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モンスターに転生するぞ[通常版]  作者: 川島 つとむ
第九章  新たな力
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バグ達のお店

 元々は豊かな国でさまざまなコネを持ち、豊富な品揃えを扱う事ができる実家の力があったブレンダは、マグレイア王国で元から商売をしていた者達を、圧倒する力があった。

 そもそもが、こんな小国の王家に取り入るメリットはないので、他所から商人がやって来ることがなかったって事情もあるだろう。そこに力ある商人がやって来たので、今まで王室御用達と呼ばれていた商人達は、なす術もなくその座を譲り渡すこととなった。

 ある意味、豊かな国でさえブレンダの扱う商品は、価値が高かっただろうね。

 地盤が固まったブレンダは、早速大通りに土地を確保。

 それを受けて、ブレンダの店には僕達の待機場所ともいえる部屋を内部に組み込んだ設計で、パペット達に建てるように指示を出した。外見が出来上がるまでにわずか数日、内装でいろいろと凝った為に少し時間がかかり、大体十二日程でお店が完成した。

 城下町に住んでいる人達は、突然に出来上がった豪華な造りのお店に驚き、その品揃えを見てさらに驚いて、最後には歓迎したという。

 まあそれでも、取り扱う品物は高級品が少なめで、ほとんどがそこまで値段がしない物がほとんどになった。

 元々資源が少ない国だったから、町民はお金をそれ程持っていない為だった。

 このお店を造るメリットは、ブレンダの実家からしたら本当にあまりないのである。

 ブレンダにとってメリットとなるのは、このお店を維持することで、本来の拠点で売る為の魔道具や、僕によって生産された物品を納品してもらえるということだけといってもいいくらいかな?

 なので、基本的に赤字にならなければ、儲ける必要性はなかった。

 店が出来た後でブレンダは、借りが返せたのでほっとしたと口にしていた。全く借りが無くなったって訳ではなく、一部返せたかなって程度でしかないけれどね。


 さて、ここで僕達のメリットになるものは、安定して連絡を付ける場が出来たこと、お店を持ったことで各村と連絡をつけられるようにして品物の配達を可能にしたことで、国内に流通が生まれて国全体が豊かなになることだ。

 レイシアとの冒険の方は、急ぎ対処しなければいけない討伐をあらかた終えて、リストの大半を討伐し終えることが出来た。まだ危険なモンスターはいるものの、活用できる土地が広がりこれも国が豊かになるのに貢献できたと考えられる。

 あまりやると、周りから討伐できるモンスターがいなくなってしまう為、僕らは討伐以外の仕事もすることにする。

 レイシアは錬金術を生かして薬の類を作って、お店で売ってもらうことにした。後は癒しの力があるので、簡易的な診療所をすることも出来るしね。急患が出た村などではとても喜ばれているようだ。転移して直ぐに治療に向かう事ができるので、手遅れになるという事がほぼ無くなったといってもいい。

 僕の方は伐採担当のパペットに依頼して、野菜や果物、香辛料の類の品種改良をして、それらの種などをお店で売ってもらっている。

 こういうものなら、お金があまりない町の人などもお金を使って買い物して、またお金を稼ぐことが出来るだろう。

 お金を稼ぐ事ができるだけでなく、美味しい食べ物なども増えて健康的な国民が増える事になるだろうと思える。まあ僕の方は直ぐに結果が出るものではないけれどね。


 そんな感じでマグレイア王国で生活を始めてから一ヶ月くらい過ぎて、僕らも大分ここに馴染んできた。

 今では何でも屋のような感じで、僕達にはさまざまな依頼や、相談事なども持ちかけられている。

 レイシアには主に病気や体調管理、後はモンスター関係の話がよく来る。現役の冒険者なので、役所の方から討伐依頼がある時は、店の方に討伐リストを持って来るようになった。

 僕の方は、主に身の周りの生産、道具、環境改善などの話と、魔道具の作成依頼が来るようになった。

 ただ魔道具の生産は、そんなにはほいほいと引き受けることはない。

 なんとなくだけれど、バランスを崩してしまいそうだからだ。

 後、作った魔道具は、ブレンダの店に置いてもらい適正値段で売り出すように考えている。無料で作る気もないからだ。

 これらの僕らの活動は、例え王家からの依頼であっても、こなす順番を含めて、こちらが決めたようにさせてもらっている。今のところ揉めたことはないのだけれど、揉めたら徹底抗戦するって気持ちでいる。


