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モンスターに転生するぞ[通常版]  作者: 川島 つとむ
第二十九章  混沌の時代が始まる
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配下達の造ったダンジョン

 まだ人造ダンジョンメイカーのスキルは試作段階なので、みんなで造り上げたダンジョンは予定通り拠点内部に設置した。

 予定と違うところはサイズだな。

 ホムンクルス用にと考えていたのだが、結局設置したサイズは巨人用のものになった。

 何故かっていえば、元魔王軍にいた生き残りの中にはドラゴンサイズがゴロゴロといるからだ。ヘカトンケイルのような大型もいる。人間サイズでは身動きも取れないだろう。

 まあ大きい方が荒は目だって修正箇所を探しやすいしね。その代わり見て回るのは大変になるだろう。

 ちなみに後から後から追加で参加者が増えた為、初期に参加していたダンジョンが完成した段階で設置している。

 それでも僕が第一層を完成させてから、一ヶ月は待つ事になった。待ち切れなくて設置したともいう。

 そのおかげで完全に完成してからの設置と、未完成のダンジョンをそのまま配置し、ダンジョンメイカーでいじるテストにはなっている。これも後々ダンジョン拡張や、変更する為のテストだと思えばいい。

 それによってわかった事もある。設置後にいじると、MPの消費が多くなるようだ。

 しかしこれは予測範囲内だろう。

 ホムンクルスはまだ成果が上がっていないようなので、このままダンジョンの修正というかお試し攻略を進める。いや、既に眷属やパペット、魔王軍の生き残り達が突入済みだった。おそらく設置した時には、突入していたと思う。

 よほど自分達で造ったダンジョンの出来が気になったのかもしれないな。

 完全に出遅れてしまったが、早速中に入る事にした。


 まずは自分で造った第一層だが、今僕の隣にいるのはビフィーヌのみ。

 レイシアとビゼル、それにテッシーは経験集めもかねて先に行ってしまった。おそらく第一層はほとんどスルーして、自分達で造った第二層を目指しているのだと思う。

 まあいい。こっちはダンジョンの不備などを見ながらになるので、かなり時間をかける事になりそうだからね。

 「主さま。やはり繋ぎ目が荒くなっているように見えます」

 ビフィーヌが指摘したところに目を向けると、壁と壁に地面と、絡み合っているように見える部分が発見された。

 「これは優先順位の問題かもしれないな」

 「ですね」

 三つのパーツが絡み合って、いらない凸凹が出来てしまっている。

 この場合地面を最優先にして左右のどちらかの壁を次に優先し、順番にトリミングしていけば綺麗になるのではないだろうか。

 早速製作工程を意識したシステムになるよう修正を加える。

 しかし既に設置されたダンジョンは修正されなかった。これは当然だろう。製作工程が記録されていないので、優先順位を把握出来ていないのだ。

 という事は今後もミスが見付かるたびに、一つずつ手直しして行く事になるのか?

 やばい! 配下からのクレームが来るぞ!

 直接的には言って来なくても、何とかして欲しいって視線が複数飛んで来そうだ・・・・・・どうしよう・・・・・・


 こうしよう。

 「種族創造! 管理精霊」

 これは元々考えていた事なのだが、それぞれのダンジョンに管理者は必要ではないのだろうか。佐渡さんが使っていたダンジョンメイカーにもダンジョンの管理を任せる水晶と、それを操作するロボットのダンジョンマスターがいた。

