変わる世界
第三十一章 変わる世界
結構な数をしとめたと思ったが、まだまだ一杯いるみたいだな。
どうやら混乱して立ち止まっている方が危険と判断し、少々強引でも突っ込む方がましと判断したようだ。
こちらの攻撃を抜けて来た異形の先頭は、レイシアの爆発の余波であちこちに火傷を負い、更にダメ押しのガトリングを食らってあちこちに銃痕を残していた。
だが逆にその背後にいる異形達は、まだまだ元気一杯。その数はあまり減ったようには見えなかった。
さすがにこの数の異形を相手に囲まれるのは避けたいな。
「少しずつ下がりながらもう少し数を減らすぞ!」
「わかった!」
「うむ」
ゲームでもよく使う手法の引き撃ち。
遠距離職は接近戦に弱いので、敵が近付いて来るまで引いては撃ってを繰り返してダメージを蓄積させる。逃げ撃ちとも言うな。
ゲームと違うところは、撃ちながら後ろに下がれるところか。
まあ後ろがどうなっているのか見えないので、転ぶ危険があったりするのだが、ゆっくりと下がれば問題もないだろう。
ゲームだと下がりながら撃つには、一度後ろに走ってから振り向いて撃たないと駄目だった。
ちなみにシューティングタイプのゲームなら、相手の方に銃口を向けたまま下がれたので、普通に逃げ撃ちも出来る。
RPGタイプのゲームは、その辺りの操作性は微妙だよな~。まあ銃器が無い設定がほとんどで、弓専門の戦闘ではないから仕方ないのだが。
それはそうと戦闘中こんな事を考えていられる分、まだまだ余裕があるよね。
逃げ撃ち戦法で出来る限り数を削った後は、テッシーとビゼルをメインとした接近戦となる。
メインは彼女達だが、僕達後衛が何もしない訳でもない。
今だ百を越える数の異形が目の前にいて、二人で抑えきれるはずもない。いや本来の力を使えばどうとでもなる数なのだが、レイシアに合わせているからな~
となれば二人の横に出て来ようとする異形を抑えるのが僕達の役目といえよう。
なるべくレイシアの攻撃魔法にまぎれるようにガトリングで攻撃を仕掛けてみたが、やはりしばらくすると銃の特性を把握されてしまった。
だがここで生きてくるのが弾丸同士をぶつけて弾道を変えるトリックショットになる。
しかもそれをガトリングでおこなっているのだからビフィーヌの技術は高い。
僕のばら撒いた弾丸全てではないにしても、半分くらいは標的の周辺へとばら撒かれ、その近辺にいた異形達に何かしらの手傷を負わせる事に成功していた。
数に物を言わせて襲おうとしていた異形達だが、その先頭を移動する者が怪我で鈍ったのなら後続も前にいる者に邪魔され、思うように前に進めなくなる。
集団戦ではよくある事だ。
だがこっちにしてみれば、これこそが数の不利を覆す戦術にもなりえる。
無論怪我を負わせて進行速度を削るだけではなく、倒せるのなら倒す。屍もまた壁となって、彼らの進行速度を緩める役に立つだろう。
ただ全ての負傷者を殺さないように注意することがこの場合は大事だ。
全員がピンピンしていたら、一気に攻め寄せて来るだろうからな。
カンカンカンッ
このまま順調に行くかと思われた戦場に、異音が混じる。
何だって思い音の元を確認してみると、元は騎士か重戦士だったのかフルプレートを着た異形が音の先にいた。
そのフルプレートの異形がガトリングを向けた先にいたせいで、どうやら銃弾が跳弾しているようだ。
幸いな事といえば、異形の集団の中にそいつがいるおかげで、跳弾した弾丸が別の異形に当たってくれた事だろうか。
それならそのまま撃ち続けても問題なさそうだ。
「うわわっ!」
って考えていたのだが、どうやらそう上手くはいかないようだった。
そりゃあフルプレートを着るような相手なのだから、盾くらい持っていてもおかしくはないだろう。
銃弾が鎧や盾を貫通しないと理解したのか、上手い事盾を使いこちらに弾丸を飛ばして来た。
流れ弾が飛んでいった先は、僕達の前で戦ってくれていたビゼル達で、テッシーは普通に盾で防いだのだがビゼルは慌てて飛びのいていた。
申し訳ない!
