間話 ルルゥside
オネエ、ルルゥ回です。
本編に何の支障もないので読み飛ばしでも大丈夫ですー。
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アタシはルルゥ。グレーデン辺境伯家にてコックをやってるわ。
一応コック長って立場だけどまぁみんなそれなりに長い付き合いだから立場なんてどうでもいいわね。
元はこのグレーデン辺境騎士団で騎士をやっていたのだけど飯当番をやってる時に楽しくなっちゃって。
怪我したわけでもないのに移動の願いを聞き入れてくださったルドガー様はアタシの最高のご主人様よ。
あ、今も騎士団には籍は残ってるわ。招集がかかれば出るの。
つい最近、ジュリアス様に可愛らしい奥様が嫁いでこられたの。本当にちっちゃくて可愛い妖精さんみたいなお嬢さんよ。
王都からここに到着するまでにルークが多少気をつけて食事を選んでいたらしいけど、それはもうガリガリでお肌も艶がなくって。
あんな可愛らしい子をよくも放置したものよね!アタシのご飯で幸せにしなくっちゃ!って思ったのも束の間よ。アタシのほうが新たな衝撃の連続で逝っちゃうわよ!
ご実家じゃ好きに出来なかったからか、食べてみたいものへの思いが強いみたい?
アタシも美味しいものが大好きよ。
この辺境の地では実は王都より先に他所の国からいろいろ入ってくるから、気になったものは全部試してはみてるんだけど、どれもパンチが足りないと言うか?商人に聞いても手に入るものは料理に一味足す物とか匂いつけとかね。使い道が曖昧すぎるわ!
アタシが以前から気になっていた変わった香りの草木を売っているお店を見つけたリーシャちゃんが、そこの品物をほぼ全種類買ったのよ。
まだ何をするのかわからないけど楽しみね。だって木の枝とか乾燥した根っこの使い方なんて気になりすぎるでしょ?
あとリーシャちゃんがと言えば、アタシを見ても普通にしてたことにびっくりしたわ。
アタシって自分で言うのもなんだけどイケメンよ。筋肉もつけすぎないように全身均等になるように筋肉割合を目指している美ボディなの。
そうねぇ、このツヤっとした唇に釘付けになっちゃうレディもいるのよ?
ま、アタシの好みはちょっと細マッチョ系の可愛い系坊やだけど♡
可愛い物が大好きなんだけど残念ながらスクスク育っちゃったアタシには可愛い衣装や小物が似合わないのよねぇ。部屋は甘いかわいい系にしてあるけれど、もっと可愛いものに触れたいのよ!
この家や騎士団の連中もけっこう可愛い物が大好きだからリーシャちゃんの存在ってほんと奇跡よね。
「ルーデウスさん、芋はいっぱい予備ありますか?」
昼の仕込みしてたら、リーシャちゃんの護衛をしているアランがやって来た。
「芋?って言うかルルゥって呼んでって言ってんでしょ!」
無茶苦茶嫌な顔してるアランも可愛いのよね。お堅いの。クソ真面目くんだから先輩をあだ名で呼べないってねぇ。可愛すぎるわ。
可愛すぎだけどアタシは後腐れない子にしか手を出さない主義なの。
「どうでもいいんで芋あるんですか?」
人の名前はどうでも良くないわよ!ちゃんと覚えなさいよ。
「芋なら倉庫に積んでるけどどうすんの?」
「リーシャさまが何か思い付いたみたいで」
結局リーシャちゃんがやってきて倉庫で芋を何種類か選んで興奮しながら、
「皮を剥いて水に漬けてその水は捨てずに取っておいてください」
って言って何やらその水を濾した時に出た白い粉?を集めて種類に別に取っておくように言われたの。
芋本体は柵切りと薄い輪切りにして揚げて塩コショウ?をまぶしたのとマッシュしてお砂糖と卵黄混ぜて焼いたスイートポテト?というものにするのだと大騒ぎで。
あと硬いパン粉を削った物をマッシュポテトに絡めてあげた物をコロッケ?なのって言って作ってくれたわ。
まぁ例によって前領主夫妻が仕上がる前に待機して食べまくったんだけど。
余った卵白はお砂糖混ぜてメレンゲクッキー?ってやつになったわ。うちのコックたちの腕周りがまた育つかもしれないわね。
お昼の用意も何とかこなしてやっと味見タイムよ。
未体験の味わいにキッチン連中が一回は昇天したわ。
あの謎の白い粉が何に生まれ変わるのか早く知りたいわ。アタシあと何回くらいイカされちゃうかしら⁉
ちなみに大奥さまがリーシャちゃんのおやつに見事に魅了されちゃって、毎日大量のおやつを所望されるようになって。
コック追加と厨房の増築が検討されることになったわ。
こうなったら絶対にあの香辛料とやらがどうなるのか知りたいから張り付くしかないわね。
リーシャちゃんはアタシにとってびっくり箱だから今後もとっても楽しみよ ♪




