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モンスターに転生するぞ[通常版]  作者: 川島 つとむ
第三十章  幼き勇者
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幼き勇者

   第三十章  幼き勇者


 名前 アーゲルト(レビルス)  種族 ヒューマン  職業   EXP 39%

 LV 33  HP 328  SP 281  ST 304

 力 46  耐久力 51  敏捷 48  器用度 42

  知力 29  精神 32  運 52  素質 97

 属性 

 適正 武器戦闘

 スキル LV一 底上げ 方位感覚 盾術 応急手当 業感知

  LV二 勇気 肉体強化 反撃 二段斬り

  LV三 剣術 斬撃向上


 息子の魂を持って生まれて来たアーゲルトは、現在初心者ダンジョンで経験値稼ぎをしている。

 こちらが移民など順調かどうか見に行っている間に、どれくらい強くなっているのかステータスを見てみたのだが、思っていた程LVは上がっていないようだな。

 昔のレイシア程焦っていないって事か?

 ついでなのでホムンクルスの方も様子を見てみると、そっちはLV六十に達しようとしていた。

 昔に三人だけいたホムンクルスみたいに、今回もレビルスの冒険に混ぜてみてもいいかなって考えていたのだが、LV差があるので今回はパスだな。

 それはそれで進化させるかどうか、迷うところなのだがね。

 おそらく一気に新種族とはならないだろうから、ここら辺りで一段階進化合成しておく事にした。

 進化先は予想通りホムンクルスで、高校生くらいの等身で身長が子供サイズになった感じかな? 離れて見るとどこにでもいる大人になったばかりの若者達って感じだろう。遠近法の錯覚のようだ。

 彼らには引き続きダンジョンに潜って経験値を稼いでもらう為、通常サイズのダンジョンへと行ってもらった。もう一般冒険者に混じって経験稼ぎをしても、問題ないだろうからね。


 進化させたホムンクルス達は、早速仲間達とパーティーを組み、ダンジョンへと出かけて行った。

 彼らの方は特に急ぐ用事もないし、そもそも僕から指導するような事も無い。知能が高いので、いちいち指導する必要はなさそうだからね。それに別に即戦力を期待している訳でも、勇者になって欲しいのでもないのだから全てお任せ出来る。

 しいて言えば新人類に進化して欲しいので、寿命までにはLVを上げてくれれば文句は無かった。

 それもミニダンジョンのおかげで、以前よりかなり速いペースで進化まで辿り着けそうだけれどね。

 やはり問題はレビルスの方だな。

 聖サフィアリア王国の方は、ぎりぎりで飢え死にを免れてホッとしているところだろう。さすがに今後もずっと食糧援助していく訳にはいかないので、この間に何かしらの打開案を考えねばならない。

 逆にこちらに依存して、ずっと食料を要求するようなら、その時は援助を止める事になる。

 確かに昔に世話にはなったが、さすがにずっと無償で援助する義理は無い。そこに何かしらの利益や、こっちに思惑があれば別なのだが、今回は無いからな~

 レビルスを勇者として育て上げる仕事を任された以上、聖サフィアリア王国自体にはもう助ける理由は薄い。

 勇者として世界を安定させてしまえば、人類は救われるからね。

 聖サフィアリア王国だけに拘る必要性が無くなるのだ。

 まあ、ここら辺りはそこまで心配しなくてもいいだろう。依存するような国ならば、とっくに潰れているはずだ。


 そんな訳で他の案件は保留としてレビルスの様子を見に来たのだが、格好だけは冒険者っぽい感じになっている。

 新品の武器防具に、冒険者ギルドで売っている初心者道具セットなどを身に着けていた。初心者道具セットの中身は、基本的なバックパックやテント、マントや携帯食、松明やランタン、筆記用具などいろいろ詰め込まれている。

 それら内容も、フォーレグス王国では種族がいろいろなので、種族の違いでいらない物を省いたものなどもいろいろ用意されている。

 例えば、ハーピー族などはかなり内容が違って来るだろう。

 人間などは崖などを登る時用にフック尽きのロープなどが用意されているのだが、ハーピーは自前で飛べるので必要としない。ロープは他にも活用出来るだろうって意見もあるがハーピーには手が無いので、ロープを使って荷物を縛ったり、捕虜を縛ったりといった用途は無いのだ。あいつら結構不器用なやつが多いので、足で扱うと絡まってしまう。他の仲間にやってもらった方がいいだろうな。