しかしある程度予想してはいたのだが、知能があるというのは厄介だよな。
早速盾を持っている者や鎧を着た者、硬い岩などを引っこ抜いて来た者などが前衛となって、こちらに向かって来るのが見えた。
まあ跳弾させて攻撃する以上、そういう物を盾にするのは初めから予測出来ていたけれどね。
対策としてはまずレイシアの魔法でふっ飛ばす。
鎧などは物理攻撃に有効なのだが、魔法抵抗が上がる訳ではない。なのでレイシアの魔法攻撃にはなんら影響はないだろう。
次にこちらの攻撃なのだが、これは調整前まで使っていた跳弾しない弾丸を使用すれば問題ない。
硬過ぎて貫通出来ない事はあるだろうが、上手くすれば普通に鎧や盾を破壊する事も出来ると思う。
ようは使いどころと使い分けだな。
何でもかんでも跳弾する弾丸が使い勝手がいい訳ではない。
状況に合わせてどのような弾丸がいいのか、選ぶ必要があるのだ。
元々属性を変える事も出来る。相手に合わせて撃つ弾丸を変えていくのが、この銃器の正式な使い方だろう。
まあそんな訳で跳弾しない弾丸、この場合貫通弾とでもいえばいいのかそれに切り替え、ガトリングを再度使っていった。
「主さま、油断した異形がどんどん倒れておりますよ」
「だな。普通に考えて、相手が戦法を変えて来たらこちらも何か戦法を変えるって考えなかったのだろうか?」
「さすがに多少知能が残っていても、そこまでお利口でもないのでしょう」
「所詮元人間か。異形の化け物になった時点で、人間並みの知能は失われたのだろう」
「ですね」
ビフィーヌと弾丸の性質を切り替えながらそんな会話をする。
そんな余裕も後少し、乱戦になるまでだろうがな。
銃器の特性はやはり相手に見抜かれてしまった。
しかし前もっていろいろと対策をしておいたおかげで、それほど不利になってはいない。
接敵するまでにある程度数は削れていたし、接敵後は包囲されないよう横に出て来た異形は僕達が何とか抑えている。
今回は初めから仲間を巻き込まないよう位置取りを工夫してガトリングを使っているのもよかったかな。
まあそれでもビフィーヌの支援がなければかわされて、僕一人が無意味になりかねなかったのだがね。
それも包囲されるまでにガトリングの弾に、ビフィーヌのガトリングの弾をぶつけるという離れ業によって、目覚しい効果に変わっていた。
何気に銃器の扱いが上手くなっている。
《呪歌 のレベルが上がりました》
これで何度目になるのか呪歌のスキルは上がっているのだが、結構頻繁に銃は使っているのにいっこうに銃術のスキルが上がる気配はない。一瞬銃術のスキルが上がったのかって喜んだのだがなー
「ビフィーヌは銃術って上がっているか?」
「はい、スキルなら面白いように上がっていますよ」
うーん。どうやらただ銃を撃つだけではたいした経験にならないのかな?
どう見てもビフィーヌは特殊な銃の使い方をして戦っている。
一応呪歌の支援メインとして参加しているので、そっちは順調に上がっているのだが、出来れば銃術も上げておきたかったのだがな。
もう少し数が減ってきて、呪歌の支援が必要なくなって来たら僕も銃の業で戦ってみよう。
とはいってもガトリングではダメージを与えられても、倒すまでいけていない異形が多いみたいだ。
こういう乱戦ならショットガンみたいな攻撃の方がいいのだろうか?
