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第9話 動く③

次回は、2月27日に更新。受験のためです。すみませんm(__)m

「柊木直哉の息子の……柊木正義くん。いや、今は高良正人くん、か……」


一体どこまで知られているんだろう。初対面の相手に自分の本名をさらりと述べられ、背筋がぞわりとした。


「調べたんですね……俺のことを」


「じゃなきゃ、君に声かけないでしょ? それよりさ、犯人は君のお父さんじゃなくて、別にいる。そして、その犯人は……未だに捕まっていない」


 カランと氷が溶ける音がやけに室内に響いた。


「だから、協力しない? 私たち……」


(協力?)


「どういうこと、ですか? こちらには利があっても、貴女にはないように思えるんですが……」


「あるわよ。私が君の真犯人探しを手伝う代わりに、君が超能力者の情報を集めるの」


(そんな無茶な⁉︎)


「ハァ⁉︎ ただの中学生にそんな高度なことを求められても困るんですけど……」


俺以外の超能力者にも、まだ出会えていないのに……。そんな無茶な。


「情報収集するのは、今じゃない。君が警察官になって警視庁で働くようになってからの話。それなら、問題ないでしょ?」


「問題多ありですって! 何で俺が警察官になるのが前提なんですか⁉︎」


「君は!」


バンッと目の前の女がテーブルを叩いた。その音に驚いて、俺は口を閉じる。


「君は今、お父さんの情報を探しているね? でも、どうだった? 何か目新しい情報は……見つかった?」


「そ、れは……」


痛いところを突かれて、俺は口籠る。


「ない、よね?」


「つっ……!」


「なら、事件資料の集まる警視庁はどうかな? そこの方が、より正確な情報があると思わない?」


「そりゃ思いますけど! 貴女は簡単に言いますが、警察官になるまでが大変なんじゃないんですか」


「そこは親子の絆とかで頑張って乗り越えてよ」


「そんな無茶な……」


無茶苦茶なことを言ってのける女に俺は驚きを通り越し、呆れて溜め息を吐いた。


「ところで、何故……超能力者の情報を集めているんですか?」


「尊敬する上司からの指示よ。何故かは、私にもわからないわ。うちは情報屋をやっているのだけど、お金になるからそういう情報も集めているんだと思うわ」


「情報屋をやってるくらいなら、頭の回転も早そうですし、貴女が警察官になればいいんじゃないんですか?」


「情報屋は、裏組織よ。警察官にはなれても、簡単に警視庁に潜り込めるわけないじゃない。だから君に頼んでるの! 警視庁に就職したらサポートもするわ!」


 女の必死さに、俺はちょっと引いてしまい仰反る。


「何で、俺なんですか? 他にもいるでしょう……」


「私の感よ。これでも、よく当たるのよ?」


「女の感ってやつですか?」


「えぇ、そうよ!」


(大丈夫かなぁ……この人)


「それに……、真犯人の情報を掴んでるって言ったら、その分、必死に仕事をこなしてくれそうだからよ」


女がにたりと暗い笑みをこちらに向けてきて、俺は緊張でごくりとのどを鳴らした。


「何を、知ってる?」


「真犯人の超能力はね、"人体発火"よ。人体のみを発火させる能力を持つのが犯人よ」


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― 新着の感想 ―
[良い点] おもしろい [気になる点] 人体発火とか強すぎん? 条件厳しいのかな? そろそろ弟と再会かな? [一言] サポートしてくれるなら勉強見てあげたり家庭教師つけてくれても良かったのでは…?
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