 そんな感じなので重量的にもまさにお荷物になる道具って訳だ。

 他にも、松明やランタン。人間ならばどちらか一つでいいのではと思われるが、これも用途によっては欲しい物だ。

 ただの明かりでよければランタンだけあればいいのだが、松明は火を怖がる動物に対しての武器にもなる。使い方次第なのだがね。

 しかしハーピーには手が無い。くどいようだが松明を振り回したりは出来ないのだ。あきらかに必要ないよねー

 本来ハーピーは鳥目で、暗闇ではまったく役に立たない。出来れば昼間に活動すればいいのだが、冒険者の場合は昼だけの行動なんて選べない事が多いからな。

 そんな彼らは夜が安全になるなんて保障はない。そもそも洞窟内は真っ暗になるしね。ではどうするかといえば、ハーピー族専用のライトが用意されている。

 土木工事の人がヘルメットに装着するようなタイプと、首から提げるタイプに別れるのだが、どちらを選ぶかは本人の好みに分かれる。

 頭の上に付けるタイプは、きょろきょろすると前が見え辛かったりするしね。

 激しく動かなければ、進行先をピンポイントで照らしてくれるのだが、それが逆に自分の位置を敵に教えているようなものだ。相手の知能が高いとちょっと困るだろう。

 どこかに着地していれば、ライトを消して隠れることも出来ると思うが、周囲が見えなくなっちゃうだろう。

 首から提げるタイプは揺れて見え辛いのだが、首の動きに合わせて振り回されないのでそこは見やすくなると考えられる。

 こっちもどこかに着陸していれば、簡単に羽で覆って光を遮ったり出来るだろう。簡単に合図を送るとかも出来るよね。

 ただ首から紐でぶら下げるタイプなので、どこかに引っ掛けたりすれば紛失する事もあるかもしれない。

 おっちょこちょいなやつだと、買い替えでお金が必要になるかもしれないな。

 不便だと思うのなら、それぞれの種族でもっと改良して使いやすくして欲しいものだ。最適な物はやはりそれぞれの種族で研究して欲しい。

 だが、今のところこちらで用意した物を、ただ使っているという友好種の方が多いようだ。ヴァンパイアのような知能の高い種族もいながら、あまり技術が発展していかないのが悩みだ。


 さてレビルスの武具の方なのだが、こちらもフォーレグス王国では至って普通の量産品だったりする。

 実際に冒険して行く上では、少しでもいい物を装備していた方が生存率も討伐成功率も上がるのだが、現時点では装備の性能で強くなっても仕方が無い。ある意味経験値が減るだけになる。

 何でも斬れる伝説の武器があったとして、ドラゴンすらも容易に倒して行ったとしても、それを扱う中身がへっぽこなままではいずれ限界が来る。相手は魔王だしね。

 そこら辺りの冒険者が、生活の為に冒険者をしているって話なら、別にそれでも構わないのだ。しかし勇者として何者にも負けないような強さを手に入れなければいけないのなら、強い武具を使って修行するのはデメリットしかない。

 むしろボロイ武具を使って、ガンガン敵を倒して行った方がいい経験稼ぎになるのだ。

 ゲームだとどんな装備であっても、敵を倒せば経験になるのだけれどね。

 ボタン一つで何百という敵を倒したとしても、リアルでは経験など入っては来ない。そこが難しいところだ。

 なので現状はこのままがんばればいいのだがいずれは・・・・・・確か魔王と戦うのに聖剣があったはずだな。どこに行った? あれがあればある程度実力差があっても、魔王を倒せるはずだ。

 まるっきり実力不足なら太刀打ち出来ないかもしれないが、ある程度なら運命で倒せるようになっていたはずだ。聖剣はその運命を切り開く為に必要な物だったはずだ。

 どこに行った?

