幕間5 守護者と破壊者~どうしてこうなった~
「さて、無事にマイマスターがゲームをクリアしてくれたことだし、オレとしてはそろそろお開きにしたいところなんだけれどね?」
ラグディスハルトが〝妖鬼王ゴルサウア〟を下し、見事にゲームに終止符を打った頃。
エイジャはサブ人格の一部を派遣し、浮遊群島の一つへと赴かせると、そこで戦っている二人に嘲笑まじりの声をかけた。
無論、そこには『君達は一体いつまでやっているんだい?』という揶揄も含まれている。
「さて、そう言われましてもですね。私としても面倒なことは避けたいというのが、正直なところではあるのですが」
かつては緑豊かな森であった。しかし今となっては、戦闘の余波を受けて焼野原と化してしまったその場所で、黒尽くめの男――勾邑は軽妙に肩をすくめてみせた。
「おいおい、なんだ、もう時間切れかよ。意外と早かったなぁ」
もう一人の黒尽くめの男――ジェクトもまた、暢気に頭の後ろで両手を組み、ぼやくように言う。
「……やれやれだね。君達も大概、無茶をしてくれたものだよ」
エイジャもまた片手を振り、呆れの吐息を一つ。
好んで漆黒を纏うこの二人が戦ったことによって、浮遊大島を取り囲む小島の一つが、ほぼ壊滅状態となっていた。
だというのに、当の二人は何事もなかったかのように飄々(ひょうひょう)としている。これだけの破壊を撒き散らしておきながら、しかしどちらも本気で戦っていなかった――つまりはそういうことなのだろう。
「――じゃれつくだけで島を一つ壊されては、たまったものではないね。まぁ、いくらでも再生可能ではあるのだけれど」
ここはかつて、深い森に覆われ、美しい湖を持つ、自然にあふれた浮遊小島だった。
だが今となっては、在りし日の見る影もない。森は焼き払われ、湖は干上がり、命という命は死に絶えた。
まさに『地獄』――その一言に尽きる。
いくら仮想空間とはいえ、この破壊痕を回復させるには相当な時間を置くか、創造主であるエイジャが直接手を加えなければならないだろう。傷跡はそれほどまでに深い。
「先に言っておくが、俺はほとんど何もしてねぇぜ? ここいらをぶっ壊したのはそら、そこにいる勾邑だからな」
エイジャの苦言に、漆黒に染め抜いた『蒼き紅炎の騎士団』の制服を身につけたジェクトが嘯く。手足につけた格闘用の装備も含め――よほど激しい攻撃を受けたのだろう――ジェクトの全身はボロボロになっていた。しかし傷付いているのは服や武装だけで、当人は大した怪我を負ってないように見える。
「おやおや、よく言いますね、先に仕掛けてきたのはあなたの方では? 守護者の方」
「はっ、よく言うのはお前さんの方だろ? 年端もいかねぇいたいけな青少年に手を出しておいて、そいつを邪魔されたのがそんなに心外だったのか? 場所が場所なら条例違反でお縄だぜ? 破壊者さんよ?」
互いに軽口を叩き合っているように見えるジェクトと勾邑であるが、人工知能であるエイジャにもわかるほど、この場には濃密な殺気が満ちていた。双方ともに口元に薄ら笑いを浮かべているが、目は少しも笑っていないのが見て取れる。勾邑はサングラスをかけて目元を隠しているが、この空間にいる限り、エイジャの視線から逃れられるものなど何もない。
火花散るがごとき視線のぶつけ合いは、しかし突然の闖入者によって遮られた。
「――あー、おったおった。やっと見つけたわ、勾邑はん」
「おや、アグニール」
鈴を転がすような少女の声が頭上から響くと、勾邑は躊躇なくジェクトから視線を外し、そちらへと顔を向けた。
「……なんや、いややわぁ。勾邑はん、うちと違うて随分と楽しく遊んでたんやねぇ?」
折り畳んだ朱塗りの和傘に腰かけた少女――〝現人神ロシュダルク〟ことアグニール・ロシュダルクが、宙に浮いて男達を見下ろし、あどけない美貌に小悪魔じみた笑みを浮かべている。浮遊大島の方角から飛翔してきたであろう少女は、そのままゆっくり和傘の高度を下げ、勾邑の傍へと降りてきた。
「いえいえ、とんでもありません。よもや、こんなところで守護者側の人と出会うなんて、思いも寄りませんでしたからね。焦るあまり、少々恥ずかしいところを晒してしまった次第です。あなたが合流してくれて助かりましたよ、アグニール」
「へえ、ほんまにぃ? それ心から言うてはりますん?」
「ええ、私の素直さ、正直さはあなたが一番よく知っているでしょう?」
からかうように、笑いながら問い掛けるアグニールに、勾邑は漆黒の手袋に包まれた手を胸に当て、至極当然のように受け答えをする。
しかし。
「そりゃ堪忍どすえ? うちは勾邑はんほど、『嘘』に目鼻と口をつけたお人を知らんさかい」
自らの真摯さを訴えた勾邑を、アグニールはにべもなく突き放した。
「ほんで? そこのお兄さんは何なん? お友達……や、なさそうやけれど」
チラリ、とジェクトに蠱惑的な目線を向けるアグニール。絢爛な着物を着崩し、美しい銀髪を豪奢に結った彼女の姿は、おどろおどろしい焦土と化したこの場において、一輪の華がごとき存在感を誇っている。
彼女の質問に対しては、『そこのお兄さん』と呼ばれたジェクト自身が答えた。わざとらしく肩を竦めてみせては、
