――― エピローグ ―――
控室で誠が着替えている間、
セレッソは薄暗い廊下でスマホを手にし、電話をかけていた。
「もしもし」
相手はどこか煩わしげな声で応答した。
「……誠を暫定勇者に押し上げるつもりだったが、すまない。間に合わなかった」
「本当、これだけのギリギリアウトは奇跡的ね。オクト城までは何とか連れて行くけれど、周りを説得できるかどうか。想像するだけで、肩が凝りそう」
「悪かったよ。だけど、短期間であれだけの実力を付けさせたんだ。少しくらい労いの言葉があってもいいだろ?」
「はいはい。よくやってくれてますよ、セレッソは。でも、私が彼を勇者として戦場へ送り込んだとしても、最後の最後は貴方がどうにかしてくれないと、オクトは滅びる。私は全力を尽くして彼に勇者の資格を与えるから、貴方こそちゃんとやってよね、セレッソ」
電話は唐突に切れる。
相手からのぞんざいな扱いに、拗ねたようにスマホの画面を見つめていたセレッソだが、
そこから目を離すと、薄暗い廊下で一人呟くのだった。
「ああ。分かっているよ、フィオナ」
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