 多目的シートで情報を見てみたけれど、不明と記載されていた。

 次代の勇者らしく、聖剣を見付ける冒険をしろってところかね~

 まあ、初代勇者が持っていた聖剣も、見付かった時には封印されていたからな。ここは自力でがんばってもらうしかないのだろう。

 となれば、繋ぎになる武器を用意しておかなければいけない。どうせ鎧とかも必要だし、そっちのついでに造っておくとしようかな。


 今のところレビルスはレイシア達の指導の下、十分がんばっているように見えた。成長が遅いと感じられたのは、テッシーによってスキル獲得を優先しているからみたいだな。

 確かに剣を振るだけならそのまま成長させれば問題はないが、それでは筋肉馬鹿になりかねない。脳筋勇者になられると、またこの前の勇者みたいに関係の無いところに喧嘩を売ったりして、迷惑を掛けまくる結果になるだろう。それは駄目だ。

 いろいろなスキルを身に付ける課程で、もっとよく考える立派な勇者になってもらいたいものだ。

 レイシアもついでにテッシーが指導しているようなので、このまま任せておこう。

 こっちは工房にて、勇者の装備を考える。

 今は訓練の邪魔になるから、独り立ち用の装備として用意したい。

 とはいえ、何年か修行するのならサイズが変わって来ると予想出来る。何しろまだ十歳らしいから急に身長が伸びたり、筋肉質になったりするかもしれない。

 そこで魔王に対抗出来るような金属でも、選んでおこうかなって考えた。最悪聖剣無しで戦う事も、考えておかないと駄目だからね。保険として用意しておこうと考えた。


 この世界で使われている金属は主に、僕が勝手に命名したグリーンメタル合金とミスリルだけになる。その他に確認された金属は、お金や装飾として使われる銅と金、そしてミスリルとしての力を失った銀。これらしかないようだ。

 これらの他に上位素材にスキルで変換した、玉鋼やチタン合金、コバルトなどがあるのだが魔王に対抗出来るような金属は無いかな。通常の冒険ではいい素材なのだが、魔族特化の聖剣程の威力は望めない。

 そう考えると聖剣の素材とか、分析しておくべきだったかもしれない。

 まあ今更なのでこれは仕方が無いだろう。変わりにオリハルコンとかお約束の金属が欲しいな。そう考えて、金属を生み出してみたのだが・・・・・・これがオリハルコン? 元々この世界に無かった金属なので、性能の方がよくわからない。

 色は銅をもっと赤くしたような色合いの金属で、ミスリルよりも魔力伝導率がいい新素材。

 硬さも一般金属よりも硬いのだが、聖剣としての能力は持っていないような気がした。

 率直に言えば、ミスリルの上位金属。強化版だな。まあゲームなどの設定でもそうだったが。

 検証の為ビゼルの故郷になる魔界から、適当な雑魚魔族を召喚して試し斬りしてみたのだが、特に邪悪な存在に特化している訳でもなく普通に倒せるだけだった。

 武器の性能としてはこれでも十分なのだがな・・・・・・欲しいのは魔王に通用する聖なる剣なのだ。もう少し研究が必要になる。


 ゲームなどで使われる金属の順位だと、銅、青銅、鉄、鋼鉄、銀、金、ミスリル、オリハルコンって感じで上位の金属になっていく。この中でミスリルとオリハルコンは実在しない物質で、伝説の金属って感じだな。

 そのオリハルコンの基になっているのはどうやら銅って事になっているらしい。ゲームか小説の知識なのだが、銀に魔法物質を混ぜたのがミスリルで、銅に魔法物質とかいろいろ混ぜたのがオリハルコンって事らしい。

 それもこの世界とはいろいろ設定が違っているので、参考程度の知識になる。

 僕が疑問に感じているところは、一番グレードの低い銅から構成されているのに最強素材になるってどうなのだろうね? なんだか納得がいかない。

 素人考えなのだが銀より下より上の素材、つまりは金を使えばもっと素晴らしい素材が出来るのではないかって思うのだ。物によっては聖剣が金で出来ているっていうゲームなどの作品もあるからな。期待していいのではないか?

 ただ純金だと、一撃でひん曲がると思う。金はそれだけ柔らかい金属だって事くらいは知っている。

 おそらく何かを混ぜて、合金にすれば見違える程優秀な素材になるはずだ。まあ願望だけれどね。

 そんな訳でいろいろと混ぜてみた。

 錬金術でも金って最終目標みたいな感じだし、ドラゴンも好んで集めるくらいなのだから期待したのだけれど、はっきり言って役に立たない!