「名乗るほどの者じゃないさ。見ての通り、通りすがりの探検者だよ、現人神のお嬢ちゃん。ま、そっちのサイコ野郎が言うとおりの『守護者』の使いっ走りでもあるんだけどな」
そこまで言ったところで、ああ、と何かに気付き、ジェクトはアグニールに向けてシニカルな笑みを浮かべた。
「――そうか、そうだったな。お前さんが本当に現人神ロシュダルクってんなら――【元は味方で今は敵】ってところかな? そうだろ、裏切りの女神様?」
ジェクトがやや目を細めて鼻で笑った途端だった。
「 ほたえんなや、小僧 」
膨大な力が凝縮された言霊が、アグニールの喉から放たれた。
同時、少女のいる空間から猛烈な劫火が迸り、爆炎が広がった。それだけで生きとし生けるもの全てが焼け死ぬほどの熱波が、全方位に放射され、あっという間に浮遊小島全体を駆け抜けた。
「おいおい、マジかよ」
「おやおや」
「やれやれだね」
ジェクト、勾邑、エイジャは三者三様の反応を示す。が、どう見ても全身を猛火に包まれているというのに、三人ともが大して熱がる素振りを見せない。その一方で、既に焦土と化していた大地はさらに炎で炙られ、その漆黒の度合いを深めていく。アグニールの全身から溢れた火焔は、確かに熱を持つ本物なのだ。
アグニールもまた赫怒の矛先であるジェクトが燃えていないことを気にする風もなく、赤と青の金銀妖瞳で黒衣の男を睨み付ける。
「誰に向かって口きぃとんねん。あんたが『守護者』の犬やゆうんなら、うちはあんたの上に立つもんやろが。頭ぁ低ぅせぇや」
宙に浮く和傘に腰掛け、爆炎を背負う少女は、唇の端から火炎の息を吐きながら脅しつける。
その声音こそ幼い女児のものだったが、奥底に流れる響きには隠しきれない〝威厳〟の芯が通っていた。故にヤクザ者じみた口調は決して可愛らしいものではなく、常人であれば背筋を凍らせ全身を震わせるほどの迫力に満ちていた。
ただし、ここにいるのは常人などではなかったが。
「おーこわこわ。流石に現人神が隣にいちゃあ俺も仕事にならねぇな。仕方ねぇ、ここは手を引いてやるさ」
埃でも払うかのように、ジェクトはボロボロの戦闘コートについた炎を手で叩く。肩や腕、火の点いた箇所を軽く叩くと、それだけで全身に纏わり付いた火炎が嘘のように消失した。
「ゲームマスターもそれでいいんだよな? じゃあ、とっとと俺をこのゲームから排除してくんな」
パチン、と指を鳴らしたジェクトに、エイジャは片手を上げ、
「言われずとも」
見えないカーテンを払うように腕を薙ぐ。するとジェクトの肉体が、即座に青白い光の粒子に分解され始めた。
「あーまったく、骨折り損のくたびれもうけって奴だったぜ。結局、カレルレンの旦那から任された役割もろくに果たせず、せっかく本命の勾邑に会ったってぇのに何も出来なかったんだからな。まぁ、次だ、次。次こそはきっちりと――」
グチグチと文句を言い募るジェクトの姿が、言葉も半ばながら、大気に溶けるようにして消滅した。
その手並みに対して、まるで手品か何かのように勾邑は拍手を送る。
「いやはや、お見事ですね。アバターだというのに、大した精度でした。まさか『守護者』の力がこの仮想空間でもそのまま発揮されるとは。正直、かなり驚きましたよ」
褒めそやす勾邑に、エイジャはにべもない。
「もちろんさ。プレイヤーに自分自身がアバターだと気付かれぬよう、かなり腐心したからね。そのためにはやはり、アバターでも当人の実力が過不足なく発揮されないといけない。まぁ、そこにいるロシュダルクやヴァイキリルの力だけは、再現させるわけにはいかなかったのだけどね」
エイジャが薄い紅茶色の瞳を、未だ周辺を燃やし続けるアグニールに向けると、少女は頬を膨らませてそっぽを向いた。
「まぁた邪魔しよってからに……ほんま腹立つわ……」
ジェクトに対して気炎を吐いたその直後に、エイジャの手によって彼が消えてしまったのだ。アグニールとしては言いたいことの十分の一も言えず、文字通り不完全燃焼もいいところだった。
「――ところで、マイマスターに余計な手出しをしてくれたようだね、勾邑?」
「ええ、まぁ。見ての通り、先程の彼に邪魔されてしまって完全にとは行きませんでしたが。それが何か?」
責めるような眼差しを向けるエイジャに、しかし勾邑は平然と応じた。残念です、と言わんばかりに述懐すると、逆に質問の意図を聞き返す始末である。
「よくも……と、本来なら言うべきなのだろうね。君の黒血は浸食率が高いのだから、下手をするとマイマスター・ラグディスが危うく哲学的ゾンビになっていたのかもしれないのだし」
エイジャは呆れたように首を竦め、怒りを表明するべきかどうかを迷う振りをした。しかし、
「とはいえ、結果としてはマイマスター・ラグディスの性能は向上した。いや、【本来の力が解放された】とでも言うべきかな? 君に支配されることなくね。まぁ、なんにせよ君のおかげだ。【色々な意味で】。その点については、むしろお礼を言うべきかもしれない、と俺は考えているほどさ」
口元に微笑を浮かべるエイジャとは裏腹に、勾邑はやや唇を尖らせた。顎に手をやり、サングラス越しに上空を見やる。
