63.合理的幹部!
「我々はオフホワイト隊の二番分隊だ! 大人しく投降すれば痛い目は見なくて済むぞ」
次の5人組は、腕に白いバンドのウォッチを付けていることから白組であることがわかる。喋り方も心なしか赤組の連中と違うような気がする。
「その……オフホワイト隊っていうのは?」
「白組は団長の御上さんによって統制された組織だ。オフホワイト隊は色裁九隊の一つ、三年の鵜飼さんがトップの部隊だ」
「色裁九隊……凄くカッコいい響きの名前です! 物語に出てくるみたい!」
冬香はまるでヒーローショーを見ている子どものように、目を輝かせながら白組の5人組のことを見ている。
「オフホワイト隊以外には、どんな部隊があるんですか!?」
「ふふふ、教えておいてやろう。色裁九隊は、オフホワイト、パールホワイト、ミルキーホワイト――」
「わかった。もういい。どうせ後はアイボリーホワイトとか言い出すんだろ?」
この人たち、ギャグでやってるのか? そもそも白の微妙な違いの名前で部隊を作るな。
「どうやら抵抗するようだな。ならば――葬らせてもらう!」
統制を大事にしていると豪語していただけあって、5人は綺麗に陣形を組むと、タイミングを合わせて突撃してきた。
この連携は見事だ。確かに上手く囲まれているので避けようとしても苦労するだろう。
まあ、僕には関係ないけど。
「――ッ!?」
彼らの攻撃が僕を襲う一瞬前。5人はまるで突風波動を浴びたかのように、突っ込んだそのままの勢いで弾き返された。
「な、何が起こった……?」
5人は困惑しながら、その場に崩れ落ちる。キツネにつままれたように煮え切らない表情をしていると、例のバリアが展開された。
どれだけ完璧に連携していたとしても、僕はこの前ダンジョンの隠し部屋でほぼノータイムで矢を打てるようになっているから関係ないもんね。時止め射撃最高!
「影山くん……今、何をしたんですか!? それに、一瞬だけ弓を構えるみたいな動きを
……」
「お、見えたんだ。色々説明してあげたいところではあるけど……どうやらまだ後が控えているみたいだよ」
僕が前方を指すと、そこには白髪の少年が立っていた。
老人のように色素の消えた白い髪だ。だが、見た目は中学生のように幼く、黒い瞳が僕を品定めするような視線を送っている。巻いているウォッチからして白組だ。
「あなたも白組? やるなら相手してあげるよ。史上最強のバフを受けたこの僕がね」
カンフー映画のように長髪の手招きをすると、少年はほくそ笑んだ。
「そう焦らないで少し話そうよ。さっきの君たちの戦いを見て、興味が湧いたんだ」
「……影山くん! その人、さっきの5人より強いです!」
何? 冬香にわかるほど強さに差があるってことは、まさかこいつが件の……。
「へえ、わかるんだ。そう、ボクが色裁九隊のペールホワイト隊隊長。『サク』って呼んでよ」
確かに、他の生徒とは雰囲気が違う。サクと名乗る少年は近くにあった切株に座ると、悠長に話し始めた。
「そこの銀髪の君……どうやら君がそこの黒髪の子に力を与えているみたいだね」
「ちが……はい、そうです!」
「ということは、どうやら君は『オリジナル』側の人間のようだね」
「オリジナルって何ですか?」
冬香の問いかけに、サクは首を傾げる。
「知らないの? この学院では実力で成績を付けるけど――例えば、1位の生徒と2位の生徒では実力差が何倍もあることがある。なぜかわかるかな?」
「1位の生徒の実力が圧倒的すぎるから、じゃないかな」
「ほう、黒髪の君もやるね」
簡単な話だ。1位の生徒の力を100として、2位の生徒が10、3位が9という感じで、1位と2位に大きな差があれば成り立つ。
「この学院では例年、何人かそういう生徒が現れるんだ。他の生徒と比べて圧倒的な実力を持つ生徒のことをうちの学院では『オリジナル』と呼ぶ。君がそうだろう?」
なんだかいつの間にか冬香の評価がどんどん上がってきてるな……だけど否定するわけにもいかないし、ここは乗っておこうか。
「そうだ! わかったら痛い目を見るうちに立ち去れ!」
「ははは、面白いことを言うな。残念ながら、相手にとって不足無しだよ。だって、僕は色裁九隊唯一の……オリジナルだからね」
その刹那、視界からサクの姿が消えた。
「影山くん、危ない!」
「まずはそっちの傀儡から」
サクの声が聞こえたのは――背後。耳元で囁くような声に反応して振り返ると、サクが短剣を握って僕の懐に入り込んでいる!
「おやすみ」
サクの短剣が僕の首元めがけて近づいてくる。短剣の刃が首筋に当たろうとした、その直前。
「<合理的ストレート>!!」
僕は攻撃をサッと回避し、サクの腹に拳をめり込ませた。
「ぶばらあああああああああああああ!?」
サクは一気に吹っ飛ばされ、後方の木の幹に衝突し――その衝撃で木を倒してしまった。
「え……な、なんで? オリジナルのはずのボクが……一撃で?」
こいつ、かなり強キャラ感を出していた割にはそんなに強くなかったな。気を抜いていたから間合いに入られたとはいえ、奴の攻撃はあまりに遅く、おまけに自分が攻撃される可能性を全く考慮していなかったから反撃もしやすかった。
これでオリジナルとはなかなか大きく出たな。プロの冒険者にならこのレベルはゴロゴロいるだろう。それに、毎年1人か2人出てくる逸材を『オリジナル』と呼ぶほどの価値があるとも思えない。
「これで白組の幹部クラスか……全然大したことないな」
さて、学院内ではそこそこ強い奴とも戦えたし、そろそろ作戦を次のステージへ進めよう。
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