 まず何を置いても強度が足りない。そして重い。

 いろいろ混ぜてみたおかげで、見た目は豪華になるのだけれど、武器にすると儀礼武器にしかならなかった。

 思うに金に見える武器があったとして、それは見た目がそう見えるだけの別金属だったのではないかと考えられる。

 確か出て来るゲームやアニメなどは少ないが、ヒヒイロカネって物が伝説の金属系で金系統だったはず。まあ名前が出て来たのはすっきりしたが、これは使えない。

 混ぜる素材が悪かったのか何を混ぜても同じなのか、現時点では何とも言えないな。

 今の段階だと、金は装飾用の金属って扱いでしかないようだ。まあこの世界ではって感じだがね。

 もっといろいろな合金を作ってみないと、駄目だな。理想の武器はまだまだ難しそうだ~


 息抜きもかねてレビルスの様子を見に来てみたのだが、見たところ彼は魔法にはあまり適性が無いみたいだな。

 彼の特性といえばいいのか、得意な戦い方は片手剣と盾を使った堅実な攻撃。魔法戦士みたいな魔法を使いつつ戦うタイプではないらしい。

 勇者っていうからてっきり聖魔法をバンバン使うとか、肉体能力を上げて戦うのかと思ったのだが、普通の戦士と変わらなかった。

 スキルで見てわかるように、まだ正式に勇者としての能力が身に着いていないからかもしれない。いずれハウラスのように魔法が使えるようになるかもしれない。こればかりは今後どうなるか、レビルスの資質次第だろう。

 今はLVもゆっくりと上がって行っているから、長い目で見ておくしかないかな。

 まあ子供なのでこれでもがんばっている方なのかもしれないと考えておこう。

 そうすると、他の要素はパーティーメンバーで補って行かなければいけない。そっちの方が大変かもしれないがね。

 一番いいのは一緒に鍛えて行く事なのだが、あいにくフォーレグス王国には人間が少なかったりする。しかも冒険者になる人間は、極わずかなのではないかな?

 これではパーティーメンバー探しは難しいだろう。

 会ったばかりの頃のレイシアのようだ・・・・・・


 「あっ! LVが上がりました」

 まだまだ時間はあるかと、レビルスの様子を見ながら次はどんな素材で試そうかと考えていると、そんな声が聞こえて来た。

 レビルスはフォーレグス王国の期間限定移住者登録をしているので、ステータス魔法の恩恵を受けていた。これはフォーレグス王国と同盟国にかけている、住民登録魔法の付録として設定した魔法で、今のレビルスのように何かしら進歩があれば教えてもらえる魔法だ。改良型ステータスの効果だな。

 ステータスの魔法は特殊なので、全員が使える訳ではないからね。おそらく冒険者達が喜んで経験値稼ぎをしている事だろう。

 今現在のステータスを見ることは出来ないのだが、これからのスキルなどは知らされるはずだ。国内限定でステータスカードでも発行しようかな? まあそれは欲しいって要望があればでいいか。

 それよりもレビルスのLVが上がったようだが、その瞬間に敵を倒してはいなかったのを偶然確認出来た。

 テッシーによって未熟な部分を実地で教え込まれていたようだ。

 つまり、対人戦で経験稼ぎも出来るって事かな?

 ゲームなどだと対人戦をしても経験値は変化しないのだが、リアルでは経験値になるようだ。

 今まではステータスを確認して初めて、変化があるのかどうかわかったのだが、今は音声で変化を教えてもらえる。

 それで気が付くことが出来たって感じだ。


 それを知って考えたのだがこれっておそらく、上位者との対戦でパワーレベリングが出来るのではないか?

 ゲームなどだと敵を倒した瞬間に経験が貰えるのだが、リアルでは戦闘の最中であっても経験は溜まって行っているのだ。それ故に敵をただ倒しても、経験値はもらえない。

 どう倒すか。どれだけ身になるように倒すかがポイントになって来る。

 これって神である僕が相手をすれば、直ぐに勇者としての実力が手に入りそうだ。実力差が激しいからね。

 いっちょ試してみるかな!

