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モンスターに転生するぞ[通常版]  作者: 川島 つとむ
第三十一章  変わる世界
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終焉

 《神格 が一つ上がりました》

 《配下が神格を得た事で 眷属神 が誕生しました》

 《眷属神 が得た 神格 が一定量に達した為 神格 が一つ上がりました》

 フォラウは素直でいい子だったので、いろいろと教えたり町に出かけたりして過ごす事数十年。気が付けばフォラウも立派なレディになっていた。

 神の血が流れている為か、外見年齢はレイシアと同じ十五・六といったところか。どうやら僕らと同じで寿命は無いようだ。

 そして今ではしっかりと武器の扱いなども習得し、みんなと模擬戦などをする事もある。まあ遊び半分だけれどね。

 そして今日もダンジョンに潜って遊んでいると、誰かが神格を得たようだな。

 それにしても、今回は神格が上がるまで結構かかったな。

 紗枝がわりと直ぐに神格を得ていたので、次も数年で神になるのではって考えていたのだが、予想が完全に外れたな。

 そして神格を得たのは予想していた通り、マジカルドールのフォレイヤだったか。

 単純に二種族分の信仰を集めている状態なので、倍の速さで神格を手にしたようだな。それでも時間がかかっていたが、こればかりは人が増えないと仕方がなかったのだろう。

 まあとりあえず、お祝いでもしよう。

 「フォレイヤ、おめでとう」

 「おめでとう!」

 「これはこれはありがたき幸せです。バグ様」

 そういえばフォレイヤは何を司る神になったのかな? えっと素材の神か。ああ、確かに最初は素材確保を担当していたからな。魔道具作りとかしていたのでそういう加工の神とか魔道具の神だと予想していたが、違ったな。

 さてこの調子で残りレイシアとビフィーヌかな? 神格ゲットを目指そう!


 身内でそれなりに騒いでお祝いし、その後再びのんびりとした生活に戻る。

 基本やる事はないので、午前はレイシアに付き合いダンジョンへ。午後はビゼルに付き合い町などを散策したりした。もちろんどちらにもフォラウやビフィーヌが付いて来たが、まあこれは予想通りだろう。

 また眷属達の様子を窺ったりする時は、二人とフォラウやビフィーヌを連れてみんなで出かけたりして、なるべく家族一緒に行動する。

 こんなのが家族サービスでいいのかな? まあ要望があればそれを取り入れたりして、日々を過ごして行く。

 そんな穏やかな日々が過ぎて行った。


 《神格 が一つ上がりました》

 《妻が神格を得た事で 夫婦神 が誕生しました》

 《夫婦神 が得た 神格 が一定量に達した為 神格 が一つ上がりました》

 そしてその日常に紛れるように、レイシアが神格を得た。

 司るのは魔法か。どうやら魔法の神になったみたいだな。

 それにともない、僕の時と同じようにLVが無くなったのも、他の眷属と変わらない。LV上げをしておいてよかったと思っておこう。

 「おめでとう、レイシア」

 「レイシア、おめでとうだわ」

 「レイシア母様、おめでとうー」

 「ありがとう三人共」

 モルモに言って再び豪華な食事会を開き、みんなで祝った。

 ビフィーヌが最後になったけれど、これは獣人族の性格によるところもあるし、ビフィーヌ自体が僕を優先しているせいでもあるかな。

 まあしかし、それでも直ぐ後に神格を得るのだろう。


 《神格 が一つ上がりました》

 《配下が神格を得た事で 眷属神 が誕生しました》

 《眷属神 が得た 神格 が一定量に達した為 神格 が一つ上がりました》

 レイシアに遅れること一年。一応最後の一人が神格を得る事が出来たぞ。

 「ビフィーヌ、おめでとう」

 「主さま。ありがとうございます!」

 「おめでとうー」

 「めでたいわ」

 それぞれに祝福を送り、みんなで食事会を開いて過ごす。

 ビフィーヌは病の神になったようだな。薬を司るのかと思ったら、そっちだったかー

 全員が神となり、いやテッシー以外か? とにかく神の一族となり、僕の神格もかなり上がったようだ。

 みんなが神格を得るまでの間、たまにひょっこり神格が上がる事もあったので、今では地球に来る前の倍近く神格が上がっている。

 おそらく今なら裏ボスを普通に倒す事が出来るのではないだろうか?