それはそれで射程が問題になりそうだな・・・・・・いや、それよりも味方を巻き込むか?
複数の異形にボコられないよう小賢しく戦っていると、ようやく終わりが見えてくる。とはいってもまだまだかなりの数の異形が残っているのだが、それでも何百という数ではなくなったと思う。
銃術スキルを上げる為、そろそろ呪歌を止めて攻撃に参加したいと考えているのだけれど、まだレイシアにはそこまでの余裕がないように思える。
昔のように接近戦も出来れば、ある程度余裕を持って見ていられるのだがなー
今のレイシアは完全な後衛職。敵が懐に入って来ると厳しいのが現状だ。
まあそれも転生してそこまで日が経っていないのでまだまだ子供。仕方がないか。
いやどちらかといえば見た目は幼女、ゼロからスタートしているのだからこれでもがんばっている方だろう。
いずれ落ち着いたら接近戦も出来るように鍛えていけばいい。体が付いていかないかな?
大分隙間が目立つようになってきた異形集団に向け、適当にガトリングの弾丸をばら撒き、ビフィーヌにその弾丸をさらに弾いてもらいダメージを与えて行く。
多少余裕も出来てきたので、負傷して動きの鈍い異形をヘッドショットで沈めたりもした。
おかげで残りの異形も二十体くらい。
そろそろ支援から攻撃に切り替えても問題ないかなって考えている。
「僕も攻撃に参加してもいいかな?」
「いいよ!」
「うむ。存分に暴れるがいいわ!」
「主さまの思うがままに」
「数は減ったが、さすがにまだ余裕はないよ」
そろそろだろうが一応パーティーを組んでいるので、みんなに了解を取るとテッシー以外は賛成してくれた。
今だ盾役として前線を支えているテッシーは、こちらを気にしている暇がないようなので、微妙な反応になる。
じゃあ僕もガンガン撃ちまくって数を減らすとしますかー
「じゃあビフィーヌ、交代」
「了解しました」
みなまで言わずとも理解してくれたビフィーヌが、ガトリングをダダダダーっとばら撒いてくれる。
それを今まで基本見ているだけだった僕が、狙って弾いて異形にぶつけてみた。
弾速や反射角度、敵の移動予測など考える事は一杯あるのでなかなか難しい技術なのだが、お手本としてビフィーヌを近くで見てきたおかげで割とあっさり真似する事に成功する。
欲を言えば弾いた弾でヘッドショットを決めたいところだけれど、さすがにそれは高望みし過ぎかな。
何度となくかわされたので、当たりやすい胴体を狙って行く。何となく雑魚にかわされるのはむかつくよね。
《神格 が一つ上がりました》
よし計画通りに上がったって一瞬喜んだのだが、上がったのは神格の方。
いや格も上がって欲しくていろいろとがんばってはいたのだが、予想していた銃術ではなくてびっくりしただけだ。
今この瞬間も分身体が世界のあちこちで奇跡を振りまいている。
どうやらそれが効果を表したようだった。ちゃんと意味があったようで安心したな。
よくよく考えてみれば、銃術はついさっき始めたばかりなのだから直ぐ上がるはずもないよな。
ぬか喜びではないが、ちょっと焦り過ぎていたようだ。もうちょっとがんばってみよう。
さて再びビフィーヌにばら撒いてもらった弾丸を弾いていたのだが、ここまで格が上がったという実感出来るとは思わなかった。
文字通り格の違いを直に感じる。
どういう事かといえば、一秒間に何十発とばら撒かれる弾丸を弾くのだが、今までは何十発とある弾の内弾ける弾丸を弾いてきた。
しかし格が上がった後の銃撃では、全ての弾丸を弾く事に成功したのだ。
それも反射的に避けようと動き回る異形に、ヘッドショットを決めるという離れ業付きでだ。
まあさすがに一発のミスもなく当たったりはしなかったのだが、僕達が担当していた異形がその一斉射で沈んだのは驚きの成果だろう。
《銃術 のレベルが上がりました》
そして渇望していた銃術が上がったようだ。やったね!