 ダンジョンマスターがロボットだったのは佐渡さんの趣味だと思うけれど、ロボットを置く事で常に佐渡さんがダンジョンにいる必要は無くなる。

 こっちとしても、現状常にホーラックス達が管理しなくてはいけないのは手間になっている。それがダンジョンの数を限定させている原因でもあるのだ。

 無数にダンジョンを造りたい訳ではないのだが、やはり必要数のダンジョンは増やして行きたい。

 国内と同盟国にはそこそこの数の冒険者がいるのだが、彼らには各地に造ったダンジョンをあちこち巡ってもらいたいのだ。どこかに集中して滞在されるのも問題だからな。

 ダンジョン毎に取れる素材を変える事で、その土地の特産となるものも変えていきたい。

 経済を上手く回さないと駄目だからな。

 特色を出して行くのは計画的にやらなくてはいけないので、ホーラックス達に任せたいが、個々のダンジョン管理はある程度自動化したいのだ。


 そこでダンジョンの管理をする種族を創り出した。

 ダンジョンマスターを配置しない理由は、あくまでダンジョンの補修管理だけをお願いしたいからだ。

 新たな変更や目的に応じた役割など、そういう仕事はホーラックス達に頼みたい。

 そんな訳で精霊にしたのだが、見た目はゲームで出て来る妖精って感じか、ノームってイメージだな。

 一つのダンジョンに一体になるのか複数になるのかわからないが、彼らが今後維持管理していく役目になる。

 冒険者に破壊された壁とか扉とかの補修も、彼らの役目だ。罠もかな?

 必要に応じて改装する権限をあげてもいいかもしれない。彼らにとってはそのダンジョンが自分達の家になるのだしね。

 では早速このダンジョンの管理を任命しよう!

 「継ぎ目のこの部分を、こんな感じで直していってもらいたい」

 「キュルキュキュ~(あいあいさ~)」

 あー、種族を精霊に設定したから、言語が精霊語になっちゃったよ・・・・・・まあいいかな?

 かえって改装中、冒険者に襲われる事は無くなったよな?

 狂っていない精霊を襲う冒険者は、ほとんどいないだろうしね。だいたいが精霊自体を見る事が出来ない人間の方が多い。

 うん。ダンジョン管理には向いているだろうな。

 早速目に見えている不具合が修正されて行く。

 そういえば、ここが彼にとっての家になるとしたら、テスト終了後壊したり出来ないのか? まあ、バランスも見ていないダンジョンだし、このままみんなの遊び場にしてしまえばいいかな~


 その後もダンジョン内を見て回ったのだが、ふと違和感を覚えた。何ていえばいいのか、何かが違う? いや、不足しているのだと思う。

 いったい何が足りていないのだろうか・・・・・・

 特に修正が必要と思えるものは、見当たらない。管理精霊に任せたような不自然な出っ張りはたまに見かけるのだが、あえてそれらを別のオブジェクトに変えてやると、自然な感じの鍾乳洞みたいに見えてくる。

 水晶や石柱とかもいいなぁ~。自然にありそうで味わいが出て来る。

 もっとこう苔とかも生やして・・・・・・

 ああそうか、ここは綺麗過ぎるのだ。

 出来立てで年季が入っていないのは当然なのだが、苔生していたり天井がひび割れたりして雨水が落ちていたりといった演出? 自然だからこその光景が見られない。

 これは僕のセンスそのものの問題でもある。

 映画などのセッティングをする人なんかなら、もっと何千年も経っているように飾り立てられるのだがな~

 残念ながらそんな映画の美術担当みたいな演出は、僕には出来ない。才能が無いからな~

 ここは魔法を便利に使ってみよう。

 演出が下手だって言うのなら、実際に何千年と経過させてしまえばいいのだ。時空系の魔法を使えば、出来なくはない。


 新たな機能として組み込んだ時間経過を使ってみた。

 いきなり千年とかは念の為に止め、様子見で百年経過させて見たのだが・・・・・・ビデオの早送りのように変化していくのがわかる。これは結構面白いな!

 これぞ自然なダンジョンだって思える出来栄えになったぞ。

 ただ時間が経過するという事は、時間経過による故障も意味するようだ。

 一部罠が発動しなくなっていたり、ゴミなどが詰まって予定していたギミックが働かなくなっていたり。さすがにモンスターに時間経過を適合させないくらいは考えてあったのだがなー

 罠は自然と風景に溶け込んでくれると考えたのだがいけなかった。普通に埋没してしまったよ・・・・・・

 後、扉なども錆びて開かなくなっていたり、重くなっている部分もある。

 管理精霊が忙しそうに仕事をしているのが見えた。わるい、そこまで考えが及ばなかった。

 わるい事をしたなーとは思うけれど、見た感じ必要処置であったと思える。どの道いずれは時間経過するものだしね。

 しかしいきなり新品のダンジョンが劣化するのは考えものだろう。

 ちょっと細かい部分を修正してみるか。


 僕の造った階層は、第一階層なのでモンスターに配置したのは中級冒険者を基準にしたモンスターだった。ミノタウロスクラスの強さだな。

 ホムンクルスが参加するダンジョンだったら初心者用にしたのだが、参加しているのが最上級クラスの連中ばかりだからね。様子見のモンスターを配置してある。

 そのおかげか、参加している配下は誰一人として第一層にいやしない。

 スルーしてさっさと第二層以下に降りて行ってしまったようだ。いや、自分達で造った階層に向かったのかな?