 後、元いた神々であるサフィーリア達の神格を追い越しているのではないだろうか。いや、それはないな。

 曲がりなりにも長年、ずっと神だったのだ。僕が数年過ごすだけで追付けるようなものではないのだろう。


 せっかくなのでこのまま続行して信仰を集めて行く。

 どれくらい神格があれば、負け無しの強さになるのかわからないのだが、倍程度ではまだまだ厳しい可能性があるからね。

 それにたまにはこういうのんびりとした暮らしもいいものだ。

 レイシア達の、神としての力の扱いなども研究していかないといけないし、何なら一緒に戦えるよう神格を上げてもいいかもね。

 前回は一人で向かったのがそもそもの敗因だったのかもしれない。

 今度は万全の準備を整えて挑んでみよう。

 そこからはまた穏やかな日々が続いた。基本ファンタジー設定の世界だけれど、日本人気質なのかあまりギスギスした付き合いではないようだな。

 戦闘が好きな者は好きだが、殆どの者は安定志向といえばいいのか、どちらかといえば職人肌の者が多いようだ。

 つまり役割分担ができていて、それぞれがしっかりとサポートしている。

 意図してそうなったのか、自然と別れて行ったのかわからないけれど、協力して行動しているのならいい感じだろう。

 まあそこに異種族に対する思いやりもあると、なお良かったのだがね。何故かそこは余所者を嫌う性質が見える。

 職人気質な者が多いせいで、技術の流出を恐れているのかな?

 相対した技術力など持っていないだろうにね。


 《神格 が一つ上がりました》

 よし、また神格が上がったな。

 地球に来て何十年の月日が過ぎたのか、今では惑星二つ分の大きさを持つ惑星上に、人類が満ち溢れている状況だった。

 とはいっても、人類以外を駆逐したとかではなく、単に町毎に道が繋がった感じだ。

 相変わらず町の外にはモンスター達がいて、冒険者などが活躍しているのだが、人類だけが繁殖している訳ではない。ちゃんと植物も一杯残っているし、動物はもちろん秘境みたいな場所やモンスター達も暮らしている。

 バランスよく共存できているといっていい状態だろう。

 逆にいえば、これ以上人類が増え過ぎるのは問題が出て来るので、ベビーブームが来たらモンスターを投入する事も検討しなければいけないだろうな。

 それはまた今後の話だな。調和しつつ進んで行ってくれれば、このままでも構わないしね。

 しかし昔の地球のように人間が増え過ぎて、環境を変えるようになればモンスターの襲撃も有りだろうな。

 そこは住人達の考え次第だ。それとどこまでは許して何処からが駄目なのか、明確に教えておかなければいけないだろう。

 境界を知らなければ、突然の崩壊になりかねない。自重してくれればいいのだがな。


 さて神格を上げる試みは一応成功と考えていいだろう。

 これでこちらに来る時とそれほど変わらない時系列に転移すれば、数分のうちに倍以上の神格に成長して帰って来たことになる。

 あの時やられた僕の強さにちょっと強くなったぐらいが悪霊群の実力だとすれば、その倍以上に成長した僕なら余裕を持って戦えるだろう。

 次は精神攻撃など食らわない。確実に排除させてもらうぞ。

 「ビゼル、ホーラックス。一緒に来てくれ。他の者は拠点で待機。終わったら祝賀会でも開こう。フォラウはこっちの世界の事を知らないから、いろいろと僕の国を見て廻ってもいいかもな。他国はドラグマイア国くらいなら観光で行けるだろうが、他はお勧めできないからな。国内でいいだろう」