この時、やはりと言うか何というか、周囲で燃えるアグニールの猛火を、二人はもはや空気のように扱っていた。
「おや? 確かに決定的な手応えはありませんでしたが……それでも相応の量を注入したはずなのですけどね?」
だから彼は私色に染められたはず――そう告げた勾邑に、はっ、とエイジャは吐き捨てるように笑う。
「残念だったね。確かに君の黒血はほぼマイマスターの精神を支配していたさ。けれど、他にもイレギュラーなことがあってね。ほら、君の力は【現人神のそれと相性が悪いだろう?】」
揶揄するようにエイジャが問うと、勾邑は間髪入れず右拳で左掌を、ポン、と叩いた。
「――ああ、なるほど。【ヴァイキリルですね?】」
この声にそっぽを向いていたアグニールがピクリと反応した。不機嫌な猫のように耳だけを二人に向け、『なんやの? ハヌムーン姉様の話しとるん?』と、興味などなさそうな素振りで絶大な関心を向ける。
「そうですか、どうやら中和されてしまったようですね。確かに彼は〝ロイヤルブラッド〟の持ち主でしたし、純血との相性も抜群でしょう。私としたことが迂闊でした。すっかり失念していましたよ。せっかくアグニールと一緒にいるというのに。まだまだ私も未熟ですね」
はぁーやれやれ、と長身の男は仰々しく肩を落とし、首を横に振って落胆を露わにする。
「――。」
先程のヴァイキリルという名称と、今度は己の名前が出されたことで、もはやアグニールは聞こえていない振りが出来なくなっていた。
赤と青の瞳をゆっくりと、エイジャと勾邑の二人に向け直す。それから現人神の少女は、宙に浮く和傘を黒尽くめの男の近くへと寄せた。
「なぁ、勾邑はん。今の聞こえとりましたえ。なんなん? ウチらと勾邑はんは相性が悪いん?」
「おや? 知らなかったのですか、アグニール」
こそこそと質問してきたアグニールに、勾邑は小首を傾げた。そんな勾邑の真似をするように、アグニールも軽く首を捻る。
「へえ、何の話どす?」
「聞いての通りですよ。私の黒血と、あなた方に流れる純血は、文字通り相性が悪いのです。いわば、火と水、光と闇、みたいなものですからね。近付けるだけで、互いの力を打ち消し合ってしまうのですよ」
「へえ……力を打ち消し合う……ふぅん……」
アグニールは値踏みをするように、無遠慮な視線で勾邑の頭から爪先までを眺めやる。
「ほな、いちよう聞ぃときますけど、そんならなんでウチと一緒におりはるん? よくないんとちゃいますのん? ウチにもその、クリアなんちゃらが流れとるんやし」
怪訝そうな目で見てくるアグニールに、勾邑は軽く片手を振った。
「いえいえ、【だからこそ】ですよ、アグニール」
あはは、と朗らかに笑う。
「言ったでしょう? まだまだ私も未熟です、と。自分で言うのも何ですが、私は未だ成長途中の身。いずれは相性の悪さすらも克服した存在になれるものと、恥ずかしながら自負しております。であれば、苦手なものから逃げるのは愚の骨頂ではありませんか。むしろ自ら立ち向かい、超克する――これぞ私が私たる由縁ですよ。そうでしょう?」
「いや、知りまへんけど。やっぱりキモいわ、あんさん」
自信満々に胸を張った勾邑を、アグニールは冷たく突き放した。その唇がやや尖っているのは、勾邑の返答が期待外れだったからであろう。
「というわけで、残念だったね、勾邑。見事、君の思惑は外れ、マイマスター・ラグディスは旨い汁だけを吸えたようだ。君は彼の中の【蓋】を開け、けれど支配することはできなかった――君の一人負けさ」
余裕の表情で勝ち誇るエイジャに、勾邑はサングラスのブリッジを指で押し上げながら、なおも口の端をわずかにつり上げた。
「さて、果たしてそれはどうでしょうか? フォトン・ブラッドの色を見るに、ラグディス君には元々素養があったようですし。いくら純血の現人神が近くにいるとは言え、それだけで全てが解決するほど――私の【血】は甘くありませんよ?」
ふふ、と含み笑いを浮かべる勾邑に、エイジャは露骨に顔をしかめて見せた。悔しがるところを見たかったというのに、黒尽くめの男が欠片もその様子を見せないからである。
「まったく、咄嗟にそれだけの負け惜しみが言えるのだから大したものだよ、君という奴は」
「いえいえ、あなたのその言葉こそが負け惜しみに聞こえますがね、私には」
ただでさえアグニールの炎で灼熱されている空気が、凄まじい緊張感によって帯電する。
「ふふふふ……面白いことを言うじゃないか。ユニークだね」
「はははは、いえいえ、それほどでも。私などは凡百にして凡庸の極みなのですから」
エイジャと勾邑は双方ともに笑い合い、しかし場の空気は和むどころか緊迫の度合いを増していく。二人が面に出さない負の感情の内圧によって、空間が歪んでいくようだった。
やがて、
「――不毛な会話もこの程度にしておこうか。オレもそろそろ君達に割くリソースが惜しい頃合いだ」
ふぅ、とエイジャが溜息交じりにこぼすと、勾邑もこれに同意した。
「ええ、そうですね。私達も無駄な時間を過ごす贅沢は十分味わいましたし。そろそろお暇させていただきましょう」