 とにかく今、この階層にいるのは僕とビフィーヌだけになる。

 ビフィーヌがダンジョン造りに参加したのは第二層のはずなのだが、向かわなくていいのか?

 「第二層ならいつでも行けますので」

 聞いてみると、ずいぶん大人な意見が飛び出した。

 まあせっかく配下達が造ったダンジョンなので、後でじっくり見て回ろうかとも思っていたのだが・・・・・・冷静なのだな。

 ちなみに襲い掛かって来るモンスターは、逐次殴り倒している。作業のように排除が進んでいるな。

 僕もビフィーヌにも、このランクの敵では経験にもならない。

 でも一応素材は回収しておこうかな。お金が欲しい訳ではないが、何か作るのに役立つだろう。

 そういえば最近自分で何かを作る事って、極端に減った気がする。作りたいって思えるものが無いのだよな~

 機会があれば、何かしら作ると思うけれどね。


 壁の繋ぎ目が修正されているのを確認しながら、第一層中央部へとやって来た。別にここを通らなくても第二層へと行けるのだが、ここに来たのには理由がある。

 それは実験の為に中ボスを配置したのだ。そして倒せばお宝が出て来る。

 報酬のチェックをするのがここに来た目的だった。

 それと中ボスの強さを確認するのも、もう一つの目的である。

 宝箱から出る財宝は、中ボスの強さに応じて変わる仕掛けだからね。

 ちゃんと不遇なく機能してくれるかな~

 部屋に入り、出て来た中ボスを倒しているのはビフィーヌだけだった。

 僕が相手にするには、こいつらでもまだ格下になる。ついでにビフィーヌの経験稼ぎにしてしまっていた。あっさり倒しているので、経験値になっているようには見えないかな? ビフィーヌ的には露払いみたいな感じか、僕に作業をさせない為なのかもしれないな。

 そっちはまあいい。システムチェックと資金稼ぎの両立になっているのだから。素材も取れるだろう。

 当初予定していた不遇対策が上手く働いているかどうかが知りたい。その為にここに中ボス部屋を造ったのだからね。

 そしてまさかこんなところで不運のスキルが役に立つとは思わなかった。いい感じで狙った報酬が最後まで出て来ない現象が確認出来た。ビフィーヌが戦い、僕が宝箱だけを開けているのは申し訳ないけれどね。

 ビフィーヌが中身を受け取らないので、フォーレグス教会に寄付するって事で受け取らせた。運営資金が必要なのか知らないが、維持費にでもしたらいい。

 連続戦闘の結果、何度も戦っていればいずれは欲しい物が手に入る事は確認出来た。

 運が無い人でも、可能性は与えられたと思う。絶対入手不可能ではない。

 大変かもしれないが、不遇解消システムは成功したと思っていいだろう。別の欠点が見付かったけれどね・・・・・・


 ダンジョンの維持には魔力が必要になって来る。これは佐渡さんのダンジョンメイカーでも同じ、いや佐渡さんの方がその傾向は強い。

 ホーラックスの造るダンジョンは、一部眷族やパペットが直接いじっている。モンスターがそうであるし、罠の補修や報酬の中身などもそうだ。趣味で作った品物が、報酬の中身になっている事もある。

 しかし佐渡さんのダンジョンメイカーでは、全てMP消費で賄われているそうだ。

 ダンジョンのバランスが悪ければ直ぐにMPが底を尽き、そのダンジョンは機能を停止するだろう。

 今回新たに創った人造ダンジョンメイカーにも、その危機が見られた。

 中ボスとの連戦に報酬の乱獲。あっという間にダンジョン内の保有魔力が低下してしまった。慌ててダンジョンに魔力を供給したよ・・・・・・

 テストの為とはいえ中ボスの湧き時間の設定とか、バランスを考えなければいけなかったよな~

 後、ダンジョン全体の収支状況を何かしらで把握したい。表計算みたいなシステムが欲しいぞ。

 やっぱりコントロールルームみたいなものが必要になってくるかな?