 「楽しみです。父様!」

 「ああ、面倒事が終わったら、今度こそのんびりと過ごそう」

 「でもバグが倒すのは黒幕だけよね。そうするとまだ魔王が生きているんだし、まだまだのんびりは難しいんじゃないの?」

 「レビルスが強くなれば直ぐだわ」

 「まあ、後はレビルスに任せて、こっちはのんびりできるだろう。さすがに他の敵が出て来たりはしないだろうしな。そうポンポン出て来られたら困るぞ」

 「そうだね」

 では元の世界へと転移して、黒幕と対決して、後は勇者に任せてのんびりするぞー


 レイシア達を拠点に残し、僕とビゼルとホーラックスの三人は、黒幕がいる黒い渦のある場所へと転移した。

 すると当然のようにそこには悪霊群と、魔王とその配下である四天将がいた。まあ他にも異形が複数周囲にいたけれど、雑魚過ぎるので数に入れなくてもいいだろう。

 「雑魚は気にせず、悪霊群を排除するぞ」

 「我が主よ。任せるがいい」

 「うむ、こやつ程度、敵ではないわ!」

 素早く指示を出して親玉を押さえにかかる。とはいったものの、魔王と四天将に関しては勇者の相手だ。下手に手出しして倒してしまってはまずいだろう。

 ここは結界に閉じ込め、放置するのがいいと判断した。

 後悪霊群の後ろに控えているブレンダもどき。

 異形を何体か集めて造った人形ではあるのだが、こっちも倒したのならば魔王が暴走する可能性がある。なのでこちらも手出ししないように維持しようと考えている。

 こちらは逆に悪霊群を倒したとたん、崩れさる可能性もあるので保護する事になるかな。ちょっとだけ面倒そうだ。


 ビゼル達が悪霊群に向けて魔法攻撃を加え始めるのを横目に、まずは邪魔になりそうな雑魚敵の異形を排除する。とはいっても異形だけでいいのならば、瞬きする間に倒せるので問題はないな。

 神の目により異形だけをターゲットにして炎で燃やして終わり。本当に雑魚になったものだな。

 これで魔王と四天将、操り人形のブレンダ達。邪魔な存在は捕獲済みだ。

 さてさて、ビゼル達に合流して本命の悪霊群を退治しようかね。そう考え向かおうとしたところ、悪霊群から精神攻撃が放たれた。

 くっ。今度のイメージは猟奇殺人か。

 死ぬまでいたぶっていたぶった挙句に殺し、そこで終わらず死体すら嬲る非道ぶり。

 犠牲者達の魂はいたぶられ尽くした骸の上で、狂ったように笑いながら死体を傷め付ける様子を見続ける。その様子はこちらまで犯人に対しての殺意が芽生えて来そうだった。

 共感すれば、前回と同じようにそのまま引き込まれるだろう。気分が悪くなる光景だが、同情してはいけない。

 やがてその魂達の怨念が犯人を引きずり込んで殺すまで、同じような光景は続いた。

 一部の人間だけの所業とはわかっているのだが、そんな人間がいるって事自体を認めたくないような悪意の塊。ああ、僕も地球にいた頃はこいつと一緒で人間だったのだと考えると、モンスターに転生できた事を嬉しく思うよ。人間を捨てられた事に感謝したい気持ちだ。


 さて、この光景にこれ以上引きずり込まれないうちに離脱しなければな。

 僕の内部に侵入しようとする悪意を魔力で蹴散らし、ビゼルとホーラックスを窺うと、どうやら二人も動きを止めていたみたいだ。

 そして動きを止めた隙を悪霊群は逃さず、悪意という名の触手を伸ばしている状況が目に入る。

 そうはさせるか!

