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モンスターに転生するぞ[通常版]  作者: 川島 つとむ
第十七章  新婚生活
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日本料理

 ホテルでは、部屋を二つ予約して泊まることにした。部屋には内風呂が付いていて、そこにも温泉が引かれているのでメリアスは周りの目を気にしないでゆっくりくつろげるはずだ。

 まずはそれぞれの部屋で夕食時までのんびりすることにして、僕達もせっかくだから温泉に浸かることにする。大体一時間はまったり出来そうだな~

 「今頃メリアス達もゆっくりしているかな?」

 「フィリオが煩いのではないか?」

 「初めての日本じゃあ、仕方ないよ。ここってほんとに凄いところだよね」

 「まあ僕にしたら普通の場所なのだがな。向こうの世界からしたら驚きの連続って感じだろうな~。その代わり日本人からしたら、あっちの世界の人間の身体能力は超人的に感じるかもしれないがな」

 「そんなに違うの?」

 「種族の違いとかって話じゃなくて、日本にはそれだけ肉体的にきついものがないってことになるのだが、ようは楽をし過ぎて体が鈍っているって感じかな? 危険も無いから、直ぐ隣に敵がいても気が付けないし、即対応も出来ないって感じだろうな」

 「そう聞くと、便利過ぎるのもあまりよくないね」

 「そうだな。機械でいろいろと補ってしまうから、肉体能力はドンドン退化して行っている。下手をすれば、部屋から一歩も外に出ないで生活もできる所だからな。適度に不便な方が、人間にはいいのかもしれない」

 「そうだね。私ももっと冒険とかしたいし、拠点ばかりに篭ってもいられないかな?」

 「もう少し落ち着いたら、冒険もして行きたいな」

 「幻覚で冒険者登録してあるから、そっちならいつでも行けるよ」

 「そうだったな。ぼちぼち活動して行こう」

 「うん」

 時間までのんびりと雑談して過ごし、メリアス達と合流して食堂へと向った。


 あらかじめ部屋などを予約する時に、食事についても予約をしていたので、席に来ると程なくして料理が運ばれて来る。熱々の料理は携帯用の固形燃料で温めて、他の料理を食べている間にしっかりと火が通るようになっているので、ホテルの人がそちらに火を付けて行ってくれた。まあ逆を言えば、この鍋以外は出来立てじゃないのだけれどね。

 フィリオはその場の雰囲気とかでまるで貴族の晩餐とでも思ったのか、どうしたらいいのかわからないって感じで固まっているみたいだった。

 「ここは庶民の食堂だから、テーブルマナーとか気にしなくても平気だぞ。下品にならない程度に好きなように食べていい」

 「そ、そうなのか? 何かお付の人とかいたような気がしたが・・・・・・本当にいいのか?」

 「そういう場所ならこんな大声で会話とかもマナーに反する。大丈夫だ気楽に家にいるみたいに好きにして構わないぞ」

 「フィリオ、バグ様の仰る通り。彼らはただお金で雇われて仕事をしているだけですよ」

 メリアスに言われてホッとしやがった。僕の言葉では信用出来ないと言うのか・・・・・・

 せっかく教えてやっていたのにもう知らんと、フィリオは無視してレイシアと喋りながら食事することにする。

 「本当に美味しいね、この一人用のお鍋も何か可愛くて素敵」

 「その鍋作るか? 一人雑炊とかお粥とか、釜飯とかいろいろ使えると思うぞ」

 「それって一杯作ったり二人分作るのと違って、一人分にする理由ってあるの?」

 「う~ん、日本でなら一人暮らししている人用にっていうのと、小腹が空いた時にちょっと一人分作りたくなったとか、そういう理由ならあるな」

 「それなら特にわざわざ作らなくてもいい気がするね」

 「そうか? まあいらないなら別に構わないが、欲しくなったらパペットにでも頼むといい」

 「そうだね、あの子達物を作るの好きだから、欲しくなったら頼んでみるよ」

 日本のこういうホテルや旅館なんかの料理は、見た目も結構気にしていて飾り付けなんかもセンスがある。味やちょっとした演出などの道具、それに料理の飾り付けとか目で楽しませるなど、レイシアといろいろ感想を言い合って堪能させてもらった。僕としてはもう少し家庭的な料理の方が好みだったな。こういうところの料理は、冷めたものが多いし凝っているのだけれどそれがかえって気軽に食べられなくて苦手だった。