 それだと、いずれ冒険者に到達されて荒らされる危険があるのだよなー。できれば避けたい。

 佐渡さんのところにあった水晶が、ダンジョン操作などのコアの役目をしていたのだが、僕の方は移動出来る形で欲しいと考えている。

 専用の多目的シート・・・・・・いや、持ち運びと管理のしやすさを目指して、本の形で創ろう。

 人造ダンジョンメイカーのスキルを使うと、目の前にダンジョンの詳細を確認出来る本が生成される感じでどうだ。なかなか雰囲気もあってよさそうな感じがした。

 いずれはダンジョン毎の本がホーラックスの書斎に並ぶ事だろう。


 早速目の前に現れた厳つい革の表紙をめくって、ダンジョンの状態を確認してみる。

 まず表示されたのは、ダンジョン全体の情報だった。ページをめくると、各階層の情報が載っていた。

 それを見ると配下が早速モンスターを駆逐しているのか、がんがん保有魔力が減っている状況が見てわかる。このダンジョン、全然バランスが取れていないぞ!

 本に魔力を供給しつつ、バランスをどうしたら取れるのかあちこちの数字を見ていく。当然見るべき数字は供給側の魔力数値だ。

 基本はダンジョン内にいる生き物達が、無意識に放出している魔力を吸収している。それとは別に、魔法を使わせるといい供給源になっていた。おそらく死んだらもっと多いだろうな。

 でも殺害の方向は無しでお願いする。

 そうなると、魔法を使わせればバランスが取れるって事だな。

 改めて考えてみると、ダンジョン内の配下もビフィーヌも、弱い敵にわざわざ魔法など使っていない。僕もそうなのだが、殴れば倒せる相手に、魔法を使うのは勿体無かったのだ。変なところで貧乏性なのが響いたな!

 「敵を倒す時は、なるべく魔法を使って倒すよう心がけろ」

 『はーい』

 『わかったわ!』

 『『『『了解しました』』』』『うむ』『はい』『わかった』

 ダンジョン内の配下達に念話を飛ばしたのだが、返事が一斉に返って来たよ。

 最初の返事はレイシアとビゼルだってわかったのだが、後は誰が誰やら・・・・・・とにかくこれで当面の危機は回避出来たかな?

 本で確認してみると、ダンジョンの保有魔力は一気に満タンになった。あれ、これって今度は勿体無いのでは?

 慌てて本に予備魔力を保管する機能を追加したよ・・・・・・


 いやー、つくづく試しに設置してみてよかったと思う。

 不具合もそうだが、気が付かなかった機能がどんどんと出て来る。これはもう少し長い期間を設けて、テストした方がよさそうだな。ついでにこんな機能が欲しいとか、要望も聞いてみよう。

 拠点に要望を書くアンケート用紙を置いておけばいいかな?

 後はどれくらいの期間、テストをするかなのだが・・・・・・別に急いでいる訳でもないし、もうこれでいいかなって思えるまで続けたらいいか~

 しばらくのんびりとみんなが造った・・・・・・いや、増えているな・・・・・・確か二十階層だったはずが、三十階層はある。

 どんどん増築しているダンジョンの様子を、じっくり見ていけばいいか。

 「ホーラックス。お前もか・・・・・・」

 「我が主よ。新たなシステムならば知らねばならん」

 「あー、そうだな。存分にやってくれ。意見や要望があれば積極的にな」

 「了解だ、主よ」

 ダンジョンマスターなのに、参加していたよ・・・・・・理由を聞いたら納得したけれど、これは予想外だったな。

 まあ現役ダンジョンマスターがテストしてくれるのなら、これは任せておけるだろう。どちらかといえば、僕なんかより適任だったな。


 ちょっと一息ついて、国外の様子に目を向けてみる。

 うわー。思わずそう呟く程に荒れていた。

 いったいダンジョンの魔法創りにかまけていた間、どれだけの国が崩壊したのだろうか。二、三国ではすまない国が滅びていた。

 トップの王侯貴族が異形化していたのは知っていたが、もうね・・・・・・どれだけの国が自分の事だけしか考えていないのかって言いたいよ。

 おそらく全てがではないのだろう。ハウラスの基準が高いというか低いというか、とにかく酷かったのだろうな。

 これは人類全てが死滅しそうなのでは?