 二人なら大丈夫だと思うが、一応悪霊群の方が格上だと考えると、大人しく見過ごしてはいられないだろう。伸びる悪意の触手を焼き払い、取り憑かれるのを防ぐ。

 あれは下手をしたらやばいからな。前回の僕のように自滅しかねない。

 ビゼル達は悪意の触手を焼き払って直ぐ気が付き、警戒を強めていた。この様子ならもう二度と取り憑かせはしないだろうな。

 ではこちらも悪霊郡に集中させてもらおうか。


 その後、ビゼル達の様子を窺ってみると、二人とも表情が抜けたような感じになっている。

 どうやら魔王の娘や魔王のダンジョンマスターでも先程の精神攻撃は堪えるものがあったようだな。本職の魔族ですら思わず顔を背けたくなるほどおぞましい悪意って、どんな悪党だって言いたいよ。やっぱり殆ど人間を止めていたからそこまで出来るのだろうか? わからないな。

 一般的な魔族といわれる者達も全員が全員、惨たらしく殺す事を好んでいる訳ではない。人間と同じでいろいろな性格の者がいるのだ。

 まあ人間は何処までも醜くなれるっていう話だからな。そういう人間もいるのだろう。

 今見た光景も、悪意ある人間とはここまで醜くなれるのかという、お手本のような残虐な殺人のイメージだった。

 それにしても攻撃能力自体はそこまでたいした事がないのに、防御能力と悪意だけは突き抜けている悪霊なんて、厄介でやらしい相手だよ。

 そう考えるとビゼルやホーラックスは逆に魔族らしくないのかな? まあ悪い事をしていないので魔族らしくはないな。

 ビゼルは見た目もそうだが、今では人間らしく表情も豊かになっているしな。

 まあだからこそ、凄惨なイメージ映像による精神攻撃も有効なのだろう。ダメージをともなわない、こちらを敵とも味方とも考えていないイメージを見せるだけとなると、魔法抵抗でレジストする事も出来ない。

 心を蝕むように進入されてしまう。

 慣れていない者は一瞬で術中にはまるだろうな。

 まあ今回は防げたのでよしとしておこう。二人も一度経験したなら認識を改めて対処するだろうしね。


 数度の魔法攻撃で、悪霊群に有効な魔法属性は把握できた。いや特性かな?

 物理無効で魔法に高い耐性を有している。それでもまだ効くのが火属性の攻撃魔法。更にもう少しだけ効くのが聖属性の攻撃魔法だ。

 それだけでも厄介な相手なのに、やつは群体で一つのモンスターになっている。つまり複数の魂が集まって出来たモンスターなので、一部を倒しても意味はない。

 一番よく効く浄化の攻撃で攻撃するものの、おそらく体を構成している一人分の悪霊と相殺して防御しているのだろう。

 僕達が攻撃を仕掛けるたびに誰か一人を犠牲にして攻撃を防いで来るという、厄介かつムカつく防御方法を取って来るのだ。何処までも卑劣な悪霊群である。

 まあしかし、確実に悪霊一人分は減っているはず。持久戦になれば、こっちに有利になりそうだ。

 その間、こちらも精神攻撃に抗いながら攻撃を仕掛け続けなければ行けないけれど、気合を入れれば動揺する事無く対処できそうだ。

 しかしこの精神攻撃も複数の種類があって、なかなか侮れない。

 同情、怒り、悲しみ、怨み、いろいろな感情を揺さぶるような光景を見せてくる。

 そしてそれに気を取られると、操られる事もある。

 感情がある者にとってはやりにくい相手だな。


 厄介なところはそれだけではない。神格に匹敵する力を得たからか、度々瞬間移動するので、なかなかダメージが与えられない。悪霊群の攻撃手段が少ないところが、まだマシって感じだろうな。

 それにしても、ビゼルとホーラックスにはいささか相性が悪い相手かもしれないな。神になったとはいえ、聖属性の攻撃手段がない。

 まあ火属性があるので、本人達にはそれほどきついって印象はなさそうなのだが、攻撃の通りは悪くなっている。その代わり僕より精神攻撃には耐性がありそうだな。

 最初の精神攻撃以外は、揺らぎもしなくなったように見える。いざという時は、頼りにさせてもらおう。

 「二人とも、僕が操られないようサポートを頼むぞ」

 「任せよ」

 「ふむ、それくらい当然だわ!」

 一応二人には念押しして、僕が一番ダメージを与えられそうなので、聖攻撃を連発する事にする。というか単発にする必要はないよな。範囲攻撃を使って悪霊全体を消し飛ばしてしまおう。

 ウォオオオオオー

 僕達三人以外の場所に、聖属性範囲攻撃を叩き込む。さすがにこれなら転移で逃げ切れないだろう。

 事実悪霊群は、その体積をかなり減らしていた。

 まあ周辺地形にも多大な被害をもたらすが聖属性の攻撃の為、他の属性よりはダメージが少ない。ゼロではないが、多少の環境破壊は許してもらおう。


 あっ、魔王達も巻き込まれているが、結界を張って動きを封じていたのが幸いしていた。セーフ!

