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それでも異世界は輪廻っている  作者: 詩森さよ(さよ吉)
第一部 ゲームから出られなくなった俺を助けてくれたのは、キモデブ悪役令息と犬耳幼女メイドだけでした
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第45話 様子のおかしいダンジョン


 そんなこんなでアイザック爺さんにこき使われながらも試験期間に入ったことで、生徒会の手伝いはいったん終了した。

 筆記試験は何とか無難に終え、残りはダンジョン攻略だけになる。


 中間テストの時は新入生のために難易度が下がっていたけど、こないだのキースたちの実力を見れば今回も大したことはないだろう。それでもきっちりと準備は怠らない。エリーちゃんたちが言うにダンジョンは悪魔が罠を仕掛けることが多く、時にとんでもない危険に遭遇するらしいのだ。


 前回と同じく、アルフォンスの従者として抜かりなく用意して出かける。違うのはエリカが一緒に行くことぐらいだ。エリーちゃんと同じメイドのお仕着せにもすっかり慣れたようで楚々とした佇まいは詐欺レベルだ。


「リアン、こっちゃこい。オラの横にいるだ」


 今も変わらず訛っているが、仲間じゃない相手には訛りを隠すようにぶっきらぼうに話すことを覚えている。そして俺が側に居ると、髪の毛を触ってくる。毛繕いしてくれるのだ。


「ちんまいおめぇの面倒みるのはオラの仕事だべ」


 ちなみに小さい子認定されているのは俺だけだ。現在15歳だけど魂として生まれたのが初回なので、彼女から見れば3か月の赤ちゃんぐらいなんだ。精霊にとっては見た目ではなく魂の年齢が重要視されるようだ。

 今赤ちゃんなルシィは俺より転生回数が多いので、そこまで甘やかされない。彼はどうやら大きな胸が好きらしく、良くエリカに抱きつこうとするがペリッと引き剥がされている。そしてエリーちゃんに泣きつく。彼女に抱っこされるのも大好きなようですぐにご機嫌になる。うん、俺より絶対幼いと思う。


 面倒見のいいエリカの行動は俺から見るとただの赤ちゃんに対する態度なのだが、カイルから見ると俺が彼女を攻略したように見えるようだ。もしかしたらゲーム上でこのような態度を取るのかもしれない。大まかなストーリーやちょっとした設定を知っている程度ではわからないことが多すぎる。



 それでもカイルは苛立ちを隠してアイリスとプラムと共に先にダンジョンへ進んでいった。

 前回俺とアルに1位の成績を取られたこともあったのだろう。今回は絶対に1位を取らないと成績優秀者として、王宮へもぐりこめないからだ。

 リリーが俺にカイルより良い成績を取れと言ってきたのでわかったのだが、学年1位だから紹介状を出したという名目らしい。だからそれを阻止したい彼女から命令が下ったのだ。


「ペンシルトン様、そのお話を受けますと私が王宮へ行かないといけないのでしょうか?」


「ええ、リアンならば安心して送り出せます。何か問題でも?」


「この夏はレッドグレイブ家の御仕事を手伝うことになっております。9月の終わりには爵位継承の儀があり、その準備に追われているのです。そのため主からアイザック様のお申し出をお断りしていただきました。まことに申し訳ございませんが、お受けできかねます」


 するとリリーは目を細めて、俺を威嚇するように言った。


「あの方の妻になる、このわたくしの言葉が聞けないのですか?」


 妻ってまだ婚約も予定じゃねーか。アイリスとの婚約解消も出来ていないから予定は未定だし。それでなくてもハッキリ言って絶対に起こらない未来だ。


「我が主の御言葉にはせい霊様のご意向が含まれております。たとえ国王陛下であってもせい霊様の命を退けることは出来ません。この世界を支えてくださっている方々なのですから」


 エリーちゃんはなんにも言っていないけど建前だ。でもそれが重要だったりする。特に貴族はね。

 リリーは威圧的な態度を弱めて、少し落胆したように肩をすくめた。


「……今回は諦めましょう」


 こんな胃が痛くなるようなやり取りをして断ったのだ。だいたい鬱陶しいからと言ってカイルに王宮への紹介状なんて出す方が悪いと思う。

 それに俺は魔王討伐に行くんだ。あきらかに雑用をするために時間を無駄にするなんてできない。



「今回は彼らと一緒になると、少々面倒だから少しゆっくり目に行こう」


 アルの提案でカイルたちを避けることになった。まぁ絡まれても面倒なだけだしね。

 そんなわけでいつもみたいに身体強化を掛けて駆け抜けるわけではなく、モンスターが現れたらそれを倒してと地道に進んでいく。


 冒険者として行くダンジョンよりは緩いけど、前回やキースたちと回ったよりは難易度が上がっている。ゴブリンが1匹だけなんてないし、4,5匹出てきて時間を置かずすぐに3匹来るみたいな感じである。

 俺たちは4,5匹出ても瞬殺だけど、アイツら大丈夫なのかな? 特にチェリーが動けなくなっていないかちょっと心配である。


 それに今回めんどくさいのも出てくるんだ。オークが数体なのはいい。上位種でも大丈夫だ。でもピクシー。これが鬱陶しいことこの上ない。それが数匹でたのだ。


 ピクシーは俺たちが妖精って聞いたら思い浮かべる、小型の人型で背中に羽が生えているあれだ。でもポ〇モンみたいにかわいい訳でもないし、ピーターパンのティン〇ーベルみたいに仲良くなれるわけでもない。


 こいつらはヒトの体に纏わり付く蚊みたいなものだ。いやそれよりも悪い。俺たちがオークを倒している隙に噛みついて血を吸おうとする。体長は5~15cmぐらいで噛まれるとマジで痛いらしい。ものによっては毒がある。蚊がいったん麻酔成分を注入して吸っているのをわからなくして、後でかゆみが出てくるのとは違う。噛んで激痛とともに血を吸って、ついでに殺しにかかってくるのだ。


 初めて見たのは外のダンジョンでだが、見た目よりも危険なモンスターだ。こんなのがこのテスト用のダンジョンから出てくるのか? 難易度急にあげすぎじゃねーか?


お読みいただきありがとうございます。

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