 そんなある日、危険が少なくなった森でキノコ狩りがあり、僕らにははぐれモンスターを警戒して護衛としての参加を依頼された。

 討伐ばかりが依頼ではないだろうから、気分転換も兼ねてついでにキノコ狩りに参加する事にする。

 でも、キノコっていったら、見た目で食べられる物かどうかが判断できなくて、素人は危険って聞いていたのだけれど・・・・・・・・・・・・参加者の中には子供も含まれているのだが、大丈夫なのか?

 とりあえず採って、後で鑑定でもするのだろうか?

 ちなみに僕にはさすがに見分ける自信がなかったから、魔法で毒の有無を感知しながらキノコ狩りを始めることにした。

 最後にはキノコ鍋が予定されているそうだ。

 レイシアは方向音痴なので二人でキノコを探しながら、時折異常がないか周りを警戒する。一応仕事だからな。異常が無い限りは普通にキノコ狩りを楽しんでくれていいと言われていた。

 初めて直ぐに、慣れていないとキノコは中々見付けられない事実に気が付いたよ・・・・・・

 魔法で、毒のキノコを発見することは出来るのだけれど、食用キノコは警告も何も出ないので、どこにあるのかがわからない・・・・・・

 もう見る物全てが毒入りかってくらい、毒キノコは僕の中で存在をアピールしているのに・・・・・・まあでも、こういうところでずるをしたら、キノコ狩りの醍醐味がないのだろうな~

 そんな事を考えながら、木の根元を見て回る。

 「あ、あった!」

 レイシアが採っているキノコは、木の幹につっくいていた。

 根っこばかりじゃないのだな。そしてもう一つの特徴は、この木は周りの木よりもちょっと細い。

 気が付いてしまえば簡単にわかることなのだが、キノコに寄生されて栄養を吸われている木は周りよりも成長が遅くて当たり前だった。それさえわかってしまえば他の事にもいろいろ気が付く事ができてぽつぽつと見付けることができるようになってきた。

 まずは単純に他よりも細い木を探すとか、根元以外にも目を向けてみれば草の陰や枯葉の下など、いろいろなところで見付けることができた。思い込みは視野を狭くするってことだね~。それがわかればキノコ狩りも結構楽しめたよ。

 魔法で楽して探しちゃうと、作業になっちゃうので、こういう楽しみは味わえないな。

 しばらくの間キノコ狩りを続けていると、ちょっとした崖のところ、草が垂れ下がっている場所に穴が開いているところを発見した。

 「ライト」

 中に何かがいたら危険だと思って少しだけ入ってみると、意外にも奥の方がまだまだ続いていることがわかった。

 どうやら洞窟のようだ。

 地面を調べて見ると人間以外の何か、動物も含めて何かの通った後がある。こんな小さな国にも、未知の洞窟とか存在しているのかもしれないな。

 今は一応依頼の途中なので、入り口を結界で封鎖して後で来ようと考えた。

 久しぶりに、楽しめそうだと思う僕だった! 後ろに付いて来ているレイシアも、ちょっとわくわくしているようだったな。だから声をかけておく。

 「後で来よう」

 「うん!」

 一応、念の為にキノコ鍋を食べて解散してからって、レイシアと確認しあう。


 キノコ鍋、とても美味しかった!

 結局モンスターや野生動物などには遭遇しないで、みんなで楽しく帰還して来ると、みんなが採って来たキノコを、農家の人と狩人の人が提供してくれた食材と一緒に料理して食べることになった。

 確か日本の田舎とかでも、こんな町内会みたいなものが、あったと聞いた事があったけれど、ここもアットホームな国だから、こういう感じのものがあるのだろうな~

 普段殺伐とした戦闘ばかりしているから、たまにはこういうイベントもいいものだと堪能できたよ。

 でもって、そんなテンションで洞窟まで来ていた。

 入り口から入って五・六メートルだろうか?

