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第十九話 逮捕の裏側5-1 其々の配置

「大丈夫ダ。後輩の演技力はピカイチだからナ。きっと上手くいくヨ!#/$€%」

という椿先輩の激励の言葉を頂き、俺が煽り役という名目の囮役を引き受けることとなった。


「で、どうする椿。見たところプラネタリウムにカメラつけられそうな場所はないが、場所あらたに探すか?」

士郎さんがプラネタリウムのドームシアターに視線をやる。



確かに、シアターにはつけられないもんな。



だからといって、シアターよりも低い位置にある壁につけるのは意味がなさそうだ。端をカメラで映せても、広すぎるから恐らく真ん中までは撮れないだろう。


「ノープロブレムですヨ、シローさん。ワタシはイトメラを開発した天才デス。侮ってもらっては困りマース!#/$€%」


威張りながらそう言う椿先輩の年相応の発言にちょっとほっとした。


「ツッキー頼もしいー!」

両手を広げて飛びつき抱き着こうとしたソフィアさんだったが、椿先輩が身体をダンゴムシのように丸め前転でスッと避けた。避けられたソフィアさんはそのまま床に顔面を突っ込んだ。



引きこもり体質という体力の無さを考慮した身のこなし、流石です。



おそらく、ソフィアさんは椿先輩と仲良くしたいがためにスキンシップをとろうとしたんだろう。


でも、



ソフィアさん、人見知りの激しい椿先輩への過度な接触は毒でしかないです。


















椿先輩の考えはこうだった。

開発中の霊感知監視カメラを改良して、透明なマスキングシート状にし、それをドームシアターに貼り付けるというものだった。これにより、ドーム内径四十メートルのありとあらゆる方向から監視することが可能になるらしい。


椿先輩はカメラ開発のために士郎さんは脅迫文作成のために部署へ戻ることになった。


俺と課長は服部をカメラで監視・録画するための部屋を探すため、プラネタリウムから出た。


歩さんは考えたいことがあると言って、そのままプラネタリウムに居ることになった。


プラネタリウムを出て直ぐに受け付けカウンターがあり、その奥にはお土産売り場らしき店舗がある。商品棚には何も陳列しておらず、これから陳列するであろう何かが入ったダンボール箱がどっさり置いてあった。


さらに奥の突き当たりの角に辿り着くと、"関係者以外立ち入り禁止"と赤い文字で書かれた扉があった。


「課長、ここは駄目ですかね?」


オープンしていないとはいえ、"禁止"と書かれた扉を開けようとするのは抵抗があった。日頃の染み付いた習慣だと思う。


「一回、入ってみようか」


課長がズボンのポケットからいくつにも連なった鍵を取り出し、扉を開けた。


鍵は課長が使用許可を得たとき、責任者がここの鍵を渡してくれるとのことで、チェリーブロッサムプラネタリウム入り口付近で手渡してくれたのだった。


中に入れば、小さな扉の割にはかなり広い部屋だった。恐らく在庫のための倉庫なのだろう。まだ、中には何もなくすっからかんだった。


「課長、広さはどうですかね? あと、距離はいかがでしょうか?」


あまり遠いと服部を逮捕する時に困るだろうし、逆に近すぎれば俺以外の人間がいるとバレてしまい、ことが上手く運ばなくなってしまう。


「これくらい広かったら十分じゃないかな。距離的にも近すぎず遠すぎずでいいと思うよ───でも」



でも?



俺は首を傾げた。


課長が俺に背を向けて扉の下に視線を移す。


「誘い出すとしたら夜だ。光が漏れないように工夫しないとね」


俺も倣ってそこに視線を移した。


「……なるほど。勉強になります」




そこあったのは扉の下にある隙間だった。















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