「さすが主さまですね」
「ああ・・・・・・ありがとう」
ビフィーヌの出来て当たり前発言はちょっと予想外だが、さすがにこれは凄い戦果だ。
今後の集団戦闘は楽になるだろう。
それにしても、格が一つ上がっただけでこれほどまでか。
集中すれば周囲全ての動きが遅く見え、何十とある銃弾が一つ一つはっきりと認識出来た。
反射角度もどっちに弾き飛ばしたいって考えただけで、この角度って即座に判断出来ていた。
九九を丸暗記しているような、計算で頻繁に使う数式をわざわざ計算するまでもなく丸暗記で記憶しているかのような・・・・・・途中の計算式を一切すっ飛ばして答えだけ得られたような気分だ。
これは頭がよくなったっていうのとはまた違う領域なのだろうな。
「ガァーーー!」
残っていた二十体の内半分近くの九体を沈めレイシア達の支援をしていたところ、沈めたと判断していた背後の死体の中から死にぞこないの異形が飛び出して来た。
ちょっと前まで包囲されていたので陣形はレイシアを中心としたものに変えていたのだが、僕とビフィーヌの連携技で僕達の正面にいた異形を排除したので、再び陣形を前衛後衛に変更していたのが仇となった。
異形と対面になる形で戦っていたので、完全に後衛が襲われてしまう形になっていた。
しまったとは思うが異形は死体を跳ね除けて出て来ただけなので、レイシアの前に移動するだけの時間があった。
とっさに盾を創造してレイシアと異形の間に割り込むものの、レイシアも慌てず騒がず自分の仕事をしてくれたようだ。
「ファイアピラー!」
先程のガトリングの攻撃により、全身の鎧がボロボロになっていた異形が、足元から吹き上がる炎に包まれて断末魔の叫びもなく炭になる。
なるほど、フルプレートを着ていたからかろうじて生き残っていたのだな。
「油断した」
「ドンマイ!」
声を掛け合い、残りの異形も倒して行く。
とはいって既に脅威ではなくなっていて、苦労する事もなくビゼルとテッシーによって各個撃破されていた。
残念なところは、結局銃術のスキルが一つしか上がらなかったところだな。些細な事だけれどね。
「さて、一応町に隠れている異形や別のモンスターがいないか、確認しに行くぞ」
「はーい」
特に問題がなければ、避難していた住人達の拠点がこれで確保出来た事になる。
ひょっとしたらここを起点に、新しい国が誕生するかもしれないな~
それはまた僕達に関係ない事だろうが、そうなって欲しいところだ。
ついでにフォーレグス王国に友好的な国になってくれれば言う事はないな。
周囲を警戒しつつっていっても僕は調査のスキルで周辺を見ていたのだが、特に障害となるような敵もいなかったので、格が上がった後のステータスをチェックしてみる事にした。
《名前 バグ 種族 生命の神 年齢 347 職業 管理者 EXP -%
LV - HP 68015-113029 SP 85416-171934 ST 61834-123861
力 4933-9243 耐久力 5062-10833 敏捷 4906-10214
器用度 5028-11358 知力 12739-17856 精神 12429-17589
運 77 素質 51-47 神格 1-2
属性 焔 清 地 空 聖 滅 魂 混沌 零 時
適正 格闘戦闘 武器戦闘 水中戦闘 精霊 空中戦闘 空中 水中 真空 神聖魔法 攻撃魔法 並列戦闘 創造
