あんこう椿
アンコウのどぶ汁
アンコウ一尾を捌いて部位別にしておく。肝は取り分けて半分を粗みじんとしておく。
粗みじんにした肝を鍋で乾煎りする。
乾煎りした肝に脂が滲んで来たらアンコウの身(胃袋とかも含む)、ネギ・白菜を加えて蓋をする。好みで日本酒を一垂らし。
弱火で煮込んでいくと具材から水が出るのでよく煮えた所で味噌(田舎みそなど塩辛いのが良い)で味を調える。
熱いうちに食べるのが良い。敢えて窓を開けて風を呼び込みながら食べるのも良いかもしれない。怒られるけど。
これには焼酎ロックで!
大寒であります。おおさむと読んでしまった私は笑い話のネタを出したようなものでありましょう。タイトルは某演歌の名曲とは関係ありません大島の皆さん一日も早い復興を祈願しております。
今回はアンコウの話を騙ろうかと小豆を潰したものでもフランスの死神でもありませんよ。
アンコウ、冬の鍋商材として有名なのではありませんでしょうか?とは言え、常日頃から食べつけている方はさほど多くないような?一度食べたっきりとか食べたことがないという方が多い気がします。私も魚屋を始めるまでアンコウなど触ったこともない高級食材だと認識していました。
そしていざアンコウを前にすると、どうやって捌けばよいんだなんて言う話があちこちがきかれます。素人さんは判るのですけど魚屋さんでも実際に丸から捌いたことがないという人御結構見られます。吊るし切りとまで言われたら、ごめんなさいする切り手さんの多い事多い事。私もあまり自信がありません。
普通に切るだけでしたら俎板でも十分できますのでお試しあれ。
とは言え、捌くとなればどうしたらよいのかと聞かれたり教えを乞う事もありますので簡単に私流のやり方を綴ると致しましょう。
まずアンコウの口を切り取ります。アンコウの口と言うのは歯が鋭くて間違って触った日には切ってしまうし、アンコウのヌメヌメが傷口に着いた時には膿んでしまいそうですから。これは出刃包丁の根元で叩くように切っていけばよろしいです。
お次はひれを落として皮をはぎます。口を落した切跡とかから手で簡単に向けますので楽ちんです。別に皮が身についていてもまとめて煮てしまうからあまり気になさらずとも問題ありません。続いて腹を裂いて内臓を取り分けます。基本全部使えるので分けておいておきましょう。胃袋と腸は内容物をしごいてから切り分けます。肝臓は一緒に調理したりアルミ箔で包んで成型してから蒸してアン肝にしたり・・・・・・最後に身の部分をぶつ切りにして終わりです。
文字数にして200文字程度、私が実際に捌いても10分と掛かりません。はい、簡単に言うなと言われそうでありますけどアジサバ捌く程度の技量があればだれでもできると思います。なんといっても多少失敗してもブツにするからそんなの関係ないという気楽さであります。吊るし切りとなればもっと面倒ではありますけどまな板がヌメヌメするから皮をはいだりするときに吊るした方が楽なだけで部位ごとに分けてからは俎板でぶつ切りにしているし・・・・・・・・
最近では切った状態で入荷してくるので更に捌く機会がなくなるというものでございます。
さて、アンコウとなれば味噌汁と言うか鍋、これが一番鉄板の食べ方でありますけど他にも、身の部分をから揚げにしたり皮は湯通ししてから細かくしておろしポン酢でいただいたりすることもあります。が外国では身だけを食べる事が多いようです。
そのせいか輸入物のアンコウとなれば身だけが来ることが多く他の部分はどうしたと疑問に思える事も、肝だけ別売り?それは理解できる、アン肝は高く売れるから。皮とか胃袋とか色々あるじゃないか!これだから魚食文化の根づいていない未開の野蛮人共は・・・・・・・・
フグとアンコウの区別もつかない連中だから仕方ないのか?