 今日はもう夜になってしまったので、料理を食べた後はお互いの部屋へと戻って休むことにする。飛び込みで予約を入れたので、明日はまず周辺で見たり遊べたりするような所を探すところから始めないといけないな~


 そんな感じで朝が来た。

 夜中にトイレに起きたレイシアが、部屋に帰って来ないというハプニングなんかも起きたりしたが・・・・・・まあ気持ちのいい朝を迎えることは出来たかな。起してくれれば一緒に付いて行ったのにな・・・・・・どれだけLVを上げても方向音痴は直らないのだな・・・・・・

 まあとにかくメリアス達と合流して、朝食を食べる為に食堂へと向った。

 朝は量が少し控えめで、刺身や味噌汁、納豆なんかも出ていた。後パン派の人もいるだろうとお好みでトーストなんかも選べるようになっているみたいだね。

 僕は異世界ではパンが多かったので、食べられるのならお米が食べたいと思うようになっていたから、ご飯を頼む。まあ一応お米が食べたい欲求を満たす為に、マグレイア王国でお米にどことなく近い種を販売していたので、品種改良して栽培してみたりした。作った作物はそれ程美味しくはないけれど、お米もどきと言えないことはなかったな。まあそんな感じのお米は食べられたのだが、やっぱりちゃんとした美味しいお米を食べたいものだ!

 そんな僕に付き合ったのか、みんながお米を頼んでいた。メリアスは普通に僕が選んだからって感じだけれど、フィリオはメリアスに合わせたくてって感じみたいだね。

 でもごめん、多分それ僕に合わせた結果だからメリアスの好みとかではないと思うぞ・・・・・・

 「こっちのご飯はほかほかでつやつやしていて美味しいね!」

 「お、レイシアにもご飯の良さが分かるか。日本人といったら、お米に味噌と醤油って感じなのだぞ」

 「そうなの?」

 「ああ、他所の国に行くと食べられなくって、恋しくなるのだ。ああ、梅干とかもあったな。あれも欲しくなるな~」

 「へー、ちなみにお味噌はこのお味噌汁ってやつだよね? 醤油はこのお刺身に付けるたれで、梅干ってどれ?」

 「それはこっちの漬物と一緒にある、赤い実みたいなやつだ。慣れないと酸っぱいかもしれないから、少しだけ取ってご飯に乗せてから食べてみろ」

 「うん、やってみる」

 ちょっと恐る恐るって感じでご飯の上に乗せた梅干を、ぱくりと食べていた。そしてちょっと酸っぱそうにしているものの、案外気に入ったのかいい笑顔を見せてくれる。

 「確かに酸っぱいけれど、これ美味しいよ!」

 「そうか、レイシアは梅干も行ける口だったか。じゃあこの刺身の下にある葉っぱだが、このしその葉っぱをご飯に乗せて、さっきの梅干も乗せて一緒に食べてみろ。美味しいと思うぞ」

 「うん、わかった」

 こっちでレイシアにいろいろ説明していると、メリアスとフィリオも真似をしてレイシアと一緒に食べていたりした。そういえばメリアスには知識はあるものの、実体験はないのだったかな? そうすると結構日本観光は彼女にもいい経験になって、楽しいかもしれないな。

 そんな事を考えながら、納豆はいらないって避けて食事を続けていると、レイシアがしその葉っぱを気に入ったように瞳を輝かせていた。喜んでもらえて何よりだな。

 「この豆は食べないの?」

 「あー、わるいがそれも好みで別れるが、僕には合わなかったのだ。その豆は納豆と言うのだが、食べ方は確かこんな感じだったかな?」

 今使っている箸は使いたくなかったので、割り箸を取り出すと納豆を捏ねて卵と醤油を少したらしたものをみんなの前に置く。さあ食べろって感じで見ていると、女性二人から視線を向けられたフィリオが挑戦した。

