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第11話 現実は奇なり 21:50

変化。


筆が乗りました。

「さて……」


 2階の俺の部屋、彼女は俺のTシャツに長ズボンを履き、椅子に座って足を組んでいた。それを見ている俺は、正座で彼女を見ていた。


「そろそろ先程の話をしましょうか?」

「あー……それよりも俺とダイエット談義でもーー」

「責任の話なんですけど」


 ひぃ。

 俺の話を聞こうとせず、水瀬は言って来る……凄い威圧感だ。


「せ、責任、すか?」


 責任って……責任だよな? 裸見て、責任取れって……そんな責任の取り方ーー


「さ、流石にもう少しお互いを知ってからーー」

「死にたい? 違うわよ」


 へ、違う?


「友達居るんでしょ? 良い人紹介してよ」


 な、何だ。良かった。そういう責任の取り方か。脂汗がダラダラ出たぞ。いや、でも待てよ? これはアイツら3人を狙った作戦なんじゃないか?

 そう訝しんで見ていると、水瀬は大きく溜息を吐いた。


「なに勿体ぶってるのよ。アンタの友達なんてたかが知れてるって分かってるわよ。下手な鉄砲も数打ちゃ当たるよ」


 ……何故だろう。逆に紹介してやりたくなってきた。


「じゃあ紹介してやるよ。とびっきりのな!」

「期待しないで待ってるわ。じゃあ早く寝ましょう、私も一度家に帰らないといけないし」


 そう言って水瀬は俺のベッドで横になった。


「そ、そこって俺のーー」

「私の裸を2回もーー」

「ご不便な所があったら仰って下さい」


 今日寝るとしたらリビングか。

 俺は立ち上がり扉の方へと歩き出す。


「何処に行くの?」

「何処って、リビングだよ。リビングにあるソファで寝る」

「妹さんが来たらどうするの?」

「麻衣は疲れてるから、朝まで起きない」

「朝アンタがリビングで寝てるのはマズイんじゃないの?」


 ………確かに。なら麻衣に気付かれずに早く起きれば良い? いや、麻衣は眠りが深い代わりに早く起きて来る。朝ご飯も作るから尚更早い。なら、最悪このまま寝ないでリビングに居るとか?


 そんな事を考えていると、水瀬が言った。


「そこの床で寝れば良いじゃない」

「……は? 本当に言ってるのか? 男と同じ部屋って……」

「冗談でこんな事言わないわよ。別に私は気にしないし。無理矢理襲ってきたら防犯ブザー鳴らすから」


 水瀬の手には、小学生の時に持っていた様な防犯ブザーが握られていた。


「本当に持ってんのかよ」

「か弱い美少女だから」

「寝言は寝て言え」


 そう言って俺は水瀬を背に寝転がった。幸い、部屋の中に冬の勉強する時に着ていた毛布があったので、それを敷いてなるべく柔らかくする。枕は俺が愛用しているペンギンの抱き枕を代用した。


 少し固すぎる気もするけど、寝れない事はなさそうだ。明日はどうするか……取り敢えず朝早くに起きないといけないからタイマーしとくか。


「明日、何時に出て行く?」


 俺は振り返る事なく、水瀬へと問い掛ける。


「……妹さんが起きて来る前」

「じゃあ4時頃になると思うぞ?」

「6時間ぐらい寝れれば十分よ」


 いつもより相当早いな。ま、取り敢えずはタイマーを設置して早く寝るか……。

 そう言って、俺は目を瞑った。認めるのは癪だが、ベッドには美少女が寝ている……だけど俺と何も起きる訳がないし、相手にも何もする気がないと言うのが分かり切っていたので、思ったよりも眠りに着くのは早かった。




 その翌日。俺のスマホのタイマーが鳴り、俺と水瀬は起き上がる……うん。雨は降っていない様だ。


「うーん……」


 水瀬は寝ぼけ眼だが、ベッドから出るとそのままカバンを持って出て行こうとする。


「化粧とかは?」

「それよりも早く出ないとでしょ? 時間も早いし、誰ともすれ違わないわよ」


 それもそうか。


 俺は水瀬と一緒に玄関先まで行く。お見送りだ、此処で1人で麻衣に見られたら大変な事になるだろう。


「服は後で返すから」

「おう」

「約束、忘れないでよね」

「ん? あぁ、紹介か」

「絶対よ」


 水瀬は俺に指を差し、詰め寄って来る。


「……そこまで紹介して貰いたいのか?」

「はぁ? ダメ?」

「いやダメじゃないです」


 何だ急に……まぁ、良いんだけどさ。

 彼女は玄関の扉を開けると、背中越しに言った。


「私は見つけたいの。私のビビッと来る運命の人を!」



 あぁ。そうか。

 それを聞いて俺は納得した。



 彼女は運命の人を見つけたいらしい。そんな夢の様な目標を口に出している。


 事実は小説よりも奇なりと言う。

 現実は小説よりも不思議な事が起こる……彼女の言う可能性もなくはないだろう。それでも、現実では彼女が言う希望の様な現実よりも、悲惨な現実の方が起こりやすいと言わざるを得ない。


 彼女はまだ現実に目を合わせる事が出来ていないんだ。

 だから彼女が嫌いなんだ、気になるんだ。目が離せないんだ。


 希望を持った、昔の自分を見ている様で。

次の投稿は12時半が目処です。(今週中には投稿します)


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