「ああ、早くするといい。実を言うと既にこの空間に関するプロセスは全て終了させた。後もう少しでここは【なかったこと】になる。気をつけたまえ」
「これはこれは。ご忠告、感謝致しますよ。【ユミルの種子】さん」
「オレはエイジャだよ、【災禍の渦】」
最後の最後に皮肉で当て擦り合い、会話が終了する。
こうして終始、殺伐とした空気を漂わせたまま、この場における干渉は終わりとなった。
「では行きましょうか、アグニール」
「へえ、よしなに」
その場で踵を返した勾邑が宙空に片手を伸ばすと、和傘に乗ったアグニールがその掌を取る。手を繋いだ男と少女の二人組は、そのまま炎に溶けるようにして姿を消した。
仮想空間に居座っていた最後の二人――どちらとも〝人〟として数えるべきかどうかは不明だが――の退去を確認したエイジャは、未だにアグニールの残した炎によって燃え続ける浮遊小島の大地を一巡だけ見回すと、
「次はもう少し〝人間〟のプレイヤーが多いゲームを催したいものだね、まったく」
自嘲気味に呟くと、そのままサブ人格の稼働を停止させた。
やがて、仮想空間ごと全てが消え失せる。
何もかもが無へと回帰した。
■
一方その頃。
エイジャの〝いたずら〟によってラグディスハルトが意識を失った直後のことである。
「おぬし何をしたッ!」
ハヌムーンは瞬間的に激昂した。失神した少年の襟元を両手で掴み、彼の左目あたりに向かって怒声を叩き付ける。
すると、不気味なことに少年の左の瞼だけが、パチッ、と開いた。ほのかに青白く輝く瞳が顔を出す。
次いで、少年の左目から滲み出るようにしてエイジャが姿を現した。
明らかな立体映像として。
「乱暴はいけないね、ヴァ――いや、〝小竜姫〟。マスターの肉体は疲労困憊なんだ。ちゃんと休ませてあげないと。ああ、違うよ、オレのゲームに参加していたのはアバターだったからね。そのせいじゃあない。そちらではなく、今日までに使ってきた支援術式の反動が溜まりに溜まっているのさ。これまで生きていたのが不思議なくらいにね」
白々しく語る赤毛の美少年に、しかし現人神の少女は一歩も退かない。蒼と金の視線を針のごとく突き刺し、
「弁を弄するな、愚物が。【何をした】と妾は聞いておる。疾く答えよ。さもなくば――」
ハヌムーンの全身から濃密な術力が溢れ出た。それは瞬く間にスミレ色のオーラとなり、小さな体から全方位に向かって放射される。物理的な力すら持つそれは、ず、とルナティック・バベル全体を微かに震わせるほどのものだった。
「――やれやれ、現人神というのは短気で怒りっぽくて、すぐに恫喝してくるものだね。流石は魂の姉妹と言ったところかな? 本当によく似ている」
同期した記憶からアグニールのことを知るエイジャは、目の前の少女との相似性に呆れの溜息を吐いた。何かあると即座に怒気を発し、力に訴えるところが本当にそっくりだ――と。
「…………」
おざなりな態度を取るエイジャに、ハヌムーンが無言のまま、さらに怒りを募らせかけた時だった。
「ちょい待ち、ストップよストーップ。危ない真似は止めなさいよ、小竜姫。ハルトがちゃんと休めないでしょ。はいはい離れて離れて」
間にフリムが割って入った。少年の襟元を掴んでいたハヌムーンの手を離させて、どうどう、と荒ぶる現人神を鎮めさせようとする。
「ロゼさん、ちょーっとハルトをよろしくね?」
「はい」
全身を使って少年の座椅子となっているロゼにそう声をかけてから、黒髪ツインテールの少女はエイジャに視線を向ける。
「ま、ハルトに何かやってんのはコイツのリアクションから大体わかってたけど、本当に大丈夫なんでしょうね?」
好意とも嫌悪ともつかない微妙な目で見てくるフリムに、エイジャは堂々と胸を張って答えた。
「もちろんさ。オレは嘘はつかないからね。こうして契約が結ばれたからにはオレとマイマスターは一蓮托生。彼の命はオレの命。故に、そこだけは信頼して欲しいね。マイマスター・ラグディスの命は、オレが必ず救ってみせると」
満面の笑みで請け負うエイジャに、フリムは頷きながら片手で小竜姫の頭を撫でる。しかし「気安く触るでないっ!」と怒った現人神の少女から、その手をペチンと叩かれて振り払われた。それを気にすることもなく、
「ふーん……ま、それならいいけど。でもアンタをすぐ信用できるはずないってのも、ちゃんとわかってんでしょうね?」
声を低め、鋭い舌鋒をエイジャに突きつけた。
「うん、いい割り切りだね、ミリバーティフリム。流石はマイマスターの姉貴分だ。感情豊かでありながら、冷静な視点と判断力を有している。意外とコマンダー向きなんじゃないかな、君は?」
「あーもーどぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっっでもいいわよ、そんなのっ!」
誤魔化すように自身を褒めそやしてきたエイジャを、フリムはたっぷり溜めに溜めた挙げ句、全力で唾棄した。頭を振り回す動きに合わせて、長いツインテールが生きているように宙を躍る。