 糸が一杯伸びてうわーって感じだったけれど、箸を使って糸を巻けって合図を出すとその通りにして味わっている。

 そんなに嫌って表情はしていないな。ってことは、フィリオは納豆食える派か。

 「別段不味くはないぞ。と言うかそこそこいい味じゃないか? この糸はちょっと止めて欲しいがな」

 その感想を聞いたレイシアとメリアスがちょっとだけお試しと、納豆に手を出して行った。その結果は二人とも普通に食べられるようだった。結局駄目なのは僕だけだったか・・・・・・

 そんな感じで賑やかに朝食を食べ終わる。


 さて、ホテルには一週間の滞在で予約を入れたので、まずはどこを見に行こうかとホテルのロビーでいろいろとパンフレットを貰って来て、四人でホテルにあるカフェテラスに集まった。

 それぞれに飲み物を注文した後、早速行って見たい所を探してみる。

 そうするとやっぱり近くの大自然を見てみようって感じのものが多いことがわかった。でも彼らはどちらかといえば大自然のプロだといえるだろうから、こういうものはわざわざ日本に来てまで見るものではないかなって思う。

 だって冒険者として常に大自然の中を駆けずり回っていたのだからな~。そう考えるとこれらの自然を見に行くものは、彼らにはあまり魅力が無いように感じられた。

 都会っ子の僕なら風情を楽しめるのだけれど・・・・・・

 おっ! 花火大会っていうのがあるじゃないか。日本の伝統衣装の浴衣を着せて楽しむっていうのも有りかもしれないな。向こうには花火なんて存在していないから、これなら楽しめるかもしれない。

 「明日の夜になるが、この花火を見に行くか?」

 「バグ様、それは素敵ですわ」

 「なあ、その花火ってなんだ?」

 「花火って、どこかでバグが言っていた気がするよ」

 「えっと、夜空に色とりどりの光を浮かべて楽しむ感じかしら?」

 そういえば、浴衣はいいと思ったが、メリアスは羽が邪魔で着られないのか? 後でパペットをこっちに呼べるか試してみるかな・・・・・・

 「まあ、とりあえずそういうイベントがあるから、明日の夜は見に行こう」

 レイシアはよくわかっていないけれど、とにかく楽しみにしておこうって感じだった。とりあえず今日だな。

 ガラス工芸とかこれも僕には面白そうだけれど、みんなにはどうなんだろうな? パンフレットを見て有りか無しかって考えていると、隣からレイシアが覗き込んで来た。

 「キラキラしてて綺麗だね。これってひょっとするとガラス?」

 「ああガラスだが、興味あるか?」

 「向こうにもガラスはあるけれど、庶民向きじゃないからね」

 なるほど。それならばガラス工房見学や、体験コーナーとかも楽しめるかもしれないな。そんな訳で今日はここに行ってみることになった。


 まずはお店まで行って、ここで作られているガラス製品を見て回る事にする。ガラス工房は店の裏にあるみたいなので、店内を見終わったらそっちに行って体験コーナーを受けよう。

 「ガラスは割れやすいから走ったり触ったりするなよ~」

 メリアス達とは一度別れて、お店の中をそれぞれの相手と一緒に眺めて行く。グラスや皿、ガラスの彫像などいろいろな物が並んでいる。

 「綺麗だけれど、パペットの作っている方が技術的には上かな?」

 「あー、あいつらは人間じゃないから、人間では出来ないところまで手が出せるからな。金属を素手で捏ねたりとかするから、人間より細工出来る幅が広いのだろう」

 「そっか。確かにパペットだからこそってところもあるかもしれないね」

 「そうだな~。見るべきところとしたらデザインとかセンスとかかな? そっちなら人間とかモンスターとか、独自の視点があればまた違って来るが、種族に関係なく同じ基準で競い合えると思うよ」

 「そうだね。センスか~。結構大事だね」

 「だな。こればっかりは個性が出て来るし、才能も影響するな~」

 その後はデザインや発想など、センスのよしあしなど意見を言い合いながら、ガラス製品を見て行った。メリアスの方を窺ってみると、猫の置物が気に入っているようだな。それに対してレイシアは動物系の物はそんなに気にしていない。まあ動物なんて冒険者にしてみれば、ただの食料だろうしな。

 僕がレイシアの好みを見ていたように、レイシアも僕の好みが知りたいようなので、お互いにお店の中で一番気に入った物を選んでみる事にした。ちょっとガラスのお城とか、興味があったりするけれど、あれって表面的なものだけなんだよな~。中の構造もガラスで作ってあったら間違いなく即買っていたな・・・・・・

