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ちびっ子ボディのチート令嬢は辺境で幸せを掴む  作者: 紫楼
一章

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27/42

26話 ハンバーグは美味しい。

 本邸に戻った私をルルゥがキラキラとした目で見ている。

 出したくないなぁ~。


「ルルゥ、骨無しでお肉いっぱい。ハーブも色々。香辛料も出してください」

 コックさんたちが凄い勢いで保管庫や保冷庫に向かった。

 注目が減ったうちに隅っこの作業台にミンサーを出す。念のため《洗浄》魔法をつかっておいた。


 魔石に魔力を通して作動させる。

 材料を持ってもどってきたルルゥたちは興味津々に私と魔道具を見ている。

 ミンサーに入れるのは肉だけ。

「ここにお肉を置いてください」

 ミンサーにお肉をセットしてもらって、吸い込まれているお肉と微妙な音を出すミンサーを大きなマッチョたちがおっかなびっくりのぞいている。

 鑑定して確認した豚と牛に近いお肉を選んでおく。合い挽き。


「ルルゥ、今日のパンってもう焼いちゃった?」

 聞いてみたら発酵中らしいので形を丸めにして焼いてほしいとお願い。


 パン担当がいきなり追加のパンを用意し始めた。何故だ?


 ミンサーからモリモリ出てきたお肉をボールに小分けにして。玉ねぎちっくな野菜の≪ポロポロ≫を刻んでもらい。

 塩と香草で揉み込んだり、塩とカレースパイスで揉み込んだり。

 いろんな味付けでハンバーグのタネを作る。


「お肉をこんなに細かくするなんて不思議ねぇ」

 瞬く間にミンチになって出てくるお肉。せっせと追加するニックス。を見るルルゥ。

 このキッチンはかなり広いのに狭く感じるのはみんながマッチョだからかな?


 どんどんミンチになって出てくるお肉を回収してこねこね。

 そして両手でビターンと左右に叩きつける。こうやって形を作ってねって見本を見せる。


 んで、自分の仕上げた分をフライパンで焼く。ちょっと蒸し焼き。

 ソースはとりあえず木の実と黒胡椒、酸っぱい果物でドレッシングにした。

 あとこの前作ったトマトソースも使う。


 味見としてルルゥとニーナに一口サイズで出してみた。

 ハンバーグより塊肉の歯応えが好きっていうなら、それはそれで良いしね。


「・・・!」

 ルルゥってば感動しすぎてすぐさまみんなに指示を出してタネを一気に焼き出す。

 ニーナはドレッシングとハーブを合わせたのが好きみたい。

 腸の皮があればウインナーできるのにな~。ミンチ肉に馴染みが無かったから多分ないね。


 焼き上がった分でコックさんたちも味見が出来てみんながさらに熱意を溢れさせちゃって。

 案の定ミンサーはフル回転だし、貯蔵庫のお肉が空になっちゃうんじゃないの?

 ミンサーももっと作った方が良いのかな?


 パンも続々と焼き始めて良い匂いが厨房に充満している。

 なんとなく、入口に近い作業台の方見たら。お分かりでしょうが・・・。

 すでに味見を済まして、ニコニコとお皿を持って待っているお二人がいらっしゃいました。

 夕飯前に食材が尽きたりしないかな?


 パンは少し時間かかるから、ナンっぽいのをフライパンで焼いてもらってパニーニっぽくお野菜とハンバーグにドレッシングを挟んだ物をご用意したよ。


 そしてお義母さまがまた布の弾丸と化して私に突撃。ドレッシングがとてもお気に召したらしい。

 お義父さまも猛々しくパニーニ?を食べてて。追加をルルゥがどんどん用意してる。

 また罪なものを生み出しちゃったよ。


 まぁハンバーグもハンバーガーも罪な食べ物だもの。仕方ないよね。食べたかったんだもん。


 夕飯に出されたハンバーガーは、ジュリアスさまたちも大喜び。特にクラウスさまが遠くに逝ってしまうくらい喜んでくれた。

 添え物にはもちろんフライドポテトもね。


 いつものごとくすごい量が消えていくので食材って尽きたりしないの?ってルルゥに聞いたら、お義父さまとジュリアスさまのお陰で領の収穫も収益も安定してるから食うに困るような環境じゃないらしい。いや、でも量がね?


 お肉は騎士団の訓練もかねて魔物のいる森に行っていて毎日いくらでも狩ってこれるから心配ないって。

 ちょっと待って。毎日あんなに食べても魔物が尽きない森が近くにある事が驚きだよ?


 ハンバーガーが食べられて嬉しかったけどなんかいろいろな感情で胸焼けがしちゃう。


 結局、ミンサーを本邸にあと2台、訓練場に5台欲しいって言われて。


 食後に険しい顔したロジャー先生とサーキスさまに健康チェックされて。ちょっと叱られた。

 私が何気なしに魔力を使ってたのを知ったお義父さまとジュリアスさまが超慌ててしまった。


 先生とサーキスさまは、魔力使っても気持ち悪いとか不調が出てないなら魔道具の製作はしていいって。

 攻撃とか外に向けてのは教師が来るまでは絶対にダメって念を押された。


 幸い診断中は家族も外に出てもらえたので、袖の下にアイテムボックスに入れてたメレンゲクッキーとスイートポテトを渡してご機嫌を取った。

 ルルゥたちと作ったものだから賄いとかで口にしてると思うけど、ほんの気持ちです。


 後ろでニーナがちょっと呆れてるけど、ご機嫌取りは大事です。


 ジュリアスさまたちが心配そうに待っててくれて、問題ないのを確認して解散。


「リーシャはもっとのんびりと過ごして良いんだぞ?」

って。今日もお布団で一緒にぬくぬくしながらジュリアスさまの優しくて大きな手のひらで頭をポンポンとしてもらう。

「なぜか気ままに行動すると美味しいものを追求しちゃってるんです」

 ジュリアスさまが腕枕したまま頭撫でてくれて、笑っている。

「そういえば料理や魔道具の権利とかはきちんと登録しないとな」

「え?」

 

「リーシャが作った食べ物はみんな食べたら病みつきだし、作り方が知りたくなるはずだ」

「料理方法に権利があるのですか?」

 私はかなりびっくりした。しかも別に私が考えたわけじゃなくて前の世界じゃ当たり前にどこでも食べられていて、多少料理ができたら簡単に作れるものばかり。

「甘い菓子は特に人気になるぞ」

 うーん?よくわかんないけど。


「管理とかめんどくさいから料理の権利はルルゥに丸投げしてもいいですか?材料だってグレーデン家で好きに使わせて貰えるから出来ることです」

「リーシャがいいならそうしよう。だが入ったお金はリーシャが管理しないとな」


「グレーデン家に入れちゃだめなんですか?」

「嫁の稼ぎを奪うなんて真似はしないぞ?」

 でも場所も安全も確保してもらって素材も使い放題なんだよ?

「ふふ、リーシャにお金で苦労させる気はないが急に入り用になった時にすぐ動かせる自分のお金があった方がいいだろう?」


 ほんとにこのうちの人達は私に優しいなぁ。

「さぁそろそろ寝ようか」

 ジュリアスさまが額にチュッとしてくれて掛け布を引き上げてくれる。

 未だ清らかな関係なのでヒャってびっくりしちゃう。

 少しは慣れたけど、やっぱり立派な筋肉には少し・・・かなり興奮してしまうよ~。









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