 下手すれば、僕がまた魔王を倒してしまうところだったけれど、無事でよかったよ。

 巻き込まれた魔王達を気にしていると、いつの間にか悪霊群の体積が増えているように見える? 一気に削れて、かなり小さくなったように思えたのだがどうして?

 理由はわからないが、再び増加した分も含めて消し飛ばせば問題はない。

 ウォオオオオオー

 今度は僕達と保護している魔王達を避けて、範囲攻撃を連発して増えた分もろとも消し飛ばす。

 そして攻撃が効いて、悲鳴を上げているのだとばかり思っていたのだが、今度は余所見していなかったのでその瞬間を見る事が出来た。

 悪霊が叫ぶと黒い渦から補充の悪霊が湧いて出て来ていた。なんだそれは、嘘だろう・・・・・・

 これではいつまでたっても削り切れないではないか。何か根本的に別の解決方法が必要だぞ。

 例えば核を潰すとかか?


 他にもまだ試す事があったな。

 結界を張って悪霊群を内部に閉じ込めて浄化しつつ、追加の悪霊の合流を妨げる!

 これで内外から悪霊を消し飛ばし、核となっている女性を浄化出来れば切が付くのではないだろうか。

 するとまずいと感じたのか、僕に精神攻撃を集中して放って来た。

 さすがに気が滅入ってくるが、神格を上げておいたおかげか、気持ちが落ち込むくらいですみそうだ。この程度なら大丈夫だろう。

 そしてどうやら散々周囲を消し飛ばしたおかげか、今まで核となる女性の周りにいた元凶のローブの男達がいなくなり、変わりにあの村で死んだ者達が集結したようだ。

 同じ悪霊ではるのだが、何か悪霊としての質が変化したように感じられる。その変化が引き金になっているのか、女性というか村全体の統一意思とでもいうべきものが伝わって来た。

 現在の状況に苦しみ、先程までいたローブの男達への怨みが尽きないと訴えて来ている。

 ようするにローブの男達への復讐がしたいのだな。ならば生命を司る神として、その復習の手助けをする代わりに、怨念を浄化するとしよう。

 村に関わった者達の魂を抜き出し、魂に関する情報を操作する。

 何度輪廻を繰り返そうと、ローブの男達は家畜として村人達の糧になるように運命を設定する。これで多少は復習になるのではないだろうか? 家畜程度では手ぬるいかな?


 その操作した運命を材料に、相手の精神攻撃を利用し逆に相手に流し込み、この条件で納得するように説得していく。

 するとどうやらこちらの提案に少し興味が湧いたようで、もう少し怨みを晴らせそうなら説得できそうな手応えを感じた。

 ふむ、やはりこの程度ではまだ足りないか。

 では転生してもローブの男達の感情は残り、感じる苦痛は倍になるように設定すればどうだ? 記憶自体を残さないのは下手に知能を上げると逃げ出しかねないからだ。

 こんなやつらを転生主人公みたいに成長させたくはないからな。感情を累積させて苦しめるくらいで許して欲しいものだ。

 村の者達には、転生主人公っていうのが理解されなかったけれど、どうやらおおむねこういう運命で手を打つ事で話がまとまった。

 裏ボスを取引で解決って一体・・・・・・まあいいか。


 取引が成立した後、村人達の魂はそのまま浄化転生予定に乗せ、周囲に集まっている残りの悪霊群を浄化していく。

 核となる女性達が浄化された為、ビゼルやホーラックスの攻撃も普通に通じるようになり、程なく悪霊群を消滅させる事が出来た。

 しかし・・・・・・あー、やっぱり操られていたブレンダとフェザリオは崩れそうだな。

 これは異形の肉体を使ったフレッシュゴーレムに近い感じだ。それも凝縮されている為、操り手がいなくなった事で存在を保てなくなっているみたいだ。

 うーん。魔王の四天将が安易に増減するのはどうなのかとも思うが、とりあえず置物と化していたのなら、そのまま維持しておこうかな。魔王が討伐されると共に、崩壊するように設定しておけばいいだろう。

