27話 ドレスの試着はツラい。
朝、目覚めて唐突に思った。
私って錬金術師なんじゃん!いや正式に習ってないし、試験も何も受けてないけど。
昨日のミンサー作ったことで何か自信が湧いてきたというか。
錬金術って等価交換とか言って、材料と魔法でお酢やお味噌やお醤油、ソースなんでもござれなのでは?
めっちゃ頭を使って酵母ちゃん作ったけど、それも簡単に出来たんじゃ⁉
「あーーーーぅあー!」
なんか悔しくて思わず絶叫して悶絶していたら、ジュリアスさまが飛び起きて、ニーナやアランも着替えもせず飛び出して来てた。お義母さまとお義父さまも頭が芸術的なまま、扉をバァーンとして登場。クラウスさまとセバスチャンもいる。
「・・・ごめんなさい。夢見の悪さでちょっと」
恥ずかしくなってごまかす。
みんな怒ったりせず、大丈夫ならいいって労ってくれて戻っていった。また食べ物の事で騒ぎにしちゃってとても恥ずかしい。
ジュリアスさまが綺麗な瞳で見つめてくる。背中をそっと撫でてくれてゆっくり抱きしめてくれた。
「心配事があるなら言え、うちは人が多いからある程度の事はフォローできる」
はい、調味料のことなので・・・
心配してくれてありがとう。
朝食の時間までずっと抱きしめられた状態で髪や額にキスをされて、背中はトントンされちゃってすごく甘やかしてもらった。
お昼過ぎに仮縫いが終わったドレスと色々頼んでもらっていた衣装のお届けに仕立て屋さんたちが来てくれた。
またも物凄い布の量に慄いちゃう。
まさか今回も着せ替え大会でしょうか?
「まぁあ!やっぱりすごく良いわ!!」
お義母さまが物凄いテンションです。
今日のお義母さまはわりと腕周りもフィットしたドレスなので腕がムキっと筋肉が盛り上がっちゃったら世紀末○者のように衣装が裂けてしまうのでは?
仮縫いはやっぱり試着するしかないからササっと着付けられて、少し調整されてを10着ほど繰り返し。
普段着以外のドレスってあんまり使い道ない気が?でも肌触りもデザインもとても良くて。やっぱり綺麗で可愛い衣装には嬉しいが勝っちゃう。
メグミな私には当然こんな素敵なドレスを着る機会なんて無かったし、リーシャは基本お古か制服だったからね。
装飾も豪華だけど主張しすぎず、ケバケバしくない上品な品で。
義姉が着てたドレスとは一線を画す素敵さ。あれがこの国の当たり前なデザインじゃなくて良かったよ。
そして、婚姻式のドレス。めっちゃすごい。ウェディングドレスってやっぱり憧れがあったけど、元カレともし結婚出来ていたとしても、ここまで素晴らしいドレスなんて絶対に用意できなかったもん。
この素敵衣装を纏ったジュリアスさまとこの衣装を着た私。絶対に良い!
お色直し?用のドレスは少し派手だけど、結婚前のど初々しい女の子の可愛さもあった方が良いんだって。
ジュリアスさまのお色が入るから赤と金が使われてるけれどグラデーションを多用していてとても可憐に見える。
この世界?では基本的にドレスには原色が好まれてるから色の移り変わりがあるのが斬新らしい。お義母さまもグラデーションのドレスを頼んでいるんだって。
私が提案したデザインのドレスや普段用の衣装に斬新だったから、仕立て屋さんから独占契約がしたいっていうお話が出て。お衣装のことはお義母さまにお任せしているから、お義母さまが良いとなさるなら私はお任せしちゃいます~。
たくさん着替えて、なぜかまた追加で作るって布選びが始まって。もう今日はずっと着せ替え人形になって夕飯まで頑張るしかない。
着せ替えの最後に前回頼んでいたカーゴパンツと長袖ロンT、パーカーを出してもらった。
自力で作るつもりが高級品になっちゃったよ。
お義母さまも仕立て屋さんも興味津々。
早速着ると「可愛いわ」って呟かれた。
「ポッケがいっぱいあるから庭作業や森とか採取に行く時使いたかったんです ♫」
久しぶり?にラフな格好で嬉しい。
結局カーゴパンツの方も権利の登録してくださいって仕立て屋さんが。
シザーバッグにもなぜか大興奮で。
夕飯だぞーって伝えに来てくれたお義父さまに思わず飛びつくくらい疲れてたよ。




