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生贄にされかけたらしいが俺は元気です。女になったけど  作者: 山吹弓美


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196.色んな意味で遠慮なし

 ばさばさ、と羽ばたく音が消え去った瞬間、はっと我に返ったのはトウマさんが一番早かった。


「……っ! せめて、白の魔女だけでも連れ帰れ!」

「はっ!」


 て、また俺ー!? 冗談じゃねえや、まったく。

 ま、闇の雨も乾いたことだし、こっちもほいほい連れてかれるわけには行かないからな。反撃させてもらうぜ。


『ままにさわるな!』

『じょうさまにふれるな!』

「つかマジで来るなー!」


 タケダくんもソーダくんも、遠慮なく光の盾やらビームやらぶっ放す。俺も、光の盾パンチで近寄ってくる黒をぶっ飛ばした。いや、これ結構使い勝手いいわ。シオンぶん殴った時もそうだったけど。

 まあ、黒も一斉に俺んとこ突っ込んでくるんで、俺たちだけじゃどうしようもないんだろうけど。


「遠慮なく潰させてもらおう!」

「潰すだけで済むと思うなよ!」


 ムラクモが、ほんとに遠慮なく特定部位攻撃を連発。黒フードがどんどんひっくり返っていくのは、見なかったことにする。その横を駆け抜けて、カイルさんが容赦なく剣を振るって切り裂いていった。


「隊長、やたら張り切りすぎだー」

「気にするな、タクト」


 割と脳天気にくっちゃべりながら短剣で黒の急所を的確に突いていくタクトと、カイルさんがスピードならこっちはパワーでたたっ切っていくグレンさん。……さすがにもう、人死にが目の前で展開されるのは慣れたよ。


「魔術師さえ抑えれば、大した連中ではないようじゃの? のう、ビシャモンや」

「しゃあああああ!」


 そして、例によって仁王立ちのままはっと鼻で笑った大公さんの手の一振りに合わせ、ビシャモンがごうと炎のビームを吐き出した。抵抗しようとして展開された光の盾をあっさりと焼き払い、魔術師たちがあっという間に火だるまと化す。……見ないことには、できないよな。




 そうして、雨が止んでほんの数分。黒の側で無事なのは、トウマさん1人だけになっていた。あと、ムラクモに急所潰されたのが数人ほどどうにか生きてる、くらいかな。

 そこまで行ったところで、すーちゃん……じゃねえや、スザクさんが言葉を発した。何気に今の戦闘、傍観してたのな。まあ、彼が何ぞやったら一方的な虐殺とか街全滅とかになりかねないのかも知れないけど。


『愚かな盲信者ども。疾く、我が前より消えよ。黒の魔女とゲンブに、くれぐれも忘ることなく伝えおけ』

「く……引くぞ」


 スザクさんにそう言われて、トウマさんはおとなしく剣を収めた。転がってる部下には目もくれず、くるりと身を翻す。

 まあ、状況考えたらここで引かないとマジ死ぬよな、うん。

 あ、俺は何かしっかりカイルさんに確保されている。つまり、がっちり抱きしめられてるわけなんだけど。いやな、あんたな? 割と公私混同してね?

 ……参ったな、もう。悪い気はしねえのが、すっげえ参ったよ。マジ。


「トウマ殿!」

「白の魔女はしばし預けておく! いずれ、黒の魔女様に差し出してやろうぞ!」


 その状態で声をかけたカイルさんに対し、トウマさんは俺があんまり聞きたくない台詞を吐き捨てて門を出て行った。どうやって帰るんだろう、とか考えたら駄目だよな、ここって。




 門の向こうを見つめてた俺の顔を、不意にカイルさんが覗き込んできた。こらやめやがれイケメン王子隊長、中身が男だろうが女だろうがびっくりすんだよ馬鹿野郎。


「ジョウ、大丈夫か?」

「えー……ああ、はい、何とか」

「そうか」

『まま。かいるおにーちゃん、すっごくほっとしてるー』

『かいるさまは、あいかわらずでいらっしゃいますねえ』


 人が聞きゃ無難な会話プラスしゃーしゃー言う使い魔の図、なんだけど。こらタケダくん、ソーダくん、お前らの言ってる意味も今になって分かってきたよ。

 とりあえず見回してみると、シノーヨの兵士さんたちが死体片付けたり、ムラクモの犠牲者を引っ立てていったりしてる。とりあえず、終わったんだとほっとした。


『やれやれ。白の魔女殿は、人にも使い魔にも好かれるようであるな』


 ぱたぱたと軽い羽ばたきの音がして、すーちゃんに戻ったスザクさんが飛んできた。あれ、俺に声聞かせていいの、と思ったんだけどまあ、神の使い魔ってことは太陽神さんの使い魔ってことになるんだろうからいいのか。

 ……いいのかな?


「……すーちゃんも、使い魔が悪いぞ? わしにまで内緒じゃったとはな」

『きしゃしゃしゃしゃしゃ。敵を欺くにはまず味方から、と人は言うであろう?』


 すーちゃんの主、ということになる大公さんは、ビシャモンから降りてきていた。でかい伝書蛇はまだその場にいて、どうやら念の為に周囲を警戒してるっぽい。

 とりあえず、頭の上にムラクモが乗っているのは見なかったことにした方がいいかな、と思った。


「あの。俺にも声聞こえてるんですけど、大丈夫ですか?」

『我か? 構わぬ構わぬ、白の魔女殿なれば我が主も同然ぞ』

「ま、わしがすーちゃんでもそう思うわな。お嬢ちゃんは、どうも最重要人物であるらしいし」

「はあ……」


 最重要ってーか、触ったら黒の気落とせるのと黒の魔女たるシオンと元々の顔見知りだってくらいだけどなあ。あー、でもそれで狙われる理由にはなるのか。頭痛え。

 ところで、カイルさんは……あ、俺と大公さんたちと見比べて、不思議そうに尋ねてきた。


「……ジョウ。スザク殿の声がまだ、聞こえているのか?」

「あ、はい。カイルさんは……聞こえてなさそうですね」

「ああ。さっきの姿の時は聞こえていたんだが」


 そこで何でヘコむんだ、あんたは。

 何か俺、この人とどうなるにしろ苦労しそうだなあ、と変なことを思った。

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