スキル LV無し 無詠唱 保管魔法 念話 影渡り 人化 転生 生存 自動行動 成長 飛行 レイシアとの絆 ビーゼィフォルトとの絆 調査+鑑定+素材知識+魔物知識+罠知識+植物知識+石知識+毒知識-叡智*
LV一 磔 魂変換 回転攻撃 応急手当 逃走 再生 魔物化 淫夢 負の感情 悪魔の契約 繁殖 狂暴 盟約 過去視 革進 暗殺術* 透視* 異界* 遍在*
LV二 鱗化 精霊界
LV三 咆哮 不運 堕落 強制回復 毒術*
LV四 夢支配 石化眼
LV五 海流知識 竜化 仮死 死の宣告 勇気 未来予測* 帰巣本能*
LV六 魅了 狂気 半神分離* 魔族の忠誠*
LV七 記憶回収 羽撃 魂化 神の目* 破滅の風*
LV十 騎乗 対話 神の手*
LV十一 銃術* 縄張り*
LV十三 不死者の絆 発火現象 必中爪撃 部隊召喚 呪歌* 歌唱*
LV十五 浄化の炎*
LV十六 高速移動(水中) 系統樹 満腹* 光合成*
LV十七 記憶操作 竜の一撃 水泳
LV二十 二十重詠唱-多重思考* 底上げ+超回復+超感覚+SP消費減少(大)+消費魔力緩和+達人+全耐性半減+万能感知+記憶+誘導感覚+感情判断+視線-超人* 体内爆破 気功法 万能吸収 創造 亜空間 共振 時空干渉 自動防御障壁 局地魔法陣 連撃 範囲拡大 呪い 支配 衝撃波 挑発 守護 夢干渉 属性攻撃(全) 薙ぎ払い 爆破撃 鍵開け 罠解除 ステータス 分身 武器術 連発 分解 精霊 武器破壊 双爪撃 超常の加護 透明化 司令官 調理 サフィーリアの加護 召喚モンスター 狩人 自然 意思疎通(精霊・植物・魔物) 芸術 戦術 人工知能 日の視界 幻術 共振破壊 風の目 収集術 配下 不死の領域 天候操作 物まね 念動力 蘇生》
なんとなくは感じていたが、凄いなの一言だった。
力などの能力が軒並み倍くらいに上がっている。
格を上げるのが大変っていう理由が、これで理解出来たといってもいい。
まさに格上、存在自体が違う。格が一つ上がるだけで、手が届かなくなる程の力だろう。
これ下手に戦闘の神に喧嘩を売っていたら、あっさりと死んでいたかもしれないな。今現在の戦闘の神が、どれくらいの格上の存在なのか不明だけれどね・・・・・・
それと新しいスキルもあるな。
暗殺術や透視は見ただけで大体効果はわかるが、異界と遍在? いや透視はちょっとやばい気もする。
特に女性には気が付かれないようにしなくては駄目だろう。神の目もあるし、今更かな?
どちらにしても二人も嫁がいれば、覗きなどの犯罪をしようとも思わないがね。
・・・・・・異界。異なる世界に干渉出来る力・・・・・・
別世界に干渉する力? それって具体的にはどうやってどれくらい影響を及ぼせるのだろうか?
・・・・・・異なる空間に、独自の世界を構築出来る・・・・・・
ふむ? つまり元々ある異世界にちょっかいを出す力ではなく、自分で異世界を創る力って感じかな?
なんかちょっと創造神っぽい感じになってきたかもしれない。
少し興味はあるけれど、今現在のこの世界でも仕事が一杯あるので今はいいかな。まあ僕はほとんど眷属達に丸投げだけれどね。
後そうそう、もう一つ遍在ってスキルもあったな。どんな効果なのだろう。
・・・・・・異世界を含めあらゆる事象を観測する・・・・・・
ふむ。こっちは見るだけのスキルだな。
おそらく異界のスキルと対になっているのかもしれない。もうある異世界にちょっかいはかけられないみたいだけれどね。
よくよく考えれば、対になっていなくないか?