 そして結局選んでみた物は、なんの捻りもない犬の置物だった。なんとなく昔のわんころを想い出したから、これにしてみた。まあ実際に猫よりは犬の方が好きだしね。

 レイシアはガラスで出来た宝箱のオルゴールが気に入ったみたいで、オルゴールを聞きながら、ガラス細工の模型がクルクル回っているところを熱心に見ていた。

 せっかくなので、メリアス達にも何か一つ選んでもらって一人一つずつ買って行くことにする。パペットに頼めばいくらでも作ってくれるとは思ったのだけれど、まあこれも記念品だしね。まあでも、こんなのがあったよって感じで帰ったら見せてみよう。いい刺激になると思う。

 その後ガラス作り体験コーナーで、アクセサリーを作るやつに参加してみた。ガラスで出来た球に色ガラスを細くして巻き付けて模様を付けるやつだった。僕のとレイシアの分は二つ繋いでレイシアのブレスレットにしてもらった。


 そんな感じでガラス工房を楽しんだ後、ホームセンターを見付けたのでちょっと寄って行くことにする。確かここには種とか売っていたからな。こっちのご飯を食べていたらやっぱり日本産の野菜とか欲しくなったので、ちょっと種を仕入れて行きたくなった。

 メリアス達には好きに見てもらって、僕はレイシアとまずは種を見に行ってその後店内をいろいろ見て回った。さすがにお米の種とかはここにはなかったな~。でもやっぱりお米は日本人としては外せない気がする。帰る前にどこかで手に入れたいな・・・・・・

 ホームセンターの中をいろいろと見て回り、今後異世界で必要な物がないかアイデアと、向こうに持ち込みたいようなものを探していると、メリアスが化粧品コーナーにいるのを見付けた。やっぱそういうものが気になるか。

 「レイシアもちょっと見て行くか?」

 「じゃあちょっと行って来る」

 女性二人、楽しそうにいろいろ見ているので、あっちに帰ったらこういう女性用のアイテムも、開発が必要かなって考える。

 しかし、こっち方面は一切知識がないのだよね・・・・・・どうしたものか・・・・・・

 企業スパイみたいになりそうだけれど、やっぱりこっちに調査用のパペットでも潜入させるか? やって出来ないこともないのが微妙に悩ましいところだよな・・・・・・

 まあ常識的にそこまでしてしまうと、駄目だろうって気がするのでせいぜいあっちで真似るくらいがいいだろうな~。そんな訳で、メリアスには必要そうな商品を買って行くように指示を出しておく。

 時間的にはちょっと早いかもしれないが、ホテルへと帰り明日の為にパペットを連れて来てみようかな。

 呼び出したのは女性型パペットで、メリアスとついでに僕達の浴衣も作って貰いたいと依頼すると頷いてくれたけれど、素材や道具が無いので一度拠点に送り返す。

 問題は向こうとこちらの時間の経過速度になるのかな? 地球の方が時間の速度が早ければ、浴衣が完成するまでに何年もかかるなんていう事もありそうだよね・・・・・・

 こっちにいながら、向こうと連絡とか付けられないかな? そうしたら進捗状況などもわかりそうな気がするのだけれど・・・・・・


 その後悩んでも仕方ないかと考え温泉に入ったりのんびりレイシアと話をして過ごしていると、夕食の後で何か必死に伝えたいみたいな感情が伝わって来た。これはひょっとして女性型パペットかな? そう考えて早速呼び出してみる。

 やって来たパペットは手にいくつもの包みを持っていて、どうやら無事に作り終った様子だった。

 早速メリアス達も部屋に呼んでとりあえずそれぞれの浴衣を羽織らせてもらう。これは明日実際に着付けしてもらった方が良いかもしれないな~

 「なかなか良い出来だ、ありがとう。明日時間が来たら着付けてもらいたいのだが、出来るか?」

 まずはそれぞれに似合っている浴衣だったので、その仕事を褒めて着付けが出来るかどうかを確認してみる。特に問題は無いようでしっかりと頷いてくれたから、明日よろしく頼むって言って一度拠点へと送り返した。