 それまではハウラス達が暴走しないように、ここにおいて置けばいいかな。

 よしよし、これで後始末も終わりだな。

 一定距離から外の周囲に集まっていた異形達は、元の場所に戻る雰囲気ではないな。どうやら操られて集結したが、支配が解けた段階で今現在いる場所に落ち着いたようだ。

 ちょっと集まり過ぎているように思えるが、まあそこは勇者達にがんばってもらえればいいだろう。

 後僕の方は神の要請を受けていた支援をもう少し続ければ終わりだな。

 やれやれ、やっと終わりが見えて来たよ。


 「魔王や異形を集めていた元凶、悪霊群の排除が終わったぞ。後はレビルス達を育て、魔王討伐を達成してもらえばサフィーリアからの依頼は達成だ。異形を集めてもらったのは、結果論だがありがたかったな。残った人間の復興が加速するだろう」

 「バグ、お疲れ様。復興にも手助けするの?」

 「国が崩壊しているわ。ある程度手助けは必要だわ」

 帰って来た報告と、今後の予定をみんなで話し合う。

 生き残っている人間自体はそれなりにいるだろうが、大半の国が国として機能していない。そうなると多少は手助けしてやらないと、生きていけないか?

 「いや、勝手に復興していくだろう。国だって自分達で作るだろうしな。ただ国として機能するまで、魔物が出たら倒すとかそういう援護はいるだろう」

 「確かにそうね。じゃあそこまで忙しくはなさそうね」

 「だな。今生き残っている国に支援させれば、こちらがあれこれと動く必要もないだろう」

 聖サフィアリア国とか、今は難民など抱えて苦労しているだろうが、食糧支援はしているのだ。

 人々の救済はそっちでしてくれるだろう。

 いや嬉々としてやっているはずだ。上手くすれば信者を獲得できるしな。

 そう考えると、こっちからの支援物資で信者集めしているともいえる。卑怯とまで言うつもりはないが、やはりこれ以上手伝うような事じゃないな。後は自分達でがんばれ。

 こっちはもう十分過ぎるほど手を貸したのだしな。


 「では今後は国内や同盟国を優先させよう。他国は食糧支援だけ継続。状況を見て支援を停止させる」

 「もっと支援しろって言われない?」

 「言われても元々フォーレグス王国は友好種の国だ。人間が豊かだった時にこちらへの支援を受けた記憶は無い。自分達ばかり要求して支援もしなかったのに、まだ足りないとか言う方がおかしい。そう言ってやればいいぞ」

 「そう言われたらそうね。じゃあもう十分かな」

 「わらわ達はこれから、家族みんなで楽しく過ごすのだわ。いつまでも他所事に関わっているものでもないわ」

 確かに。忙し過ぎて家庭を顧みないとか、嫌われそうだな。

 せっかくフォラウもいい子に育ったのだ。嫌われるような生き方は控えよう。

 「じゃあレビルスをダンジョンにでもやって、がんばって魔王を倒せるほど鍛えてもらおう」

 「そうね。がんばってもらわないとね」

 他にも難民の子供達もいる事だし、それで人類軍を作って異形達を殲滅して欲しいところだ。

 後は魔王討伐後、生き残った彼らが力に振り回されなければ、無駄な争いもなく平和に暮らしていけるだろう。

 まあそれも周囲が彼らをどう扱うかにかかってくるがな。そこから先は僕達には関係がない。

 間違えれば新たな魔王が誕生するかもしれないが、上手くやれば平和が続く。それだけだ。



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