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【絶対にぶっ〇してやる】

地上へ降り立つと、爆発の中心と思われるポイントに、黒い影が。


なんだこれ、焦げた肉片……なのか?


(誠、もう一発撃つぞ! 口を開け!!)


「はい??」


戸惑っていると、黒い影でしかなかったそれが、一瞬で肉となり、骨が伸びて、皮膚に覆われていく。


「う、うわわわぁぁぁ!! セレッソ、頼む!!」


口を開こうとしたが、強烈な右ストレートが僕の顔を貫いた!


いてぇぇぇぇーーー!!と声を出したいが、口の中にアオイちゃんの拳が。


「脳みそ、かき回してやる!!」


アオイちゃんは僕の口の中で手首を捻ると、頭頂部に向かって指を突き上げた。そして、その指をめちゃくちゃに動かす。


ひ、ひやああああああ!?

脳みそが混ぜ混ぜされているよう!?


(安心しろ、引き離してやる!!)


セレッソの声が聞こえたかと思うと、僕の体がピンク色の発光した。そして、先程アオイちゃんが見せたように、全身から四方八方へビームが放たれる。


「この程度で!!」


アオイちゃんがビームに体を焼かれながらも、僕の頭から手を引き抜くと、今度は胸倉をつかんで、強引に引っ張った。さらに、ぶんぶんと振り回された後、ぽーんっと空へ放り投げられ、メジャーリーグのホームランさながら、僕は空中で放物線を描いた。


吹き飛ばされつつも、脳が修復されたのか、ふわふわしていた意識がハッキリする。


アオイちゃんはどこに??

視線を巡らせると、地上にいたはずの彼女が姿が目の前にあった。


「お返し!!」


そして、口を大きく開けた彼女から、強烈なビームが!!


「うわあぁぁぁあぁぁぁああぁぁ!!」


僕の体がビームに飲み込まれる。


(大丈夫だ! バリアで体は守られている。だが……!!)


僕の体はビームに押しやられ、最終的にはどこかに叩きつけられた。


「いってぇ……。マジで普通の体なら、何回死んだんだ??」


土煙の中、何とか体を動かそうとする。


(安心しろ。この程度で死なないし、わずかに私たちの方が優勢だ。嬉しい誤算だったが、一つの体を二人で動かすことで、有り余る女神の力を効率よく使えているらしい。お前に委ねるのは少し不安だったが、私たちのコンビネーションにソールのやつも焦っているぞ)


「まぁ、死なないなら何でもいいよ。何度痛い目にあっても、皆が無事に戦争を終えられるなら……。それにしても、僕はどこまで吹っ飛ばされたんだ??」


周りを見回すが、土煙で何もできない。ただ、人の気配を感じるような……。視界が開けると、やはり数人が困惑しつつ、僕を遠巻きに見ていた。


服装を見れば、分かる。

オクトの人たちだ。


「ここは……??」


オクトの移動要塞だ!

吹っ飛ばされて、移動要塞に突っ込んだんだ。


「ま、誠……なの?」


背後から呼びかけられる。この声は……間違いない!


「フィオナ!!」


僕は振り返り、彼女の姿を確認して、喜びがあふれる。


「ど、どうしたの? その姿、まるで……」


「よかった! 無事だったんだ!!」


僕は彼女に駆け寄り、思わず手を取る。


「本当に良かった。移動要塞が何個も爆発していたから、まさかのことがあったんじゃないかって、ずっと心配で……」


彼女の前に膝を付き、思わず涙が出そうになる。


「だから、本当に無事でよかった……」


しかし、なぜか彼女は黙ったままだった。おかしい。何かが妙だ。僕は顔を上げて、フィオナの顔を見ると、彼女は目を逸らし、何かを躊躇っているようだった。


「ど、どうしたんだ?」


フィオナは瞳を揺らしながら、こぼすように呟く。


「私は……無事だった、けど」


私は? けど?

じゃあ、誰かが怪我したのか?

え? だれ??


フィオナの視線が何かに引っ張られるように、左手の方へ向けられる。僕はそれを追うように、同じ方向を見た。


白い担架が。ニアと雨宮くんが傍に立ち、涙を流しているようだった。


「誰か怪我したの? 大丈夫、だよね?」


僕は立ち上がり、誰かが横たわる担架の方へ近付いた。そこに寝ていたのは……。


ハナちゃんだった。


赤く染まった勇者の制服。

血の気が失われた肌。

閉じられた瞳。


彼女の弟、皇のそのときを見ていたから、分かる。


彼女から、生の源のようなものは、既に失われていた……。


「嘘だろ、ハナちゃん……」


膝を折って、自分の中から何かが抜けていくのを感じた。


嘘だ。

嘘だ嘘だ嘘だ。


否定が、現実の拒絶が、頭の中を埋め尽くしていく。だが、それはすべて怒りの色に染まった。


「イワンだ」


そうだ、あいつのせいだ。


「殺してやる」


(待て、誠。まずはソールを無害化しなければ……!!)


許されるわけがない。

許せるわけがない。


あいつは殺す。殺す。

殺す殺す殺す。殺してやる!!


「絶対に殺してやるぞイワン!!!」


感情に身を任せ、僕はワクソーム城へ向かって飛び立った。

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