、あの【醜さ】はいったい何だ。これまで見てきた中でも最悪の部類に入る醜悪さだった。


 そして、圧倒的なまでの力。こちらの攻撃は何一つ通用せず、傷一つつけることすら叶わなかった。


 何より恐ろしかったのは、変貌してしまった奴の顔が、それでも【笑っている】とわかってしまったことだ。


 楽しんでいたのだ、奴は。多勢に無勢の状況で、何のつもりかこちらの誰一人として殺さず、ただ傷つけ血を流させることを。


 狂っている。そう言う他無かった。


 あんな狂人に狙われる女には、一体どのような事情があるものか。


 ライオウは鍛え上げた胸筋の内側で、ロルトリンゼ・ヴォルクリングという女を不憫に思った。


 だが次の瞬間には、ふと思いつきが脳裏を過ぎり、彼はこんな事を口にしていた。


「……海が見てぇな……次のハントは、グレート・ブルーゲートあたりにしてみるか……」





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