 人が一人通るのがやっとって感じの穴を奥へと進むくと、人工的な壁に強引に穴を開けた感じの所へと出られた。

 壊れた壁などの様子から、中から外へと破壊されている感じがするな。

 つまりは、中にいた何者かが、壁を壊して外に出て行ったのが僕達の通って来た洞穴の正体ってことだろう。

 「牢屋かしら?」

 後ろから付いて来ていたレイシアが、この部屋を見て感想を言う。

 確かにそこまで広くない部屋に、正面に鉄でできた扉、簡易的なベッドがあった感じで他には何もなさそうだ。

 不衛生なように見えるのは、時間の流れなのか、実際に囚人となっていた何者かが、入っていたからなのか。

 とにかく、マッピングシートの具合を確認しながら扉の方へと移動した。地図はちゃんと自動で表示できている。上手く機能していそうだな。

 「召喚、ウルフ」

 以前のように、狼が二匹出て来て、扉の向こう側の音を拾う。しばらくそのままでいた後レイシアは言った。

 「向こう側には何もいないと思う」

 動物と意思疎通ができるので、こういう時はほんとに便利だよね。

 まあ、僕にも調査のスキルがあるのだけれど・・・・・・何でもわかっちゃうのは無粋だろうな。せっかくなのでスキルに頼らないで冒険してみよう。

 しかし相変わらず、僕らには盗賊系のスキルがないのでここはどうするか・・・・・・

 「いい加減、盗賊系の対策で、パペットでも創るか?」

 「うん、確かに欲しいかも」

 「うーん、でも一緒に冒険するのだったら一緒に冒険して、成長していってくれる仲間って感じがいいのかな~」

 魔生物では、作った時の性能で、そこからの成長が見込めない。精々知識などが増えて、できる事が増えるだけだ。

 そうだな、ここは僕の眷属として創るのだから、あいつがいいかもしれないな。

 「創造」

 膨大な魔力が消費されて、眷属を創り出した。

 「スライム?」

 「やっぱり僕の眷属って言ったら、こいつだろう」


 《名前 アルタクス  種族 ハンタースライム  年齢 0  職業 盗賊

 LV 36  HP 286  SP 179

 力 107  耐久力 93  敏捷 22

  器用度 164  知力 35  精神 37

 属性 水 土 闇 生命

 スキル 捕食 腐敗 肉体変化 分裂 自動回復 状態耐性 接近 窒息 張付き 強酸 鍵開け 罠感知 罠解除》


 ステータスを見てみたら、こいつ結構強い性能を持っていた。そして、もう名前が付いていたよ。パペットに作らせた、ステータスカードに焼き付けよう。

 できたカードをレイシアに見せた。これからは、僕の代わりになって、レイシアと共に成長して行ってくれるだろうと思い、ステータスカードはレイシアが管理するようにと考える。

 「この子、能力高いね!」

 「こいつなら、一緒に戦って行けるかもしれないな。まあいきなりはやめた方がいいのかもしれないが」

 「うん、一緒にがんばって行こうね!」

 レイシアは、そう言うとスライムを肩に乗せた。

 これで、冒険で手を出すことは、ほとんど無くなったのかな?

 強敵が来ない限りは、スライムのアルタクスと、召喚魔法などを駆使したら、このままソロで何でもこなせるかもしれないな。

 あ、方向音痴があったか・・・・・・

 昔の僕のように、スライムが上手く誘導してくれればいいのだけれど。まあそこも様子見という感じか。

 僕には調査のスキルがあるので、マッピングシートを渡しておこう、これを見ながらならさすがに迷わないかもしれない。

 「ありがとう。がんばるよ!」

 アルタクスも手を上げてやる気を見せていた。昔の僕達は、こんな風に見えていたのだろうか?

 レイシアが扉の前に立つと、アルタクスが鍵穴に手を入れてあっさりとそれを外した。それを確認して、レイシアが外へと出て行く。その後を僕はのんびりと付いて行くのだった。

 探索を進める中、先導する狼の上に、アルタクスが乗るようになった。

 レイシアの肩だと、おそらく罠の発見などに不都合だったのだろう。今の隊列は、狼とアルタクスが一番前、その後ろにレイシアが続き、しんがりを狼、僕はそれを見守るように後ろに付いて行くので、本当のしんがりは自分になる。でも、危険でなければ、場所を空けるつもりでいた。


