第二十一話 逮捕の裏側5-3 其々の配置
───逮捕の三日前の朝
椿先輩のカメラが完成したとのことで、再びチェリーブロッサムプラネタリウムへ向かうこととなった。
昨日の今日で完成って、凄えな。
歩さんの言った通り息をするように作れるんだと実感した。
また俺と士郎さんの車に分かれて向かうことになり、昨日と同じ組み合わせで乗車した。
何故同じ組み合わせなのかは……割愛する。
二人しか乗っていない士郎さんの車には大きなダンボールが六つ、俺の車にはトランクに二つ乗っている。中身は全て把握できていないが、開発したカメラ、パソコン複数台、武器主にライフル等がダンボールに入っていた。
***
ダンボール三つはプラネタリウムへ、残りは関係者以外立ち入り禁止の部屋へ運び込んだ。
因みに椿先輩は今日もリアリティのある着ぐるみを着たまま台車に座っている。
それを押しているのは、俺だ。
椿先輩が開発した透明なマスキングシート状のカメラは"スケールシート"と名付けられた。ここでのスケールは程度と透けるという意味で、大きさの程度を(ハサミで切って)調整できる、シートが透けている、映る人物の行動が透けて見える、透けているもの(霊)が見えるということからスケールシートとつけられた。
ドームシアターに直接人が貼るのは困難なので、椿先輩がリモコン操作しているお掃除ロボットのようなものが六台壁を移動しながら貼り付けていっている。
これにより、約十分程度で貼り終えられた。
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関係者以外立ち入り禁止の部屋はスケールシートと繋いだパソコンがズラリと並べられていた。三百六十度、どの方向からも撮影できるようになっていた。パソコンに映るプラネタリウムの映像を観ると、丸っこい光体がちらほら見えた。
「これって、オーブってヤツですか?」
「あぁ、これが本物なら実験成功ダナ。ソフィアさんコレどうですカ?#/$€%」
椿先輩に声をかけられ「ン?」とソフィアさんが棒付きの飴をくわえながらじっとパソコンの画面を観る。
「オーケー! バッチリじゃーん」
とソフィアさんは母指を立ててグッドサインをした。
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準備はある程度整い、リハーサルを行った。
俺がプラネタリウムの端から端まで歩いたり、走り回ってスケールシートに死角がないかを確認していた。
「問題ないよ、正人君」
受令機から課長の声が届いた。
受令機は無線機とは違い、通話はできないようになっている。
相手からの声が届くだけだ。




