第五話 犯罪組織ですか? いえ、警察官です。
ソフィアさんは加藤大輔の取り調べの様子を見に行くと言って部署から出て行った。
歩さんと士郎さんは捜査資料を机にバラバラと広げ、昨日の内容の整理と確認をしていた。
士郎さんが手を動かしながら課長に「今回も職権濫用のもみ消しお願いしますよ」って言ってたのが凄く気になったけど、言われた課長が無言の笑みで頷いてたし、めちゃくちゃ怖くて聞けなかった。
本当に職権濫用したら犯罪ですよね?
職権濫用罪ですよね?
皆さん警察官ですよね?
椿先輩はなんかずっとゴソゴソしてる音が部屋から聞こえていた。いつもより音がするから、この事件に関する事で何かしているんだろうなと思った。
俺はというと、椿先輩、歩さんと士郎さんから依頼を受けて今、外に出ている。
椿先輩からの依頼は、今回の事件に関わりのありそうな超能力関連の資料集めと加藤大輔・服部和毅・ネットカフェのパソコンに椿先輩から渡されたUSBロボットを差し込んできて欲しいとのことだった。USBロボットというのは、椿先輩が愛用しているロボットの一つでロボットのお尻部分にUSBが付いており、それを引っ張るとケーブルが伸びるようになっている。
昨日、ソフィアさんと課長が話していた、
──「で、第三者による犯行の可能性はないの?
加藤大輔と服部和毅が共通して連絡を取り合ってる相手とかいなかったワケ?
今時、交換殺人をネット上で計画するのも珍しくないでしょー?」
「今のところはいないね。ネットとかだったら範囲も広いし、まぁ、調査中ではあるようだが……」──
という会話内容が気になったらしく、このUSBロボットをパソコンに差込み遠隔操作することで、事件関係者が他にいないかを調べるらしい。
因みにこのUSBロボットの両目にはカメラが付いているので、椿先輩はこのロボットを俺に渡す時、「久しぶりのお出掛けダナ。とても楽しみダ。宜しくな後輩#/$€%」と言っていた。なので俺は椿先輩が少しでも楽しめるようにUSBロボットを車のダッシュボードに設置してあるナビに引っ掛けて外の景色が見えるようにした。
「気遣い有難う、後輩#/$€%」
言い忘れていたが、USBロボットは通話も出来る。
まさに椿先輩のためだけに生まれた超万能ロボットだ。
ロケットパンチが出てくるアニメを観た瞬間からロボットが好きになった椿。




