第四十七話 違和感、修復、疑問
"あー、ごめんね? 正人君。以前、ソフィア君がきみに『なんで魂を二個持っているのか』って言ってたの覚えてる?"
あー……あのことか……。
「あ、はい。覚えてますけど、それがどうかしたんですか?」
左耳の違和感に俺は左手をそこへ持っていき、かく仕草をした。
?……なんだ?
「身体に異常が無いのに目を覚さない君が心配で、もしかしたら服部みたいなおかしな霊に取り憑かれたんじゃないかなーと思って、昨日ソフィア君の霊能力で正人君を視てもらったんだ。
そしたら、前に二個あった魂が一つになっていて、しかも残った魂にヒビが入ってたんだって。
おそらく服部の件が影響しているのかもしれないね。で、いまソフィア君がきみの魂の状態を視ているところなんだ」
それから課長は、同色の魂を持つことの異常性や肉体と魂の関係性について説明してくれた。
えぇ⁉︎ 俺、下手したら死んでたの⁉︎
「で……ソフィア君、どうだい?」
「……戻って、るわ」
「「「「「え?(#/$€%)」」」」」
「また二つになってる。傷も癒えてヒビも無くなってるし……」
「魂がこんなに短期間で修復するなんて……あり得ない早さだわ」と消え入るような声でソフィアさんが言った。
「別に良かったんじゃないのぉ?」
「何かゲームのHPみたいダナ。二個あったHPが攻撃受けて一個になって瀕死状態になったけど睡眠で回復する、みたいナ?#/$€%」
「若いと治りが早いのは魂も一緒なんじゃないのか?」
「うーん、まぁ戻ってるならいいんじゃないかな? だって正人君、元気そうだしね」
特に俺が深く介入することもなく、話は終わった。
俺が話に入ってったら絶対ばれるしな、下手に出ず黙っておいて良かった。直ぐに顔に出てしまう俺のせいで弟の存在がばれてしまったら元も子もない。
だから、あまり追究されずに済んでほっとしたけど、うやむやにされたらそれはそれで気になるなぁ……。
なんでヒビの修復が早かったんだろ?
"短期間で修復するなんて"
ソフィアさんのその言葉が俺の頭の中で何度も繰り返されていた。




