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33:憧れの花開くとき

「じゃあ交代~、あたしが麗ちゃんの背中流すね」

「わかりましたわ」

くるっと反対を向き、攻守交替

石鹸をつけたタオルで、麗ちゃんを優しく洗う


うあー…すべすべお肌だよう…これ背中だけなんてもったいないよ…

ここは全身を石鹸で洗いたい…!

そんでもって『何度やっても、ここだけぬるぬるが取れないなぁ』ってなって

『そ、そこはちがいますわ』って…


「あー!ダメダメダメ!」

「ど、どうしました美遊様?!」

「ご、ごめん、ちょっと変な事考えそうになった…」

妄想を爆発させるのよくない

けどやっちゃうあたしは、罪深いオタクに優しい黒ギャルです




「ふー」

「ふふ、テレビで見ましたわ

 身長差のある子たちは、こうやってお風呂入るのですわよね?」

あたしがお風呂の片側にもたれかかり

そのあたしに麗ちゃんがもたれかかるという親子スタイルでの入浴


「わたくし、狭いお風呂で肌を寄せ合って入る

 …なんて経験したことないので、ちょっと楽しいですわ」

「あたしはドキドキだけどね」

「そうですの?」

いやだってその…ねえ?

裸の麗ちゃんが目の前にいて、そして触れ合ってるって事実だけで、もう…


…けど、ドキドキの時間は置いておいて、これは話しておかなきゃいけない


「…ねえ、麗ちゃん」

「なんですの?」

「迷ってたんだよね、たぶん」

雨の中、あたしのいる部屋の窓を見つめて、佇んでいた麗ちゃん


「あたしをこれ以上巻き込んでいいのか、って」

「美遊様…?」


「…生徒会長の弟、でしょ?

あの子がたぶん…麗ちゃんの仇の、宮廷魔術師の生まれ変わり」

「!」

当てられてびっくりする麗ちゃん

…やっぱりそうか…


「ど…どうしてわかりますの?

 ゲームでは常にフードを被ってて、顔が見えないようでしたが…」

「あの子が入ってきたとき鋭い顔をしたでしょ?

 麗ちゃんがそんな顔をするヤツなんて、一人しかいないよ」

前世でも麗ちゃんは、ツンツンしてるようでいて、実は優しい子だからね


「…はぁ…美遊様は、妙に勘が鋭くて困りますわね」

麗ちゃんに呆れられる

勘がいいのはたぶん、麗ちゃんの事だからだと思う


「わたくしそれを黙ったまま、どうやって美遊様から

 こっそり指輪を返してもらおうか、考えていましたのに」

…ひょっとして外で見つめてたあれは、迷ってたのもあるけど

忍び込む方法を考えていたのかな?


「また催眠魔法を使うつもりでしょ?」

「ええ…魔法さえかけてしまえば、こちらのものですわ

 質問攻めにして、前世に目覚めているかどうか、確認もできますし…」

流石に、目覚めていなかった場合のあの子を、どうにかするつもりは無いようだ


「あたしも手伝うよ。アレは更生の余地のない外道だからね」

「美遊様は催眠魔法お嫌いかと思いましたけど…」

「操って無理に働かせる、とかなら悪いと思うけど…使い方次第じゃないかな?」

催眠療法、なんてのもある訳だし…


「それに……あいつのやった事覚えてるよね?

 多くの人を殺して、最上位のドラゴンに至ろうとした…」

ドラゴンの秘術を盗み、人間を殺し、力を奪い…


「今度も何らかの方法で、みんなを犠牲にする方法を思いつくよ、あいつは

 魔法を知らないこの世界にとって、これは世界の危機なんだよ」

「オーバー…ではないですわね……」

知らなければ対処できない

けど、まさかクソゲーと評されるプリサガがヒントだとは、誰が気づくだろうか


「だから全力で止める

 それに…あたしは麗ちゃんを放っておけないよ」

何でも一人でやろうとしてしまう、傷つきやすい女の子を


「前々から不思議だったのですけれど…

 どうして美遊様は、そんなにわたくしを助けてくれますの?」

問いを投げかけられる


「…そうだね……」

自分の中にある何かに動かされてきたけれど

きちんと整理して考えるなら、やっぱりこうだと思う


「…憧れたんだ、麗ちゃんたちに」

画面の向こうの…彼ら、彼女らに


「ゲームの中のみんなは、信念を持って、それを貫くために戦ってた

 あんな風に生きることができるんだ、って」


「病気になって、生きる意味もわからないまま

 死ぬ寸前だったあたしには…それは救いだったんだ」

あたしは失敗だったけど…成功する人たちがいて、それがあんなにも眩しいなら…

きっと命には、生きることにはきっと意味がある


「まあ結局、その後クソゲーに怒って、全部台無しにするんだけどね」

「わたくしも…憧れていましたわ…父様に、プリンセスに……」

「うん……」

遠い日の憧れ…

それは忘れようとしても、自分の中に残り続ける

そして、いつか…開花の時を待っている


「…同じ、憧れている者同士…」

麗ちゃんが体勢を変えて、こちらを向く

あたしの手を取り、あたしの顔を真っ直ぐに見つめて…


「一緒に、戦ってもらえますか…?」

「うん…!」


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