 「少し確認したい事がある。模擬戦をするぞ」

 「模擬戦? それなら私が相手をするよ」

 「いや、実力差がある方がいいかもしれない。僕と何戦か試してみよう」

 「やり過ぎないでね?」

 ビゼルは特に何も言わなかったが、レイシアが心配そうに了承した。ひょっとしてボコボコに叩きのめすとでも考えたのかな?

 さすがに痛め付けようとして模擬戦をする訳じゃないのだから、せいぜい苦戦させるだけだ。それというのも苦戦しなければ経験値稼ぎにはならないからだ。

 絶対に死なない経験稼ぎと考えれば、ダンジョンに篭るよりもよっぽど身になると思うぞ。

 いや、これって一気にLVが上がるのだが、お金稼ぎには向いていないな。後上手くやらないと、スキルの方もバランスが悪くなる可能性が高い。

 LVだけ高くて武器を操るスキルが低いって、ちぐはぐなステータスになる可能性もありうる。

 ちょくちょくステータスをチェックしながら指導して行こう。ハウラスと違ってレビルスはどうでもいいやつではないからな。歪んで育って欲しくはない。


 「アーゲルトには厳し過ぎじゃない?」

 予想は当たっていてドンドン経験を稼いでいたみたいだが、傷が増えて行くレビルスを見たレイシアがそんな事を言って来た。時に、大怪我をしそうな攻撃などを必死に避けさせたりした結果なのだが、それが虐待のように見えたのかもしれない。

 レビルスの方もどうやらあまり歓迎はしていない感じかな?

 経験稼ぎについては相当な成果が上がっているのだがなー。やはりゲームのような経験稼ぎは、こちらの世界には受け入れられない要素なのかもしれなかった。

 時間がかかってものんびりと育てた方がいいのかもしれないな。その間に人類が激減しなければいいのだけれど、こればかりは仕方が無いようだ。

 こっちも無理をして怨まれたくはないしね。

 「じゃあ後はレイシアに任せるよ」

 「任せて!」

 というか、これって自分がレビルスの面倒をみたいだけじゃないか? まあいいけれど・・・・・・スキル取得の邪魔にならないよう、外傷だけ治療してレイシアに任せる。自然治癒力も鍛えたら、スキルを取得出来るかもしれないからな。

 何でもかんでも手を出せないっていうのは、なかなか判断が難しいところだ。

 さてこっちは聖剣になりうる金属でも探そうかな。


 今ある金属素材以外に魔物素材もチェックしながら、聖サフィアリア王国の情報も確認しておく。

 さすがに自国の首都にも難民が溢れ返っていただけあって、食料が全然足りないようだ。こっちもそれなりの食料物資を送ってはいたのだが、一国丸ごと賄う程の食糧など余ってはいない。

 元々は自国民の為の食料だからね。

 この世界は地震や干ばつなど起きないようだけれど、何かしら災害が起きたら大変なので、食料は多めに確保している。常に一定数確保しているので、古くなった食材から学校や公共施設、教会などに回していた。

 とはいっても腐ったり傷んだりする前に食べるので、味が落ちるとかそういった害は今のところ出ていない。公務員や学校関係者、保護対象などはこのシステムのおかげで、無料でご飯が食べられる。

 その余り分を支援物資として回している感じだった。

 それだけでは足りないのはわかっていたので、追加で負担にならないくらいの食料も、増産して確保しているけれどね。

 やり過ぎるとこっちの国民が飢えるから、そんなには買い占めたりコボルト達を働かせたりはしていない。

 僕にとって優先するのは自国民だからな。

 そこで大幅な増量分は、こっちにやって来た難民達に働いてもらって増やすようにしよう。お互いに助け合うといい。


 そっちはそのまま任せておくとして、ずっと忘れていた鉱石が見付かった。こちらで金属に混ぜてはいなくても取れる錫とか炭素など、そういう物を探していたのだがいい物が出て来たかもしれない。