 「これが浴衣・・・・・・可愛い服だね」

 レイシアは金魚の絵の描かれた浴衣だった。子供っていう程の年齢ではなかったのだけれど、黒地に赤い金魚に所々に金色で水を表現されたガラの浴衣は、よく似合って見えた。僕のは黒っぽく見えるけれどよく見てみると紺色っぽい生地で、ガラなどは派手過ぎないシンプルなものになっていた。それで地味過ぎないところもなかなかいいし、レイシアと並んで立つと、微妙に色違いな事が分かっておおって感じになる。離れるとどちらも黒に見えるのがまた芸の細かい演出だった。

 こうして見ると出会った頃は確か十四歳ぐらいだったらしいので子供子供していたけれど、しっかり大人の女性に成長したものだなって感慨深くレイシアを観察してみる。これは髪の毛が伸びたからそう見えるのかな?

 胸は成長しなかったようで、そっちはちょっと残念ではあるのだけれど、かえって胸が薄い方が浴衣は似合うそうなのでちょうどよかったのかもしれないな。こういうのは浴衣美人とか言うのだったか? 明日が楽しみになったよ。


 翌日の朝食は五目御飯に冷やっこ、鮭などのこれもある意味日本らしい朝食だった。それらを堪能しながら夜までどうしようかと考える。僕ならこっちでのんびり過ごすのがいいリフレッシュになるのだが、レイシア達にしたら日本に来て何やっているのかって感じだろうな。

 やっぱり温泉街とか疲れた人達がのんびりするところだから、若者向けの秋葉原辺りに行った方が日本を楽しめるのかもしれないな。また映画とかを見てもいいだろうし、遊園地は・・・・・・あれは現代の人が味わうスリルだから駄目か。動物園もレイシア達には微妙そうだな。

 下手をしたら採って食べようとするかもしれない。

 レイシア達にネットゲームを教えるってのもやっぱ駄目だろうな~。面白いのだが・・・・・・

 無難なところでウィンドーショッピングとか、体験出来るタイプの電化製品でも見せたりしてみるかな? そんな感じで午前を買い物にして午後に映画を見たりして過ごしてみた。買った物はレイシアが亜空間にしまってくれるので、かさばったり重量に苦労する事もなく快適だった。

 そして夕方くらいにホテルへと帰り、パペットを呼び出して着付けをしてもらう。せっかくだから下駄もって思ったけれど、こういう慣れない履物は足を痛めたり、転んだりするので違和感がない履物を用意してもらった。

 着替えた僕らは同じく花火を見に行く人の流れに乗って、花火が見られるところへと移動して行く。こういう時調査のスキルとかあれば、人が少ない穴場とか見付けられるのかもしれないな・・・・・・あのスキル、どうやったら再び習得出来るのだろう? 惜しいスキルを失くしたものだ・・・・・・


 体の芯に響いてくる重低音と夜空に輝く光の花。しばらくレイシア達は声も無く次々と打ち上がっていく花火を見詰めていた。

 「これが花火。何か凄く綺麗だね。光でこんなイベントをするなんて、日本って凄いわ」

 レイシアはそう言って再び花火に見入っていた。

 「凄い音だな、これは何なんだ?」

 「これは火薬が爆発している音だな。火を付けると爆発したり燃え上がるのが火薬ってものなのだ」

 「へ~」

 向こうには魔法があるので発展する事がなかった化学物質ってやつだろう。そもそも火薬になりそうな物質自体向こうにはあるのだろうか? 金属も、今だに鉄を見かけたことがない気がした。銅と銀、それと金はあったみたいだけれど・・・・・・

 世界が変われば物理法則すら変わっても不思議ではないだろうな。魔法がそのいい例だろう。

 花火を見終わって人並みに流されるようにホテルへと帰って来る。花火に圧倒されてどこかフワフワした感じのレイシア達を連れて部屋まで帰って来ると、遅くなったが夕食を食べに行った。

 天ぷらがメインで美味しい夕食だったけれどみんなの会話は花火が凄かったとか、綺麗だったとかそんな話が多かったな。向こうに帰ったらちょっと火薬が作れるものかどうか調べてみるのもいいかもしれないな~。打ち上げ花火は無理でも手で持つタイプの花火なら、たまにやってもいいかもしれない。