「あのね、わかってんのアンタ? 自分がアタシ達にいったい何をしたのか、ってこと。言っとくけどそこんとこの落とし前つけない限り、いくらアンタがハルトの味方だつっても【アタシ達の味方にならないのなら】、アタシ達は全力でアンタをハルトの体から追い出すしかないわけなんだけど。そこんとこ、ちゃんと理解してないわけないわよね?」
冷静な視点と判断力を有していることと、感情がぶれないことは同一ではない。故にフリムは『冷静に』『落ち着いて』、同時に『怒っていた』。
双方が手を打てる【妥協点】をはっきりと示した上で、そこ以外では決して譲らないときっちり線を引く。
「つーわけで説明しなさいよ。アンタ、いったい何が目的であんな悪趣味なことをアタシ達にやらせたわけ? アンタとハルトの契約に必要な条件って何よ? っていうかぶっちゃけアンタ何がしたかったのよ? いやマジで」
ビシッ、と右手の人差し指でエイジャを示し、説明を要求する。
これに対しエイジャは、ふむ、と片手で顎をさする動作を見せた。
「……別段、マイマスターと契約したオレとしては、君達と友誼を結ぶ必要はないのだけれど……」
薄く淹れた紅茶色の瞳が、フリム、ハヌムーン、ロゼの顔を順に見つめ、最後に離れた場所で生還した喜びを分かち合っている『蒼き紅炎の騎士団』へと向けられた。
「――とはいえ、【そういったこと】をマイマスターが求めてくるだろうことは、火を見るより明らかだね。よし、わかった。君達の要求に応えようじゃないか」
思案し、頷いたエイジャは胸襟を開くことを示すように、両腕を翼のように左右に広げた。
にっこり、と満面の笑みを浮かべ、告げる。
「はっきり言おう。君達がマイマスター・ラグディスの仲間として相応しい存在か、試させてもらったんだ」
その場にいる三人の女傑が、絶句したのは言うまでもない。
■
結論から言えば。
エイジャの説明に対して、ハヌムーン、フリム、ロゼの三名は一定の理解を示した。
同時に、どうしようもない不満も表明した。
「つまり、ラグさんの実力を確認するのが半分、もう半分は私達のテストだったと。そういうわけですね」
「ああ、その通りさ。なにせオレのマスターなのだから。その近くにいる存在は、やはりそれなりの相手でないといけないからね」
ロゼの恬淡とした確認に、エイジャは満足げに頷いた。その声にはどこか陶酔の微粒子が混じっており、やはり三人の少女は互いの顔を見合わせ、同一の感情を抱いていることを確認しあう。
「――ってことは、何? あのゲームで死んだ奴は不合格で、生き残った奴は合格ってこと? あんな無理ゲーのクソゲーで? アンタ正気で言ってる?」
実際に胡乱げな紫の瞳で見つめるフリムに、エイジャは勢いよく指を鳴らしてみせた。
「まったくその通り。だから安心して欲しい。君達は合格さ。あちらにいる〝剣嬢〟と他数名もそうだ。しかし残念ながら、他の人間はダメだね。彼ら彼女らにマイマスター・ラグディスと一緒にいる権利は認められない」
「利いた風な口を叩くな、痴れ者が」
暗に『NPK』のメンバーを役立たず呼ばわりしたエイジャに、ハヌムーンから敵意の矢が撃ち込まれた。
「言えるものなら、ラトの前でもう一度同じことを言ってみよ。そのとき、ラトと共にいる権利を失うのは一体どちらであろうな?」
「おっと、こいつは痛いところを突いてくるね、小竜姫。それは確かにだ。今のような言動は、マイマスターの好むところではなかったね。まぁ、だからこそ【いま言っている】のだけれどね」
強く睨め付けてくるハヌムーンに、エイジャは肩を竦めて小さく舌を出す。その動作を受けて、再び現人神の矮躯からスミレ色のオーラが、ぶわっ、と噴き上がった。
「ともあれ、喜びたまえよ。小竜姫、君は当然のことながら、そこの二人――ミリバーティフリムとロルトリンゼ・ヴォルクリング。君達クラスタ『BVJ(ブルリッシュ・ヴァイオレット・ジョーカーズ)』はその全員がテストに合格したのだから。故に、少なくともオレの方からは君達を排除することはないさ。その必要がないとわかったのだからね」
「……ってか、いくら何でも仰々しすぎない? それだけのために、あれだけの空間、あれだけのバケモノを用意したっての? アンタ……」
「まぁ、こう見えてこの世界を支える施設の統括プログラムだからね、オレは。自分で言うのも憚られるが、なかなか大したものだよ。仮想空間に架空の種族を作り、虚構の歴史を作らせるなんて造作もない。それに――楽しかっただろう?」
屈託のない笑顔でエイジャが嘯いた瞬間、明らかに場の空気が凍り付いた。
ハヌムーンとフリムは当然ながら、ロゼですら冷たい視線を彼に向ける。しかしエイジャは一切頓着することなく、
「ああ、そうそう、大切なことを言い忘れていたね。何より――このゲームを通じて君達は大きく成長できたじゃないか。そこについてはオレに感謝してくれて構わないんだよ? ほら、なにせ【ゲーム】だったからね。いわゆる【経験値】というものが、君達にもたくさん入ったはずだ」
エイジャが軽く手を振ると、彼の周囲にいくつもの積層ARスクリーンが展開した。それらには鬼人の〝巨人態〟や、〝妖鬼王ゴルサウア〟の様々な姿が静止画や動画として表示されている。