 以前初代魔王の残党を討伐した時に手に入れた、ゴーレムの魔族の体だ。特に困ってもいなかったので、忘れたままだったのだが、せっかく出て来たので研究してみる。

 もし有効活用出来そうなら、神となった力を使って友好種か畜産動物扱いで育てて行きたい。

 さて、まずは鉱石から混じり物を抜いて、使えそうな金属を精錬してみよう。

 既にある物、知識にある金属、今までに無かった金属などを抽出していき、未知の金属ならその性質世解明してみないといけない。その結果、まったく使えないが未知の金属ってパターンもあるけれど、それはそれで増やしてみる価値はあるだろう。

 全部が既存の金属だったら、わざわざ増やす必要は無くなる。

 現状貨幣以外では二種類の金属しか使われていなくても、この世界はまったく問題が出ていない。

 だから地球では有り触れていても、この世界では存在していなかった金属とかがあっても、そこまで重要性は無いのだろう。まあ資源としては持って置きたいだけなので、僕としてはコレクションって感じか。

 一番いいのは、役に立つ未知の金属だな。

 目新しいものが出て来て欲しい。


 今でこそ生命の神なんて種族になっているのだが、元々生命を創るより生産作業の方が得意だったような気がする。

 いつの間にやら眷族が生産活動をしてくれるようになったので、眷族を生み出してばかりになった事が種族を決めたのだろう。まあ眷属が造ってくれた方が、出来の良い作品ばかりだったからな~

 だが今でも生産は得意だ。逆に戦闘とか運動は、ゲームでは得意だけれどリアルではきつい。

 能力値の差で大抵の者には負けないのだが、前の勇者みたいにしっかりとした技術を持った相手だと適わない。

 それに比べれば生産作業は眷属達に及ばなくても楽しんでやれている。こっちの方が僕向きだな。

 元々インドアな人間だった影響かもしれない。

 さて魔族の体を形成していた鉱石だが、その大半はミスリルで出来ていた。それに水銀とこの世界の鉄、一般に金属と呼ばれる物質だな。そして肝心な未知の金属が少量。

 未知の金属というか、有機金属みたいな金属性細胞って感じの物質が出て来た。

 あの魔族が死んだ段階で死骸になっているようだが、これは一応金属属性の生命体だったようだ。水銀が血液の代わりを果たしている感じかも?

 ただし人間のように全身を水銀が巡っていなかったようで、切り刻んでも水銀が漏れて来る事は無かったみたいだ。だから生物的なものだと気が付かなかったようだ。

 金属細胞の中に水銀が入っていたようで、分離してしまえば生物らしさは無くなってしまう。金属細胞に気が付けたのは偶然みたいなものだろう。


 問題はこの未知の金属細胞が使える物質なのかどうかになる。

 実験してみてわかった事は、魔力を与えると活性化して活動を再開する事だ。一瞬あの魔族が蘇って来るのかって警戒したのだが、どうやら細胞分裂はおこなわれないようだった。細胞の維持が始まるってところかな?

 後、核になる部分が失われているのでしばらくは活動を続けるものの、魔力が無くなると停止するようだ。

 試しに短剣にしてみたところ、使用者や敵から魔力を得て武器の強度を上げる事がわかった。この性質は鎧に向いているかもしれないな。

 その他に聖属性の魔力を込めることも出来たので、属性武具を造ることが出来そうだ。核になる魔石を用意し、それに聖属性が追加されれば即席の聖剣って訳だ。

 さらに実験を試みたところ、刀身に特殊加工する事で切れ味を向上させる事に成功する。

 見た目はルーンソードかな? 刀身部分に幾何学模様が浮かび上がっていて、なかなかかっこいい武器が出来上がった。

 金属細胞が魔石と特殊加工の維持と融和を促進してくれるので、成長する武器と呼んでいいだろう。インテリジェンスソードと呼びたいところだが、こいつに知性は無い。単純に成長するだけの剣になった。

 早速魔界にいる魔族を捕まえて来て試し斬りをしてみたところ、オリハルコンよりも威力のある武器になっていた。

 聖剣と呼ぶには生々しい生態武器だろうが、まあ繋ぎの武器としては破格の武器になるはずだ。見た目普通の剣だしね。

 これは使えそうな金属を見付けられたな。早速金属細胞の培養を進めよう。

 レビルスの武具一式くらい造れる量の素材はあるのだが、それで使い切ってしまっては勿体無い。

 一杯培養出来たらレイシアやビゼル、眷属達の装備も造ってあげたいからな~


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