第六話 椿先輩と
加藤大輔の証拠物件は家宅捜査で押収されていおり、事件担当課である捜査第一課長が管理責任者となっている。
因みに、証拠物件を押収してから一ヶ月未満のものは短期保管とされ、短期保管に関与する証拠物件については、キャビネットなどの保管庫において保管することになっている。
そこに加藤大輔のパソコンも保管されているため捜査第一課長に許可を貰い、パソコンを借りて、USBロボットを差し込ませてもらった。
ナビの音声に従い運転しながらそのときのことを俺は思い返していた。
「犬飼課長のあの顔、面白かったナ後輩#/$€%」
「いや、俺はただ恥ずかしい思いをしただけですよ……」
椿先輩もそのときのことを思い出していたようだ。
犬飼課長というのは捜査第一課長である犬飼 康介のことだ。
パソコンを借りる為に犬飼課長に許可を貰いに行ったとき、俺の顔と両手で持ったUSBロボットを何度も見比べ、怪訝な顔を向けてきた。
「まるで、『大の大人が職場になんで堂々と玩具なんか持ってきてんだ』みたいな顔だったナ#/$€%」
「ハハハハハ……」
俺は乾いた笑いを出す他なかった。
「でも、案外すんなり聞き入れてくれましたよね。パソコンも直ぐに貸してくれましたし」
「そりゃあ毎回毎回、能力者事件の度にお邪魔してるしナ#/$€%」
「じゃあ、犬飼課長は毎回あんな感じってことですか?」
元々そういう人なんだな、と俺が納得しかけていたとき、椿先輩が「いや? いつもより許可もらうまでの時間長かったし、多分、キミが堂々とUSBロボットを正面に構えて訪ねてきたことに驚いてたんだろうナ#/$€%」と言った。
「え? どういうことですか?」
「USBロボットの存在自体は犬飼課長は知ってイル#/$€%」
「でも驚いてたんですよね?」
「なぁ後輩ヨ#/$€%」
「はい」
「USBロボット、持ち歩くの恥ずかしいヨナ?#/$€%」
「そりゃあ、まぁ」
「いつも皆んな、バッグの中にしまってUSBを差し込む直前にUSBロボット出すんダヨ#/$€%」
「……椿先輩」
「なんだい後輩#/$€%」
「それ……先に言ってくださいよ」
「すまんナ。忘れてタ#/$€%」