「出没するのはどれも強敵。まさに膨大な経験値の塊だ。それをあれだけ倒したのだし、あまつさえラスボスの〝妖鬼王ゴルサウア〟が倒された瞬間、君達はプレイヤーとして生き残っていた。たとえマイマスターが単独で倒したとしても、経験値とは仲間にも分配されるものだからね。かなりの経験値が入ったはずさ」
「……は? え? いやちょっと待って? アンタ……なんの話してんの?」
得意気に語り始めたエイジャに、すっかり置いてけぼりを喰らったフリムが遅まきながらに突っ込んだ。
「何って、ゲームの話だけれど? 君達が身をもって――いや、仮想体をもって経験した、ね」
「い、いやいやいやいや、ちょっと待ちなさいって。はぁ? いや……はぁ? ちょっと何言ってんのか意味わかんないんだけど」
「おや、そいつは困ったね。オレは大して難しい話をしているつもりはないのだけれども……」
「ちょっとなにガチで意外そうな顔してんのよ! あのね、アンタはそもそも最初からゲームキャラみたいなもんだからわかんないかもしんないけど、人間って生き物はそんな単純なものじゃないのよ。ポイントが入ったらその分ステータスが上がるとか普通ないから。ファンタジーじゃないんだから。お願いだから現実ベースで話してくれない?」
呆れ顔で、しっしっ、と手を振るフリム。真面目に話をしないのならどっか行け、というジェスチャーにエイジャは再び顎を摘まんで考え込む。
結論はすぐに出た。
「ふむ……まぁ、信じられないというのなら、無理に信じなくてもいいさ。確かにオレの知る〝現実〟と、君達の知る〝現実〟とが違う可能性は十二分にあるからね」
詳しく説明しても無駄だ、というのがエイジャの出した答えだった。適当に煙に巻くように言うと、エイジャの方こそ手を振り、この話題を打ち切った。
ただし、
「――後になれば、きっとわかるさ」
と、聞こえるか聞こえないかの声量で、そう言い残して。
■
結局の所エイジャは、ハヌムーンとフリムの追求を【のらりくらり】と躱し続けた。
ここまで来ると流石に二人も、エイジャが本心を語るつもりはなさそうだ、と理解せざるを得ない。
しかしながら、それはそれで自身が困ることに考えが至ったのだろう。
エイジャはハヌムーン、フリム、そしてロゼに対してこのような弁解をした。
「――これはあまり言いたくないことだったのだけれど。君達からの信用を得るには仕方ない、教えておこう」
そう前置きしたエイジャは、自身の胸に手を置き、
「オレはマイマスター・ラグディスと絶対服従の契約を結んだ。わかるかい? 絶対の服従だ。つまり、オレは彼の命令を拒むことが決してできない。それがどんな命令であろうとも、オレはそれを遂行しなければならないんだ。この意味がわかるかな?」
つまり、
「――死ね、と言われたら死ぬしかないのさ。だから当然、体の中から出ていけ、と言われたらオレはすぐにマイマスターの中から出ていくしかない。無論、今すぐそんなことをすれば、オレより先にマイマスターの方が死んでしまうけれどね」
ははは、と少年の命を、吹けば消える蝋燭の火であるかのようにエイジャは笑う。
「どうだい? 事と次第によっては、これ以上の安全装置はないだろう? ああ、このことはもちろん、マイマスターに伝えてもらっても構わない。何なら彼が気絶していなければ、オレから直に説明するつもりだったのだしね。とにもかくにも、全ての決定権はマイマスター・ラグディスにある……そのことだけ、理解しておいてくれればいいさ」
自分はしょせん奴隷にすぎない――エイジャはどこか自嘲気味に、それでいて嬉しそうに言った。
ハヌムーンらは当然ながら、彼の言葉の全てを信用したわけではなかった。エイジャは自ら『嘘は言わない』と嘯いているが、それとてどこまで信用できるかわからないのだ。
しかしながら、一考の余地はある。エイジャの言うことが真実であり、彼がラグディスハルトに絶対服従するしかない仕様のAIであるならば、確かに使いようによっては大きな力となり得る。
「――よかろう。その言葉、しかとラトに伝え、確認してやろう。じゃがそれまで、ゆめゆめ余計なことをしでかすでないぞ、【化生もどき】」
三人を代表してハヌムーンが沙汰を下した。同時に、これ以上不埒な真似をしないように、とも釘を刺す。
「もちろんさ。マイマスター同様、君達とも【長い付き合い】になるのかもしれないのだし。コツコツ信頼を築いていこうじゃないか」
微かに現人神の言霊すら籠められた言葉に、しかしエイジャは軽妙に返した。口元に笑みを浮かべ、ウィンクすらしてみせる。
「――さて、それじゃあ、名誉挽回ついでに君達を『下』へ送ろうか」
「下……?」
不穏な単語を発したエイジャに、真っ先に反応したのはラグディスハルトの体を背後から抱きかかえているロゼだった。
何をするつもりだ――と言わんばかりの琥珀の視線を受け、エイジャは小さく首を竦める。
「ああ、いやいや、誤解しないで欲しいね。もうこれ以上余計なことをするつもりはないさ。本当に。ただ、ここまで付き合ってくれたお礼として、君達を街まで転移させてあげようと言っているだけさ」
「転移……」
確かめるように、ロゼはその単語を口の中で繰り返した。