 探索を始めて、直ぐにここは何かを閉じ込めておく為の施設だと判明した。

 理由は入って来た牢屋と同じ造りの部屋が、幾つかあったからだ。

 牢屋が並ぶ区域を抜けると、よく小説やアニメ、ゲームといったもので見かけるマッドサイエンティストの使う円筒形の水槽が立ち並ぶような場所に出て、何かしらの実験生物の保存あるいは観察をする部屋であるのがわかった。

 水槽は全部割れていて、大昔には既に壊れていたと思われる。少しだけ残った液体の表面に、苔みたなものが浮んでいる。

 中に何が入っていたのかは、骨も何も残っていない為に、不明だった。

 しばらく部屋の中を調べてみたけれど、見付けた羊皮紙はボロボロになるほど虫に食われていて、読み取ることは出来ない状態だった。貴重な手がかりではあると思うけれど、これはどうしようもないな。

 結局他の手がかりらしい物も見付けることは出来なく、その部屋を出て先に進むことにする。


 奥の部屋は、研究室かな?

 ガラスが割れ、区切られた部屋は丸見えになっているが、大きなテーブルと思われるところに、いろいろな機材があったと思われる。

 また別の部屋には、被検体を縛り付ける為の椅子などもあった。

 「ここは何かの実験施設だな」

 「何かの研究かな? キメラとか」

 「そうだな、その系統かもしれない。そしてその実験体が確実に一匹、外に逃げ出している。まあ、それが何時頃のことかは、わからないけれどもな」

 「そうね」

 僕らは、さらに奥へと進むことにした。

 結局そこに残っているものも、傷みが酷過ぎて何だったのかはわからなかった。その先は、おそらく研究員の個室と思われる部屋が、いくつも存在していた。

 部屋の数からおおよそ、研究員達が三十名くらいはここに詰めていたと思われる。とりあえずは、何かしらの情報を見付ける為に捜索開始だな。

 部屋の数がそれなりにある為に、ここでの捜索は結構な時間がかかった。

 「バグ、こっちに本があるよ!」

 どれくらい捜索していたのか、レイシアからそう言われて、合流することにした。

 「レイシア、崩れやすいから下手に動くなよ。後多分時間がかかるから、暇なら拠点で休んでいてくれ」

 「わかった」

 もはやここまでの状態になって来ると、空気の流れでさえ崩れそうである。

 たいした手がかりも無いまま、今までいろいろ調べ回っていたので、意地でもここで何かしらの情報を手に入れようと、持てる能力をフルに使う事にした。

 「スキャナー創造。コピー機創造。あー、両面に書いてある場合は、裏も読み込まないといけないのか。X線装置創造。とりあえずはこんなものかな?」

 それから時間をかけて、見付けた本の写本を作り上げた。でもまだ終わりではない。

 このままだと何が書いてあるのかがわからないので、翻訳をしなければいけない。

 出来上がった写本に翻訳の魔法をかけて、翻訳版の本の制作をした。


 「お待たせ」

 作業に切りが付いたので、一旦拠点へと戻ってそう声をかけると、レイシアと合流した。

 「お帰り、バグ。何かわかった?」

 テーブルの上に、デザートを三つ程並べて、お茶をしながらレイシアは待っていたようだ。

 「ああ、今までに魔王と言われる存在は、何人いたのだ?」

 「確か、今回を含めて二人だったと思うけれど」

 「じゃあ、前回の魔王は、どれくらい前にいた?」

 「えーと確か、六百年くらい昔になるかな?」

 「ふむ、どうもこの研究所は、それくらい前のものらしい」

 「かなり古い場所なのね・・・・・・」

 「この本は当時の研究者の一人が書いた、日記だったみたいだ。ほとんどは日常について書かれていたり、愚痴だったりもしたけれど、どうやらこの研究所では魔王に対抗する為の人体実験をしていたそうだ。人間を強制的に強化する為に、当時の犯罪者などを使って、モンスターとの融合を目指していたみたいだな」

 「昔も、あの怪物みたいな強いのとかが、出て来ていたのかな?」

 「そうだな。そうかもしれないな。あるいは、今回出て来ている異形が、ここで研究されていた奴のなれの果てとかってのもありそうだな。まあ、可能性はそんなにないかな? こっちには異形が出て来ていないし、距離が離れ過ぎている」