さて、アンコウは水っぽい魚でありまして切った傍から水が出るわけでパック詰めにしたら水浸しだったなんて言う笑い話もあります。この水も味があるのであまり捨てたりすることは宜しくありません、とは言え時間がたったら臭くなるので捨てる事が多いのですが。
この水っぽさを利用した料理と言うのが茨城や福島沖あたりで良く食される漁師料理【どぶ汁】というものであります。この料理の面白い所は水を使わず具材から出る水だけで食するところであります。私も一度試したことがあるのですがすごい物ですねぇ、あんなに水が出るなんて・・・・・鍋物は具材から水が出る物なんですねぇ・・・・・
「売れ残りだからってアンコウ一匹持っていたのは知っていたがそんな事をしていたのか。」
ちゃんと購入したからいいじゃないですか。
「お客様への調理見本として用意しとけよ。」
それはお勧めしませんけど・・・・・・
どぶ汁作ってみました。
「・・・・・・・・・・・・見た目ごった煮だな。」
「茶色一色。」
「・・・・・・・・・・・何が何だかわからないな。」
「せめて加熱前・・・・・・いや、それでもドリップ(食材から出る水の事)が出るから・・・・・・・・」
「ばろちゃん(仮名)これみせられないや。」
小憎たらしい顔をした小僧は出てきません悪しからず。別にレーティングに反していないから。
どぶ汁はスタッフが美味しくいただきました。お客様にも試食といきたかったのですけど、骨を取り出すのが面倒だろうとか暖かいうちに食べないとと言う事で見送られてしまいましたのは建前で、実際にはマジ食いしている若手・・・・・・・・・・ちゃんと飯食っているのか?
「いやぁ、朝早くて朝抜いてた・・・・・・・・・・」
「金欠で・・・・・・」
まぁ、食べつくして鍋とか洗っとけよ。
話変わりましてアンコウを丸で飾っておくと面白いのかお客様の食いつきが宜しいようで、特に子供とか・・・・・・・・・ですから口に手を突っ込むのはやめてください。
「ほらほら、鋭い歯!」
危ないですから切りますよ!と言っている間に言わんこっちゃない。消毒薬にばんそうこう・・・・・・探している間にお客様は逃げました。とは言え、このアンコウは血がついているから売れないよなぁ・・・・・廃棄。子供が真似したらどうするんだ?おや、子供の方が残っている?
「おじちゃん、そのアンコウ頂戴。」
それ血が付いたやつだから・・・・・・・・
「だって、うちのパパの血でしょ。汚して駄目にしたんだから買わないと。」
子供の方がしっかりとしているんだなと調理までして渡すと
「うちのパパがごめんなさい。」
うんうんいい子だ。魚の口とか鰭は鋭いから気を付けるんだよ。
「うん、これをだしにしてお小遣いせびるんだ!」
あれれ、ちゃっかりしているようで。
皆さんも丸で飾っている魚にはみだりに触らないようにしましょう。
「はぁはぁ、この曲線がたまらない・・・・・・」
そこでみだらに触っているというネタは受け付けません。
アンコウを調理依頼されるのはそこそこあります。一尾千円くらいで売れるアンコウを並べておくと捌いてくれと言う依頼がちらほら。土日とか家族がそろう日に多い気がします。一匹あれば食いでありますからと言われればそれまでです。そしてアンコウの捌き方って物珍しいから見物している家族連れ。
「吊るしじゃないの?」
そこで期待された眼で見られても・・・・・・・吊るす場所がないし小さいアンコウだとそのまま捌いた方が楽。それでも、部位別にされているところを見るのは面白いらしく見ております。魚をさばくところを見るという機会が少なくなっていますからねぇ・・・・・・・捌いた状態でパック売りされてますし、私もしますし。
釣られて注文するお客様も出てくるのはありがたいのですけど・・・・・・・・
あんこう・あじ・あんこう・いか・あんこう・あんこう・あじ・あじ・・・・・・・・・間間にアンコウ入れるのは勘弁してください。あれは捌いた後でしっかり洗わないとすごい事になりますから、ぬめぬめで・・・・・・・
後アンコウ捌いている時に注文入れられた時も・・・・・・・一瞬、時間かかるよと言ってしまうのは理解してください。洗わないと作業にかかれないのです。俎板洗って注文受けて、さて一刀入れて・・・・・・・・・
「にーちゃん、アジ刺身用で!」
そのタイミングで言いますか・・・・・・・・・・
童話祭を見てたら書くの忘れてた。
さて正月は少々飲み過ぎて金欠・・・・・・・・・
気にせず飲みますか。