 そんな感じで盛り上がり、楽しんでもらえたのなら行けて良かったと思える。浴衣についてはまあ普通に珍しい衣装程度の感想かな? 女性なので衣装など着飾ることとかは好きみたいだったけれど、花火のインパクトには夕食すらも霞んでしまったようだ。


 その後も一応遊園地や水族館にいって見たり、映画も何回か見てみたり、日本だけじゃなくて外国なども行ってみたりと一週間程楽しんでから元の世界へと帰って来る。お米は初めて農協というところへ行って、いくつかの種類の米と果物や野菜などの種などを手に入れることが出来た。

 時空系の魔法が使えれば直ぐにでも育てて、美味しい料理が味わえたのだろうが当分は無理だな。

 拠点で旅行疲れを癒しながら今後どうして行こうかと考える。まずは今回仕入れて来た野菜などの栽培などをして行こう。それと今まであまり考えて来なかったけれど、日本製の女性用品をこちらでも開発していければ、レイシアだけでなく幸も便利になるかもしれないな。

 そう思ってまず農民パペットに栽培を依頼する。伐採パペットも手伝ってくれると思うから後は任せておけばいいかな~

 問題は女性用の品物はどいつに任せればいいのだ? とりあえず女性型のパペットを呼んで、開発に関われそうなやつでも呼んでもらおうとしたら・・・・・・

 既に一部のアイテムを開発しているのだそうだ・・・・・・美容液みたいな化粧品になるのかな? そういうものは錬金パペットが研究して布製品はこの子が、小物なんかもドワーフパペットなどが手伝って作っていると多目的シートで報告された。

 依頼なんかしていなかったのにいつの間にそんな物を作っていたのかと思っていると、幸がレイシアのところに遊びに来てこっちにはそういう品物が無くて困るという話をしていたところから、開発してみようってなったのだそうだ。

 なるほど・・・・・・じゃあ今回仕入れて来たいろいろな物があるので、引き続き開発していってくれって頼んだよ。ただ、いきなり使ったりして肌荒れとか体調に異変が出ると困るから、安全性を確認出来る魔道具とかが欲しいな。


 う~ん、安全性を確かめると簡単にいっても難しい・・・・・・。今まで何かしら問題があるのなら、ヒールの一発で治ってしまったので、今更どんな害がとか考えても来なかったのだよね。ちょっと考えてわかるのは酸性がきつ過ぎると肌がひりひりするとか、そんな程度だけれど・・・・・・

 化粧品とかになって来ると、一日中顔とかにくっ付いているものになるのだろう? 乳液とかハンドクリームとかも、肌に塗り込んだりするから、ヒールで対策とかありえないのだよな~。どうしたものかな・・・・・・

 とりあえずは遺伝子のような情報を獲得させて、薬品や肌に触れる物が何かしら悪影響を与えるものかどうかを判断させよう。それだけだとどう悪いのかがわからないと思われるので、影響結果の情報を取得させるシステムがいるのだが、上手く判定出来るものなのかな?

 とりあえずレイシアの髪の毛を拾って来て、試してみることにした。

 遺伝子情報を魔道具へと読み込むのに箱になっている所に髪の毛を入れてみると問題なく情報を取得出来る。さてまず第一段階は大丈夫だな。これで魔道具の先端にある検査部分に火を接触させるとどうなるか・・・・・・

 魔道具の水晶で作られた結果を表示する部分には火傷と出ていた。まずは成功といっていいかな? 次はアルタクスに協力してもらい、酸を出してもらう。さてどうなるかな?

 結果は強酸。ステータスを見てみたけれど、確かに強酸ってスキルがある。他にもいろいろと試してみたけれど、確かめられる範囲では問題なさそうだった。ちなみに害がない果物に押し付けてみたところ、特に表示が出て来なかった。

 よくあるかゆくなるとか肌が荒れるって感じの物も、ちゃんと表示されたたので、完璧なのかどうかはわからないけれど、一応完成としておこう・・・・・・幸も必要とするだろうからもう一台魔道具を作ってこれで安全性を確かめてもらうことにしよう。

 女性パペットを呼んで使い方を説明すると、魔道具を二つ渡して後は任せる。完成したアイテムは、いつまでもタダで援助していても向こうも心苦しいかもしれないので、販売する形にでもしてもらおうかな。幸も冒険者として生活している事だしね~


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