 「そうね。それで、どんな姿形のを創っていたのかとかは?」

 「そっちは、絵とか描いていないので、わからなかった」

 「じゃあ、バグも休憩したら、探索の続きをしようか」

 「そうだな、せっかくだから、お茶でも飲んでからにするか~」

 僕達は、そこで休憩をして探索へと戻る。

 ちなみに、アルタクスもデザートを食べていた。お茶は飲んでいなかったけれどね。


 研究室の方に生き残りの怪物やら、キメラやらがいなかったので、敵となるものはおそらく出て来ないのだろうと思いつつも、この施設の本来の出入り口と思われる方向へと探索して行く。

 研究者達の住居区画を過ぎて出た場所は、会議室みたいなちょっと広い部屋や、応接室と思われる少数で面談できるような部屋の並んだところだった。

 複数あるそれらを見て回っていると、狼が立ち止まる。何かいたかな?

 改めて警戒すると共に、慎重に移動することにした。

 先に進んで行くと、幾つかある部屋のうちの一つの扉が少しだけ開いており、そこから異臭が漂って来ている。おそらくそこも会議室だと思って間違いは無いだろう場所からは、ごそごそとした音も聞こえて来ていたので、何かがいるのは確実なようだ。

 少しだけ扉を開いて、中を確認していたレイシアは、ウッて感じで思わず目を背けている。

 あんまり見たくはないなと思いながらも、中を確認してみた。

 数多くの骨の中で、人間と爬虫類が混じったような者が、死肉を食べているようだ。

 おそらくは周辺にいる動物じゃないかな?

 ハンドサインを使って、僕が倒そうかと合図を送るけれども、レイシアが自分でやると返事を返して来た。

 部屋の中は異臭がきつく、中での戦闘は危険だと判断、お隣の会議室へと敵を誘い込んで倒す作戦にした。

 「召喚、ケンタウロス。拠点魔法陣。強化」

 まずは隣で準備、念の為に狼を強化して、囮として敵を誘い込んでもらう。

 異臭がきつくてちょっと可哀想だなと思うけれどね。


 グガアァ!


 隣から人もどきの叫び声が聞こえる、囮は成功だろう。そして、おそらく人としての知能はなさそうだから、倒すことに罪悪感は湧かなそうだった。

 狼が部屋の中へと飛び込んで来て、それを追うようにして、人もどきが部屋へと入って来た。

 そこにケンタウロスの先制攻撃が決まる。

 不意打ちの一撃で終わることもあるかなと考えたのだけれど、結構生命力が強いのか、鱗で防御力が高くなっていたのか、苦痛でもがいてはいるものの、まだ倒すには至っていなかった。

 「焼き尽くせ、ファイアアロー」

 しばらくもがいた後立ち上がった人もどきがケンタウロスへと襲い掛かって行く。ちょっと苦戦気味かな?

 ケンタウロスへの援護として、レイシアが魔法をぶつけて行く。。

 それなりに俊敏に動いて、攻撃を避けたりしていた人もどきは、魔法により隙ができ、ケンタウロスの攻撃をまともに食らっていた。

 動きの鈍ったところを、アルタクスも強酸を吐きかけるなどして、追撃を加えている。

 長い事生きてきただけあって、生命力は強かったけれど、結局はこちらにダメージを与えることなく倒れていった。強さは異形程ではないかな。倒すのにそこそこの時間がかかっていたので、異形の劣化版で生命力は上って感じだろうか・・・・・・

 少し休憩をして、僕達は探索へと戻る。

 さすがにかつては人間だったって存在を倒すのは、後味が悪かったので軽い休憩をしたのだ。


 その後、ロビーと思われる場所に出たのだけれど、その床には、数多くの人骨だと思われるものが見付かった。

 おそらく予想だけれど、研究者達の遺体だろうな。よくある話で実験途中の怪物が逃げ出して、研究者達を襲う、本当によくある話だ。

 結局は戦闘と呼べるものが一度のみで、僕達は本来の出入り口から外へと抜けることになった。

 外には少し通路が続いて、その先が山肌に偽装された隠し扉になっていた。

 場所を知っている者でなければ、発見できないなと思われる構造になっていて、ちょっとだけ秘密基地っぽくてこういうギミックは面白いなと思ったよ。

 そんな感じで、研究所探索は終了した。


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