強制的な転移については、既に何度も経験させられている。故にもはや『そんなことが可能なのか』などという確認は必要ない。しかしながら、
「……そう言って、浮遊都市の外側――いえ、【浮遊島の外側】などに転移させるつもりでは?」
敢えて斜に構えて受け止めてみせたロゼに、
「ああ、いいね。それも面白そ――うだけれど、もちろんそんなことはしないさ。今は何より、マイマスターの静養が優先だからね。ちゃんと安全な場所に転移させるとも」
思わず本音を漏らしそうになりながらも、エイジャは主人の安全が第一だと確約した。
「ま、そーゆーことならお言葉に甘えちゃうのが一番よね。流石にハルトを担いでルナバベを下りるってのも何だし。多分ヴィリーさん達が手伝ってくれるんだろうけど、いちいち煩わせるのもアレだし。ねぇ?」
んー、と伸びをしながら、フリムがエイジャの提案を受け入れる。そしてハヌムーンとロゼの顔を見つめて、同意を求めた。
安全が確保されるのなら否やはない――二人も首肯した。何より、少年をもう少し柔らかい寝台で休ませてやりたいというのは、ここにいる三人に共通した思いだったのだ。
「どうやら合意は形成されたようだね。それでは早速、移動といこうか」
「待て、おぬし。まだヴィリーめらに説明を――」
ハヌムーンが、あちらで騒いでいる『NPK』を指し示したが、しかし。
「え? いらないんじゃないかな?」
軽く言って、エイジャは持ち上げた両手を素早く叩き合わせた。
パン、と乾いた音が鳴り響く。
刹那、その場にいた全員が同時に別座標へと転送された。
■
ひとまず細かいことは割愛しよう。
わかりやすく結論だけ、先に言っておこうと思う。
気が付いた時には、僕は見知らぬ場所に立っていた。
「――えっ? ……どういうこと……?」
むせ返るような【甘い香り】の漂う中、僕は呆然と呟く。
『いやはや、どうしてどうして。こいつはオレにも意外な結果だね。いや、先に言っておくよマイマスター? これは【わざとじゃない】、本当だ。おそらくは――そうだね、君にもちゃんと伝わるように言葉にするなら、黒い虫の仕業だろうね。まったく、してやられたものさ。まさかこんな罠を仕掛けていただなんてね。今度会うことがあったら一緒にぶっ飛ばしてやろうじゃないか。その時は必ずや力を貸すとも、このオレがね』
頭の中でエイジャが何やら言い訳じみたことを捲し立てているが、目の前に広がる光景の意外さに、僕は絶句するしかない。
いや、僕だけではない。この場にいる全身――即ち、ハヌ、ロゼさん、フリムの三人もが呆然と立ち尽くしていた。
現在、僕達がいるのはルナティック・バベルの中――ではなく。
そして、エイジャが作り出した仮想空間――でもない。
だというのに――
上を見上げれば、どこまでも広がる蒼穹。
果てを眺めれば、地の果てまで連なる山の稜線。
背後に振り向けば、あちこちに屹立する断崖絶壁。
即ち。
「……外……?」
そう、どうしようもなく屋外だった。
さらに詳しく言おう。
本来なら澄んだ空気が吸えたであろう、高峻なる山の上に僕達はいた。
「……いやいや……というか、もしかしなくても……この【匂い】がするってことは……」
しかしながら先述した通り、僕達を包む空気は、まったくもって澄み渡ってなどいない。
むしろ、むせ返るほどの臭気に満ちていた。
何の匂いかと言えば――
「……ラト、こ、これはもしや……!?」
はたと正気に戻ったハヌが、愕然とする顔を僕に向けた。ワナワナと震える小さな女の子は、けれど驚きと同時に、隠しきれない興奮を露わにしていた。
具体的に言うと、蒼と金のヘテロクロミアをキラキラと輝かせながら。
「――これは【ちょこ】! 【ちょこれーと】ではないのか!? この、全てが……!!」
ばっ、と両腕を広げて、ハヌは抑えきれないように大声で叫んだ。
そう――僕達の立つ地面、巨大な壁のごとくそびえ立つ断崖、トロトロと波打つように麓へ向かって流れ落ち続ける山肌……その全てが【チョコレート】で出来ていたのである。
もはや間違いない。
実際に来たことはないけれど、話だけは何度も聞いたことがある。
そう、ここは――
――【チョコレート・マウンテン】。
世界に数多ある、遺跡の一つだった。
続く
※
いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
というわけで六章に向けた幕間でございました。
次からの舞台は、名前からして実に甘ったるそうな『チョコレート・マウンテン』となります。
乞うご期待ですね。
前回、書籍版の打ち切りに関するお知らせで、皆様に応援ポイントをお願いしたところ、実に多くの応援・支援をいただけました。
心より感謝申し上げます。
正直、なんだかんだと言いつつも心が折れかけていたようで……
皆様の応援が大変励みになり、おかげさまでモチベーションがかなり向上しました。
当時のブックマーク数が15000程に対し、評価してくださった方は700名前後だったのですが。
現在はブックマーク17000程に、評価してくださっている方は1670名前後と、明らかに増加しております。
本当に、本当にありがとうございます……!!
