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ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む  作者: 紫楼
一章

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36/42

35話 アイテムボックスはレアな能力らしい。

 しばらく景色を楽しんで、鑑定をしながら野草を眺めていたら食べられそうなのや薬に使える葉っぱがたくさんあった。


 樹木はこの草原には少ししか無いのでキノコとかはない。残念!


 今の季節は夏が少し過ぎた頃なんだけどこのグレーデン領にはあまり四季がないみたい。

 植物は季節関係なく植えて育てて刈り入れてを調整して一年中手に入るって。元不毛な土地だったらしいのにすごいことだよね。


 お昼になったのでお弁当をたべるため、サーキスさまが敷物を出して敷いてくれた。

 私はアイテムボックスからお弁当籠を出して並べ始める。


「・・・リーシャ様、アイテムボックスから無造作に物を出すのは家の者以外のいる所ではやめて下さいね」

「え?」

 サーキスさまが残念な子を見るように教えてくれる。

「マジックバッグは高位貴族や軍部ではそれなりに所持していますが、アイテムボックス持ちは稀有なのです」


 ええ~、もっと早く言ってよ!


「貴女が規格外過ぎて慣れてきてしまいましたが少し常識を学んでいただかないと危なっかしいですね」


 マジか。そういえばオレイユ家にいる時は自分の自由になる持ち物なんて無かったから外で使ったことはなかったかも。

 ここでは自由過ぎて何も考えてなかった。

 アランとジャックも私の行動に慣れ過ぎてて「そう言えばそうだった」と注意すべきだったと凹んじゃった。


「リーシャは好きにやればいい。俺たちがちゃんと守るから」

 ジュリアスさまがそういうと、

「・・・多少は学んでください」

ってサーキスさまには少し呆れ気味に言われてしまった。

 

 リーシャは外部と関わりが少なかったし、私はこの世界をよく知らないから確かに少し学んだほうが良さそうだ。


 ジュリアスさまがポンポンと撫でてくれて、私をお膝に乗せて。

 お家でご飯を食べる時みたいになっちゃった。


 デートなので二人きりで食べるっていうのは、みんなを待たせてるのが申し訳ないから、と思ったらニーナとサーキスさまが少し離れたところに敷物を引いてサーキスさま達用に用意した分を持って行ってしまった。


「あれはちょっと堅すぎるんだ」

 そう言いながらジュリアスさまが私の口元に食べ物を持ってくる。

 でも今日はデート!なので!私が食べさせたいの!


「ジュリアスさま、アーンです」

 ローストビーフを挟んだサンドイッチを差し出す。

 ニコッと笑って二口で食べちゃう。

「うまいな。そっちはなんだ?」


 差し出したらすぐ口の中から消えちゃうのが面白くてどんどん差し出しちゃう。

 ジュリアスさまも私に食べさせているときはいつもこんな気持ちかな?


 海苔がないからピラフを薄焼き卵で巻いたのと離れの庭で見つけた紫蘇の葉っぱみたいなのを巻いたおにぎりも差し出す。

 

「ほう、米はこんなふうに食べれるのか!」

 ジュリアスさまは基本的に好き嫌いがなくなんでも美味しそうに食べてくれるので嬉しい。


 アラン達も幸せそうにバクバク食べてる。良かった。


 やっぱりお弁当の定番のタコさんウィンナーとか欲しいな~ハンバーグがあるから良いんだけどお弁当!って感じが欲しい。

 腸の皮の処理ってどうやるんだろ?


 飲み物は紅茶と薄めの蜂蜜レモネードっぽいのを持って来たの。

「これはさっぱりしてていいな」

 レモネードはかなり気に入ったみたい。

「鍛錬後に水分補給で飲むのもいいですよ」

「そうか!兵舎に常に出せるようにしておこう」


 食後はさっき見つけた野草をたくさん摘んでアイテムボックスに入れた。

 サーキスさまがちらっと見てきたけど今は家の者だけなのでセーフ!よね?

 パセリとかタラの芽?とか元に世界のとはちょっとずつ違うけど食の選択肢が増えるのは切実に歓迎なので嬉しい。


 帰る時間になるまでジュリアスさまと地面を観察しつつ食材と薬草を収穫。

 サーキスさまはちょっと呆れつつ、野営時に使える有用な情報ですねって付き合ってくれた。アランとジャック、もちろんニーナもね!


 結局デートでも食欲に負けちゃったのだけど、ジュリアスさまといい景色が見れて、いつもよりたくさん一緒にいられて、サンダーの背中でずっと抱きしめてもらえて。

 無茶苦茶しあわせな1日だったよ。









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