これは少し試してみた方がいいのかもしれないな。
手分けして町を調べつつ特に何も無いのでこっそりとスキルを使ってみた。いや使おうとしてみた。
遍在の方は確かにいろいろな異世界やこの世界など、確かに見る事が出来た。
問題は異界。
こっちのスキルを使ってみようとしたところ、何も変化がない。
あれ? どうやって使えばいいのだろうか・・・・・・
・・・・・・スキルのLVが低いので、ゼロからの創造が出来ません・・・・・・
どうすればと悩んでいたところ、ヒントが出て来たよ。
ゼロからが無理なら既にある異世界にちょっかいを出す事になるのだが、それって無理だったはずでは?
・・・・・・既に終わりを迎えた異世界になら干渉出来ます・・・・・・
あー、他の創造神が創って放棄された世界を再利用するって事だな。
確かにそれなら二つのスキルを使って独自の世界を創れるのかもしれない。
いずれ暇になった時にでも何かしらやってみよう。
・・・・・・いやまてよ・・・・・・これってよく考えて見れば、僕を信仰する世界を創って崇めさせれば、面倒な信仰集めをする事無く格を上げられないか?
どこの世界でも創造神っていうものは、崇められていて強い力を持っているものだ。
ひょっとしてチート能力を手に入れたのかもしれないな!
とりあえず今は新しいスキルの事については後回しにしよう。
ビゼルが神になった事を国民に紹介する祭りも、もう直ぐだしね。
今はこの町を開放し、避難民をこっちに誘導する事を優先する。難民の子供達にお任せって感じかな。
いやその前に彼らが担当していた方の避難民達の、拠点になる町の開放が先かもしれない。
こっちの町もかなり手間取っているので、子供達だけでは町の開放はやめておいた方がいいだろうな。
もし解放出来たとしても、何人か犠牲者が出る可能性の方が高い。
さすがに見ず知らずの者達の為に、誰かを犠牲にするのは考え物だろう。
どうしてもというのなら、その地で生活する者達ががんばればいい事だ。
子供達を巻き込んでまでしなければいけない事ではない。
そもそも子供達はこの国で働いている騎士でもなければ貴族でもないのだからね。
彼らは行き場の無くなった難民の子供でしかない。
本来ならば彼らこそがその国の大人達に救われねばいけないだろう。
そんな彼らが戦って、何もしない人々を救う必要などないのだ。
だから無理に戦うのではなく、あくまで経験値集めのついでに戦うのがいいかな。
そして危なくなったら遠慮する事無く逃げる。それで十分なはずだ。
『・・・・・・街道沿いのデミフュルスを討伐して廻っているよ』
「そうか、無理はしないようにな」
『はい。さすがに僕達じゃあ町にいるデミフュルスは倒せないよね』
『二十体とかならまだぎりぎり何とか行けそうな気もするんだけど。百体以上いるって聞いているからな~。絶対僕達じゃあ無理だよね』
『だよね~』
「まあ、そっちは僕達の方で討伐するよ」
『お願いしますー』
東側担当の子供達と連絡を取り、簡単にだが今後の予定を決める。無理して突撃していなくてよかった。
本当はこのまま手を出したりせず周辺の異形で経験稼ぎをさせて、最終的にはLVが高くなったみんなで町の開放っていうのが理想なのだがな。
現地の人間からしたら一刻も早く開放して欲しいものだろう。
そんなもの他所の国のそれも子供にやらせようとするなって言いたいが、こっちの上級冒険者でも刃が立たない相手だからな。
いくら子供だといっても倒せるのなら期待するなって言う方が無理なのかもね。実際には倒して来いとは言われてはいないが。出来れば倒して欲しいと顔に書いてある。
一体倒すのと百体倒すのとでは、難易度は天と地程も違うので、子供に無理難題を押し付けるのは大人としてやめて欲しいところだ。
無茶を言うのなら、自分達で無茶をして実証してから言ってもらいたいものだ。その時は死んで何も言えないだろうけれどね。