これからも執筆を頑張って参りますので、なにとぞよろしくお願いいたします。
告知です。
既に過ぎてしまったのですが、先日の7月1日にコミカライズ版『リワールド・フロンティア』の2巻が発売となりました。
紙の本、電子書籍の同時発売です。
小説版が打ち切りとなった今、コミカライズだけが唯一続いている書籍シリーズとなります。
一定の売り上げがあれば一章だけでなく、ロゼの登場する二章、フリムの登場する三章と続いていくはずです。
ですので、お金がかかってしまい大変申し訳ないのですが、どうか皆様にご支援いただけると幸いです……!(できれば小説の書籍版を追い越して欲しいです……)
……二度目の打ち切りのダメージ……できることなら、あまり味わいたくないですから……(死んだ魚のような目)
というわけで、作者のモチベーションを助けると思って、どうか余裕のある方はなにとぞ……!
正直、小説版の半分の価格で、お買い得かと思いますので……!
荒木先生も自分も、おまけ漫画や書下ろしSS、頑張りましたので……!!
ちなみに、下の方にあるコミカライズ表紙の画像を押していただければ、ニコニコ静画さんで連載中のページへと飛びます。
まだコミカライズを目にしたことがない方がいらっしゃったら、一度ご覧になっていただけると嬉しいです。
また、既にご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、
現在、『支援術式が得意なんですが、やっぱり仲間には入れてもらえないでしょうか!?』というタイトルの新作を掲載し始めました。(どこかで見たようなタイトルですね?)
こちらは、リワフロのIFストーリーとなります。
今読まれているラトハヌの世界線ではなく、別ヒロインとの世界線。
もっと言うと、あの〝アシュリー〟がヒロインの世界線です。
物語の舞台も『ルナティック・バベル』ではなく『ドラゴン・フォレスト』になっております。
もちろん『そんなの書いている暇があるなら本編書けよ!』と思われる方はいらっしゃると思います。
自分でもそう思います。
ただ上記にもありますが、どうも少し心が折れかけていたようで(あまり自覚はなかったのですが)、5章を書き上げた後に『燃え尽き症候群』みたいになってしまいまして。
なにせ100万文字以上もありましたので、その反動が一気に来たようですね。
ですので、そのリフレッシュと言いますか、リハビリも兼ねて書いたのが、このIFストーリーになります。
本当すみません。許してやってください。おかげさまで大分回復しましたので……!
既にキリのいいところまでほとんど書き上げており、現在は毎日3000文字ほどチマチマと更新しております。(この投稿スタイルも自分としては一つの挑戦ですね。レッツ・チャレンジ精神)
こちらも下の方にリンクを作っておりますので、リワフロをお楽しみの方には是非読んでいただきたく……!
自分でもドラゴン・フォレストや、その拠点となる『包囲都市シージェスゲイト』といった設定を考えるにあたり、リワフロの世界観そのものが広がる手応えを感じました。
また、タイトルも懐かしい感じのものにしました。(ちょっと微妙に変更しております)
どうか皆様に楽しんで頂ければ、本当に幸いです。
現在、リワフロの六章をチマチマと書き溜めております。
こちらはいつも通り、ある程度の量が描き溜まり次第、web上で更新していこうと思います。
また、ずっとお待たせしている『宝物庫』の方ですが、こちらも六章の合間に手をつけてキリのいいところまで進めようと思います。
本当長い間お待たせして申し訳ありません……
シングルタスクですみませぬ……
ただ、ここ最近は「あれもこれも書きたい!」と思っているおかげか、生産力が多少上がって参りました。
一月で10万文字ほどでしょうか。
推敲チェックも入れると多少下がるかもしれませんが、大体そんな感じです。
上手くいけば年に100万文字は書けそうですね。
(本業のお仕事が忙しくならない限りは)
小説に関しては商業活動はほぼなくなりましたので(締切がないという意味で)
現在はわりと自由です。
そう。考えてみると、今の自分は何を書いても自由なのですよね。
なので、リワフロ本編(まずは6章)を進めつつ、余力ができれば他にも力を注いでいきたいなーとおぼろげに考えております。
そちらはリワフロのような大きな作品ではなくて、少なくとも50万から100文字以内に終わるようなスケールにしたいな、とも。
というわけで諸々、頑張って参ります。
どうか末永くお付き合いいただければ、これに勝る喜びはありません。
あ、告知いたしました各種リンクについては、ここから更に下の方へつけております。
どうかご確認いただければ幸いです。
また引き続き、評価蘭にて応援ポイントを入れていただけると、作者への激励、声援、催促、尻に火をつける効果があります。
よろしければ☆を押していただけると嬉しいです。
それでは。
作者の国広仙戯でした。