 フォーレグス王国と同盟国にいる人間は、助かるのだろうね。こっちの国内では、異形化する者は出ていない。

 そう考えつつ、結界から入って来る難民の数がここ最近ゼロになっているのが気にかかった。全員が全員、資格無しだった? それは考えられないのだが・・・・・・

 様子を見に行ってみると、そこには結界に捕らわれた異形達で溢れ返っていた。

 そうかこの結界、強引に中に入ろうとしたら絡め取られる仕様だったよ。つまりこいつらが邪魔で、結界を越える者がいなかったって事だな。

 そして難民がゼロって事は、結界の全周囲が異形で埋まっているとか?

 動けない異形の後ろにも、異形が押しかけているのを確認した。これは大惨事だな。レイシアの経験稼ぎにどうだろう?

 昔と違って魔法使いだから、動かない的っていい経験値じゃないか? よしそうしよう!


 「うわー、これは酷いね」

 「主さま。あの私もいいでしょうか?」

 「ふむ。これだけの数なら、わらわが少し削っても問題ないよな? 経験値稼ぎをさせてもらうわ!」

 「数だけは一杯いるしな。好きなだけ暴れるといい。確か異形化したら、元に戻らないはずだしな」

 レイシアだけでなく、ビゼルとビフィーヌも参加したがった。

 どれだけの数がいるのかわからないくらいいるのだし、みんなで倒していけばいいだろう。

 「はーい」

 「腕がなるわ!」

 三人がそれぞれに散って、早速異形討伐を始めるのを後ろで見ていた。

 これって僕でも経験値に出来るかな? ちょっと試してみよう。

 確か昔、レイシアの親に警戒されないようにってノームになって、そのまま経験稼ぎしていなかったな。久しぶりに系統樹のスキルで種族を変えてみる。

 やはりLV一のままだ。

 結界に捕まったままの奴を倒しても、経験値にはなりそうになかったので、後ろでつっかえている奴を相手にしてみよう。


 うーん・・・・・・一応少しは経験になっているような、違うような・・・・・・おそらく稼げて一って感じだろうか?

 一応それでも経験値稼ぎは出来る。プチプチと百体倒せば百の経験値って感じにね。

 でもそれは勿体無い。これはレイシア達に譲った方がましだろうな。別の事をしよう。

 もうそろそろホムンクルスの研究にも、何かしら進展が見られないかな?

 とはいっても研究が進んだからといって、たいした用事がある訳じゃないけれどね。新たな友好種が加わる第一歩になるというだけだ。

 異形種の事はレイシア達に任せ、いったん魔術師ギルドの研究所へと向かう。いや向かっていたのだが・・・・・・

 『バグ様。グミナラフ魔法王国で勇者召喚の儀式がおこなわれたようです』

 どうやら次の勇者が呼ばれたようだ。優先順位はこっちが先だろうな。

 「わかっている情報を多目的シートに出してくれ」

 『はい。さらに情報収集を続けます』

 「頼んだ」

 司書パペットに情報を集めてもらっている間、新たな勇者についてわかっている事を調べておこう。


 大方の予想通り、勇者は異世界人らしい。

 呼ばれたのはどうやら地球のある世界以外の人間で、ここ以外で剣と魔法がある世界から来たようだ。つまり即戦力になり得るって事だな。

 今のこの状況を打破するには、うってつけの勇者だったかもしれない。そういう条件で呼んだのかな?

 現在でわかっている事としては、どうやらある程度剣などの武器が使えるらしいが、格闘戦が得意らしい。

 魔法は生れ付き使えないそうだが、ちょっと変わった体質をしていて、その影響で魔法が行使出来ないのだそうだ。まあその特殊な体質が、何かしらいい方向に影響しているそうだ。

 その特殊な能力については不明なので、そこは今後探っていくみたいだな。

 勇者は現在この世界の情報を伝えられているところなのだが、特に暴れるとか抵抗する様子はないらしい。何でいきなり呼ばれた勇者って、おとなしく言う通りに従うのだろうな? 召喚の時に服従するよう仕向けられているのかな?

 ありそうだ・・・・・・

 まあとにかく、今すぐ活動するって感じではないな。

 事情説明と、勇者の実力確認。それが済んだら周辺のモンスターと戦って異形討伐って感じか。

 本命の魔王とぶつかるまでにはもう少し時間がいるだろうね。


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